うつしよの波 ~波およぎ兼光異伝~

春疾風

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関ヶ原の章

第十四話 松尾山奪取

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 九月十二日、夜。清洲城。
 かつて「清洲会議」が行われ秀吉の天下の足懸りとなったこの城で、徳川家康は藤堂高虎と面会していた。
 間に座すのは二人のみ。密談である。
「秀忠との合流を望んでおったが……この期に及んでは腹を決めねばなるまいな」
 跡継ぎである秀忠の軍勢と合流すべく緩やかに西進していた家康の軍勢であったが、秀忠軍は信州・上田城の真田家との戦いで足止めされ、また連日の悪天で進軍もままならぬ状況に陥っていた。
「は。大津城に奴らの軍勢を足止めしている今、これ以上の延引は機を逃すのみかと存じます」
「うむ。なれば一刻も早く西進せねばなるまいな」
 互いに、何処か腹に一物ある様な表情をしていた。高虎も家康も平時、朗らかな笑顔を浮かべている性質たちの男である。しかし、今は迫り来る戦の臭いを嗅ぎ取ったか、両者張り詰めた気を纏っていた。
「此方は全て相整っております」
 高虎が家康を見据え、笑う。
「うむ。こちらも先日秀秋殿の使者が来おったわ。長政……あの男も中々やりおる」
 秀秋。不意に出たその名に高虎は安堵する。
 やはり、こちらに賭けて下さったのか。あの方も同じ物を見ていたのだろうか。天下静謐を。
「なれば」
 今一度、高虎の視線が家康を射る。家康はにまり、と頬肉を上げると、その地の名を口にした。
「うむ。関ヶ原へと軍を進める」
 かくして、家康直属の軍は九月十四日、美濃・赤坂の正則・長政・高虎ら東国衆の軍と合流する。
 かねてより家康軍は旗指物を折り、馬印を倒し、秘密裏に進軍していた。それが、突然この地で馬印、旗指物、そして葵の紋を立てたのである。これは大垣に詰める三成らへの強襲という形となった。
 そして正午頃、赤坂と大垣城の間を流れる杭瀬川にて両軍の競り合いが勃発する。後世「杭瀬川の戦い」と呼ばれる戦である。

 時を同じくして、柏原より関ヶ原へと進む軍勢があった。
「長政殿の注進が正しければ、恐らく今頃家康殿は赤坂へ着陣されている筈」
 その軍勢の中程で、秀秋は正成と馬を並べ進んでいた。
「成程。気を取られ手薄になった隙を狙い進軍する、と……なれば、関ヶ原の吉継殿らと一戦を?」
「いや」
 秀秋はかぶりを振り、視線を上に上げた。その先には――そびえ立つ山。
「我らが向かうは松尾山だ」
 秀秋の軍勢は吉継らの陣する関ヶ原方面を避け、今須川沿いの山の南方より松尾山へと侵入する。
「秀秋殿が松尾山城に着陣するなど、聞いておりませぬ!」
 この「強襲」に、松尾山城の普請を担当していた伊藤盛正は強固に反発した。
「この城は輝元殿の軍勢を入れる為に改築している物。秀秋殿を入れる謂われは御座いませぬ!」
 元々、大垣城の城主はこの盛正であった。しかし、三成らが大垣城に詰めるにあたり、盛正は大垣城を接収されてしまう。代わりに、盛正はこの松尾山城の改築を命じられる。
 盛正とて、大垣城の接収に思う所が無かった訳ではない。しかし、自身の普請を三成らが買っていたことは嬉しくあった。それに、元来頼まれた事を放りだせる性質の男では無い。
 故に、この予定外の来訪者に盛正は強固な抵抗を見せた。
「この城に陣を張りたいのであれば、輝元殿、或いは三成殿の認を得よ!」
 息荒く反論する盛正に、秀秋は一つ、溜息を吐いた。
「……まあ、この期に及んで我らを同心と思って貰おう等とは思っていない」
 秀秋が右手を高く掲げる。後ろに控える兵達が一斉に武器を構える。
「ま、まさか力づくで我らを……? 乱心されたか秀秋殿!」
「いいや、私は至って冷静だよ」
 秀秋が大きく息を吸う。
「小早川軍、これより家康殿に同心し、この松尾山城を接収する!」
 城中に響かせるが如く声高に秀秋は宣言した。その声を号令に軍勢が松尾山城に雪崩れ込む。
「秀秋殿! これは、これは……ッ! この様な暴挙、許される物では……!」
「元より、誰に許しを乞う謂われも無い。盛正殿、三成殿の元へなり吉継殿の元へなりとも好きに退くがいい。いや、そうして貰った方が此方としては助かる。奴らに伝えるがいい。小早川軍が敵に回ったと」
 万の軍勢相手に千程の兵では如何しようも無い。伊藤盛正は松尾山城より兵を引き払い、関ヶ原に陣する吉継の軍勢の元へと駆け込む他無かった。
「遂にやってくれたか、筑前中納言」
 盛正の報告を聞いた吉継は、松尾山を睨むように視線を上げた。
「五助、大垣城に使いを出せ」
 吉継の声に、傍らの武士が身を屈ませる。
「して、何と」
「筑前中納言殿謀叛、と」
 何時しか、天には厚く暗雲が立ち込めていた。

「それにしても……未だ普請途中といった趣ですね」
 正成は塗り中途で放棄された城壁を見やりながら、傍らの秀秋に話しかけた。
「問題無い。この城に長く留まる気は無いからな」
 淡々と返す秀秋に、正成は聞き返す様に問う。
「と仰いますと、籠城し吉継殿と戦うお積もりでは無かったのでしょうか。其はてっきり長期の戦になるものかと」
「いや。私が狙うのは短期の『主力』決戦だ」
 主力決戦? と聞き返す正成に、秀秋は遠くを見やるようにして話し出した。
「正成。なにゆえ家康殿が豊家の政権下にあってこれ程力を付けておられるか、分かるか」
「それは、殿下が戦をもってしても家康殿を下す事が出来なかった為――まさか、秀秋様」
 秀秋が大きく頷く。
「そう。私はここに小牧長久手の戦を起こす」
 静かな気迫。秀秋の怜悧な視線に正成が息を呑む。
「それに」
 秀秋は正成に背を向け、自身の袂に手を当てた。
「正成。応仁の乱の主たる戦いは分かるか」
 唐突な話題の転換に、正成が目を丸くする。
「いえ。恥ずかしながら存じ上げませぬ」
「いや、それが正しい。両軍の雌雄を決する戦いはついぞ起こらなかったのだ」
 秀秋は袂より藤四郎吉光を取り出し、眺めた。
「故に。十年という長きに渡り諸将は争い、都は荒廃した」
 秀秋が踵を返し、正成に向き直る。緋色の陣羽織が風をはらみ翻った。
「西国衆の総大将は輝元殿とは言え、この乱を画し実質的に中心となっているのは三成殿に外ならない。故に、私が反旗を翻し奴をこの関ヶ原に誘引する。他方、家康殿とてこの松尾山城を抜かねば大坂へと至る事は出来ない。なれば、必ず救援に訪れる」
「上手くいくでしょうか。逆に三成殿が大垣城に篭る目算は」
 鋭い視線が正成を射る。正成はその視線に覚えがあった。
「いや、奴は必ず野戦を行う。奴が石田三成で、私が小早川秀秋である限り」
 正成は思い出す。そうだ、この目は。隆景様の目だ。

 碧蹄館の戦い。文禄二年(一五九三年)一月二十六日に行われたこの戦いで、三成・吉継らは籠城し、迫りくる明・朝鮮軍を迎え撃つ事を提案する。しかし、宗茂と隆景は野戦を提案した。
「何故隆景殿は其処まで強固に野戦に拘るのです」
 軍議の行われた漢城にて、三成は隆景に問う。自身の献策を退けられた所為か、少々不満げに眉間に皺を寄せていた。
「野戦に拘っておるのではない。籠城が不味いと申しておるのだ」
「しかし、この漢城に兵糧は十分に御座います」
 三成の言に、隆景は一つ息を吐いた。平時より少々苛立った気配を纏わせている。
「三成殿。籠城は兵糧のみでする物では無い。士気でするものだ。明確な援軍の当てがあり初めて成り立つのだよ。それ無しに籠城に臨もうとも、必ず心根が折れる。なれば乾坤一擲、野戦にて決する方にまだ勝機はあるという事だ」
「なれど、野戦にて大敗するやも知れませぬぞ」
 隆景は、ふ、と短く息を吐き、微かに嗤った。
「それは籠城とて同じよ。ゆるりと死ぬるか、直ぐに死ぬるかの違いのみ。なれば儂は畳に骸を晒すより、戦場に骸を晒す方を択ぶがね」
「流石隆景殿。随分とお詳しくいらっしゃいますな」
 口篭る三成に代わり、吉継が隆景へ返答する。隆景は怜悧な目で二人を射ながら、口角を吊り上げた。
「ああ、儂らが殿下に散々食わされた手だからな」
 結局、この碧蹄館の戦いは隆景ら日本軍の勝利に終わる。先鋒の宗茂隊が敵を食い止め、その隙に隆景・秀包・広家ら毛利勢が布陣。味方が退いたと見せかけ、毛利勢が包囲し敵を殲滅する。智将・小早川隆景の名に恥じぬ鮮やかな手並であった。
 そして。秀秋もまた、「小早川家の後継」として相応しいだけの軍学を隆景より叩きこまれていた。故に、この策へと思い当たっていたのである。

「……む。雨か」
 何時しか、天からは雨粒が零れ落ちていた。日は翳り、辺りは黄昏時を思わせる闇へと落ち始める。
 城内へと移る秀秋と正成。程無くして、雨は篠突くが如く激しさを増した。
「激しい雨ですね」
「そうだな。……或いは、三成ら援軍が到着する前にカタを付けようとも思ったのだが」
 秀秋が矢狭間より眼下の関ヶ原を睨むように見やる。しかし、雨で麓どころか一町先(約百メートル)すらも見えぬ有様であった。
「この雨では進軍すらままなりませんね」
 正成の言に秀秋が僅かに頷く。
「決戦は明日、か」
 秀秋は波およぎ兼光の柄を力強く握りしめていた。

 筑前中納言殿謀叛。
 吉継よりもたらされたこの伝令に、三成は愕然とした。
 松尾山城に輝元の本隊を置き、南宮山に広家ら毛利勢を置き、大垣城に自身が詰める。そうして三重の防衛を敷き、家康ら東国衆を足止めする――それが当初の構想であった。
 大坂城の秀頼も、京の御所も、版図の上では三成ら西国衆の手の内にある。家康を京・大坂にさえ入れなければ、有利な形で和睦に持ち込めるのだ。
 だが。秀秋に松尾山城を「奪い取られた」ことでその全ては破綻した。
 やはりあの時躊躇せず討っておけば――と思い置いても最早手遅れである。
 これに何も手を打たなければ秀秋は家康に松尾山城を受け渡し、家康は悠々と西進するに違いない。関ヶ原には吉継らが陣を張っているとはいえ、小早川・徳川両軍に挟撃されては長くは持たないだろう。
 三成の選ぶ道は、最早唯一つしか残っていなかった。
 それに――。
 ふと脳裏にぎる、怜悧な目で嗤うかお
 その貌が、妙に秀秋と重なっていた。

 石田三成。宇喜多秀家。小西行長。大垣城に詰める諸将の内でも大規模な軍勢を率いている彼らは、一堂に会し軍議を交わしていた。
「大垣には留守居のみを置き、我らは関ヶ原へと軍を進め筑前中納言小早川秀秋を討つ」
 三成はよく通る声で言い放った。その声が板張りの壁に僅かに反響する。
「うむ。こうなった以上は仕方あるまい。打って出るしかないな」
 秀家が頷き、三成への賛意を示す。その表情に翳りは見えなかった。その様子に、三成は僅かな罪悪感を覚えた。
「宜しいのですか、秀家殿。秀秋殿は貴殿の」
「余は元より三成殿に賛同しておるだけの事。其処に秀秋殿は何の関係も無い。仇なすのならば討つのみだ」
 問い返す三成の言を遮るように秀家は口を開いた。
「それに、三成殿とて譲れぬものがある故、正則殿や清正殿と刃を交える道を択んだのだろう」
 秀家が真っ直ぐな瞳で三成を見つめる。その瞳は、先年襲撃されそうになった三成を護送した時分と寸分違わぬ瞳であった。
 三成は無言で力強く頷く。
「しかし、関ヶ原へ出る……となると、家康殿と鉢合うやも知れませんねえ」
 行長はその細い目を一層細めた。平生笑顔を浮かべている男であるが、予断を許さぬ状況下にある為かその口元は弦の様に一文字を描いていた。
「だが、このまま大垣城に籠城したとて勝機は無い」
「行軍に異論はありませんがね。南宮山の毛利勢、いや、広家殿がどうも気になりましてね」
 強硬に言い張る三成に、行長は算盤を弾く様空に指を動かし答えた。三成襲撃事件の調停役として毛利家にも出入りしていた行長である。行長には如何どうしても広家が唯々諾々と自分達に従うとは思えなかったのである。
「南宮山の軍勢には待機を申し付ける。動向の怪しき軍勢を布陣に組み込む訳にはいかぬ」
 三成は俯きそう語ると、顔を上げ真っ直ぐ前を見据えた。
「幸い、南宮山の陣はこの大垣城を向いている。関ヶ原へは山を降り街道を通らねば攻め込めぬ。万一旗色を変えたとて関ヶ原まで攻め上るには時を要する。或いは大垣城の留守居を差し向けても良い」
 堂々と言い放つ三成を、行長と秀家が見つめる。
「ならば、心配は要りませんね」
「うむ。そうと決まれば一刻の時も惜しい」
 三成は深く頷くと、力強く立ち上がった。
「これより我らは大垣城を出立し、関ヶ原へと進軍する!」

 暮れ六つ時。日が落ち、辺りが暗くなり染めた頃。雨は愈々激しさを増し、時を経るごとに視界を奪ってゆく。
「長堯。大垣城の留守居、しかと頼むぞ」
 甲冑に身を包んだ三成は、福原長堯にそう伝えた。三成に代わり大垣城を守る。その役目を頼む事が出来るのは、己が考えを完全に理解するこの男を置いて他に無いと三成は確信していた。
「はい。三成殿。この長堯、命に代えても守りきまする」
 長堯の真直ぐで純真な瞳。その眼差しに、三成の心が僅かにざわめく。
「……お前には、俺の我儘で随分と苦労を掛けてきたな」
 高野山へ追放された秀次の元へ使者として赴いた内の一人はこの長堯であった。しかし、その訪問の際秀次は自刃する。その後、三成は秀次を「切腹させられた」として辻褄を合せるべく万事執り行った。故に、秀次の死は三成と長堯の計略と噂する者が現れる事となった。
 また、蔚山城の戦で清正を救い出した秀秋が秀吉の不興を買った一件についても、秀吉へ蔚山城の顛末を報告したのは軍監である長堯であった。そして三成は秀秋が秀吉を憎まぬよう、諸将の集まる中全て自身と長堯の計略と声高に言い放った。あの場に居た諸将の内、既に鬼籍となった前田利家と今も病床に伏せている青木一矩を除けば、己に与したのは奉行衆と結果的に目的の一致した上杉景勝のみであったことは無関係では無いだろう。
「何を仰います。私は貴殿に付いて行きたかった。其故に、私は今も此処に居るのです」
 長堯は何かに想いを馳せるよう瞑目した。
「秀秋殿が我らに与したと知った時、私は本当に嬉しかったのです。共に豊家を盛り立てていけると」
 そこまで語ると、長堯は目を開いた。
「しかしこう成った今、私の択ぶべき道は唯一つです。三成殿。貴殿の理想を私は守る」
 長堯の言に、三成の目頭が熱くなる。しかし、出陣の場に涙は不吉。故に三成は涙を呑みこむと、懐より一振りの短刀を取り出し長堯へ差し出した。
「相州正宗の短刀だ、受け取ってくれ」
 長堯は息を呑んだ。相州正宗。名工中の名工である。秀次もまた、この正宗作の短刀で腹を切った。裏を返せば、関白程の高貴な身分にある人物が腹を召す際に使われる程の名刀。それが正宗の刀であった。
「この様な名刀、私には受け取れませぬ」
「良いのだ。お前だからこそ、この刀を持っていて欲しいのだ」
 長堯は深く辞儀をすると、その短刀を受け取った。
「しかと拝領いたしまする」
 そして長堯は真直ぐに三成を見据え、言った。
「ご武運を。義兄上」
 三成は力強く頷き、馬へ跨る。
「関ヶ原へ軍を進めよ!」
 雨の中、その声が朗々と響いた。
 ――例え私が関白様に許されないのだとしても、それでも私は、守るべきものを守ります。
 長堯は唯、短刀を握り締めていた。
 日向正宗。こののち大垣城で起こる出来事により、その短刀は後世こう呼ばれる事となる。

  備前中納言殿 小西摂津守 石田治部少輔 
  大垣を出て関ヶ原へ被参候由 子細ハ筑前中納言殿謀反と風聞候
  仕置きいたすべきとて被出候

 家康の祐筆でもあった医者・板坂卜斎は後に自身の日記『慶長年中卜斎記』にこう記している。
 即ち、家康の軍勢もこの三成らの関ヶ原への進軍をすぐさま察知したのであった。
「ならば、儂らも出ねばならぬな」
「はい。松尾山城を奴らの手に落としては秀秋殿の行いが無為になりまする」
 床几より立ち上がる家康に、高虎が賛意を示す。
「関ヶ原へ出陣せよ!」
 家康が腹よりの大声を響かせる。
 斯くして、南宮山に池田輝政・浅野幸長ら、大垣城に一門の水野勝成を備えとして残し、家康は福島正則・藤堂高虎・黒田長政・細川忠興ら、そして側近の本多忠勝・井伊直政らと共に関ヶ原へと行軍する。
「明日は、九月十五日か」
 独り言か、或いは傍らに立つ僧に話しかけたか、家康はぽつりと漏らした。
「……信康様の御命日で御座いますね」
 傍らの僧――岡野江雪斎は家康の側を向き、答えた。家康が静かに頷く。
「その日が儂の命運を決める日になろうとはな。これもえにしというものか」
 家康が空を見上げる。しかし、曇天の空に月は見えない。
「この戦、信康が居ればな」
 静かに零したその言葉を最後に、家康は口を閉ざした。暫くの沈黙の後、江雪斎は独り言の様に呟いた。
「必ず居られますよ、家康殿」
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