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第二十九話
しおりを挟む午前の競技は借り物競争の後にあった玉入れをもって終わりを告げた。
「これより昼食の時間に入ります。校内駅伝に出る選手は一時半までに入場口に集合しておいてください」
アナウンスの後、テントの中で椅子に座っていた俺の右肩を誰かが触れた。触れた方を見ると真奈美が立っていた。その後ろには耀太も立っている。
「お昼行こう?」
「そうだな」
耀太と真奈美と肩を並べながら弁当の置いてある教室に向かった。
教室に戻るとすでに多くの生徒が戻っていた。そのみんなの会話の内容は運動会のこと。あの子があーだった、この子がこーだった、そんな出来事ばかり。
俺と耀太は席につき、真奈美は弁当を持って俺の前の空いた椅子に腰を折りした。弁当箱は俺の机に置いて向かい合っている。耀太はこっちに来ることなく、自分の机に弁当を置いて体だけをこっちに向けている。
「いただきます」
軽く合掌して弁当箱を開ける。二人も同様に弁当を開けた。
「終わったな・・・」
弁当が食べ終わるころ、お和子の入った弁当を持って真奈美が外を眺めながら言った。
真奈美の視線を追うように俺も外を見る。グランドには今もテントが円を描くように並べられていたり、白い白線が綺麗に直線を描いたりしている。
「まだ終わってないぞ」
外を見ながら言うと真奈美は首を振った。
「終わったよ。勝敗のどうのこうのじゃなくて、私の仕事は」
「まぁそうだな」
そういう意味では確かに俺も終わったと言えるのだろう。午後の競技には参加しない。ただひたすら応援に徹するだけ。
「暇だな~」
真奈美は弁当箱を置いて溜息混じりに言った。
「いいんじゃね」
さっきまでほとんど会話に参加していなかった耀太が会話に入って来た。
「運動会で競技に出るのは楽しいけど、疲れる。それに俺らが出るより適している奴らが出る方がいいに決まっているだろ」
「勝つならね。でも楽しみたいよね、思う存分」
「なら夏休みにでも綾人にでもどこかスポーツのできるところに連れて行ってもらえよ」
「そっか!」
耀太の方を見ていた視線を正面にいる俺に向ける。目はキラキラ光っている。期待の眼差し?いや、日光が反射しているのだろう。
高校に入って体を動かすと言えば体育の時だけでそれ以外ではない。部活に入っていれば別だろうけど。
「たまにはそういうのもいいかもな」
「じゃあ行こう」
「耀太はどうだ?」
「俺はいいや、夏季講習があるからな。二人で行って来い」
「そっか、そうりゃ残念だな」
会話がひと段落するとアナウンスがグランドから聞こえて来た。
「まもなく一時二十分になります。生徒の皆さんはグランドに集合してください」
アナウンスを聞いてみんなが席を立ち教室を出て行く。
「よし、行きますか」
俺の言葉を合図にして二人も立ち上がる。そのまま来たときのように三人揃ってグランドに向かった。
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