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第三十一話
しおりを挟む「はぁ~あ」
静かで落ち着く自分の部屋に枕に顔を埋めた私の溜息が響く。
結局綾人に告白する事はなかった。
いや、してもよかったんだよ!本当だよ!でも綾人と出かけることになったし、今日告白して振られて、その話がなしになるのは嫌だったから。
「でもな~・・・」
枕から顔を少し上げる。
本当は少し後悔している自分がいる。今日まで告白するために心の準備もして来た。セルフも何度も想像の綾人に向かって言い続けて来た。体育倉庫に誘う段取りも決めていたりした。
それをあっさりボツにした。ここ数日の努力を自分で無駄にしてしまった。
「夏休みか」
遊びに行く日時などはまだ決めていない。というか決める必要性もあまり感じていない。家が隣だし、なんなら毎日綾人に部屋に・・・。
そこまで考えて私の思考は停止した。
「綾人の部屋か~、懐かしいな」
綾人の部屋には長いこと行っていない気がする。小学の頃は毎日のようにお互いの部屋に上がって遊んでいた。時には宿題を二人で終わらしたりもしたっけ。
中学からかな?お互い別の友達と遊ぶ方が多くなって、二人だけで遊ぶことが減ったのは。
高校になってからは前に綾人が見舞いに来てくれたときぐらいかな。急だったから部屋は汚かったし、あの時は本当に後悔したな。日頃から綺麗にしておけばよかったって。今は綺麗を保っているよ。またいつ綾人が来てもいいように。
「・・・夏休み・・・宿題・・・部屋・・・二人・・・」
思い出に浸っているといろんな口実を思いついてしまう。隣だからってなんの理由もなく部屋に入るのはさすがに変だと思う。なら口実が必要になる。
「夏休み入ったら宿題持って綾人の部屋に行こうかな?」
もうすぐ始まる夏に想いを馳せながら少し早いけど部屋の電気を消した。
「夏休みになっちゃうな」
風呂のお湯を肩まで浸かりながら遅いお風呂に入っている。
運動会は何事のなく進行して私のやる事は無事に終わった。でも代わりに先輩と話す時間を全て持っていかれてしまった。
ちゃんと話せたのなんて片付けの短い時間だけ。お昼に誘うつもりだったのに先輩はクラスの人とどこかに行っちゃったし・・・。
そこまで思い出したところでふと違和感を感じたい。
先輩と一緒にどこかに行ってしまったメンバーの一人に。
「あの人って」
ポニーテールの後ろ姿だったけど間違いなくあの人だった。先輩の競技中に祈るような、心配するような顔で競技を見ていた人。
「誰なんだろう?」
名前もクラスも分からないその人のことが急に頭から離れなくなってしまった。
風呂をあがった後も考えれば考えるほど嫌な方向に答えが出てします。
「きっと先輩のこと・・・好き、だよね」
言葉にすると胸がちくりと痛む。今まで私以外に先輩のことが好きな人のことを考えた事はなかった。
今思うと当然なのかもしれない。先輩、誰にでも優しくしていそうだし。初めて会った私ですら助けるような人だもんね。
そう思いと焦りを感じてしまう。もしかすると私の知らないだけで他にもって可能性もあるわけだし、あの人がもうすぐ告白しようとしているかもって可能性も・・・。
「ふん!」
考えながら布団に顔から倒れ込むと変な声が出てしまった。
「どうしよう?」
そのままの状態で寝落ちするまで私はひたすら今度について考えた。
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