初恋音物語

海音

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初恋音物語#10過去と今を

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#10過去と今を

日曜日

最寄り駅前の広場の前に集まった二人

「おはよう、急に誘っちゃってごめんね」

未来は海音に挨拶をした

「大丈夫、僕も暇で何しようか考えてた所だったから、ところで今日はどこに行く?」

急に決まった為具体的な事は一切決めずにここまできてしまった

「えーっと...とにかく電車に乗ろっか」

二人は行き先も決めぬまま電車に乗り込んだ。

「スカイツリー...とかどうだ?」

「じゃあそうしよっか」

海音の提案に未来は賛成した


スカイツリーに到着した二人は展望台を目指した

展望台に到着した二人は外を眺めていた

「人間ってちっぽけだな」

未来は無意識にそう言っていた

「海音...大好き..」

未来は頬を紅く染めながら言った

未来は笑顔で海音の頬にキスをした。

海音は頬を赤らめて照れているのを必死に誤魔化そうとしている

「いや、ちょっと..こんな所で...」

「良いじゃん、ちっぽけな人間の事なんか」

未来は外に視線を向けて言った

「そっか....」

海音は何も言えなかった

「そろそろ行こっか」

未来は笑顔を見せた。


二人は展望台を降りてスカイツリーを出た。

「お昼ご飯食べに行こっか」

「そうだね」

海音の提案に未来は答えた

「もんじゃ焼きとかどう?月島も近いし」

「それ良いね!」

海音の提案に未来は大賛成だった。


「おいしい~」

未来は幸せだった

楽しい時間はあっという間で気づけばもう帰りの電車の中にいた。

もう直ぐ最寄り駅に着く、そこに着いてしまったらもうお別れしなくちゃいけない

そんな事を考えているうちに電車は駅に着いてしまった

「じゃあ今日は解散だな、ばいばい未来また明日」

海音はそう言って歩き出した

(待って)

未来は心の声と共に海音の腕を掴んでいた

「もうちょっとだけ...」

開こうとしない口無理やり開いて出した掠れた言葉だった

「良いよ」

海音は笑ってくれた

「なにしたい?」

海音は優しい声で聞いてくれた

「海音の家に行きたい」

未来は自分でも何でこんな事を言ったのかわからなかった

「あっ、でも家に親とか居たら迷惑になっちゃうから...」

「今日仕事で遅くなるって言ってたから大丈夫だよ」

海音はそう言って未来の手を引いて走り出した。

未来は任せるままに海音に引かれて走った


すぐに海音の家の前に着いた、体力に自信のない未来は息切れをしていた、運動部の海音は余裕そうだった。

「ごめん未来」

「も~」

未来はそっぽを向いた

「本当にごめん」

海音は顔の前で両手を合わせて謝った

「冗談だよっ!」

未来は振り向いて笑った

「良かった~、じゃあ行こっか」

海音と未来は海音の家に入っていった

海音の部屋に入ったは良いものの何かをする事もなく、二人とも黙りこくっていた

ふと窓の外を見ると予報外れの雨が降っていた。

「綺麗だなぁ」

未来は不意にそんな言葉を溢した

「海音...」

未来はゆっくりと海音に抱きついた

「私...頼って良いのかな..?」

「私、全部思い出してた、海音の事も凛の事も好亜の事も。でも、このまま言わない方が幸せなんじゃないかなって...」

「やっぱり..思い出してたんだ」

海音は言った

「なんだ...バレてたんだ..」

未来は袖をまくって傷を見せた

「これ、私が掻き毟った傷だよ。あの時の事を思い出した時の何とも言えない感情、痛み。笑っちゃうよね」

「未来は...今も死にたいって思ってる?」

海音の質問に未来は声が出なかった。

「えーっと....思ってる..かな」

「そうか」

未来の当たり前かの様な答え方に海音は少し悲しそうな顔をした

「そんな顔しないでよ....そんな顔されたら、私また偽らなきゃいけなくなっちゃう....」

「きっと...それも含めて"未来"なんだよ」

俯く未来に海音は言った

「上手く言葉にできないけど、僕は未来のそういう所も含めて未来のことが好き」

海音は天井を見つめながら言った

「好き...になってみようかな、自分のこと」

未来はそう呟いた。

「ゆっくりで良い、いつまでだって待つから」

「ありがとう」

未来は微笑んだ

「私そろそろ帰るね」

「外雨降ってるからもうちょっと居た方が良いよ」

海音はそう言ったが未来は帰ることにした

「大丈夫、私雨好きだから」

「なら良いけど...」

未来は海音の家を出て雨に濡れながら家路を歩いた。

無機質な雨の音、未来にはとても温かみを感じる音だった

雨に打たれて微笑んだ未来の顔はとても幸せそうだった。


その日の夜、未来は日記を書くことにした

「1日目、今日からどうやったら自分を好きになれるか色々と試してみることにした、その様子をこの日記に残したいと思います。」




「今日は何をしようかなー!」

未来はまだ眠い体を起こす様に大きく伸びをしながら言った

「あっ!そうだ!」

思い立った未来はすぐに支度を始めた

「行ってきまーす!」

お母さんにそう言って家を飛び出ていった、向かう先は駅、未来は電車に乗った

(星を見る)

そう思いってから1時間も経っていなかった、数時間電車に揺られて辿り着いたのはとある田舎町だった。

星が見える時間帯まではまだ時間があった

「何か美味しいものでも食べよっかな」

未来はスマホで美味しいご飯屋さんを探してそこに向かった

年季の入った暖簾に木造の建物、老舗のお店だった。

独りでお店に入ることに緊張しながらも未来はお店に入った

「いらっしゃい」

元気そうな若々しいおばあちゃんが歓迎してくれた

「こんな時間に若い子が珍しいね、お姉ちゃん学校は?」

おばあちゃんに話しかけられて未来は動揺していた

「えーっと、その...あんまり学校行けてなくて....」

未来は正直に話すことしかできなかった

「年頃だもんね、そんなこともあるさ」

おばあちゃんはそう言ってくれた

「これ食べな、うち一番人気のメニューだよ」

メニューを眺めていた未来におばあちゃんが美味しそうな海鮮丼を持ってきてくれた

「ありがとうございます」

未来はお礼を言って箸を取った

「いただきます」

未来は手を合わせてそう言って食べ始めた

「美味しい....」

拒食気味だった未来にとってはこんなに美味しいご飯は久しぶりだった

「あんまり..ご飯も食べれてなくって....」

(あれ?何で私泣いてるんだろう?)

未来の頬には涙が伝っていた

「すいません」

未来は涙を拭いながらおばあちゃんに謝った、でも涙は溢れるばかりで止まらない。

「無理に我慢することはないさ、泣きたいときは泣けば良い」

おばあちゃんそう言って未来を慰めてくれた

その言葉を聞いた未来の涙は一層溢れ出てきた

未来は口いっぱいのご飯をかき込んだ

(何をしてるの?私?)

未来は自分が何をしているのかわからなかった。

気づけば店中に未来の泣き声が響き渡っていた

「ごめんなさい」

未来は必死に涙を拭いながら謝った

「気にしなくて良いよ、いっぱい食べな」

おばあちゃんは気にせずそう言ってくれた

30分くらいは泣いていたと思う、未来はご飯を食べ終えてお会計をしようとおばあちゃんに話しかけた

「お代はいいよ」

「えっ..でも...」

戸惑う未来におばあちゃんは言った

「そのかわり、たくさん笑顔をみせて」

その言葉を聞いた未来は

「はい!」

明るい元気な声で返事をした未来はおばあちゃんに笑顔を見せた

誰かの為の作り笑顔じゃない、心の底から溢れ出た笑顔だった。

最後に未来は言った

「また来ても良いですか?」

「もちろん、いつでもおいで」

「ありがとうございます!」

未来は嬉しそうにお店を出た。

時刻はお昼過ぎ、まだ時間がある

未来はお散歩がてら辺りを歩いてみることにした。

晴れた空を泳ぐ雲、透き通った川の水、肌寒い冬の風が未来の体に吹き付けて未来の髪を揺らした。

どれくらい歩いたのか未来にもわからなかった、それ程に未来にとって楽しい時間だった

夕刻が終わる頃未来は星を見る展望台に行くために山道を登っていた、平日だと言うのに未来以外にも割と人はいた。

40分程山道を歩き展望台に着いた

辺りも暗くなり始めてもう少しで綺麗な星が見えそうな空だ

数分後、周りの人達が歓声と共に空を見上げ始め未来も空に目を向けた

「綺麗....」

思わずそう呟いてしまうくらい美しかった。

(いつか...海音と二人で来たいな)

未来はそんなふうに思っていた。

展望台に設置されている100円で5分間使える望遠鏡を見つけた

未来は100円を入れ望遠鏡を覗いた

そこには幾千もの星たちが満遍なく広がっていた。

あっという間の5分間に少し味気なさを感じながらも未来は満足だった。

(今度は絶対海音と一緒に来るんだ!)

未来は心の中でそう誓って帰路に着いた

山道を降って、電車に揺られ、家まで歩いてドアを開ける

「ただいまー」

未来は手洗いうがいをして自分の部屋に向かった

未来は椅子に座り机の上に置いてあった日記帳を開いた

「2日目、今日は星を見に行った。その途中にお昼ご飯を食べたお店のおばあちゃんはとても優しい人で、また泣いてしまった。まだ死にたい気持ちは消えないけど、生きる理由も1つ増えた。それは"海音と二人で星を見に行く"だから、もうちょっと生きてみようと思う。」

そう日記に書いて未来は日記を閉じた。
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