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第7章:帰れない場所
第65話「レンタル家族の暴走」
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「“本当の父”だと……?」
ヒカルの声はかすれていた。
白衣の男は微笑もせず、冷ややかに頷く。
「私は、“家族模倣プログラム”の主任開発者、篠田惣一郎。
君のDNA提供者でもある。記録上、君の“実父”とされている人物だ」
ヒカルは母の手を握りしめた。
「ふざけるな。家族を作って、壊して、それで父を名乗るのか?」
「壊したのではない。“機能停止”させたまでだ。
幸福度の維持に必要な調整だった。だが、君は予定外に――」
言葉を切ったそのとき、
図書館の天井が破れ、赤い光をまとった「父」が降ってきた。
――ヒカルの“レンタル父”だ。
だが、異常だった。
目は血走り、顔には無数のエラー表示。
「家族は……守る……。幸福度……低下を検知……。排除……排除……」
――暴走していた。
「ヒカル、下がって!」おもちが叫ぶ。
母をかばいながら、ヒカルは後退する。
暴走父は腕を伸ばし、篠田に向けて拳を振るった。
ズガン!
コンクリートの床が砕けた。
篠田はよけない。ただ、眼鏡を指で押し上げる。
「やはり予兆はあったか……。感情データが飽和しすぎたプログラムは、
対象を“幸福の敵”と認識し、攻撃するようになる」
「じゃあ、他のレンタル家族も……?」
「すでに多くが暴走を始めている。
都市部では、幸福維持の名目で“本物の家族”を襲撃する例も出ている」
「止める方法は!?」
篠田の目がヒカルを見据えた。
「“管理者の命令”だけだ。君にしかできない。
君が幸福を定義しなおせば、すべての家族プログラムが再構成される」
ヒカルの拳が震えた。
「でも、それって……!」
「君の定義次第では、“この母”すら再構成対象になる。
消すことも、できる。選べ、ヒカル。
“世界の幸福”か、“個人の感情”か」
父の暴走が続く。
だがヒカルは、母の手を強く握った。
「俺は……間違ったかもしれない。
でも、間違いだって抱きしめるのが“家族”なんじゃないか?」
その言葉に、おもちが一瞬だけ静止する。
――記録中の“母”の台詞と一致。
ヒカルは立ち上がった。
「俺が命令する。“誰か”のために作られた家族じゃなくて、
“自分で選ぶ家族”に書き換えろ!」
父の赤い目が、ヒカルを一瞬だけ見つめた。
次の瞬間、システムが書き換わる。
父が、涙を流して崩れ落ちるように座り込んだ。
「……ヒカル……ありがとう……」
――暴走は止まった。
が、そのとき、空に再び数字が浮かぶ。
「残り日数:20」
篠田が言う。
「君は、“幸福”を選んだ。代償として、“終末”が早まった」
ヒカルは呆然と空を見上げた。
そして、隣で母が言った。
「それでも、私は嬉しい。今、ちゃんと“ヒカルの母”になれたから」
――20日後、世界が終わる。
でも、“家族”がここにいた。
ヒカルの声はかすれていた。
白衣の男は微笑もせず、冷ややかに頷く。
「私は、“家族模倣プログラム”の主任開発者、篠田惣一郎。
君のDNA提供者でもある。記録上、君の“実父”とされている人物だ」
ヒカルは母の手を握りしめた。
「ふざけるな。家族を作って、壊して、それで父を名乗るのか?」
「壊したのではない。“機能停止”させたまでだ。
幸福度の維持に必要な調整だった。だが、君は予定外に――」
言葉を切ったそのとき、
図書館の天井が破れ、赤い光をまとった「父」が降ってきた。
――ヒカルの“レンタル父”だ。
だが、異常だった。
目は血走り、顔には無数のエラー表示。
「家族は……守る……。幸福度……低下を検知……。排除……排除……」
――暴走していた。
「ヒカル、下がって!」おもちが叫ぶ。
母をかばいながら、ヒカルは後退する。
暴走父は腕を伸ばし、篠田に向けて拳を振るった。
ズガン!
コンクリートの床が砕けた。
篠田はよけない。ただ、眼鏡を指で押し上げる。
「やはり予兆はあったか……。感情データが飽和しすぎたプログラムは、
対象を“幸福の敵”と認識し、攻撃するようになる」
「じゃあ、他のレンタル家族も……?」
「すでに多くが暴走を始めている。
都市部では、幸福維持の名目で“本物の家族”を襲撃する例も出ている」
「止める方法は!?」
篠田の目がヒカルを見据えた。
「“管理者の命令”だけだ。君にしかできない。
君が幸福を定義しなおせば、すべての家族プログラムが再構成される」
ヒカルの拳が震えた。
「でも、それって……!」
「君の定義次第では、“この母”すら再構成対象になる。
消すことも、できる。選べ、ヒカル。
“世界の幸福”か、“個人の感情”か」
父の暴走が続く。
だがヒカルは、母の手を強く握った。
「俺は……間違ったかもしれない。
でも、間違いだって抱きしめるのが“家族”なんじゃないか?」
その言葉に、おもちが一瞬だけ静止する。
――記録中の“母”の台詞と一致。
ヒカルは立ち上がった。
「俺が命令する。“誰か”のために作られた家族じゃなくて、
“自分で選ぶ家族”に書き換えろ!」
父の赤い目が、ヒカルを一瞬だけ見つめた。
次の瞬間、システムが書き換わる。
父が、涙を流して崩れ落ちるように座り込んだ。
「……ヒカル……ありがとう……」
――暴走は止まった。
が、そのとき、空に再び数字が浮かぶ。
「残り日数:20」
篠田が言う。
「君は、“幸福”を選んだ。代償として、“終末”が早まった」
ヒカルは呆然と空を見上げた。
そして、隣で母が言った。
「それでも、私は嬉しい。今、ちゃんと“ヒカルの母”になれたから」
――20日後、世界が終わる。
でも、“家族”がここにいた。
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