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42、チーズケーキ
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あれ以来、お兄ちゃんは私に話しかけるのをやめた。
いつまでも部屋にこもってられないなとスマホの電源を入れてみる。
1番通知が多いのは、健太だった。
なんの連絡も返さず、休むようになって2日経っていた。
それが心配されているのだと分かってはいても、返事をする気がなかなか起こらない。
夕日が部屋に差し込んで来て、誰も家に来てはくれないんだと寂しくなった。
誰のLINEにも返さず、拒否していたのは自分なのに。
お兄ちゃんにも酷いことを言ってしまったような気がする。
お腹が空いてきたので部屋を出て、カップラーメンでも食べようと思った。
階段を下りる途中、インターホンが鳴った。
「うぃ」
気だるげに返事をするお兄ちゃんの声が聞こえてドアが開く。
誰かなと少しだけ覗くと、それは夏帆ちゃんだった。
「夏帆ちゃん!」
相変わらずかわいくて、夕日がよく似合っていた。
兄は私の友達だと分かると何も言わずに自分の部屋に戻っていった。
「大丈夫?ずっと休んでるけど」
綺麗に靴を整えて、ケーキの箱を渡してくれた。
「あのね、これチーズケーキ!」
「わぁ、ありがとう!」
チーズケーキは私の大好物だった。
「何かあったの?ケーキ食べながら、話してみてよ」
「なんにもないけど、、、」
「健太くんが七海くんにキレられてたよ」
いつの間にか部屋に滑り込んできていた兄がケーキを切り分けながら「どっちが彼氏?」と聞く。
「健太くんの方ですよ」
「ああ、そいつがね」
「お兄ちゃん、口はさまないで」
「へいへい」
ちゃっかり自分の分も取り分けて、二人分をテーブルに運ぶと自分はキッチンでケーキを口に運んだ。
「どんな喧嘩?」
「よくわかんないけど、健太がこっちのクラスに来ててみなちゃんの席に座ろうとしたら七海くんが座るな!って怒ってさ」
「え?どういうこと?」
「わかんないよね?七海くんどうしちゃったのかな」
健太が他の子とキスしていたのを、七海くんも一緒になって怒ってくれているのかもしれない。
そう思えば、なんだか気持ちが軽くなった。
「明日は学校行く」
夏帆ちゃんの目を見てそう言うと、兄も「そうしな」と笑う。
「...何があったのかは話してくれないの?」
やけに身を乗り出して聞く夏帆ちゃんは、好奇心が見え隠れしていた。
反射的に話したくないと思って、私はまた口をつぐんだ。
いつまでも部屋にこもってられないなとスマホの電源を入れてみる。
1番通知が多いのは、健太だった。
なんの連絡も返さず、休むようになって2日経っていた。
それが心配されているのだと分かってはいても、返事をする気がなかなか起こらない。
夕日が部屋に差し込んで来て、誰も家に来てはくれないんだと寂しくなった。
誰のLINEにも返さず、拒否していたのは自分なのに。
お兄ちゃんにも酷いことを言ってしまったような気がする。
お腹が空いてきたので部屋を出て、カップラーメンでも食べようと思った。
階段を下りる途中、インターホンが鳴った。
「うぃ」
気だるげに返事をするお兄ちゃんの声が聞こえてドアが開く。
誰かなと少しだけ覗くと、それは夏帆ちゃんだった。
「夏帆ちゃん!」
相変わらずかわいくて、夕日がよく似合っていた。
兄は私の友達だと分かると何も言わずに自分の部屋に戻っていった。
「大丈夫?ずっと休んでるけど」
綺麗に靴を整えて、ケーキの箱を渡してくれた。
「あのね、これチーズケーキ!」
「わぁ、ありがとう!」
チーズケーキは私の大好物だった。
「何かあったの?ケーキ食べながら、話してみてよ」
「なんにもないけど、、、」
「健太くんが七海くんにキレられてたよ」
いつの間にか部屋に滑り込んできていた兄がケーキを切り分けながら「どっちが彼氏?」と聞く。
「健太くんの方ですよ」
「ああ、そいつがね」
「お兄ちゃん、口はさまないで」
「へいへい」
ちゃっかり自分の分も取り分けて、二人分をテーブルに運ぶと自分はキッチンでケーキを口に運んだ。
「どんな喧嘩?」
「よくわかんないけど、健太がこっちのクラスに来ててみなちゃんの席に座ろうとしたら七海くんが座るな!って怒ってさ」
「え?どういうこと?」
「わかんないよね?七海くんどうしちゃったのかな」
健太が他の子とキスしていたのを、七海くんも一緒になって怒ってくれているのかもしれない。
そう思えば、なんだか気持ちが軽くなった。
「明日は学校行く」
夏帆ちゃんの目を見てそう言うと、兄も「そうしな」と笑う。
「...何があったのかは話してくれないの?」
やけに身を乗り出して聞く夏帆ちゃんは、好奇心が見え隠れしていた。
反射的に話したくないと思って、私はまた口をつぐんだ。
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