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27、ざまぁみろ

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「マジで!?」

「あいつ何回目だよ!」

「やべぇよな?いや、俺もやめとけとは言ったんだよ?」

「健太はどうせ本気で止めてないでしょ!」

話に馴染めず数分経って、目的の駅に到着した。

朝からなんだかモヤモヤしてしまった、と気持ちを切り替えるために一番はやくに席を立つ。

「あっ、みな」

慌てたように一緒に立って、「あ、早いよ健太」と釣られて3人も立った。

なんだかなぁ、と思いつつも何も言えずにさっさと電車を降りてしまう。

「みな?どうした?」

鈍感な健太は心配そうに私の顔を覗き込んで、驚いた表情をして見せた。

「怒ってる?」

「ううん、何も怒ってないよ」

「でも.....」

意図的ではないにしろ、のけ者にされたようで気分は良くない。

「あ、うちら先行くね!」

3人も何か良くない空気を感じ取ったようにさっさと改札を出ていった。

「あの3人とは、すごく仲がいいみたいだね」

私のことを全く気にしないくらい。

「あっ」

健太は嬉しそうに笑うと、私の頭に手のひらを乗せて髪の毛を撫でる。

「ヤキモチ?」

歯を見せて笑う健太に、なんだかすごくイラッとした。

ヤキモチと言えばヤキモチかもしれないけど、その態度はなに。

「もういい」

せっかく家まで迎えに来てくれたのにモヤモヤして腹が立つ。

「待ってよ、みな!」

なおも嬉しそうに私の横に立って鼻歌まで歌うものだから、教室に着いた時には私のイライラはピークだった。



バンッ


思いがけず机に投げたカバンが大きな音をたてたので、私は恥ずかしくなって椅子に座った。

ああ、みんな見てるよ。

ちらっと七海くんに目を向けても、彼は相変わらずどうでもいいことのようにしている。

健太のことでイライラしているのが重なって、七海くんにもムカついてきた。

今日はダメだダメだ!

生理前だから、こんな簡単にイライラしちゃうんだ!

まだ先生が来るまで時間があることを確認すると、健太のクラスに謝りに行こうと決意した。

席を立って、ふぅーっと息をつくと「健太?」と七海くんが微笑んでこっちを見ていた。

その笑顔に不覚にも顔が赤くなってしまう。

「どうせ、他の女とイチャついてたんでしょ?」

イチャついていたことがムカついたわけじゃないんだけど、、、

「ざまぁみろ」

彼は冷たい顔で小さく言って、本に視線を戻した。



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