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第3章 崩壊する理性の証明⑤
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第五節 支配の証明と残された熱
新城が絶頂した瞬間、羽生も奥に熱を吐き出した。
奥に満ちる羽生の欲望の証。
熱くて、生々しくて、逃げ場のない支配感。
それは、自分はもう、羽生なしでは満たされない身体になってしまったという絶望的な悟りでもあった。
「……ほら、中、いっぱい。あんたの穴の中は……僕ので、どろどろ」
新城は言葉も出せず、震える手で羽生の背中にしがみついた。
自分の喘ぎと、過去の声と、羽生の低い囁きが、頭の奥で混ざり合っていた。
羽生の動きが緩まり、ゆっくりと腰を落ち着かせる。だが、身体の奥ではまだ、彼の熱と圧がぬるりと残っていた。新城の内側に張りついたままの感触が、じわじわと熱を伝える。
羽生は微かに唇を歪めて、優しくも執着深く囁く。
「ふぅ、……離したくないんだ……あんたの中、僕の形でしか気持ちよくなれないようにしといたから。ね、もうッ、“そういう身体”でしょ?……ふ」
羽生はそのまま抜かず、根本まで押し込んだまま、肉壁にねっとりと押し当てる。
中に吐き出した熱い精液が逆流しないよう、奥から塞き止めるようにじっくりと圧をかけていく。
その感触に新城は、息を詰めて目を伏せた。羞恥が全身を駆け巡る。
薄暗いソファの上で、身体はまだ熱を帯び、汗と濡れたまま。羽生の手が新城の腹を撫でるたびに、堪えきれずに震えが走る。
「……ッ、やめ……っ……、やめて……もう、何を……俺は……っ、こんな、……っ」
震えた声に、羽生はにやにやと笑みいながらも、鋭く言い放つ。
「ふッ……そうやって震えてる顔、最高だよ。はぁ、もっと見せてほしい。泣きそうな顔も、あんたの恥ずかしい声も全部……」
新城は必死に目を逸らし、俯く。だが羽生の視線は深く突き刺さり、逃げ場はなかった。
「あんた、声まで僕に絡め取られてる。はぁ、録音と今がもう境目なく溶けて、頭の中全部が僕に支配されてる……ふふ」
ささやく声が耳元に何度も届き、録音された自分の喘ぎ声がイヤホンから繰り返される。
《……っ、羽生……もう……逃げられねぇ……っ》
新城の身体がイヤホンの音と羽生の手の動きに連動し、小刻みに震えた。録音と現実が完全にシンクロし、彼の理性は崩れ落ちていく。
「はぁ……こんなにも汚れて、僕の跡でぐちゃぐちゃのあんたを、くっ、誰にも見せたくない。僕だけの秘密だよ」
その言葉に涙が零れそうになりながらも、新城は反射的に羽生の腕にしがみついた。
羽生の唇が優しく、だが確実に耳たぶを舐め上げる。そこから喉元へ舌が滑り、熱が体中に再び走る。
「……もう終わらないよ。くっ、これからもずっと、僕が支配してあげる。あんたの全てを、僕だけが知ってる……ふ」
新城の身体は震え、熱くて逃げられない感覚に身を委ねていた。
「……おまえ……ほんとに……最低だな……っ、くそっ……俺は、……痛くて、苦しくて……何も、何も考えられねぇのに……っ……」
震える声に、羽生は微笑みながら、そっと額を重ねた。
「はぁ…………最低って言われてもいいよ。くっ、あんたのその言葉ごと、僕のだ。ふ、これで、もう逃げられないよ」
すべてが、赤い月の光に照らされていた。
窓の外、揺れる雲の合間から漏れるその色は、まるで証人のように、彼らの境界を黙って見下ろしていた。そして、その光が消えても、二人の間には、もはや越えられないはずの線はどこにもなかった。
あとがき
読んでいただきありがとうございます。
他にもこの二人が主人公のお話を投稿しているのでよかったら読んでみてくださいね。
新城が絶頂した瞬間、羽生も奥に熱を吐き出した。
奥に満ちる羽生の欲望の証。
熱くて、生々しくて、逃げ場のない支配感。
それは、自分はもう、羽生なしでは満たされない身体になってしまったという絶望的な悟りでもあった。
「……ほら、中、いっぱい。あんたの穴の中は……僕ので、どろどろ」
新城は言葉も出せず、震える手で羽生の背中にしがみついた。
自分の喘ぎと、過去の声と、羽生の低い囁きが、頭の奥で混ざり合っていた。
羽生の動きが緩まり、ゆっくりと腰を落ち着かせる。だが、身体の奥ではまだ、彼の熱と圧がぬるりと残っていた。新城の内側に張りついたままの感触が、じわじわと熱を伝える。
羽生は微かに唇を歪めて、優しくも執着深く囁く。
「ふぅ、……離したくないんだ……あんたの中、僕の形でしか気持ちよくなれないようにしといたから。ね、もうッ、“そういう身体”でしょ?……ふ」
羽生はそのまま抜かず、根本まで押し込んだまま、肉壁にねっとりと押し当てる。
中に吐き出した熱い精液が逆流しないよう、奥から塞き止めるようにじっくりと圧をかけていく。
その感触に新城は、息を詰めて目を伏せた。羞恥が全身を駆け巡る。
薄暗いソファの上で、身体はまだ熱を帯び、汗と濡れたまま。羽生の手が新城の腹を撫でるたびに、堪えきれずに震えが走る。
「……ッ、やめ……っ……、やめて……もう、何を……俺は……っ、こんな、……っ」
震えた声に、羽生はにやにやと笑みいながらも、鋭く言い放つ。
「ふッ……そうやって震えてる顔、最高だよ。はぁ、もっと見せてほしい。泣きそうな顔も、あんたの恥ずかしい声も全部……」
新城は必死に目を逸らし、俯く。だが羽生の視線は深く突き刺さり、逃げ場はなかった。
「あんた、声まで僕に絡め取られてる。はぁ、録音と今がもう境目なく溶けて、頭の中全部が僕に支配されてる……ふふ」
ささやく声が耳元に何度も届き、録音された自分の喘ぎ声がイヤホンから繰り返される。
《……っ、羽生……もう……逃げられねぇ……っ》
新城の身体がイヤホンの音と羽生の手の動きに連動し、小刻みに震えた。録音と現実が完全にシンクロし、彼の理性は崩れ落ちていく。
「はぁ……こんなにも汚れて、僕の跡でぐちゃぐちゃのあんたを、くっ、誰にも見せたくない。僕だけの秘密だよ」
その言葉に涙が零れそうになりながらも、新城は反射的に羽生の腕にしがみついた。
羽生の唇が優しく、だが確実に耳たぶを舐め上げる。そこから喉元へ舌が滑り、熱が体中に再び走る。
「……もう終わらないよ。くっ、これからもずっと、僕が支配してあげる。あんたの全てを、僕だけが知ってる……ふ」
新城の身体は震え、熱くて逃げられない感覚に身を委ねていた。
「……おまえ……ほんとに……最低だな……っ、くそっ……俺は、……痛くて、苦しくて……何も、何も考えられねぇのに……っ……」
震える声に、羽生は微笑みながら、そっと額を重ねた。
「はぁ…………最低って言われてもいいよ。くっ、あんたのその言葉ごと、僕のだ。ふ、これで、もう逃げられないよ」
すべてが、赤い月の光に照らされていた。
窓の外、揺れる雲の合間から漏れるその色は、まるで証人のように、彼らの境界を黙って見下ろしていた。そして、その光が消えても、二人の間には、もはや越えられないはずの線はどこにもなかった。
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