Lily connect

加藤 忍

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期末テスト

第十二話

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 席を取っていたカウンター席に着くと椅子の上に置いていた鞄を下に置いて席に着いた。トレーは私と楓の丁度間ぐらいに置いた。距離を置きたいからではなく、ただ単純にポテトやドリンクがお互いに取りやすいようにしただけ。

 私たちはすぐに鞄からノートと教科書を取り出した。それぞれ別々の科目、今日はなにをすると決めていないのでそうなる。

「分からなかったら教えてね」

「わかった、私の方もね」

「了解」

 お互いに短い会話を済ませてから早速取り掛かった。私は国語、楓は社会。正直社会は教えることはない。分からなければ教科書を見た方が早い。私の方も同じようなもの。分からない漢字や言葉はグーグル先生に頼った方が早い。

 というわけでお互い静かに勉強をしていた。ポテトを口に運んだり、ジュースを飲んだり、分からない問題に少し唸ってみたり・・・。

 これでは家でしているとのと同じ。

 そんな長々と続いた沈黙を楓が破った。楓にはこの沈黙が苦手らしい。私は好きなんだけどな。

「ねぇ遥華?」

「なに?」

 教科書を見てペンを走らせながら返事をする。横目で楓の手がドリンクやポテトの間から止まっていることが見える。。

「遥華の頼んだシェイク美味しい?」

「私は好きかな」

 ストロベリーとクランベリー、ラズベリーにブルーベリーだったっけ?マックシェイクによくある飲んだ後の口に残るドロッとした感覚がなく、さっぱりとしている。味にも飽きない。これが期間限定か、いつかもう一回は飲みに来ようかな。

 楓は私の答えにうーんと唸りながら何かを考えている。それが勉強でのことでないことだけはなんとなくわかった。

 楓の考えごとはすぐには決まらなかった。私が国語の範囲の漢字を一通り書き終えて、次に答えを隠して描こうとするまで唸りっていた。

「遥華、一口ちょうだい」

「シェイク?」

 聞くと楓はすぐに首を縦に振った。

「楓、さっきから悩んでいたのってこれ?」

 自分のシェイクを少し持ち上げてから聞いてみた。楓はあはははと苦笑する。

「自分で買って来ようかと思ったんだけど、今人多いし、並ぶ時間が面倒だなって。でも飲んでみたいなぁ、って」

 そんなことで悩んでいたのかと少し呆れてしまう。私の気持ちは顔にも出ているだろう。

「いいよ、飲んでも」

「ありがとう」

 楓は感謝の言葉を言いながら颯爽と私のシェイクを取るとストローを口に入れた。白いストローが楓の引力で吸い込まれるシェイクの色に染まっていく。淡いピンク色。春限定の桜シェイクに似てるだろうか。あれは確かさくらんぼだったと思う。あれはあれで美味しかった。

 楓は私のシェイクを満足するまで味を堪能してからストローを外した。

「美味しいね、これなら私も一緒に頼めばよかった」

「人が減ったら行って来たら?」

「そうする・・・」

 後ろのレジに並ぶ人を見てから楓の方を見た。楓は私のシェイクを片手で持ったままストローを凝視している。

「楓?」

「・・・す」

「なに?」

「間接キス・・・だね」

 はい、と笑顔を見せながら楓はシェイクをトレーに置いた。私もついそっちに目がいった。

「よーし続きやるぞ!」

 楓は大きく背伸びをしてからペンを取った。まるで何事もなかったように。

 関節キス・・・。言われてみるとそうだなと思った。私は何にも考えず楓にシェイクを渡した。楓はそのことをわかっていたのではないか。わかっていて・・・。

 考えれば考えるほど体が熱くなってきた。室内はエアコンで涼しくなっているのに。急に喉が渇いてくる。

 私は飲み物にそっと手を伸ばした。そのままストローを咥える。喉が冷たさを感じ取ってくれる。室内より冷たいものが私の体を冷ましていく。そしてベリーの甘い味が口いっぱいに広がっていく。

 ストローを外すと意外とあっけなかった。私が思っていた関節キスとはなんだか違ったのだ。好きな人を意識して味がわからなくなったり、ストローを口に咥えるのに躊躇すると思っていた。

 でもそうはならなかった。私の意識は正常で、脳はすぐに勉強モードに切り替わった。

 それから日が暮れるまで勉強は続いた。楓は結局四種のベリーを買うことはなかった。



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