エイジヒル妖精譚 〜幽街画廊の由々しき平穏〜

犬すぱいらる

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ネコが来た!

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「良いわよ。」

 営業終了後の夕方のフルエスペースでフルエ・ルエルは簡単に引き受けた。

「良いのか? 実際に見たらデカいしキモいぞ。」

「なっ、何言ってんすか!
 エイさんが、フルエさんに押し付けろって言ったんじゃないですか!」

「確認だよ、確認!」

「良いのよ、はなちゃん。
 自分の養殖池は欲しかったしさ。」

「あ、ありがとうございます。
 ワタシ、池の管理手伝います。 ロッキーがメダカを食べ過ぎ無いように躾けます。」

「ありがとね、ロッキーくんのメダカは、好きなだけ食べて良いよ。」

「何から何まで世話になります。
 あの、あねさんって呼んで良いですか?」

ねえさんて呼んでねぇ。」

「は、姉さんは恥ずかしいのでフルエさんか大将はどうでしょうか?」

「う~ん、じゃあフルエさんかな、慣れたら姉さんでも良いわよ。」

「はい! ワタシめちゃくちゃ嬉しいです! こー言う関係憧れていました。
 ワタシの姉さんで、ロッキーの母さんです!」

「はなちゃんとロッキーくんの姉さんね。」

「フルエ、こいつと話してると調子狂うだろ。」

「私は、楽しいけど」

 フルエは、本気で楽しそうだ。 思えば、慕ってくれる女性思考の友達が欲しかったのかも知れない。

「それにしても、リットル&ガロンには腹が立つわね。」

「あんな店、ワタシが角煮が出来るくらいふにゃふにゃに圧力かけて懲らしめてやりますよ!」
 
「お前には無理だろ。」

「所長に言えばなんとか。」

「はなちゃん、ロッキーくんの事がバレちゃうわよ。」

「あ!」

「はなちゃん、リットル&ガロンには私も恨みがあるのよ。」

「何と!」

「以前、あの店に食事に行った事があってね、店に入るなり、フルエスペースのフルエってバレてね、別に隠すつもりは無かったのよ。
 若メダカのムニエルが、凄く食べたくってさ、するといきなりスパイ扱いされてさ、つまみ出されたのよね。」

「酷い! リッガリットル&ガロンには報いを!」

「馬鹿、興奮するなよ。
 繁華街のフルエがライバル視されてるんだ。 ある意味痛快だろ。」

「痛快なわけ無いでしょ。
 あの時の客の視線とか笑い声、店員の冷たい目、思い出しただけで最悪。」

「アレですよ。 アレ、バンシィーニアタイするですよ!」 

「フルエ、料理人なら料理で勝負しろ!
 はなまる、お前の目的はロッキーを守る事だろ! ブレるなよ。」

「べ、別に復讐とか考えてないし」

「エイさん、リッガの味は大したことないです。
 メダカ小さいし、あそこ客に満足してもらうために、気持ちを酔わせるお香を炊いてるんです!」

「#____#か!」

「はなちゃん、それ本当?」

「本当ですよ。
 けど、違反してないから良いんです。
 味じゃないんですリッガは、フルエさんと同じ土俵では戦えないんです。」

「流石は組合員、何でも知ってるのね。」

「いえ、リッガが池を手放す時にうちの所長が担当になったんです。
 仕事自体はワタシに丸投げしましたが。」

「それで、リッガに詳しいのね。」

「はい、フルスペの方が美味しいです。」

「ありがとう。」

 ルーン ルーン ルーン

「おっと!」

 8703はなまるは、チラッとエイジヒルを見てからポケットから大袈裟に発信器らしき物を取り出しクルッと回転
して発信器を耳にあてた。

「もしもし、こちらNo.8703ぞーぞ。
 え、ネコ、ネコですか!
 北の森ですか、
 持ち場にて待機ですと!」

「は、はなちゃん、ネコ・・・来るの?」

「はい、調査隊の情報だと、後10分ほどで街に来ます。」

「おい、そのガジェット見せてくれ。」

「ダメですよ! 玩具じゃないんですから!」

「お願い。 一生のお願いだ。」

 エイジヒルは、ネコよりも目の前の謎ガジェットが気になって仕方がなかった。

 ネコの来訪は、人間で言うところの台風に近い。

 台風と違うのは、ネコが意志の持った生物というところだ。
 動物であるが故、その行動は予測できないし、性格によって被害状況も違う。

 被害にあう建物は、木等の実物素材で出来た建物の他、そのネコが感知出来る建物と妖精だ。

 だが、妖精が食べられることはまず無い。 故にお祭り騒ぎが好きな妖精はネコ騒ぎが好きでネコが、建造物を壊すのを見物する為に街は、大混雑となる。

 たまらないのは、壊される建物の所有者だが、木の組合の組合員も交通整理やら警備の他、ネコを元の世界に帰す作戦会議とかなり忙しい。

「はなちゃん、ネコここに来るかな?」

「繁華街は、食べ物の匂いもしますが、彼らの嫌いなスパイスの匂いもしますから」

「フルエの店は、魚の匂いをプンプンさせてるからヤバいよな。」

「!・・・怖いわ、ネコは初めてなのよ私。」

「安心してください。
 ワタシが責任を持ってフルエさんを守ります。
 組合の仕事を都合良く解釈して徹底的にあなたを守ってみせます。」

 エイジヒルは、どこからツッコむべきか迷ったが、8703はなまるの真剣な表情にツッコむのをためらった。

「とりあえず幽街画廊に行こう。
 あそこも実物建築だけど、ここよりは狙われないだろう。」

「そうですね。
 さぁ、フルエさん行きましょう。」



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