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第1章 スプリング×ビギニング
第25話 ケッカ
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「義川、園崎はどこにいる」
放課後の教室
園崎が戻ってくるのを待っていた俺は担任のホヅミ先生にそう声をかけられた
「えーと、・・・トイレだと思いますけど」
この先生は俺と園崎をセットみたいに思ってるフシがある
確かに最近は俺と園崎、教室内でも特に隠すことなく
一緒にいることは多いけど・・・
それでも四六時中って訳じゃないぞ
「ふむ、トイレか・・・よし、義川ついて来い」
「はい!?」
「私一人で行くと逃げられるかもしれないからな」
そう言ってニヤリと微笑む姿はとても教職者には見えない
「・・・俺は園崎を釣る餌ですか?」
「フフ・・・そう自分を卑下するものじゃない。
私は結構キミの事を買っているんだぞ・・・。
キミはそう・・・餌というよりデコイかな?」
「それカタカナで言ってるだけで意味合い的に同じじゃないですか?」
俺は半眼になって担任を見返した
「フフン、だが買っているのは本当だぞ?」
そう言いながら踵を返す女教師の後を俺は溜息混じりに追った
廊下に出た俺達は程なく目的の人物を見つけた
まあ、向こうから歩いて来たんだが・・・
傍らには後輩女子、サクマがいた
やたらと絡んでくるサクマに苦笑いで返してはいるが、
そんな満更でもない感じだ
なんか園崎が他の女子と一緒にいるとこを見るのは珍しいが、
ちょっと微笑ましくもある
それはホヅミ先生にとっても意外だったらしく
声をかけるタイミングを失っていたようだ
そうしているうちに園崎の方がこちらに気付いた
ホヅミ先生を見て取ると逃げる体勢になるが
後ろに立つ俺に気付くと警戒しながらもこちらへとやって来た
「えーと、なんか先生が園崎に用あるって・・・」
互いに牽制し合う二人に溜息を漏らしつつ、そう園崎に切り出した
「用・・・だと?」
「ああ、少し顔を貸せ」
「だが、今日は・・・」
ムッとしつつそう言葉を漏らし俺をチラリと見る園崎
そう、今日は園崎の家にお邪魔する予定だったのだ
「そう手間は取らせん・・・逃げるとお前の為にもならんぞ。
それと義川の為にもな」
「な!?経吾は関係無いだろう!?」
「ちょ、ちょっと先生?」
デコイどころか人質かよ?
「大人しくついて来い。・・・・後ろめたいことが無いならな」
「ハン、いいだろう・・・ゴメン経吾
・・・少し待っててくれるか?」
「ああ、わかった」
そう言って俺は片手を挙げて園崎を見送った
「ふあぁ・・・ホヅミ先生って独特のオーラ纏ってますよねえ」
歩いていく二人を見送りながらサクマがそう声をかけてきた
「んー、まあな。でも、悪い人じゃないぜ」
「あ、それは園崎センパイも言ってました。
奴はなかなか侮れんって」
・・・それは褒め言葉なのか?
「お前、園崎と結構仲いいよな?」
「えー?ヤキモチですか先輩。
私、百合じゃないですから安心して下さい」
「いや、そーいうんじゃなくてな・・・」
「んふふー、冗談ですよ。でも私としては結構自慢なんですよね、
園崎センパイと知り合いだってこと」
「そうなのか?」
「ええ、だって園崎センパイモテるんですよ。一年生の間で」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「ほらあ、センパイって美少女ですし、身体が小柄だから新入生の中には同学年だと思い込んでる男子も結構いるみたいなんですよねー。私、何回かクラスの男子に『紹介してくれー』って言われましたもん」
「そう、なの、か?」
「あー、動揺してますね。でも安心して下さい。ちゃあんと私、センパイにはぞっこん惚れた殿方がいらっしゃるから、他の男子が入り込むスキなんか無いって言いましたから、あ、もちろん先輩のお名前は出してませんからご安心を」
「あ、そう、ふーん」
まあ、園崎は一年生の時も何人かの男子に言い寄られていたらしいし、あの中二病が無ければその時、誰かの申し出を受けて付き合っていたかもしれないんだよな・・・
そう考えると俺が園崎と親密な関係でいられるのは
その中二病のお陰って訳だよな
あれ?
じゃあ園崎の中二病が治ったら俺達の関係はどうなるんだ?
元のただのクラスメイト?
初めて会ったとき園崎が俺に向けていた目は
まるで道端に落ちている石ころを見るような眼差しだった
あの時の状態に戻る?
そう考えた時、俺の心に言いようの無い感情が渦巻いた
不安感、虚無感、焦燥感・・・
様々な負の感情が混ざり合い俺の心に広がっていく
「先輩?せーんぱい?」
サクマの呼びかけに俺はハッとして意識を戻す
「どーしたんですか?急に黙り込んで」
「いや、なんでも・・・」
「そうですか?いやー、でも思い悩む表情の先輩もカッコイイですねえ、園崎センパイが惚れるのもわかりますよ」
そんな事を言いながらうんうんとサクマは頷いている
「なんてーか先輩って陰のある表情に味があるとゆーか・・・、うん。その手の女子達にはツボな顔立ちですよねー」
それは褒めてるのか?
その手の女子達がどういった女子達なのかは聞かないでおこう
俺達が話してる前を一年と見られる女子二人が歩いていく
通り過ぎる瞬間、こちらにチラリと視線を送ってきた
「あ、今の・・・クラスメイトの子達でした。
・・・・ふむ、あまり長い間こうしていては良くないですね」
「ん?」
「女の子は噂話が好きですからね。変な誤解されたくないでしょう?」
「あ、そうか・・・ゴメンなサクマ。俺ちょっと馴れ馴れしかったな」
サクマにも誰か好きな奴とかいるかも知れない
その相手に変な誤解されたりしたら可哀相だ
俺のセリフにサクマは『へっ?』という顔をしたあと
目を半眼にして俺を見た
「わたしじゃなくて先輩の事ですよ・・・。
園崎センパイとは秘密のお付き合いなんでしょう?
他の子と噂になったら園崎センパイが傷つくじゃないですか
・・・とゆーことでわたしはそろそろ行きますよ」
「悪いな、なんか気を遣わせて」
「ふふん、わたしは何気に気遣いさんなのですよ
・・・てゆーか、園崎センパイに恨まれたくないですし。
女の子の嫉妬って怖いんですよ?
だから先輩、必要以上に他の女子と仲良くしたり
しないほうがいいですよ、と忠告しておきますね」
そんなことを言ってサクマはパタパタと去って行った
サクマは俺と園崎が付き合ってると誤解したままだ
まあ、彼女が勝手に勘違いしただけなんだが・・・
でもサクマはそれを信じ切っていて、変に気を遣わせてしまっている
その事に対して俺は多少の申し訳の無さを感じていた
・・・ちゃんと事実を話したほうがいいのかな
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
園崎の事を職員室前の廊下で待っていると
意外にも出てきたのは隣の生徒指導室・・・
通称『お説教部屋』だった
「フン・・・まさかお前が僕に味方するとはな・・・意外だったよホヅミ」
「フッ・・・私は常に自分の信じるものに従って行動しているだけだ・・・貴様の方に非があった場合、その時は容赦はしない」
「ククク・・・いいだろう。今回の事については礼を言っておく。・・・その・・・助かった。感謝する」
「フフ・・・その言葉、素直に受け取っておこう。だが、これで終わりではないぞ。むしろこれからだ。今回の事、『やはりまぐれだったか』と、私を失望させるなよ」
・・・・・・・・えーと。
何、無駄にカッコイイセリフ言い合ってんの?
何があったのオマエラ?
俺はどうツッコんだらいいか判らず
『少年マンガの戦い後』
みたいな空気になってる二人に半眼で生暖かい視線を送った
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「え?テストの点数が?」
「う、うむ・・・」
学校を出て園崎の家に向かうべく、駅へと歩く道すがら
俺は事の顛末を彼女から説明を受けた
今回のテストの結果、園崎は大幅に点数が向上したらしい
しかし、それまで赤点ギリギリだった園崎が
教科によっては平均点以上の点数を出したため、
何か不正をしたんじゃないかと疑う先生もいた
「ホ、ホヅミが自分の手で潔白を証明して見せろ、と言ってな」
今回のテストと同系統の問題を先生達の前で解いて見せる事になり、その結果見事合格して身の潔白を証明したということだ
「そうだったのか。よかったじゃないか園崎」
「ん、ああ・・・」
説明を聞き終えた俺はそう言って園崎に笑いかけた
園崎は頬を微かに赤らめ俯く
「それに・・・すごいな。点数も大幅にアップしたんだろ?」
「ん。経吾のお陰・・・、アリガト経吾」
上目遣いでそう言ってくる園崎に頬が熱くなる
「べ、勉強会だけじゃないんだろ?ちゃんと家でもやったからだろ?」
照れ隠しに視線を逸らしながらそう言う俺に
園崎は指先を合わせてもじもじしながらチラチラ視線を送ってきた
「それに・・・ご褒美くれるって経吾、言ってくれたし」
「え?」
そういえば、勉強会の帰り、駅で電車を待ってる間そんな会話をしたかもしれない・・・
『どうだ?いい点取れそうか?』
『ふむ、どうだろうな?』
『せっかく勉強したんだから頑張ろうぜ』
『具体的な見返りがない事に労力を使うのがな・・・
僕は赤点にならなければ別にかまわん・・・』
『身も蓋も無いな』
『じゃ・・・じゃあ、経吾。なにかくれるか?ご褒美』
『ええ?・・・まあ、いい点取れたらな』
・・・そんな事を言ったかもしれない
「ふふん、忘れていたか?だが確かに経吾はそう言ったぞ。人の発した言葉には・・・」
「言魂が宿るって言うんだろ?・・・・・・高い物とか無理だぞ?」
「くふ、安心しろ。たかがテストで金銭のかかる物など要求しない」
「そ、そうか?」
俺は安堵の吐息を漏らす
「その身体ひとつあれば出来ることにするから心配するな」
そう言ってほくそ笑む園崎に一抹の不安が湧き起こる
軽々しい言葉を吐くのは今後気をつけよう・・・・
そう、俺は心に誓った
(つづく)
放課後の教室
園崎が戻ってくるのを待っていた俺は担任のホヅミ先生にそう声をかけられた
「えーと、・・・トイレだと思いますけど」
この先生は俺と園崎をセットみたいに思ってるフシがある
確かに最近は俺と園崎、教室内でも特に隠すことなく
一緒にいることは多いけど・・・
それでも四六時中って訳じゃないぞ
「ふむ、トイレか・・・よし、義川ついて来い」
「はい!?」
「私一人で行くと逃げられるかもしれないからな」
そう言ってニヤリと微笑む姿はとても教職者には見えない
「・・・俺は園崎を釣る餌ですか?」
「フフ・・・そう自分を卑下するものじゃない。
私は結構キミの事を買っているんだぞ・・・。
キミはそう・・・餌というよりデコイかな?」
「それカタカナで言ってるだけで意味合い的に同じじゃないですか?」
俺は半眼になって担任を見返した
「フフン、だが買っているのは本当だぞ?」
そう言いながら踵を返す女教師の後を俺は溜息混じりに追った
廊下に出た俺達は程なく目的の人物を見つけた
まあ、向こうから歩いて来たんだが・・・
傍らには後輩女子、サクマがいた
やたらと絡んでくるサクマに苦笑いで返してはいるが、
そんな満更でもない感じだ
なんか園崎が他の女子と一緒にいるとこを見るのは珍しいが、
ちょっと微笑ましくもある
それはホヅミ先生にとっても意外だったらしく
声をかけるタイミングを失っていたようだ
そうしているうちに園崎の方がこちらに気付いた
ホヅミ先生を見て取ると逃げる体勢になるが
後ろに立つ俺に気付くと警戒しながらもこちらへとやって来た
「えーと、なんか先生が園崎に用あるって・・・」
互いに牽制し合う二人に溜息を漏らしつつ、そう園崎に切り出した
「用・・・だと?」
「ああ、少し顔を貸せ」
「だが、今日は・・・」
ムッとしつつそう言葉を漏らし俺をチラリと見る園崎
そう、今日は園崎の家にお邪魔する予定だったのだ
「そう手間は取らせん・・・逃げるとお前の為にもならんぞ。
それと義川の為にもな」
「な!?経吾は関係無いだろう!?」
「ちょ、ちょっと先生?」
デコイどころか人質かよ?
「大人しくついて来い。・・・・後ろめたいことが無いならな」
「ハン、いいだろう・・・ゴメン経吾
・・・少し待っててくれるか?」
「ああ、わかった」
そう言って俺は片手を挙げて園崎を見送った
「ふあぁ・・・ホヅミ先生って独特のオーラ纏ってますよねえ」
歩いていく二人を見送りながらサクマがそう声をかけてきた
「んー、まあな。でも、悪い人じゃないぜ」
「あ、それは園崎センパイも言ってました。
奴はなかなか侮れんって」
・・・それは褒め言葉なのか?
「お前、園崎と結構仲いいよな?」
「えー?ヤキモチですか先輩。
私、百合じゃないですから安心して下さい」
「いや、そーいうんじゃなくてな・・・」
「んふふー、冗談ですよ。でも私としては結構自慢なんですよね、
園崎センパイと知り合いだってこと」
「そうなのか?」
「ええ、だって園崎センパイモテるんですよ。一年生の間で」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「ほらあ、センパイって美少女ですし、身体が小柄だから新入生の中には同学年だと思い込んでる男子も結構いるみたいなんですよねー。私、何回かクラスの男子に『紹介してくれー』って言われましたもん」
「そう、なの、か?」
「あー、動揺してますね。でも安心して下さい。ちゃあんと私、センパイにはぞっこん惚れた殿方がいらっしゃるから、他の男子が入り込むスキなんか無いって言いましたから、あ、もちろん先輩のお名前は出してませんからご安心を」
「あ、そう、ふーん」
まあ、園崎は一年生の時も何人かの男子に言い寄られていたらしいし、あの中二病が無ければその時、誰かの申し出を受けて付き合っていたかもしれないんだよな・・・
そう考えると俺が園崎と親密な関係でいられるのは
その中二病のお陰って訳だよな
あれ?
じゃあ園崎の中二病が治ったら俺達の関係はどうなるんだ?
元のただのクラスメイト?
初めて会ったとき園崎が俺に向けていた目は
まるで道端に落ちている石ころを見るような眼差しだった
あの時の状態に戻る?
そう考えた時、俺の心に言いようの無い感情が渦巻いた
不安感、虚無感、焦燥感・・・
様々な負の感情が混ざり合い俺の心に広がっていく
「先輩?せーんぱい?」
サクマの呼びかけに俺はハッとして意識を戻す
「どーしたんですか?急に黙り込んで」
「いや、なんでも・・・」
「そうですか?いやー、でも思い悩む表情の先輩もカッコイイですねえ、園崎センパイが惚れるのもわかりますよ」
そんな事を言いながらうんうんとサクマは頷いている
「なんてーか先輩って陰のある表情に味があるとゆーか・・・、うん。その手の女子達にはツボな顔立ちですよねー」
それは褒めてるのか?
その手の女子達がどういった女子達なのかは聞かないでおこう
俺達が話してる前を一年と見られる女子二人が歩いていく
通り過ぎる瞬間、こちらにチラリと視線を送ってきた
「あ、今の・・・クラスメイトの子達でした。
・・・・ふむ、あまり長い間こうしていては良くないですね」
「ん?」
「女の子は噂話が好きですからね。変な誤解されたくないでしょう?」
「あ、そうか・・・ゴメンなサクマ。俺ちょっと馴れ馴れしかったな」
サクマにも誰か好きな奴とかいるかも知れない
その相手に変な誤解されたりしたら可哀相だ
俺のセリフにサクマは『へっ?』という顔をしたあと
目を半眼にして俺を見た
「わたしじゃなくて先輩の事ですよ・・・。
園崎センパイとは秘密のお付き合いなんでしょう?
他の子と噂になったら園崎センパイが傷つくじゃないですか
・・・とゆーことでわたしはそろそろ行きますよ」
「悪いな、なんか気を遣わせて」
「ふふん、わたしは何気に気遣いさんなのですよ
・・・てゆーか、園崎センパイに恨まれたくないですし。
女の子の嫉妬って怖いんですよ?
だから先輩、必要以上に他の女子と仲良くしたり
しないほうがいいですよ、と忠告しておきますね」
そんなことを言ってサクマはパタパタと去って行った
サクマは俺と園崎が付き合ってると誤解したままだ
まあ、彼女が勝手に勘違いしただけなんだが・・・
でもサクマはそれを信じ切っていて、変に気を遣わせてしまっている
その事に対して俺は多少の申し訳の無さを感じていた
・・・ちゃんと事実を話したほうがいいのかな
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
園崎の事を職員室前の廊下で待っていると
意外にも出てきたのは隣の生徒指導室・・・
通称『お説教部屋』だった
「フン・・・まさかお前が僕に味方するとはな・・・意外だったよホヅミ」
「フッ・・・私は常に自分の信じるものに従って行動しているだけだ・・・貴様の方に非があった場合、その時は容赦はしない」
「ククク・・・いいだろう。今回の事については礼を言っておく。・・・その・・・助かった。感謝する」
「フフ・・・その言葉、素直に受け取っておこう。だが、これで終わりではないぞ。むしろこれからだ。今回の事、『やはりまぐれだったか』と、私を失望させるなよ」
・・・・・・・・えーと。
何、無駄にカッコイイセリフ言い合ってんの?
何があったのオマエラ?
俺はどうツッコんだらいいか判らず
『少年マンガの戦い後』
みたいな空気になってる二人に半眼で生暖かい視線を送った
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「え?テストの点数が?」
「う、うむ・・・」
学校を出て園崎の家に向かうべく、駅へと歩く道すがら
俺は事の顛末を彼女から説明を受けた
今回のテストの結果、園崎は大幅に点数が向上したらしい
しかし、それまで赤点ギリギリだった園崎が
教科によっては平均点以上の点数を出したため、
何か不正をしたんじゃないかと疑う先生もいた
「ホ、ホヅミが自分の手で潔白を証明して見せろ、と言ってな」
今回のテストと同系統の問題を先生達の前で解いて見せる事になり、その結果見事合格して身の潔白を証明したということだ
「そうだったのか。よかったじゃないか園崎」
「ん、ああ・・・」
説明を聞き終えた俺はそう言って園崎に笑いかけた
園崎は頬を微かに赤らめ俯く
「それに・・・すごいな。点数も大幅にアップしたんだろ?」
「ん。経吾のお陰・・・、アリガト経吾」
上目遣いでそう言ってくる園崎に頬が熱くなる
「べ、勉強会だけじゃないんだろ?ちゃんと家でもやったからだろ?」
照れ隠しに視線を逸らしながらそう言う俺に
園崎は指先を合わせてもじもじしながらチラチラ視線を送ってきた
「それに・・・ご褒美くれるって経吾、言ってくれたし」
「え?」
そういえば、勉強会の帰り、駅で電車を待ってる間そんな会話をしたかもしれない・・・
『どうだ?いい点取れそうか?』
『ふむ、どうだろうな?』
『せっかく勉強したんだから頑張ろうぜ』
『具体的な見返りがない事に労力を使うのがな・・・
僕は赤点にならなければ別にかまわん・・・』
『身も蓋も無いな』
『じゃ・・・じゃあ、経吾。なにかくれるか?ご褒美』
『ええ?・・・まあ、いい点取れたらな』
・・・そんな事を言ったかもしれない
「ふふん、忘れていたか?だが確かに経吾はそう言ったぞ。人の発した言葉には・・・」
「言魂が宿るって言うんだろ?・・・・・・高い物とか無理だぞ?」
「くふ、安心しろ。たかがテストで金銭のかかる物など要求しない」
「そ、そうか?」
俺は安堵の吐息を漏らす
「その身体ひとつあれば出来ることにするから心配するな」
そう言ってほくそ笑む園崎に一抹の不安が湧き起こる
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そう、俺は心に誓った
(つづく)
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