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13、演出家
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池崎さんに対する世間一般のイメージと言えば紅茶のCMに出ていた人というイメージとかBSの美術教養番組のプレゼンターをしていたことからくる物静かなイメージだろうか。そんなイメージと演出をしている時は180度印象が異なる。常時落雷という印象が強い。なにかというと罵声が飛ぶ。その怒鳴り声の理由も予測不能なのである。俺はよく知っている。道具の配置に異様にこだわる。もちろん配置には鋭敏な感覚が作用しているのだがスタッフにあまり当たらないでもらいたいのだ。これは後世に伝えるため記録に残しておきたかったが精神的に耐えられないかもしれないのでやめた。イギリス軍の役者と詩人役の役者の案でイギリス軍の兵士と詩人は長引く攻城戦の様子を話し合っている。
俺は4月29日に始まった攻防戦をボードを使って説明する。ここで英仏両方の陣営が明確にお互いの状況を知っているというのは考えてみると変なのだが話の流れ以上仕方がないのだ。この舞台は解説役に鳥でも配置したほうが良いのかもしれない。農夫の視点、浮浪者の視点というのも入れたかったができなかった。けが人が多く出てくる。
イギリス軍もあと一押しでオルレアンを攻め落とせる、攻め落とせるはずなのだが落とせないもどかしさが陣営を覆ってきた。じわじわと攻めていけば勝てるはずの戦いなのになぜか一片の負けの気分というものが出てきてしまう。今英国は包囲している側なのだが無理に攻め立てたら無駄な戦死者を出してしまうのではないか。それも想定の死者には過ぎないのだが英国軍は兵を無尽蔵に使える状況ではなかった。まことにこの時代の戦いは無駄が多いものだと思わざるを得ない。もっと輸送手段を、もっとレーションを、と叫びたい気分に駆られた英国兵士役の俳優。
俺は4月29日に始まった攻防戦をボードを使って説明する。ここで英仏両方の陣営が明確にお互いの状況を知っているというのは考えてみると変なのだが話の流れ以上仕方がないのだ。この舞台は解説役に鳥でも配置したほうが良いのかもしれない。農夫の視点、浮浪者の視点というのも入れたかったができなかった。けが人が多く出てくる。
イギリス軍もあと一押しでオルレアンを攻め落とせる、攻め落とせるはずなのだが落とせないもどかしさが陣営を覆ってきた。じわじわと攻めていけば勝てるはずの戦いなのになぜか一片の負けの気分というものが出てきてしまう。今英国は包囲している側なのだが無理に攻め立てたら無駄な戦死者を出してしまうのではないか。それも想定の死者には過ぎないのだが英国軍は兵を無尽蔵に使える状況ではなかった。まことにこの時代の戦いは無駄が多いものだと思わざるを得ない。もっと輸送手段を、もっとレーションを、と叫びたい気分に駆られた英国兵士役の俳優。
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