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初恋音物語#11結局は
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#11
未来は心に決めたことがある
その思いを胸に未来は職員室へと歩いていた。
昨日は学校を休んでしまったけど、今日はこれを言うために学校に来た
「失礼します、2年4組の初音未来です。鈴木先生は居ますか?」
緊張しながらもハッキリと言った
「どうしたの?」
直ぐに鈴木先生は来てくれた
「天文部に入部したいです!」
大きな声で未来は言った
「えっ...と、わかった。ちょっと待ってて」
そう言って足速に鈴木先生は自分の席に戻り何やら一枚のプリントを未来に渡した
「はいこれ、天文部の入部届け。自分の名前と保護者の名前と印鑑を押して持ってきて」
そう言い残すと鈴木先生は自分の仕事に戻っていった
(やった!私にもできた!)
未来は入部届けを貰えたことに喜びを感じながら教室に戻っていった
「未来おはよー!」
凛が元気な声で話しかけてきた
「おはよー」
未来も挨拶を返した。
「今日は朝早いんだね」
「うん。ちょっとね」
あやふやな答え方をしてなんとなく誤魔化した
(天文部に入ることはあんまり人に知られたくない)
学校も休みがちな未来が部活に入るだなんて笑われてしまうと思っていたのだ
「今日の体育バスケだよね?私バスケ苦手なんだよねー」
何かを察したかの様に凛は話を変えた
「私もバスケ苦手ー」
未来は昔から喘息持ちという事もあって運動は基本的に苦手だった。
放課後
未来は海音と凛と3人で帰っていた。
「そういえば未来、今日の朝職員室に居なかった?」
唐突の海音のセリフに未来は思わず声を出して驚いてしまった
「それは...えっと、その..」
未来は必死に誤魔化そうとするが凛は興味津々な目をして未来を見つめていた、こうなったらもう未来は正直に話すしかなかった。
「て..天文部に入ろうと思って」
「すごいじゃん!」
「すごいじゃん!」
二人は嬉しそうに未来を褒めてくれた
「でもさ...学校にもろくに来れてない私が部活に入るとか言い出したら笑われちゃうよね....」
未来は俯いた。
「そんなことないよ」
凛は少し不思議な顔をして言った
「むしろ、すごいことじゃん!学校にも来れてなかったのに部活入りたいって思えるようになったんだから」
凛は目をキラキラと輝かせながら未来を見つめて言った
「ようだよ、未来。笑う奴なんかいない、未来にとっての大きな一歩なんだから」
海音は凛に続けてそう言った。
「そっか!」
未来はその声と同時に俯いた顔を起こして二人の方向を見て満面の笑みで笑った。
「3日目、笑われると思った天文部に入部する事も意外とそうでもなくて、入部する事を決めて良かったなって思った。」
朝
スマホの目覚ましと共に重い瞼を開く。
「おはよう~」
未来は大きく伸びをしながら壁に向かって呟いた
階段を降りて朝食が並べられた机を前に椅子に座る
「おはよう未来」
「んぅ..うん...」
お母さんの挨拶に適当に返事をして朝食に箸をのばす。
朝のニュース番組を横目に朝食食べ終えた未来は洗面台に行き顔を洗ってようやく目がハッキリと覚めた、歯磨きを済ませて自分の部屋に戻って制服を着る。
「いってきます!」
未来は家を飛び出して言った
誰よりも早く学校に着いて教室に荷物を置いた未来は一目散に職員室に向かった。
「あ、初音さん、もしかして入部届け?」
後ろから声を掛けてきたのは鈴木先生だった
「はい、そうです」
未来は頷いて自分の名前と保護者の名前と印鑑が押された入部届けを差し出した。
「確かに受け取りました、どうだい、早速今日の放課後から来るかい?」
鈴木先生は優しく言ってくれた。
「はい!よろしくお願いします!!」
未来は笑顔で答えた。
待ちに待った放課後、未来は教科書やらがぎっしり詰まったリュックを背負って、天文部の部室の前に立っていた
(緊張する..この時期に入部してくるなんて笑われないかな)
正直未来にとっては不安の方が大きかった。
やっとの思いでドアノブに手を掛け部室に入ろうとした時
「もしかして、初音さん?」
「へあっ!..」
突然背後から女の子に声を掛けられ変な声が出てしまった
「やっぱり初音さんだ!鈴木先生から話は聞いてるよ、ようこそ我が天文部へ!!」
その女の子は未来を歓迎してくれた
「えーっと、その....よろしくお願いします!」
未来は勢い良くお辞儀をした
「そんなに緊張しなくて大丈夫だよっ!」
そう言われて未来は少し安心してドアを開いた
「よろしくお願いします....」
自信なさげな声と共に部室に踏み入れた
「いらっしゃい」
「初めまして」
そこには鈴木先生と他の部員が2、3人居た、まだ全員は集まってないみたいだったけどそれでも未来の緊張はいっそう強くなった。
「今日から新しく入部した初音未来ちゃんだよ!」
後ろから未来を紹介する声が聞こえた
「初めまして、今日からよろしくお願いします」
未来は続いて自己紹介をした。
部員たちは
「よろしくね!」
「仲間が増えて嬉しいよ」
と、未来の入部を喜んでくれた。
ちょうど今日は冬休みに星を見に行く場所を決める日ということで、早速ミーティングが始まった
(どうしよう.....)
未来にとって最も苦手と言っても過言ではない、それくらい未来は"話し合い"をするのが苦手だ、しかも、それが入部初日からあると言うのだから尚更だ。
(でも、頑張らないと)
未来は心の中でそう意気込んだ。
長期休みのため、泊まりがけで行く事もできるらしいがその場合は何処に泊まって何処でご飯を食べるかなど決めなきゃいけない事が山ほどあるので、この作業は毎回骨の折れる作業になるらしい。
「みんなどこいきたい?」
その言葉から始まった話し合いは下校のチャイムが鳴るまで終わらなかった。
「急がないと!最終下校のチャイムが鳴っちゃう!!」
みんなが慌てて帰り支度を始め、未来も支度を始めた。
「そういえば、未来ちゃんってどっち方面?」
そう声を掛けられたのは、ちょうど校門跨いだ時だった
声の正体は天文部の部室の前で狼狽えていた未来に優しく声を掛けてくれた女の子だった。
「えっと...こっちです」
未来は帰り道の方向を指さした。
「一緒じゃん!一緒に帰ろっ!あっ、そういえばまだ名前言ってなかったよね」
「私は巡音瑠夏、よろしくね!」
「よ..よろしくお願いします」
未来はそう言って瑠夏の隣に並んだ
「なんでうちの部活入ろうと思ったの?」
急に降りかかってきた質問に未来は少し動揺しつつも
「この前見た星が綺麗だったから、もっと見たいなと思って」
「そうなんだ」
瑠夏は特に驚く事もなくそう言った
(ありきたりな理由なんだろう)
と思って未来も特に気にすることはなかった
翌日
未来はいつも通りのお世辞にも気持ちの良い目覚めとは言えない朝を迎え、朝食を食べ、顔を洗って歯磨きをしていた
(そういえば)
歯磨きが終わるないなや未来は階段を駆け上がって自分の部屋の勉強机の引き出しの中に大切にしまってあった物を手に取った
(海音、これ気づいてくれるかな?)
そんな思いを抱きながら、この前星を見に行った時に買ったヘアピンを髪に留めて、重いリュックを背負って家を出た
「おはよう」
未来は海音に挨拶をした、いつもは凛と3人で登校しているが今日は凛が朝練のため海音と二人で登校する事になった
「久しぶりだね、二人で登校するの。三人も良いけどたまには二人きりなのも良いね」
未来がそう言うと
「そうだね」
と、海音も嬉しそうに言った。
(なんで気づいてくれないのっ!)
未来は内心そう思いながらも
「あとそれ似合ってるよ」
不意に言われたセリフに未来は頬を紅くした
海音も頬紅くしていた。
「あ、、ありがとう」
未来は嬉しくて仕方なかった。
そのおかげか、いつもより授業にも身が入り、いつもはほとんど喋らない友達とも話せた。
でも、5時間目の授業だけは違った
「今日の道徳の授業では、自分の良い所を考えてみましょう」
先生はそう言った。
「えっ.....」
未来は困惑した、そうしているうちにプリントが配られ
「15分時間を取るので書いてみてください」
未来はプリントに視線を移す、そこにはいくつかの項目があった、一つ目は"自分の事が好きか嫌いか"YesかNoのどちらかに丸を付けるだけの事だったが、未来には難しかった
(思い出しちゃう...)
未来は机に突っ伏した、それを見た凛が
「私は、嫌いかな」
わざと周りに聞こえる声で言った。
周りは
「どうして、凛ちゃん可愛いのに」
と、不思議そうに言う女子や
「意外だなー」
と、少しばかり驚く男子
未来は凛が本心で言っているのではなく未来のために言ってくれたことはすぐにわかった
未来は何も出来ずに机に突っ伏す事しかできなかった。
(嘘でも自分を好きだなんて言えない)
正直このプリントを真面目に書いている人の方が少ないと思う、みんな適当にそれっぽい事を書いて終わらせる。そんなもんだ。
でも、未来にはできなかった。目が潤んでいる気がした。
「先生、未来が体調悪そうなので私が保健室に連れて行きます」
そう言って凛は立ち上がり未来の側まで来て小さな声で
「大丈夫だよ」
と、耳打ちをした。
凛は俯いたままの未来を庇うように歩いてくれた
教室を出てドアを閉めた瞬間未来は崩れ落ちる様に床に両手をつけて座り込んだ
「ありがとう...」
未来は声を振り絞ってお礼を言った。
「保健室行こっか」
凛が手を差し伸べると未来は凛の手を掴んで立ち上がった
二人は保健室まで歩き凛が保健室の先生に事情を説明した、その後凛は教室へ戻り未来はベットに横たわった
「先生、私って結局はこうなっちゃうんですね」
未来は壁を見つめたまま言った
「私はそれもでも良いと思うよ」
「えっ...」
未来は困惑した。自分が大嫌いな未来にとって自分を肯定される事は理解不能な事だった。
「私もね未来ちゃんくらいの頃に学校に行けなくなってね、死のうとした事もあった。だから助けたかったの昔の私みたいに苦しんでいる子を」
先生は未来に近寄ってベットの横の椅子に座った
「助けられてるのかな....?」
優しい声だった。
「えっと...」
「できてないよね」
未来が答えられずにいると先に先生が言った
「先生、私は大丈夫です」
未来は笑った
笑ってみせた
そうするしかなかった、未来は自分の心が痛む事がわかっていても自分の所為で誰かが傷つくくらいなら自分が傷ついた方がずっと良い。そう思っていた。
未来はまた自分が嫌いになった
未来は心に決めたことがある
その思いを胸に未来は職員室へと歩いていた。
昨日は学校を休んでしまったけど、今日はこれを言うために学校に来た
「失礼します、2年4組の初音未来です。鈴木先生は居ますか?」
緊張しながらもハッキリと言った
「どうしたの?」
直ぐに鈴木先生は来てくれた
「天文部に入部したいです!」
大きな声で未来は言った
「えっ...と、わかった。ちょっと待ってて」
そう言って足速に鈴木先生は自分の席に戻り何やら一枚のプリントを未来に渡した
「はいこれ、天文部の入部届け。自分の名前と保護者の名前と印鑑を押して持ってきて」
そう言い残すと鈴木先生は自分の仕事に戻っていった
(やった!私にもできた!)
未来は入部届けを貰えたことに喜びを感じながら教室に戻っていった
「未来おはよー!」
凛が元気な声で話しかけてきた
「おはよー」
未来も挨拶を返した。
「今日は朝早いんだね」
「うん。ちょっとね」
あやふやな答え方をしてなんとなく誤魔化した
(天文部に入ることはあんまり人に知られたくない)
学校も休みがちな未来が部活に入るだなんて笑われてしまうと思っていたのだ
「今日の体育バスケだよね?私バスケ苦手なんだよねー」
何かを察したかの様に凛は話を変えた
「私もバスケ苦手ー」
未来は昔から喘息持ちという事もあって運動は基本的に苦手だった。
放課後
未来は海音と凛と3人で帰っていた。
「そういえば未来、今日の朝職員室に居なかった?」
唐突の海音のセリフに未来は思わず声を出して驚いてしまった
「それは...えっと、その..」
未来は必死に誤魔化そうとするが凛は興味津々な目をして未来を見つめていた、こうなったらもう未来は正直に話すしかなかった。
「て..天文部に入ろうと思って」
「すごいじゃん!」
「すごいじゃん!」
二人は嬉しそうに未来を褒めてくれた
「でもさ...学校にもろくに来れてない私が部活に入るとか言い出したら笑われちゃうよね....」
未来は俯いた。
「そんなことないよ」
凛は少し不思議な顔をして言った
「むしろ、すごいことじゃん!学校にも来れてなかったのに部活入りたいって思えるようになったんだから」
凛は目をキラキラと輝かせながら未来を見つめて言った
「ようだよ、未来。笑う奴なんかいない、未来にとっての大きな一歩なんだから」
海音は凛に続けてそう言った。
「そっか!」
未来はその声と同時に俯いた顔を起こして二人の方向を見て満面の笑みで笑った。
「3日目、笑われると思った天文部に入部する事も意外とそうでもなくて、入部する事を決めて良かったなって思った。」
朝
スマホの目覚ましと共に重い瞼を開く。
「おはよう~」
未来は大きく伸びをしながら壁に向かって呟いた
階段を降りて朝食が並べられた机を前に椅子に座る
「おはよう未来」
「んぅ..うん...」
お母さんの挨拶に適当に返事をして朝食に箸をのばす。
朝のニュース番組を横目に朝食食べ終えた未来は洗面台に行き顔を洗ってようやく目がハッキリと覚めた、歯磨きを済ませて自分の部屋に戻って制服を着る。
「いってきます!」
未来は家を飛び出して言った
誰よりも早く学校に着いて教室に荷物を置いた未来は一目散に職員室に向かった。
「あ、初音さん、もしかして入部届け?」
後ろから声を掛けてきたのは鈴木先生だった
「はい、そうです」
未来は頷いて自分の名前と保護者の名前と印鑑が押された入部届けを差し出した。
「確かに受け取りました、どうだい、早速今日の放課後から来るかい?」
鈴木先生は優しく言ってくれた。
「はい!よろしくお願いします!!」
未来は笑顔で答えた。
待ちに待った放課後、未来は教科書やらがぎっしり詰まったリュックを背負って、天文部の部室の前に立っていた
(緊張する..この時期に入部してくるなんて笑われないかな)
正直未来にとっては不安の方が大きかった。
やっとの思いでドアノブに手を掛け部室に入ろうとした時
「もしかして、初音さん?」
「へあっ!..」
突然背後から女の子に声を掛けられ変な声が出てしまった
「やっぱり初音さんだ!鈴木先生から話は聞いてるよ、ようこそ我が天文部へ!!」
その女の子は未来を歓迎してくれた
「えーっと、その....よろしくお願いします!」
未来は勢い良くお辞儀をした
「そんなに緊張しなくて大丈夫だよっ!」
そう言われて未来は少し安心してドアを開いた
「よろしくお願いします....」
自信なさげな声と共に部室に踏み入れた
「いらっしゃい」
「初めまして」
そこには鈴木先生と他の部員が2、3人居た、まだ全員は集まってないみたいだったけどそれでも未来の緊張はいっそう強くなった。
「今日から新しく入部した初音未来ちゃんだよ!」
後ろから未来を紹介する声が聞こえた
「初めまして、今日からよろしくお願いします」
未来は続いて自己紹介をした。
部員たちは
「よろしくね!」
「仲間が増えて嬉しいよ」
と、未来の入部を喜んでくれた。
ちょうど今日は冬休みに星を見に行く場所を決める日ということで、早速ミーティングが始まった
(どうしよう.....)
未来にとって最も苦手と言っても過言ではない、それくらい未来は"話し合い"をするのが苦手だ、しかも、それが入部初日からあると言うのだから尚更だ。
(でも、頑張らないと)
未来は心の中でそう意気込んだ。
長期休みのため、泊まりがけで行く事もできるらしいがその場合は何処に泊まって何処でご飯を食べるかなど決めなきゃいけない事が山ほどあるので、この作業は毎回骨の折れる作業になるらしい。
「みんなどこいきたい?」
その言葉から始まった話し合いは下校のチャイムが鳴るまで終わらなかった。
「急がないと!最終下校のチャイムが鳴っちゃう!!」
みんなが慌てて帰り支度を始め、未来も支度を始めた。
「そういえば、未来ちゃんってどっち方面?」
そう声を掛けられたのは、ちょうど校門跨いだ時だった
声の正体は天文部の部室の前で狼狽えていた未来に優しく声を掛けてくれた女の子だった。
「えっと...こっちです」
未来は帰り道の方向を指さした。
「一緒じゃん!一緒に帰ろっ!あっ、そういえばまだ名前言ってなかったよね」
「私は巡音瑠夏、よろしくね!」
「よ..よろしくお願いします」
未来はそう言って瑠夏の隣に並んだ
「なんでうちの部活入ろうと思ったの?」
急に降りかかってきた質問に未来は少し動揺しつつも
「この前見た星が綺麗だったから、もっと見たいなと思って」
「そうなんだ」
瑠夏は特に驚く事もなくそう言った
(ありきたりな理由なんだろう)
と思って未来も特に気にすることはなかった
翌日
未来はいつも通りのお世辞にも気持ちの良い目覚めとは言えない朝を迎え、朝食を食べ、顔を洗って歯磨きをしていた
(そういえば)
歯磨きが終わるないなや未来は階段を駆け上がって自分の部屋の勉強机の引き出しの中に大切にしまってあった物を手に取った
(海音、これ気づいてくれるかな?)
そんな思いを抱きながら、この前星を見に行った時に買ったヘアピンを髪に留めて、重いリュックを背負って家を出た
「おはよう」
未来は海音に挨拶をした、いつもは凛と3人で登校しているが今日は凛が朝練のため海音と二人で登校する事になった
「久しぶりだね、二人で登校するの。三人も良いけどたまには二人きりなのも良いね」
未来がそう言うと
「そうだね」
と、海音も嬉しそうに言った。
(なんで気づいてくれないのっ!)
未来は内心そう思いながらも
「あとそれ似合ってるよ」
不意に言われたセリフに未来は頬を紅くした
海音も頬紅くしていた。
「あ、、ありがとう」
未来は嬉しくて仕方なかった。
そのおかげか、いつもより授業にも身が入り、いつもはほとんど喋らない友達とも話せた。
でも、5時間目の授業だけは違った
「今日の道徳の授業では、自分の良い所を考えてみましょう」
先生はそう言った。
「えっ.....」
未来は困惑した、そうしているうちにプリントが配られ
「15分時間を取るので書いてみてください」
未来はプリントに視線を移す、そこにはいくつかの項目があった、一つ目は"自分の事が好きか嫌いか"YesかNoのどちらかに丸を付けるだけの事だったが、未来には難しかった
(思い出しちゃう...)
未来は机に突っ伏した、それを見た凛が
「私は、嫌いかな」
わざと周りに聞こえる声で言った。
周りは
「どうして、凛ちゃん可愛いのに」
と、不思議そうに言う女子や
「意外だなー」
と、少しばかり驚く男子
未来は凛が本心で言っているのではなく未来のために言ってくれたことはすぐにわかった
未来は何も出来ずに机に突っ伏す事しかできなかった。
(嘘でも自分を好きだなんて言えない)
正直このプリントを真面目に書いている人の方が少ないと思う、みんな適当にそれっぽい事を書いて終わらせる。そんなもんだ。
でも、未来にはできなかった。目が潤んでいる気がした。
「先生、未来が体調悪そうなので私が保健室に連れて行きます」
そう言って凛は立ち上がり未来の側まで来て小さな声で
「大丈夫だよ」
と、耳打ちをした。
凛は俯いたままの未来を庇うように歩いてくれた
教室を出てドアを閉めた瞬間未来は崩れ落ちる様に床に両手をつけて座り込んだ
「ありがとう...」
未来は声を振り絞ってお礼を言った。
「保健室行こっか」
凛が手を差し伸べると未来は凛の手を掴んで立ち上がった
二人は保健室まで歩き凛が保健室の先生に事情を説明した、その後凛は教室へ戻り未来はベットに横たわった
「先生、私って結局はこうなっちゃうんですね」
未来は壁を見つめたまま言った
「私はそれもでも良いと思うよ」
「えっ...」
未来は困惑した。自分が大嫌いな未来にとって自分を肯定される事は理解不能な事だった。
「私もね未来ちゃんくらいの頃に学校に行けなくなってね、死のうとした事もあった。だから助けたかったの昔の私みたいに苦しんでいる子を」
先生は未来に近寄ってベットの横の椅子に座った
「助けられてるのかな....?」
優しい声だった。
「えっと...」
「できてないよね」
未来が答えられずにいると先に先生が言った
「先生、私は大丈夫です」
未来は笑った
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