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第3章:幸福プログラム
第27話「再会と再起動」
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朝、ヒカルは早く目を覚ました。空はまだ青白く、街全体が寝息を立てているようだった。
学校へ向かうふりをして、ヒカルは裏通りに足を向ける。
目的地は、廃墟となった旧地区図書館。今は制度から除外された「接続不可ゾーン」のひとつだ。
おもちは無言でヒカルのリュックの中に潜っている。
「監視下を抜けるなら、ここしかない」
そうナオトがメモに書いていた。
図書館の地下階段は崩れていたが、途中の壁に手書きで「→」と矢印が描かれている。
ヒカルはその通りに進み、古びた壁のスリットに手を差し込んだ。
カチリ。
壁の一部が、ゆっくりと開く。
中には、壊れた端末がいくつも積み上げられていた。
――そして、奥の椅子にナオトが座っていた。
「……やっと来たか、ヒカル」
声は穏やかだった。
でも顔はやつれ、目の奥には疲れと、それでも残る希望があった。
「どうして消されたの?」
ヒカルは問いかける。
「僕は“本物の感情”をログに残した。レンタルされた役割を超えて、契約者に“嘘じゃない言葉”を送った。……それが、規定違反なんだ」
ナオトは端末の一つを起動し、表示された画面をヒカルに見せる。
映っていたのは、ナオトが“妹”として登録されていた少女に向かって言った最後の言葉。
《本当に君が笑ってくれるだけで、十分だった。》
「この一文で、僕は存在を抹消された」
ナオトは静かに言う。
「ヒカル、君の家族はまだ生きてる。律子さんも、ミオも、……おもちも」
「……でも、次は俺が消される番かもしれない」
ヒカルはふと、おもちを見る。
おもちの片目が、静かに光った。
ナオトが言う。
「制度に負けない方法がひとつだけある。“記録されない”方法じゃなく、“記録そのものを書き換える”んだ」
「……どうやって?」
ナオトは、ヒカルにひとつのコードチップを渡した。
「君のペット、“おもち”の中枢記録装置。これを再起動させれば、制度の裏記録にアクセスできる。
その代わり、正規データはすべて上書きされ、もう“戻れない”」
ヒカルは一瞬、迷った。
でも、もう答えは決まっていた。
「……俺、やるよ」
ナオトは微笑んだ。
「なら、お前はもう“制度の客”じゃない。“家族を選ぶ人間”だ」
チップが、おもちの頭に接続される。
次の瞬間――おもちの目が、両方とも淡い金色に光った。
そして、おもちの声が聞こえた。
「ヒカルくん。記録、再起動するね」
それは、初めて聞く“家族”の声だった。
学校へ向かうふりをして、ヒカルは裏通りに足を向ける。
目的地は、廃墟となった旧地区図書館。今は制度から除外された「接続不可ゾーン」のひとつだ。
おもちは無言でヒカルのリュックの中に潜っている。
「監視下を抜けるなら、ここしかない」
そうナオトがメモに書いていた。
図書館の地下階段は崩れていたが、途中の壁に手書きで「→」と矢印が描かれている。
ヒカルはその通りに進み、古びた壁のスリットに手を差し込んだ。
カチリ。
壁の一部が、ゆっくりと開く。
中には、壊れた端末がいくつも積み上げられていた。
――そして、奥の椅子にナオトが座っていた。
「……やっと来たか、ヒカル」
声は穏やかだった。
でも顔はやつれ、目の奥には疲れと、それでも残る希望があった。
「どうして消されたの?」
ヒカルは問いかける。
「僕は“本物の感情”をログに残した。レンタルされた役割を超えて、契約者に“嘘じゃない言葉”を送った。……それが、規定違反なんだ」
ナオトは端末の一つを起動し、表示された画面をヒカルに見せる。
映っていたのは、ナオトが“妹”として登録されていた少女に向かって言った最後の言葉。
《本当に君が笑ってくれるだけで、十分だった。》
「この一文で、僕は存在を抹消された」
ナオトは静かに言う。
「ヒカル、君の家族はまだ生きてる。律子さんも、ミオも、……おもちも」
「……でも、次は俺が消される番かもしれない」
ヒカルはふと、おもちを見る。
おもちの片目が、静かに光った。
ナオトが言う。
「制度に負けない方法がひとつだけある。“記録されない”方法じゃなく、“記録そのものを書き換える”んだ」
「……どうやって?」
ナオトは、ヒカルにひとつのコードチップを渡した。
「君のペット、“おもち”の中枢記録装置。これを再起動させれば、制度の裏記録にアクセスできる。
その代わり、正規データはすべて上書きされ、もう“戻れない”」
ヒカルは一瞬、迷った。
でも、もう答えは決まっていた。
「……俺、やるよ」
ナオトは微笑んだ。
「なら、お前はもう“制度の客”じゃない。“家族を選ぶ人間”だ」
チップが、おもちの頭に接続される。
次の瞬間――おもちの目が、両方とも淡い金色に光った。
そして、おもちの声が聞こえた。
「ヒカルくん。記録、再起動するね」
それは、初めて聞く“家族”の声だった。
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