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突然の訪問者
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「テオは腕が立つ騎士だし良い男だけど、貴族じゃない。移民の騎士を婿養子に迎えようなんて申し出は、そうそう無いよ。でも、テオが貴族の婿養子になったら、セシルは一人になってしまう。いずれ結婚しなくちゃいけないんだから、僕が立候補したっていいだろう?」
――テオが私との暮らしよりも貴族の婿養子になる道を取るのは当然の選択で、多少悩んだとしても従妹がその選択を応援するのは当然だ。テオは将来を嘱望された騎士なのだから、貴重な機会を逃す理由はない。
同じように、見目良く生まれた娘にだって、幸運を手にする機会が与えられる。
ドミニクが言いたいのは、つまりはそういうことだ。
そう、私は幸運なのだろう。きっと、誰だってこの申し出を断るはずがないと考える……。
頬を紅潮させて唇を引き結んだ人を見ながら脳裡によぎるのは、母の不幸せな結婚と、入れ替わり立ち替わり商家の店先を彩っては旅立っていく表の彼女たちの笑顔と……あの春の日に、私の心を捕らえた目映い瞳のことだった。
そうして、私の心はひどく配慮のない、愚かなことを考えた。
(この人は、私が若くて綺麗な娘でなかったとしても、同じように言ってくれるのかしら)
(この人は、もし私が亡国の姫だと打ち明けたなら、死ぬまで秘密を守ってくれるのかしら)
自分の醜さを前に、どうしようもなく羞恥がこみ上げる。胸の内側で様々な感情が渦を巻いていて、息が苦しかった。
指先がすくい取られて、そっと唇を押し当てられる。祈るように。
「セシル、君を守りたいんだ。君が移民だとかそういうことは、どうだっていい。君には何不自由ない暮らしをして、刺繍や家政をして楽しく過ごしてほしい」
ドミニクの言葉がゆっくりと胸を刺していく。
良かれと思ってさしだされている言葉だとわかっているのに、私の心は確かに傷ついていた。
「最初はただ、それだけでいいんだ。僕の隣で笑ってくれれば、それで。少しずつ好きになってもらえれば……」
微かに首を振ると、ドミニクが手を引いて、逸らそうとした視線を重ねてくる。
「セシルがテオのことを大切に思っているのは知ってる。でも、こんな機会はめったにないんだから、テオの将来を思うなら送り出してやるべきだ。……ねえ、僕にしなよ」
わかっている。きっと、ここで頷くのが一番収まりがいいのだと。
でも、……でも。私が好きなのは、目の前にいる人ではない。
握られていた手を引くも、森の中で出会ったときからうんと成長したドミニクの力は強く、私の手を離さない。意思のほかで手を取られることが初めてだったものだから、戸惑ってしまう。何度手を引いても、ドミニクは力を緩めないでいる。
「坊ちゃん、いつも気に掛けてくださってありがとうございます。どうか、自分にしておけだなんて、そんな言い方はなさらないでください」
私が断りを入れると悟って、ドミニクは大きく首を振る。
「返事は、今すぐでなくて構わない!」
大声で私の言葉を遮ると、ドミニクは懇願するように両手で私の手を握った。
その強さに驚いて、びくりと震えた膝から箱が浮いた。落ちてしまいそうになった箱を慌てて引き寄せる。
「もっと、時間をかけて考えてほしい。保留でも良い。第二候補でもなんでもいいから……! だって、いつか気持ちが変化することがあるかもしれないだろう? セシルが好きなんだ」
「……ありがとうございます。お気持ちに応えられない私を、どうかお許しください」
何度かお願いすると、ようやく私の手を握っていた力が緩んだ。
馬車に満ちた沈黙の間を縫うように、轍の音が緩やかになる。ゆっくりと道を曲がった馬車の窓から差し込む夕日が馬車の中を染め上げて、木々に遮られて陰った。
夕暮れ時の光を受けたドミニクの瞳は、私を見つめて視線を離さないでいる。まだ諦めていないと告げているかのように。
「テオは、僕がセシルに求婚すると言っても、何も言わなかったぞ。引き留めさえしなかった」
ぞっと深く胸に切り込んできた言葉は、確かな強さでもって私を痛めつけた。
そうして、遠くの方で、幼い頃は王立騎士団に入ると言っていたはずのドミニクが近衛騎士団に進んだのは、テオが先に入団していたからなのかもしれないと思った。
テオからドミニクの話を聞く限り二人の関係は良好だったけれど、ドミニクが比べられたくないと思ってもおかしくないほどには、王立騎士団におけるテオの評価は高かった。それこそ、おじさまの後継者ではないかという噂が立ち、なんとかしてお近づきになりたいと私に頼み込む娘が少なくないほどには。
「それは、そうでしょう。テオはそういう人ですから」
余程の危険がない限り、テオは先回りして私から何かを遠ざけようとはしない。私のことは、必ず私自身に選択を委ねる。彼は少しと言わず過保護だけど、私の世界を知らないところで狭めようとはしなかった。そういう人だから、お人形でなくなった私は安心してそばにいられるのだ。
きっと、私は傷ついた顔を見せてしまったのだろう。
ドミニクはくしゃりと顔を歪ませると、唸るようにごめんと小さく詫びを言った。こんなことを言うはずじゃなかったんだと呟いて。
「先頃、王太子殿下の婚約が破談になっただろう。先方との話し合いのために使節団が来ていて、警護のために、急遽夕方まで一部の区画で通行が止められているらしい。旦那様のご厚意で、上がれる者は早く上がるようにとのお達しだ」
おばさまから夕食に招かれた翌日のこと。
事務所に齎された突然の知らせに、悲喜こもごもの声が入り交じる。仕事を切り上げても日給は変わらないという説明がなされると、尚更落胆の声が増した。
私は夕食の席で、流行病で異国の婚約者を亡くした王太子を憚って、貴族の間で社交を自粛する動きがあるという話を聞いたことを思い出す。ドミニクは主の不幸を嘆いて、そろそろご成婚かと思っていたのにとため息していたものだ。ただのセシルになった私とは縁の無い人だけれど、大変なことだろうと思う。商家でも、近づくご成婚を期待して様々な仕入れをしていたところだった。
帰るには大きく迂回しなければいけない人は残ることになり、私のように然程帰路に影響のない人はありがたく仕事を切り上げることになった。
昼下がりの王都には、通行が制限されてもなお人が行き交い、夕食のための買い物をする女性や学校を終えたのだろう子どもたちの姿も見える。
とどまることなく流れゆく人いきれの中で、たった一人、私だけが当て処もなく途方に暮れているのではないかという気がした。
爪先が惑うままに立ち止まっていたのはわずかな間のことで、不審げなまなざしに押されるようにして、私はふたたび歩き出した。
考えるのは、昨夜の食事会のことだった。
和やかな食事の後、おじさまはテオを書斎に呼んでいた。また仕事の話かしらねと微笑んだおばさまにカードに誘われながら、私は内心いいえと首を振ったものだ。きっと縁談の話です、と。
(テオは、なんと返事をしたのかしら……)
帰りの馬車で何もそんな話は出なかったし、私もドミニクから気持ちを告げられたことを言わなかった。
物思いに耽りながら家の近くまで来たとき、私は瞬いた。
家の前に、一目で貴族のものとわかる白い馬車が停まっている。見慣れたものとは違う紋章に、商家で教え込まれた知識が答えを教えた。
(茨に抗う獅子の紋章――バイルシュミット公爵家のものだわ)
はっと息を呑んだ瞬間、馬車の外に控えていた侍女と視線が合う。
侍女は恭しく馬車の扉を叩き、主に声をかける。軽やかな足取りで降り立ったその人は、侍女がさしかけた日傘の下で淡く微笑んだ。
薔薇色の巻き毛に囲まれた小作りの顔は、ヘルヴェス人らしく目鼻立ちがくっきりとしている。
生まれと日々の暮らしが創りだす面差しには、市井の人々が持ち合わせぬゆとりと艶やかさがあった。
「あなたがセシルね? わたくし、あなたに会ってみたかったのよ!」
お話をしましょう、と微笑んだ彼女は、よく考えるまでもなく――テオを婿養子に求めている貴族の娘にほかならなかった。
――テオが私との暮らしよりも貴族の婿養子になる道を取るのは当然の選択で、多少悩んだとしても従妹がその選択を応援するのは当然だ。テオは将来を嘱望された騎士なのだから、貴重な機会を逃す理由はない。
同じように、見目良く生まれた娘にだって、幸運を手にする機会が与えられる。
ドミニクが言いたいのは、つまりはそういうことだ。
そう、私は幸運なのだろう。きっと、誰だってこの申し出を断るはずがないと考える……。
頬を紅潮させて唇を引き結んだ人を見ながら脳裡によぎるのは、母の不幸せな結婚と、入れ替わり立ち替わり商家の店先を彩っては旅立っていく表の彼女たちの笑顔と……あの春の日に、私の心を捕らえた目映い瞳のことだった。
そうして、私の心はひどく配慮のない、愚かなことを考えた。
(この人は、私が若くて綺麗な娘でなかったとしても、同じように言ってくれるのかしら)
(この人は、もし私が亡国の姫だと打ち明けたなら、死ぬまで秘密を守ってくれるのかしら)
自分の醜さを前に、どうしようもなく羞恥がこみ上げる。胸の内側で様々な感情が渦を巻いていて、息が苦しかった。
指先がすくい取られて、そっと唇を押し当てられる。祈るように。
「セシル、君を守りたいんだ。君が移民だとかそういうことは、どうだっていい。君には何不自由ない暮らしをして、刺繍や家政をして楽しく過ごしてほしい」
ドミニクの言葉がゆっくりと胸を刺していく。
良かれと思ってさしだされている言葉だとわかっているのに、私の心は確かに傷ついていた。
「最初はただ、それだけでいいんだ。僕の隣で笑ってくれれば、それで。少しずつ好きになってもらえれば……」
微かに首を振ると、ドミニクが手を引いて、逸らそうとした視線を重ねてくる。
「セシルがテオのことを大切に思っているのは知ってる。でも、こんな機会はめったにないんだから、テオの将来を思うなら送り出してやるべきだ。……ねえ、僕にしなよ」
わかっている。きっと、ここで頷くのが一番収まりがいいのだと。
でも、……でも。私が好きなのは、目の前にいる人ではない。
握られていた手を引くも、森の中で出会ったときからうんと成長したドミニクの力は強く、私の手を離さない。意思のほかで手を取られることが初めてだったものだから、戸惑ってしまう。何度手を引いても、ドミニクは力を緩めないでいる。
「坊ちゃん、いつも気に掛けてくださってありがとうございます。どうか、自分にしておけだなんて、そんな言い方はなさらないでください」
私が断りを入れると悟って、ドミニクは大きく首を振る。
「返事は、今すぐでなくて構わない!」
大声で私の言葉を遮ると、ドミニクは懇願するように両手で私の手を握った。
その強さに驚いて、びくりと震えた膝から箱が浮いた。落ちてしまいそうになった箱を慌てて引き寄せる。
「もっと、時間をかけて考えてほしい。保留でも良い。第二候補でもなんでもいいから……! だって、いつか気持ちが変化することがあるかもしれないだろう? セシルが好きなんだ」
「……ありがとうございます。お気持ちに応えられない私を、どうかお許しください」
何度かお願いすると、ようやく私の手を握っていた力が緩んだ。
馬車に満ちた沈黙の間を縫うように、轍の音が緩やかになる。ゆっくりと道を曲がった馬車の窓から差し込む夕日が馬車の中を染め上げて、木々に遮られて陰った。
夕暮れ時の光を受けたドミニクの瞳は、私を見つめて視線を離さないでいる。まだ諦めていないと告げているかのように。
「テオは、僕がセシルに求婚すると言っても、何も言わなかったぞ。引き留めさえしなかった」
ぞっと深く胸に切り込んできた言葉は、確かな強さでもって私を痛めつけた。
そうして、遠くの方で、幼い頃は王立騎士団に入ると言っていたはずのドミニクが近衛騎士団に進んだのは、テオが先に入団していたからなのかもしれないと思った。
テオからドミニクの話を聞く限り二人の関係は良好だったけれど、ドミニクが比べられたくないと思ってもおかしくないほどには、王立騎士団におけるテオの評価は高かった。それこそ、おじさまの後継者ではないかという噂が立ち、なんとかしてお近づきになりたいと私に頼み込む娘が少なくないほどには。
「それは、そうでしょう。テオはそういう人ですから」
余程の危険がない限り、テオは先回りして私から何かを遠ざけようとはしない。私のことは、必ず私自身に選択を委ねる。彼は少しと言わず過保護だけど、私の世界を知らないところで狭めようとはしなかった。そういう人だから、お人形でなくなった私は安心してそばにいられるのだ。
きっと、私は傷ついた顔を見せてしまったのだろう。
ドミニクはくしゃりと顔を歪ませると、唸るようにごめんと小さく詫びを言った。こんなことを言うはずじゃなかったんだと呟いて。
「先頃、王太子殿下の婚約が破談になっただろう。先方との話し合いのために使節団が来ていて、警護のために、急遽夕方まで一部の区画で通行が止められているらしい。旦那様のご厚意で、上がれる者は早く上がるようにとのお達しだ」
おばさまから夕食に招かれた翌日のこと。
事務所に齎された突然の知らせに、悲喜こもごもの声が入り交じる。仕事を切り上げても日給は変わらないという説明がなされると、尚更落胆の声が増した。
私は夕食の席で、流行病で異国の婚約者を亡くした王太子を憚って、貴族の間で社交を自粛する動きがあるという話を聞いたことを思い出す。ドミニクは主の不幸を嘆いて、そろそろご成婚かと思っていたのにとため息していたものだ。ただのセシルになった私とは縁の無い人だけれど、大変なことだろうと思う。商家でも、近づくご成婚を期待して様々な仕入れをしていたところだった。
帰るには大きく迂回しなければいけない人は残ることになり、私のように然程帰路に影響のない人はありがたく仕事を切り上げることになった。
昼下がりの王都には、通行が制限されてもなお人が行き交い、夕食のための買い物をする女性や学校を終えたのだろう子どもたちの姿も見える。
とどまることなく流れゆく人いきれの中で、たった一人、私だけが当て処もなく途方に暮れているのではないかという気がした。
爪先が惑うままに立ち止まっていたのはわずかな間のことで、不審げなまなざしに押されるようにして、私はふたたび歩き出した。
考えるのは、昨夜の食事会のことだった。
和やかな食事の後、おじさまはテオを書斎に呼んでいた。また仕事の話かしらねと微笑んだおばさまにカードに誘われながら、私は内心いいえと首を振ったものだ。きっと縁談の話です、と。
(テオは、なんと返事をしたのかしら……)
帰りの馬車で何もそんな話は出なかったし、私もドミニクから気持ちを告げられたことを言わなかった。
物思いに耽りながら家の近くまで来たとき、私は瞬いた。
家の前に、一目で貴族のものとわかる白い馬車が停まっている。見慣れたものとは違う紋章に、商家で教え込まれた知識が答えを教えた。
(茨に抗う獅子の紋章――バイルシュミット公爵家のものだわ)
はっと息を呑んだ瞬間、馬車の外に控えていた侍女と視線が合う。
侍女は恭しく馬車の扉を叩き、主に声をかける。軽やかな足取りで降り立ったその人は、侍女がさしかけた日傘の下で淡く微笑んだ。
薔薇色の巻き毛に囲まれた小作りの顔は、ヘルヴェス人らしく目鼻立ちがくっきりとしている。
生まれと日々の暮らしが創りだす面差しには、市井の人々が持ち合わせぬゆとりと艶やかさがあった。
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