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15、演出助手の坂内
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演出助手 坂内
大阪公演初日。いろいろな層の客。スポンサーの人も来ている。。他の企業は役員クラスの人が来ているのに南海タイムズは文化欄の記者が来ている、。まあこれは仕方ないか。ベテランの方だ。俺に話しかけてきた。「客足は上々ですね」「はい」「いやあ集まってますね。大宮さんも実力者ではありますがまあね。宣伝が良かったのかな」自分の手柄のように話すところが気に入らない。「彼女、評価高いですね。」俺が見つけたんやと言わんばかりのトーン。まあそういうこともあるかもしれない。「次は映画主演決まってるんだって?」俺は岡田さんのマネージャーじゃねえっての。それにお前と話しているほど暇じゃねえんだっての。「面白そうな題材ですがヒットするかどうかはね」「一般の人はそういうことあんまり気にしないよ。特に今は」そういうことは確かなのがこの南海老舗記者の嫌なところだ。野良犬だかハイエナだかわからないが嗅覚や時代を読み取る力は確かに持ち合わせている。だが自分で何かを作り出すという才能はほとんどない。ほとんどと書いたのは記者先生を反面教師にして才能ある人は何かを作り出せるのではないかと思うからだ。あいつが目をつけた奴は長く続くという実績もあった。GSでバイトをしていたアマ劇団の俳優を見出したこともあったくらいだ。そこまで行くと「何の才能もない」などと断定してしまったのを少し後悔する。もちろん個人的な理由で役者を廃業された方もいるし亡くなられた方もいるので俺が「この人は生き残る」などと軽々しく断定することはできないのだ。しかし落ち着いて考えてみると地方ブロックの新聞の一記者に過ぎないのだが。俺はかつての公演活動で最も難しかったことを回想していた。何もないところに建物を建てるような経験を繰り返していた。あくまで池崎さんはきっかけを与えていたにすぎない。自分は土地を用意して建物を建てたのだ。池崎原作の舞台「ベラの家族」は好評だったがあれは自分の尽力があったからだ、と気負っている。うぬぼれかもしれない。でも結構脚本を具体化していくアイデアが採用されたしあれで自信が付いたとは思っている。これも所詮は巨匠池崎の前では砂上の楼閣に過ぎないのかもしれぬ。自分が何をやっても池崎という大看板のもとでは1%の貢献度もあるのかどうか。まあ、いい経験になったから良しとしよう。
数件のメールはすべて「岡田みゆきに関する仕事依頼」だった。なぜ小山社長に頼まないで俺に来るのだろう。彼女が俺に心を開いているように見えるということはあるが俺のコネクションなんかないっての。頼んだって事務所の人は一顧だにしないっての。かつて一緒に仕事をした男性スターが岡田みゆきに関することを聞いてきた。ここでうかつなことを言うと岡田さんのみならず事務所にも悪い影響が出てしまうだろう。「よくわかんないよ。」「何か気が付いたことがあるだろ、役者として出なくて人間性を教えてくれよ」「普通の女の子だよ」「どこがすごい」「勇気があるよ」「それは人間性のことであって役者としては関係ない」「大いにあると思うが」「たとえばしゃべっている時も体が生き生きしているんだよ。躍動しているんだよ」「ほう」「ドラマを見てて気づかなかったのか?」「全然気づかなかったね」「彼女の成長する速度は速いよ」「ほう」このあたりで切り上げよう。
大阪公演初日。いろいろな層の客。スポンサーの人も来ている。。他の企業は役員クラスの人が来ているのに南海タイムズは文化欄の記者が来ている、。まあこれは仕方ないか。ベテランの方だ。俺に話しかけてきた。「客足は上々ですね」「はい」「いやあ集まってますね。大宮さんも実力者ではありますがまあね。宣伝が良かったのかな」自分の手柄のように話すところが気に入らない。「彼女、評価高いですね。」俺が見つけたんやと言わんばかりのトーン。まあそういうこともあるかもしれない。「次は映画主演決まってるんだって?」俺は岡田さんのマネージャーじゃねえっての。それにお前と話しているほど暇じゃねえんだっての。「面白そうな題材ですがヒットするかどうかはね」「一般の人はそういうことあんまり気にしないよ。特に今は」そういうことは確かなのがこの南海老舗記者の嫌なところだ。野良犬だかハイエナだかわからないが嗅覚や時代を読み取る力は確かに持ち合わせている。だが自分で何かを作り出すという才能はほとんどない。ほとんどと書いたのは記者先生を反面教師にして才能ある人は何かを作り出せるのではないかと思うからだ。あいつが目をつけた奴は長く続くという実績もあった。GSでバイトをしていたアマ劇団の俳優を見出したこともあったくらいだ。そこまで行くと「何の才能もない」などと断定してしまったのを少し後悔する。もちろん個人的な理由で役者を廃業された方もいるし亡くなられた方もいるので俺が「この人は生き残る」などと軽々しく断定することはできないのだ。しかし落ち着いて考えてみると地方ブロックの新聞の一記者に過ぎないのだが。俺はかつての公演活動で最も難しかったことを回想していた。何もないところに建物を建てるような経験を繰り返していた。あくまで池崎さんはきっかけを与えていたにすぎない。自分は土地を用意して建物を建てたのだ。池崎原作の舞台「ベラの家族」は好評だったがあれは自分の尽力があったからだ、と気負っている。うぬぼれかもしれない。でも結構脚本を具体化していくアイデアが採用されたしあれで自信が付いたとは思っている。これも所詮は巨匠池崎の前では砂上の楼閣に過ぎないのかもしれぬ。自分が何をやっても池崎という大看板のもとでは1%の貢献度もあるのかどうか。まあ、いい経験になったから良しとしよう。
数件のメールはすべて「岡田みゆきに関する仕事依頼」だった。なぜ小山社長に頼まないで俺に来るのだろう。彼女が俺に心を開いているように見えるということはあるが俺のコネクションなんかないっての。頼んだって事務所の人は一顧だにしないっての。かつて一緒に仕事をした男性スターが岡田みゆきに関することを聞いてきた。ここでうかつなことを言うと岡田さんのみならず事務所にも悪い影響が出てしまうだろう。「よくわかんないよ。」「何か気が付いたことがあるだろ、役者として出なくて人間性を教えてくれよ」「普通の女の子だよ」「どこがすごい」「勇気があるよ」「それは人間性のことであって役者としては関係ない」「大いにあると思うが」「たとえばしゃべっている時も体が生き生きしているんだよ。躍動しているんだよ」「ほう」「ドラマを見てて気づかなかったのか?」「全然気づかなかったね」「彼女の成長する速度は速いよ」「ほう」このあたりで切り上げよう。
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