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置き去り 1
しおりを挟む――では、邪神としての私についても、お話しましょう。
先ずは呼び名はティアマト。何の因果か今の名前と被る部分があります。
で、どんな邪神かといいますと。
混沌を司る原初の女神。
一応邪神、あるいは女神としては最高位の存在だったりします。
なんでそんな存在が人間なんかやってるか。
恥ずかしい話なんですが、輪廻の輪、円環の理の近くで昼寝をしていたら、うっかりそれに入り込んで、人として転生してしまったようです。
いやはや、寝返りうったら転生しちゃった。てへっ。は最高の持ちネタになりました。
なので、死後のお母さんにあれこれをお願いできたわけです。
さてと、自身の生い立ちを振り返るという現実逃避もここまですかね。
現在、私は腹違いの姉? でいいのかわかりませんが、そんな存在と一緒の馬車に揺られております。
この状況私からすれば沢山の『????』が頭に浮かぶ状況だったりします。
それは何故か?
私はアーディット家の人たちから、それはもう盛大に疎まれているからです。
私の部屋というか寝起きしてる場所は家から離れた物置小屋ですし、ご飯なんかは食べ残し、いわいる残飯だったりします。
しかもそれを家の厨房へ裏口から入って貰うと言った感じです。
ま、私一応は超常の存在ですので、食べなくても人間みたいに死んだりしません。
だから、そこまでして食料を貰わなくてもいいんですが、それだと変な風に怪しまれるので、貰うフリはしてます。
これも仕方ないと言えば……仕方ないのかもしれませんね。
お母さんが平民しかも踊り子ですから。
彼ら彼女らからすると『娼婦の子』とでも、思ってるのでしょう。
お母さんはそういった事はやってませんでした。いくら貧しくとも。
ですが、ただ一度だけ。私の姉の為にその身を売ったそうです。
姉は病気だったらしく。
それを治す為だったようですが、医者に見せた時には……もう手遅れだったそうです。
その売った相手が偶々、町にお忍びで遊びに来てたアーディット家の当主、でそれが私の父親らしいです。
そういう経緯があるので疎まれているわけです。使用人からも、継母からも、義姉からも。
あとは見た目でしょうかね。
邪神としての私と人間としての私が、変な感じに表面的に出てますからね。
どう言った感じかと言いますと。
先ず、髪が綺麗に右と左で黒髪と銀髪に分かれてます。
瞳の色も右が赤色。左が金色。となんとも言えない感じになってます。これはこれで私は気に入ってます。
お母さんが銀髪金眼でしたし、邪神としての私が黒髪赤眼だったのでそれがハッキリわかれる感じに出てますから。
でも、人間からすると大変珍しいようです。私の髪って。
あと黒髪ってのが薄気味悪いようです。邪神の間では珍しくはないんですがね。
それとお母さん譲りの目力ある目元に、美の女神より美しいと称されていた私の美貌が合わさって、実に人間離れした顔立ちをしてる所為もあるんでしょうかね?
まぁそう言った感じで、蝶よ花よと家のみんなから愛されてるこの姉なる存在と一緒にいるってのが、在り得ないんです。
その在り得たこの状況を何とかしていただきたい! 切実に!
なんて思いながら彼女を見ていると、その外に向けていた継母譲りの金髪碧眼がこちらを向き、目が合ってしましました。
「……どうかしましたか? それともわたくしの顔に何かついてますか?」
「目と鼻と口が付いてますね」
「……」
なんとも嫌な顔してますね。そんなに嫌ならここで降ろしてください。と思っていると馬車が止まり始めました。
おや? 願いが叶った?
なんて思いましたが長い事走っていたので、休憩ですかね。
「――というわけだから、降りて摘んできて」
「え? ごめんなさい。聞いてませんでした」
なんか喋ってたようですが、全く聞いてなかったので正直に答えたところ、顔を真っ赤にして且つ引き攣らせて震え出しました。
そして、彼女が口が開こうをした時を狙って、「ああ、降りればいいんですね? んじゃ降ります」と遮る。
ふぅ……降りたくてしょうがなかったので好都合です。
ささっと逃げ出す様に馬車降りて、グッと背伸びをする。
いい感じにポキポキっと関節がなり、非常に心地よい。
なーんて思っていると、馬車が進み始めたではありませんか。
「あーなるほど。この林道ってか森のど真ん中に置き去りですか?」と口にしながら馬車を見送ります。
「まぁいいんですがね」
いやはや! これはいい感じになってきましたよ!
あの家にいる理由もありませんし、このまま自由気ままに人間界を旅するのもいいんですが……。
そこまで考えると、もう一人の姉? 妹? の存在が頭の中をチラつきました。
この子はさっきのとは違って、私に大変よくしてくれます。
同い年で向こうの方が生まれ月が早いのですが、私を慕ってくれてます。
「さて……どうしたものかねぇ」
何となくですが彼女が悲しんでる姿は見たくないんですよね。
私がいなくなったぐらいで悲しむとか、ちょっと自惚れた感はありますが……。
「でももしかしたら」と、思うと私は――。
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