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ちかく、とおく、ふたりで、いっしょに
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しおりを挟む「あっ、あぁ……っ!」
大きくて優しい手が、紗江を蹂躙する。遠慮がちだった行為が、明らかな熱を持ったのは紗江の決意がきっかけだった。
レモンイエローのブラジャーはすでに機能を失っており、肩紐だけが頼りなさげに紗江の上腕に下がっているだけだった。
紗江の柔らかな膨らみを、彰人の大きな手が包み込み、ゆっくりと形を変化させられる。膨らんだ頂を時折弾かれ、擦られる。その度に紗江は子犬のような小さな鳴き声をあげる。
「ひ、ぅっ!」
痺れるような胸の頂への悪戯に、少しずつ身体が慣れてきた所だった。ちる、と小さな音を立て彰人が紗江の頂に唇を這わせた。その刺激で甲高い喘ぎ声を出す紗江に、彰人は気を良くし、ころころと乳首の上で舌を転がし始めた。
「かわいい」
「あっ、や……っ!」
紗江が声をあげるたびに、彰人の攻めは激しさを増す。彰人の手の熱を意識してしまうと、触れられた部分だけではなく、全身にぴりぴりと快楽が走る。そして、紗江のお腹の奥底が潤み、蜜となって中心部から溢れ出てくる。久しぶりの行為に、どうなるかと悩んでいた紗江だったが、それは杞憂に終わりそうだった。
「あぁ……っん」
「我慢しないで。聞かせて欲しい」
彰人から与えられる優しい刺激と快楽に、紗江はすっかり溺れてしまっていた。ゆるく、包み込むように舌で愛撫された胸の頂は、ぴんと立ち上がり、しっかりと存在を主張している。刺激に合わせて紗江の口から発する声は思っていた以上に大きなものとなっていた。喘ぎ声が紗江の耳に響くたびに、紗江は羞恥で居た堪れなくなる。どうにか抑えようと口元に運ばれた手は、彰人にやんわりと、けれども力強く抑えられた。
「ひゃぁっ……!」
「聞かせろって」
今度は先ほどと違い、「お願い」ではなくほぼ「命令」だった。じゅる、と胸の頂を強く吸い上げられて、紗江の堪え切れない声が寝室にこだまする。その声に満足したのか、彰人は口角をゆるりとあげた。それはいままで見せていたお日様のような笑顔ではなく、情欲に濡れた捕食者の笑みだった。
「っ……あ、ん」
胸の頂への愛撫に翻弄されていると、彰人の大きな手が再度ニーハイソックスの入り口に触れる。くるりと、ゴム口に合わせて一周撫でられた後、少しずつ上にその手が動く。その手の行き先はショーツに隠された秘部。遠慮の無くなった手が、ゆっくりとクロッチ部分にかかれば、誰が見ても明らかなほどそこは濡れてそぼっていた。
「……紗江」
「あ、ぁぁ……」
湿っている部分を円を描くようになぞりながら紗江に刺激を与えつつも、彰人は胸の頂への攻めを緩めることはなかった。羞恥と快楽をいっぺんに与えられると、言葉にならない声しか出せない事を紗江は初めて知った。そんな事を理性のほんの少し残る頭の片隅で考えていたら、ショーツはいつの間にか足から抜き取られ、彰人の指が直に潤んだ蜜壺に触れていた。
「あ、ぁっ!」
くちゅり、と小さな水音が聞こえる。しばらくは紗江の様子を見て、触れるに留めていた。しかし、一際高い声が出るところを見つけると、彰人はそこを重点的に攻め始めた。小さな蕾を刺激され、紗江の声は一層大きくなる。蕾を中心とした快楽が全身を巡る。その快楽に飲み込まれそうになった紗江は少しの恐怖を覚えた。
「あきと、さ……」
「なに、どうした?」
愛撫を続ける彰人も余裕がないのか、声が少し掠れていた。紗江の知る中で、これほどの快楽と羞恥を今まで味わった事がなかった。
紗江にとって過去のセックスは、『逃げ道』みたいなものだった。そのような行為しか知らないせいか、愛に溢れたこの快楽は、紗江にとって狂喜にもなり得た。
「離れちゃ、や……」
「……ん?」
「ぎゅってして……」
面倒臭い女だと思われた。口にした後で紗江は後悔した。目が見開かれて、大きな手の動きが止まれば、そう思わずにはいられなかった。口は災いのもとと、身をもって痛感した。しばらく固まっていた彰人だったが、紗江の言葉を理解したのち、恐る恐る紗江の頬に手を伸ばす。
助けてほしい。彰人の存在を感じたい。瞳に涙を浮かべて紗江は再度強請った。
「……っ、くっそ!」
白い歯をぎりりと音を立てるほど噛み締め、彰人は紗江を思い切り抱き寄せた。肺の中に入っていた空気が全て抜けるのではないかというほどの強い抱擁だった。
「……卑怯だ。紗江は本当に無防備すぎる……」
頭を彰人の胸に押し付け、大きなため息と一緒に小さな声で彰人は呟いた。お互いの肌がぴったりと密着して、鼓動の音を直に感じることができる。その事に安心した紗江は、彰人の背中にゆっくりと腕を回した。
「……やめる?」
とくとく、と少し早い彰人の鼓動を全身で感じていた紗江は、彰人の言葉に時が止まったように動けなくなる。
「……イヤになっちゃった?」
「っ!違う!」
「……じゃぁ、もう少しくっつきたい」
その意味わかってる?と彰人の視線が紗江に問いかけていた。
「同じ気持ちがいいのだったら、くっついてた方が、いい……」
その一言で、目の前の捕食者が覚醒する。
そこからの流れは、紗江の記憶にほとんど残らないものだった。
「あっあ、あっ…あぁ……っ!」
「っ、く、そっ!煽んな!」
きしきし、とシングルベッドが音を立てて揺れる。脱ぐ事を許されなくなったニーハイソックスを纏ったままの二本の足が宙に放り出される。そして、その間に大きな身体が紗江にのしかかり、潤んだ蜜壺に彰人の楔がしっかりと打ち込まれていた。二人の肌は紗江の希望通りぴったりと密着されており、少しでも離れようならばどちらからともなく腕が伸び、隙間を埋める。
久方ぶりの情事に紗江は出来るかどうか悩んでいたが、蜜の溢れる蜜壺は、拒むことなどなく寧ろ喜んで彰人を迎え入れた。
ゆるく、早く、ゆるく、激しく。緩急つけて彰人は紗江を責めた。こつこつと膣の奥を責め、紗江が苦しそうにすれば彰人はそれを緩め、変わりとばかりに蜜壺の入り口を楔で優しく撫で上げる。久しぶりだといった紗江を労わるりながらの行為に、紗江は身も心も溺れ、満たされていった。
「ん、んん、あぁっ!あきとさ、ん!」
「っ、紗江……っ!」
喘ぎ声の他に、時折紗江の口から名を呼ばれる度に彰人は返事を返すように紗江の名を呼んだ。その声色は切羽詰まっているようにと思えるものだった。自分の何かが彰人を煽っているようだが、紗江にはそれが何かは分からなかった。ベッドの軋む音と一層高い嬌声が先程よりも激しくなったところで、互いの絶頂が近くなった事を教えてくれる。
「っ、はっ……!」
「あき、とさ……い、っっぁあぁ!!」
最後の最後までしっかりと互いに身を寄せ、紗江は先に激しい絶頂迎える。少し遅れて、隔たり越しに、紗江の締め付けを感じつつ彰人はぬるい白濁を放った。
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