いつまでアイドルを続けられますか?

terasu2022

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30、舞台は難しい

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6日目の公演。開幕前に岡田さんが待合室でかつてジャンヌ・ダルクを演じていた女優たちと会っていた。俺と赤崎さんがセッティングして実現したものだが日仏合作ドラマに主演した城山あかりも来たことに岡田さんは特にびっくりしていた。丁寧にジャンヌ・ダルクに関することを質問する岡田さん。少しは演技のことを聞いたほうが良いと思うがこれも勉強だろう。安心してくれて何よりだ。アイドルグループのメンバーである吉村佐紀、愛称むらさきさんに会えて彼女は感激していた。彼女は数年前に舞台でジャンヌを演じた。いい題材に巡り合うことができたら岡田さんも吉村佐紀に並び、超えることのできる役者になれると思う。

 吉村佐紀 演出助手をしている坂内さんとは初めて会ったがまだ青年に見えるのにたくさんの舞台を担当した実績があって驚いた。映画の脚本に携わったこともあるそうだ。それは本筋ではない。本筋は今日あった人のことだ。城山さんは同じユニットに属したこともある旧友。河合さんも同じような仲間だ。他にも舞台でジャンヌ・ダルクを演じた女優の人が集まっている。なかなか圧巻だ。こうしてみると私はひ弱に見えた。ここまで頑張ってきたことはいったん何だったのだろう。エルクというアイドルグループを卒業して2年がたった。ジャンヌ・ダルクを舞台で演じて他の人より線が細い、とかこれはこれで可憐でいい、という評価をいただいた。自分自身だけの評価ならわかるが別グループのライバル的な存在だった香川紗代子さんだったら完璧なジャンヌが誕生していたとかいう評は少しおかしいと思った。いくらなんでもそれはやってみなければわからないと思う。紗代子さんと私はいつも比べられてきたから怒ってきているのではない。あの舞台が難易度が高くてそれにかけてきたものが大きかったから憤慨しそうになったのだ。彼女はそれまでもそのあとも私のできないことを軽々とやってきたのでそういいたくなる気持ちはわかる。でも私も彼女に並び、超えるために必死に努力してきたのだ。彼女が女優として私より優れていて実績があってもこれだけは譲れない。こうやって考えてみると岡田さんの生き生きして演じている姿を昨日観劇したが彼女にはライバルが必要なんだなと思った。それは同じグループでも外のグループでも、また友達でもよいのだなと思った。
演出助手
7日目の公演。英仏両軍の兵士キャストが増加していた。「できることは全部やる」と言った池崎さんに最初からやってくださいよ、と佐々野のヤジ。これらのエキストラは行進シーンとか勝ちどきシーンに主に出演する。岡田さんはあまり傷ついていないように見えるが見えないところは傷だらけなんだろう、多分。戦闘シーンだけでなく、旗を振っているだけでも疲れそうだ。しゃべっている時も旗を持ってるからな。俺だったら休む。赤崎さんも心配そうに見ている。

8日目そろそろ岡田さん以外のメンバーも疲労困憊である。東京公演主役の嶋田さんがオセロットメンバーと観劇。岡田さんがあとで教えてくれたが面白がってくれていたそうだ。良かった。仏軍兵士役の岡部と一緒に飲んでいると岡田さんの兄から電話が来た。「おい、岡田の兄だが」岡田と言ってもたくさんいると思うんだがなあ。俺の元クラスメイトにも複数いた。「いいか、舞台は順調にいっているか」自信をもって答える。「ああ。予想以上に順調です。」「妹の調子はどうだ。客観的に教えてくれ。」「はい、野球に例えると高卒2年目で20勝を達成、最優秀防御率を達成しそうな勢いです。」「その例えでは肩を壊すんじゃないのか?」厳しいツッコミをしてきた。「いや、大丈夫。6回80球ぐらいで降板させています」「それはそれで周りの投手の負担が大きいんじゃないか」「まあ駆け出しの若手ですから。ランナーも出さずにいければ7回までもつかもしれないです」考えてみると第1幕は出ずっぱりではないのだから先発ではないのかもしれなかった。「ところで今どこにいる」「どこって舞台の役者と一緒に飲んでいます。岡田さんはホテルに帰ったんじゃないかと思います」「それはいい。いいか。あんたにはみゆきの管理をお願いした覚えはないのだからくれぐれも疑われるようなことはするな。」好きなことをしゃべって電話は切れた。「雷のような声だったな」岡部が言った。「あっ?うん・・・。」この後大阪ではよく行くレストランに行った。疲れたせいか腹が減っている。電話で時間をつぶしながら食事。とりあえず水を飲む。今度は嶋田さんから電話がかかってきた。彼女も色々大変らしい。精神的になんだか疲れたのでちょっと近くの公園まで行く。水鳥を観察するのが楽しみになってきた。
ここは干潟に生息する鳥が多くいるがおそらく汽水ではない。
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