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第一章 田中悠斗
街に着いた①
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ベルフォードの城門をくぐった瞬間――
目の前に広がった光景に、僕――田中悠斗――は思わず息をのんだ。
仲間たち――高柳葵、サーラ、ウミャウ、リネット、エリル、
そしてアストラヴィス王国騎士団ローザリオ部隊の団長、セレナ・アリシア・ヴァルディエール。
彼女と共に、ようやく交易都市ベルフォードに辿り着いたんだ。
あの地獄みたいなコカトリス戦からようやく一息つける。
身体はボロボロなのに、この街の熱気が不思議と疲れを吹き飛ばしてくれる。
石畳の通りは広く、建物は二階建てや三階建ての石造りと木造が混ざり合い、通りの両脇では色とりどりの看板が軒を連ねていた。赤、青、金――風が吹くたびに看板が軽やかに揺れて、まるで歓迎してくれているみたいだ。
少し進むと、目の前が開ける。
――中央市場。
ここがベルフォードの心臓部らしい。
石畳の広場を中心に、路地がクモの巣のように伸び、露店や屋台がひしめき合っていた。
空気はまさに混沌の香り。
スパイスの刺激、焼きたてパンの香ばしさ、果実の甘い匂い――
その全部の奥に、革や金属の油のにおいが重なっている。
まさに“冒険者の街”って感じだ。
商人たちの「買ってけー!」という声が飛び交い、
通りを埋め尽くすように人、人、人。
冒険者、旅人、行商人、吟遊詩人……誰もが自分の物語を背負って歩いている。
荷馬車がガタガタと石畳を震わせ、
その横では小型の魔導ゴーレムが“ドスン、ドスン”と音を立てながら荷を運んでいた。
どこを見ても動きがあって、音があって、匂いがある。
さすが異世界の市場、活気あるな!
*
ふと目を引いたのは、赤や紫に輝く果実が山のように積まれた露店だった。
“月光果実”――光を反射して宝石みたいにキラキラしている。
ドワーフの店主が太い腕を組みながら、威勢よく声を張り上げた。
「へっへっへ! これを食えば魔力がちょいと上がるぜ! 一つ銀貨二枚だ!」
魔力上昇……ちょっと惹かれる。疲れも残ってるし、買っておこうかな。
その隣では、エルフの女性が透明な瓶を掲げて客を呼び込んでいた。
瓶の中では、淡い光の粒がふわふわと漂っている。
「星露(せいろ)の果実酒はいかが~? 一杯で疲れも恋も吹っ飛ぶよ~!」
声も見た目も、いかにも“人たらし”って感じのエルフのお姉さん。
……“恋も吹っ飛ぶ”って、どういう効能なんだろう。
「ミャウ! キラキラ! 飲みたいミャウ!」
ウミャウがぴょんと跳ねながら指を差す。目が完全に輝いている。
「ダメ。子どもは水でも飲んでなさい。」
葵が即答。ぺしっと軽くウミャウの頭を叩いた。
「ミャウ~! 差別だミャウ!」
しっぽを逆立てて抗議するウミャウ。
周りの子どもたちがそのやり取りに笑い声を上げる。
市場の喧騒の中に、小さな笑いの輪ができた。
……やっぱりウミャウがいると空気が柔らかくなる。
戦い続きで張りつめていた心が、少しずつ溶けていく気がした。
*
路地に入ると、鍛冶屋の露店で魔導剣や防具がズラリとあった。炎の魔法で熱された金属がカンカン叩かれて、火花が散ってる。
途中の露店でサーラが興味深そうに短剣を手に取ると、店主が「そこの獣人小姐、試し切りはダメだぞ!」って慌てて叫ぶ。サーラの「チッ」って舌打ちが聞こえる。
リネットは花飾りの屋台に目を奪われて、「わ、綺麗……」って青い花の髪飾りを手に取ってる。その控えめな笑顔、なんか癒されるな。
エリルは「ギルドの経費で買えないかな……」って呟きながら、書類袋からコンドリルの羽ペンでメモってる。相変わらず仕事熱心だな、エリル。
目の前に広がった光景に、僕――田中悠斗――は思わず息をのんだ。
仲間たち――高柳葵、サーラ、ウミャウ、リネット、エリル、
そしてアストラヴィス王国騎士団ローザリオ部隊の団長、セレナ・アリシア・ヴァルディエール。
彼女と共に、ようやく交易都市ベルフォードに辿り着いたんだ。
あの地獄みたいなコカトリス戦からようやく一息つける。
身体はボロボロなのに、この街の熱気が不思議と疲れを吹き飛ばしてくれる。
石畳の通りは広く、建物は二階建てや三階建ての石造りと木造が混ざり合い、通りの両脇では色とりどりの看板が軒を連ねていた。赤、青、金――風が吹くたびに看板が軽やかに揺れて、まるで歓迎してくれているみたいだ。
少し進むと、目の前が開ける。
――中央市場。
ここがベルフォードの心臓部らしい。
石畳の広場を中心に、路地がクモの巣のように伸び、露店や屋台がひしめき合っていた。
空気はまさに混沌の香り。
スパイスの刺激、焼きたてパンの香ばしさ、果実の甘い匂い――
その全部の奥に、革や金属の油のにおいが重なっている。
まさに“冒険者の街”って感じだ。
商人たちの「買ってけー!」という声が飛び交い、
通りを埋め尽くすように人、人、人。
冒険者、旅人、行商人、吟遊詩人……誰もが自分の物語を背負って歩いている。
荷馬車がガタガタと石畳を震わせ、
その横では小型の魔導ゴーレムが“ドスン、ドスン”と音を立てながら荷を運んでいた。
どこを見ても動きがあって、音があって、匂いがある。
さすが異世界の市場、活気あるな!
*
ふと目を引いたのは、赤や紫に輝く果実が山のように積まれた露店だった。
“月光果実”――光を反射して宝石みたいにキラキラしている。
ドワーフの店主が太い腕を組みながら、威勢よく声を張り上げた。
「へっへっへ! これを食えば魔力がちょいと上がるぜ! 一つ銀貨二枚だ!」
魔力上昇……ちょっと惹かれる。疲れも残ってるし、買っておこうかな。
その隣では、エルフの女性が透明な瓶を掲げて客を呼び込んでいた。
瓶の中では、淡い光の粒がふわふわと漂っている。
「星露(せいろ)の果実酒はいかが~? 一杯で疲れも恋も吹っ飛ぶよ~!」
声も見た目も、いかにも“人たらし”って感じのエルフのお姉さん。
……“恋も吹っ飛ぶ”って、どういう効能なんだろう。
「ミャウ! キラキラ! 飲みたいミャウ!」
ウミャウがぴょんと跳ねながら指を差す。目が完全に輝いている。
「ダメ。子どもは水でも飲んでなさい。」
葵が即答。ぺしっと軽くウミャウの頭を叩いた。
「ミャウ~! 差別だミャウ!」
しっぽを逆立てて抗議するウミャウ。
周りの子どもたちがそのやり取りに笑い声を上げる。
市場の喧騒の中に、小さな笑いの輪ができた。
……やっぱりウミャウがいると空気が柔らかくなる。
戦い続きで張りつめていた心が、少しずつ溶けていく気がした。
*
路地に入ると、鍛冶屋の露店で魔導剣や防具がズラリとあった。炎の魔法で熱された金属がカンカン叩かれて、火花が散ってる。
途中の露店でサーラが興味深そうに短剣を手に取ると、店主が「そこの獣人小姐、試し切りはダメだぞ!」って慌てて叫ぶ。サーラの「チッ」って舌打ちが聞こえる。
リネットは花飾りの屋台に目を奪われて、「わ、綺麗……」って青い花の髪飾りを手に取ってる。その控えめな笑顔、なんか癒されるな。
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