気が付いたら異世界で孤児だったけど、立派な宇宙海賊になってみせます~貧民惑星から始める転生成り上がり銀河無双~

渋谷千立

文字の大きさ
38 / 68

極秘任務!猫を捕獲せよ!

しおりを挟む
「……そういや、ギルド本部から通信来てたよな」

ヘッジホッグの艦橋にて、俺は立ち上がりながら呟いた。
帝国の至急依頼であの忌々しい廃ステーションに向かったせいで、すっかり後回しになっていた。

「“極秘”のタグが付いていました」
アイカが静かに応じる。

「優先順位を帝国任務に切り替えたため、保留になっていましたが――開封には艦長の個人認証が必要です」

「了解。今開く」

端末に向かって右手をかざし、音声認証を続ける。

「ヘッジホッグ艦長コウキ。個人コード、デルタ2714885。“極秘”任務、開示を許可」

《認証確認。通信ログ:ギルド本部・極秘任務通達》

画面に映し出されたのは、冷たい無表情の女性――ギルド本部通信管理局の面々は、相変わらず官僚くさい喋り方しかしない。

    「海賊艦《ヘッジホッグ》艦長、コウキに通達。
    ケルベロス・スロット宙域における特異個体《M-22》の追跡任務を通達する。
    対象はステーション内研究施設から逸走し、現在第07観測ステーションに潜伏中と推定。
    当該個体は極秘開発中のAIコアを体内に取り込んでおり、情報奪取の危険性が高い。
    他勢力の介入が予測されるため、確保と持ち帰りを最優先とすること」

    「なお、任務詳細はステーション内のメインサーバーにて。艦長権限による現地アクセスを要する。
    任務成功時には艦隊級の補給支援と報酬の即時支払いを保証する――以上」

通信が切れ、画面には任務コードと要約だけが残った。

《極秘任務 NX-Σ-144 対象:M-22 危険度:レベルB》

「……ったく、こんな重要な案件、よく放置してたな俺たち」

「帝国軍情報局は至急、とのことでしたからね」
アイカが平然と返す。

「しかもかなりやばかったしね」
マリナが肩をすくめて言った。

「ま、そっちも報酬は弾んでくれたし、今回はのんびり猫探しかな?」

「……猫なんて誰が言った?」

キョウカがにへらっと笑う。

「ぜったいネコなの! わかるの!」

「やめてくれ、そういう当たる予知じみた発言……」

と、どこからともなく――

「にゃーん」

全員が一斉に振り向いた。

「……まさかな」

「アイカ、対象コード《M-22》、種別情報の照合を」

「……照会完了」
アイカが読み上げる。

    《M-22:小型哺乳類(ネコ科)・研究ラボ飼育個体》
    《備考:サポートAI“Type-Eir”コアデータチップ誤飲・情報吸収反応あり》

「……マジで猫かよ」



「よし、目的地はケルベロス・スロット第07観測ステーション。ヘッジホッグ、すぐに出航だ」

艦のエンジンが唸りを上げる。
艦橋のモニターには、複雑に入り組んだステーション内部のレイアウトが映し出されている。

「キョウカ、今回はお前も行くぞ。猫相手なら大丈夫だろ?」

「いいの!?わたしもおしごと!」

キョウカは飛び跳ね、目はキラキラ輝いている。

「ま、しっかり頼むぜ。マリナ、ハイペリオンの出撃準備は?」

「ハイペリオン、いる?ステーション内の猫の捜索だし、いらないでしょ」

「……それもそうだな。しっかりと足使って探索するか」

俺たちが出発準備をしている間に、他勢力も動き出している。

帝国軍の影薄い精鋭部隊。
金に目のくらんだギルド内の別派閥や違法海賊団、狡猾な傭兵集団。
そして……謎の小型無人戦闘ドローンが蠢く。

「……さて、奴はどこに隠れているやら」

ヘッジホッグがゆっくりと目的地へと進んでいく。

「あの猫は単なる猫じゃない。電子ロックを解除し、ドローンを乗っ取り、果ては研究データにアクセスしているらしい」

「にゃんてこった!」

キョウカがにやりと笑った。

「猫じゃなくて、小型宇宙海賊ね、こりゃ」
マリナがそうつぶやく。



〈ケルベロス・スロット第07観測ステーション〉

「こいつ……悪さしやがって!」

帝国兵士の叫び声が響く。
追われる猫《M-22》は、素早く狭い通路を駆け抜け、何度も電子ロックをこじ開けて脱出経路を確保する。

「おい、こっちだ!」
違法海賊の一味が追い詰めようとするも、

「にゃーん!」

猫はまるで合図のように無人ドローンを起動。ドローンがレーザー照準を違法海賊に向けると、一瞬で追手は散り散りに。

「なんだあいつ!?」

「くそ、猫一匹にやられた!」



〈ケルベロス・スロット第07観測ステーション・接舷区画〉

「到着っと……っとと、ちょっと揺れた!」

マリナがバランスを崩しながら、ステーションの接続トンネルを渡る。

「揺れてねぇよ。酒くさい」

「気のせいじゃない? 出発前にちょっとだけしか飲んでないもん」

「“ちょっとだけ”が基準にならないんだよ、お前の場合」

ステーション内部は、観測設備がそのまま残されていた。
照明は点滅し、通路は薄暗く照らされ、しばらく使われていない感がある。そして、セキュリティシステムが作動している。

「セキュリティシステムが作動してる?」

『警備用AIが稼働中みたいです。おそらくM-22がデータラインに接触して、セキュリティプロトコルを引っかけたのでしょう』

「猫がセキュリティを刺激するなよ……」

「にゃーん!」

突如、天井裏の通気口から小さな影が飛び出す。

「いたっ!? あれだっ!」

キョウカが即座に飛び出し、一直線に猫を追って駆け出す。

「待てキョウカ、単独行動は――って、速ぇ!」

「にゃっにゃっにゃっ!」

猫は軽やかに跳ねながら、天井と壁を伝ってステーションの奥へ消えていく。
その後を追って、別方向からも数名の人影が飛び出した。

「帝国軍か……いや、装備が軽い。ギルドの別派閥だな」

「おおい、そこの猫ぉおおお! 賞金は俺のもんだーっ!」

「ダメだって!銃を出すな!猫に当たったらどうする気!?」

「これ極秘のはずだよな?ギルドはもうちょっとしっかりしろよ……」

どたばたと足音が交錯し、警報が鳴る。
階層ごとに異なるセキュリティ扉が、パカパカと開閉を始める。

「……おい、マリナ。今の、猫がやったよな?」

「どう見ても猫が制御盤に飛び乗ってたね。っていうか……あの動き、絶対わざとでしょ」

「マジで小型宇宙海賊じゃねえか」

「やっば、ちょっと面白くなってきたかも!」

マリナがテンション高く笑うと、ポケットからパック酒を取り出して口元に運んだ。

「おい飲むな! まだ任務中だろ!」

「えー、ほら、体あっためるだけ。ね? ね?」

「ステーションの室温、標準より高めだぞ……」

その時――

「畜生! ドローンが来たぞ!」

傭兵風の男たちが逃げ惑う。天井から出現した小型ドローンが、レーザーサイトを煌かせながら追撃している。

「にゃーん♪」

背後から、まるで「やってやった」みたいな顔の猫がひょこりと姿を見せ、また走り去っていった。

「猫がドローン使って襲撃って、どういう状況だよ……」

「もしかしてあの子、遊んでない?」

「遊びにドローンけしかけてくる猫とか、どうしろってんだ……」


――この依頼、長くなりそうだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成
ファンタジー
「異世界転生して天下を統一したら元の世界に戻してあげる」 大学生の明彦(あきひこ)は火事で死亡した後、転生の女神にそう言われて異世界転生する。 だが転生したのはなんと14歳の女の子。しかも筋力1&武器装備不可! 降り立った場所は国は三国が争う中心地の激戦区で、頼みの綱のスキルは『相手の情報を調べる本』という攻撃力が皆無のサーチスキルというありさま。 とにかく生き延びるため、知識と口先で超弱小国オムカ王国に取り入り安全を確保。 そして知力と魅力を駆使――知力の天才軍師『諸葛孔明』&魅力の救国の乙女『ジャンヌ・ダルク』となり元の世界に戻るために、兵を率いたり謀略調略なんでもして大陸制覇を目指す!! ……のはずが、女の子同士でいちゃいちゃしたり、襲われたり、恥ずかしい目にあわされたり、脱がされたり、揉まれたり、コスプレしたり、男性相手にときめいたり、元カノ(?)とすれ違ったりと全然関係ないことを色々やってたり。 お風呂回か水着回はなぜか1章に1話以上存在したりします。もちろんシリアスな場面もそれなりに。 毎日更新予定。 ※過去に別サイトで展開していたものの加筆修正版となります。

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

付きまとう聖女様は、貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも、モテたい願望が強すぎて、つい……〜

咲月ねむと
ファンタジー
この乙女ゲーの世界に転生してからというもの毎日教会に通い詰めている。アランという貧乏貴族の三男に生まれた俺は、何を目指し、何を糧にして生きていけばいいのか分からない。 そんな人生のアドバイスをもらうため教会に通っているのだが……。 「アランくん。今日も来てくれたのね」 そう優しく語り掛けてくれるのは、頼れる聖女リリシア様だ。人々の悩みを静かに聞き入れ、的確なアドバイスをくれる美人聖女様だと人気だ。 そんな彼女だが、なぜか俺が相談するといつも様子が変になる。アドバイスはくれるのだがそのアドバイス自体が問題でどうも自己主張が強すぎるのだ。 「お母様のプレゼントは何を買えばいい?」 と相談すれば、 「ネックレスをプレゼントするのはどう? でもね私は結婚指輪が欲しいの」などという発言が飛び出すのだ。意味が分からない。 そして俺もようやく一人暮らしを始める歳になった。王都にある学園に通い始めたのだが、教会本部にそれはもう美人な聖女が赴任してきたとか。 興味本位で俺は教会本部に人生相談をお願いした。担当になった人物というのが、またもやリリシアさんで…………。 ようやく俺は気づいたんだ。 リリシアさんに付きまとわれていること、この頻繁に相談する関係が実は異常だったということに。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

処理中です...