とびくま

犬すぱいらる

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とびくまと月の天使

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 天使ととびくまは、地べたで大の字になり並んで寝ていました。

 山の上にいたクマ達は、とびくまを揺さぶり、広場から来た動物達は天使を揺さぶってふたりは目を覚ました。

「とびくまごめん、ぼくたちのせいでこわい思いさせて、」

 クマ達が、とびくまにあやまります。

「ぼくが、お前たちにひどいことしてきたから、こうなった。
 こうならなきゃわからなかった。
 こわいのはいやだ。
 ほんとうにごめんなさい。」

 とびくまは、クマ達に頭を下げました。

「とびくま、良いともだちだな。」

 天使が、そう言ってニッコリほほえみました。

「と、ともだち?」

 とびくまは、少し気まずいなと思いました。

「とびくま、ともだちになろうよ。」

「君が良いヤツってわかったよ。」

 クマ達がとびくまに言いよります。

「うん、ともだちになる。」

 とびくまが、照れながら、小さい声でつぶやきました。

 それを聞いたクマや、動物たちは、大きな声で歓声をあげました。

 とびくまは、すごくはずかしくて下を向いていましたが、すごくうれしい気持ちでした。

「とびくま、友達の第1号は僕なんだからな!」

「そうだったな天使。
 あ、ありがとう。
 助けてくれて。」

「べ、べつに、
 お前にもらった翼じゃなきゃできなかったから・・・・ありがと。」
 
 気がつけば、空が真っ赤に染まり夕日が世界を見下ろしています。

 とびくまと天使は、お互いの大きさがまったく違う手を握り合い不器用な握手を交わしました。

「暗くなる前に帰るか。」

 夕日をながめながら天使が言いました。

「またな天使、バイバイ。」

「じゃぁな、とびくま。」
 
 とびくまとクマたちは、自分たちの住む森に、天使と小さい動物たちは、コモノの森に、他の動物たちも自分たちのすみかに帰っていきました。

 
 
 
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