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置き去り 5
しおりを挟む散々犬っころに群がられ満足した私は彼女ら――みんなメスらしい――から情報聞き出します。
得た情報からどうやら、アレは無事この辺りから抜け出せたようです。
で、彼女たちが喰っていたのアレが雇った輩でようで、馬車を止めたまではいいんですが、その後すぐに彼女たちのエサになった模様。
「ありがとうございます。大変いい情報でしたよ」と他と比べて一回り大きな個体の頭をなでなで。
「あと、ヴィスタ君」
「は、はいっ!」
「あなた。私に嘘をつきましたね? それも現在進行形で」
「えっと……それは」
「あなた……誰ですか?」と言う彼の方を向き、本来抑えている力を開放します。
「ひっ!」
「なに情けない声出してるのですか? あなた。私が邪神だというのを信じていませんでしたね。その蛇も後で解呪しようと考えていませんか? それ、私の蛇(ウシュムガル)の一部ですから無理ですよ?」
どうにも、わかってないようなので、下から盛り上がる様に寄生させた蛇を動かします。
ついでに、骨を直接締め上げますか。
「――っ! あぁああっ!!」
「痛くてどうにかなりそうですか? どうです? 骨を直接締め上げられる痛さは?」
「ァぃぃ――ッ」
ウシュムガルを全て出して、それ彼に近づけます。
七匹目の一際大きな蛇は色は同じだが、他の蛇と違って頚部の皮膚を横に大きく広がっている。
それもぐいっと近づけ、鼻先で下をチロチロさせる。
「さて。ヴィスタ君。これも魔法、ないしは咒術に見えますか?」
と聞けば先程よりは聞き取りやすい声量で「いいえ」と返ってくる。
「あと、あなたが先程から何やらコソコソしてるのも、あえて見逃してるんですがねぇ」
細くした六匹の蛇を彼の上半身に巻く様に絡め首筋まで登らせる。
また、漏らされても嫌ですかね。あと七匹目の口を少し開けてシャーっと威嚇音を出す。
「そ、そ、のですね。ティア様。どうかか、おお話を、聞いていた……だけたらと」
「ふぅん? お話ですか? なんだか面倒になってきたので、あなたの頭から直接お伺いしようかと思っているんですが――ねぇ?」
自分の髪を一房掴み、指に絡めながら微笑むと、ヴィスタ君は顔を引き攣らせる。
顔色は真っ青というか真っ白になっていくのが、なんだか笑えます。
「うっ、嘘は絶対に言いません!! 全てお話いたします!! だからどうか!」
「そうだ。いい事思いつきましたよ」
一旦彼を無視して、早速思いつた事を実行する。
先ず、七匹目の口を大きく広げ、上顎と下顎に折り畳まれていた牙を立たせます。
上顎の牙は頭の上に。下顎の牙は彼の顎下に。
彼の視界は、七匹目の口の中しか見えていないでしょうが、声は聞こえるので問題ないですね。
「別に嘘をついても構いませんよ? 私が嘘っぽなぁ、と感じたらバクンッとしますから。その後にあなたの頭の中身にいろいろと聞きます。さぁ――……遠慮なくどうぞ」
と彼の顔をペロッと舐めてから話の主導権を渡しました。
それから彼の語られた内容によると、
ヴィスタ君の本名はヴィレスタ・フォード。フォード侯爵家の次男だそうです。
なんでそんな家柄の人がチンピラをやっていたかと言うと、フォード家は代々貴族の内偵や監査をする家柄らしく、今回、私の父親の依頼で我が家の調査をしていたとか。
その過程で、きな臭い動きがありヴィレスタ君が潜入捜査をしていたと。であの時に至る。
「太公閣下はずいぶんとティア様をご心配されていました」という言葉が締めとなり、ヴィレスタ君の事情説明は終了しました。
とりあえず、拘束を解いて自由にしてあげ、ちょっと気になる事を聞いてみます。
「なぜ最初に言わなかったので? 下手したら最初に喰われてかも、ですよ?」
「隙をついてあの二人を無力化しようと思っていたんです。実は剣の腕はからっきしなんで」
「あー人間の使う魔法って発動まで長ったらしいですかね。なるほどねぇ」
「いやはや。いろいろ覚悟しちゃいましたよ。はは……」
「さてと、事情もわかりました。ごめんなさい。ヴィレスタ君」
と謝る。なんというかいろいろやり過ぎた感がありますからね。
「いえ! 頭を上げてください! 紛らわしい真似をした自分が悪いので!」と慌てるヴィスタ君。
「そう言うのであれば、ここまでにしときます」
こういうのはさっと済ませるのがいいでしょう。押し問答になってもしょうがないので。
「んじゃ。私はあの物置小屋に戻りますかね。早く帰ると怪しまれそうですので。適度に時間をかけて戻りますが……ヴィレスタ君は?」
「僕もご一緒しますよ。いくら邪神とはいえ、女性を置いて、というのはちょっと。ですが……物置小屋というのはどういった意味ですか?」
と聞かれたので私の三年前からの日常を話します。黙々と歩くよりはマシでしょうからね。
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