痣。

藤野 優

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二人のあいつ、そして距離の話。

2−1

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これまでのあらすじ。

まさかのバイト先の同僚が小学校からの同級生だった。



どーすればいいでしょうか、、、、?
だから何?って言われれば、いやまぁただの新発見なだけなんだどとしか答えられない。

本当にそのとおりで、特に関係が変わったとかはない。
強いて言うなら、痣についてバレてしまったことで、気兼ねなく昼飯を食べに行けるようになったことだ。

思っていたよりもこの距離感は嫌いじゃない。

ふとした時に、これは痣という弱みをあいつが握っているのではないかと思うこともあるがそんな物を盾に優位に生きようとする人間ではないわけだし
そう思う分あいつに失礼だと最近は思うようになった。







ある日の昼のことだった。


「ご飯行きましょ~」といつものように話しかけてきた。

仕事中なんだけどなぁ、、。
せめてメッセージ入れるとかすればいいのに。

こう思うのもいつものことだ。


仕事を切りの良いところでやめて
トイレでテープファンデが剥がれてないかを確認して少し手直しする。
今までは仕事するために来ていたからテープファンデも時間があれば、、ぐらいだった

けれど、この頃はきちんとほぼ毎日つけている。なので消費が激しい。
新しく買わないとなぁといつの間にか呟いていた。

ピコンと携帯が鳴った。内容は「早くご飯に行こう」という催促メールだった。
携帯にはいはいと返事をして急いでマスクを付けて外に出た。

「結構待ったよ~」とニコニコしながら言ってきた。
おかしい。催促メールが来てから5分以内にここに着いたはずなのに。
「ごめんって。トイレに行ってたんだよ。」
「そこは『全然待ってないよって言うところでしょ』って言ってよ。」
わけのわからないことを言っている。
はいはい、善良するよ。と適当にあしらって足を動かす。

いつもなら近くのファミレスに行くのだが
今日はそこまでお腹が空いているわけでもなかったので、少し遠くのカフェで昼食を済ませることにした。

カフェに着くと結構な人数がいた。
どうやら、少し前に某インフルエンサーがこの店を紹介して人気が出たらしい。

平日に来ればもう少しマシだったかもしれないが、残念なことに休日だった。
ギラギラした女子高校生がうじゃうじゃいる。
場違いだったかもしれないなぁと列に並びながら思っていると
「あのぉ、お兄さん今暇ですか?良ければ一緒にご飯食べません?」
とメイクと香水の匂いがキツい女子高校生(恐らく)に喋りかけられた。

もちろん俺じゃない。白鳥に、だ。畜生。俺はモブ。そして壁。悪かったな。


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