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第九章 日常
第九章ー③
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浴室を出るとすぐに、そこが見慣れた自分の家の脱衣所だということに違和感をおぼえるほど、普段とは全く違う世界を堪能させてもらった。
ユウヤはこんな体験をさせてくれた二人の妻に感謝をし、服を着る。
そして居間に戻ってソファーでしばらく寛いでいると、ユウヤは視界が少しずつ歪んでいくことに気づいた。
眼鏡が近くにあることを確認し、目が完全に落ち着いてからそれを掛ける。
「ははっ。これで、セリーナとシルフィとはお別れだな」
おそらく、耳にかけた魔法も効果を失っているはずだ。
ユウヤが、ほっとしたような、残念なような気持ちを味わっていると、ファリアとリナが浴室から出てきた。
二人に感謝の言葉を述べようとしたユウヤだったが、そこで違和感に気づく。
それは、結婚してこの方、初めて直面する問題だった。
お風呂場での激しいプレイを終えて、今日は三人で仲良く眠るだけだとユウヤは思っていた。
だが、ここで思わぬ問題が発生した。
お風呂上がりから、こうして巨大ベッドの置いてある寝室に行くまでの間、ずっとリナが不機嫌なのだ。
心配になって、何度もユウヤとファリアが声をかけたが、リナはプイッと目をそらしてしまう。
普段は温和で人懐っこいリナがこんな反応をするのは初めてで、ユウヤ達はどうしたものかと困り果てる。
ただ、どうやら怒っているというよりは、拗ねているように思える。
しばらく考えたのだが、ユウヤにはリナが何を不満に思っているのかわからない。目で合図を送ってファリアに尋ねてみても、彼女にも心当たりがないようだ。
何が理由なのか考えていても埒が明かないことに気づき、ユウヤはリナにもう一度声を掛ける。
「リナ。その、機嫌を直して貰えないかな?」
ユウヤは叱責するではなく、優しく声をかけたのだが、リナはその言葉に、大粒の涙を零し始める。
「りっ、リナ……。なっ!」
驚くユウヤに、リナが突然抱きついてきた。
その行動を全く予想していなかったユウヤは、その勢いにベッドの上に押し倒されてしまう。
「……ユウヤさん。わっ、私では駄目ですか? 私ではユウヤさんの妻として不足なのですか?」
ユウヤに覆いかぶさり、リナは息のかかる距離まで顔を近づけて質問を投げかけてくる。
「そっ、そんなこと、あるわけないじゃないか。僕は君が妻になってくれて、本当に幸せだと思っているんだ。とても優しくて、何事にも一生懸命頑張ってくれて、皆のために心を砕いてくれる。そして、こんなにも可愛い君に不満に思うことなんてないよ」
ユウヤは事実を口にしたのだが、リナは泣き止まない。
「嘘です! ユウヤさんは、私がシルフィの時の方が嬉しそうでした。とても満足そうでした!」
リナのそう続いた言葉に、鈍感なユウヤも流石にリナの心情を察することが出来た。
「リナ、ですがあれは……」
それはファリアも同じようで、リナを諭そうと声をかけるが、リナは泣きながらイヤイヤと首を横に振る。
「わっ、分かっています。あのシルフィは、私がそのままでは恥ずかしいと言ったので、ファリアさんが知恵を絞って作ってくれた存在だということは。
ですが、私はやっぱりリナです。ユウヤさんには、この本当の自分を好きでいてほしいのです。あんな偽りの存在の方が、ユウヤさんに喜んで頂けるなんて、悲しいです……」
リナの気持ちは痛いほどユウヤに伝わった。
思い返してみると、先程の風呂場での行為の最中も、リナの演じるシルフィは、自分が普段より興奮したところを見せる度に、面白くなさそうな顔をしていたのではなかっただろうか?
「リナは、ずっとシルフィにヤキモチを焼いていたんだな」
ユウヤは心の中でそう呟き、泣きじゃくるリナの頬を右手で優しく撫でて、空いていた左手をリナの頭の裏に回して引き寄せる。そうやって自身に彼女を乗せてから、優しく唇を重ね合う。
「あっ、んんっ……」
リナが好きな啄む口づけを繰り返しながら、ユウヤは自分がどれほど彼女を愛しているのかを行動で伝えた。
やがて長い口づけを終えると、リナは「ごめんなさい、ごめんなさい」とユウヤに何度も謝る。
だが、ユウヤは優しく彼女の頭を撫で続け、
「君は悪くないよ。寂しい気持ちや悲しい気持ちを、分かってあげられなくてごめんね」
そう言って、ただ優しく愛しい妻を慰め続けた。
しばらく時間を置いて、リナは完全に落ち着きを取り戻した。それを見計らって、今まで黙っていたファリアもリナに頭を下げる。
「すみませんでした、リナ。貴女の気持ちを考えずに、私は……」
心から謝罪するファリアに、リナは首を小さく横に振る。
「ファリアさん、どうか頭を上げて下さい。私も自分がこんな風になるなんて思いもしていませんでした。
……私の方こそすみませんでした。ユウヤさんの私達に対する思いやりへの感謝の気持ちとして、せっかくファリアさんが考えてくださったことでしたのに」
リナも申し訳無さそうに頭を下げる。
なんとも言えない気まずい雰囲気になってしまったが、やがてリナがその空気を払拭すべく口を開いた。
「その、ユウヤさん。先程頑張られて、お疲れと思いますが、どうか私とファリアさんに、お礼をさせて下さいませんか?」
「えっ? お礼?」
ユウヤのオウム返しの問に、リナは「はい」と頷いた。
「私もファリアさんも、今朝、ユウヤさんから素敵なプレゼントを頂いて、感激していたのです。普段から良くして下さっているだけでなく、そのような贈り物をして下さる、優しい旦那様になにかお返しをしたいと思っていました」
リナはユウヤにそう言ったかと思うと、ファリアの方を向いて、彼女に微笑みを向ける。
「ファリアさん。私と一緒に、ユウヤさんに感謝の気持ちを伝えて下さいませんか? セリーナさんとシルフィよりも、ファリアさんと私のほうが、ずっとユウヤさんを愛しているのだと、ユウヤさんに分かって頂けるように」
リナの提案に、ファリアは笑顔で頷いた。
「ええ。貴女の言うとおりですね。娼婦などよりも、私達の想いの方がずっと強いことを分かって頂く事としましょう」
今日はもう眠るだけだと思っていたユウヤは、自分に向けられる二人の妻の満面の笑みに冷や汗を垂らす。
すでに体は疲れ切っているし、今から再び二人が満足できるほど頑張れる精力が残っていない。
だが、ここで妻たちの期待を裏切ることが不義理この上ないことは分かる。
「うっ、うん。大丈夫だ、きっと。明日は休みだし……」
だから、ユウヤはなんとしても二人の要望に応えたいと考え、
「これも、夫の努めだな……」
ユウヤは心の内で覚悟を決めて、二人の妻のお礼を真っ向から受けることにした。
結果として、ユウヤは精根尽き果てて、翌日の昼過ぎまでベッドから起き上がる事が出来なかったのだが、それは些細なことだろう。
そのことで、円満な家庭が守られたのだから。
◇
満ち足りた気持ちで目を覚ましたリナは、自分たちのために限界まで頑張ってくれた夫を起こすことのないように、ファリアと一緒にベッドを抜け出して、まずは湯浴みをする。
その後朝食の準備をするのだが、リナは最近手に入れた料理本に載っていたスタミナ料理を作ってみようと思い、本のある自室に戻った。
後は目的の本を持ち出すだけだったのだが、リナはそこで異変に気づく。
「ほっ、本が、光って……」
書棚に保管してある本の一冊が光を放っている。何の本かと近寄ってみると、以前『お役目』に出発する際に、先輩シスターのエリーから手渡された手作りの本だった。
リナは万が一のことを想定し、部屋を出てファリアに事情を話してから対応することにした。
そして、このことをきっかけに、リナとファリアはこの世界の残酷な仕組みを知ることとなる。
残された時間はもう僅か。
けれど、ユウヤ達には、ここでこの世界の秘密が明示されることとなる。
切羽詰まっているとはいえ、限界ギリギリのところで、選択する自由が与えられた。
だが、この自由を得たことで、ユウヤ達は幸せな『日常』を失ってしまうのだ。
ユウヤはこんな体験をさせてくれた二人の妻に感謝をし、服を着る。
そして居間に戻ってソファーでしばらく寛いでいると、ユウヤは視界が少しずつ歪んでいくことに気づいた。
眼鏡が近くにあることを確認し、目が完全に落ち着いてからそれを掛ける。
「ははっ。これで、セリーナとシルフィとはお別れだな」
おそらく、耳にかけた魔法も効果を失っているはずだ。
ユウヤが、ほっとしたような、残念なような気持ちを味わっていると、ファリアとリナが浴室から出てきた。
二人に感謝の言葉を述べようとしたユウヤだったが、そこで違和感に気づく。
それは、結婚してこの方、初めて直面する問題だった。
お風呂場での激しいプレイを終えて、今日は三人で仲良く眠るだけだとユウヤは思っていた。
だが、ここで思わぬ問題が発生した。
お風呂上がりから、こうして巨大ベッドの置いてある寝室に行くまでの間、ずっとリナが不機嫌なのだ。
心配になって、何度もユウヤとファリアが声をかけたが、リナはプイッと目をそらしてしまう。
普段は温和で人懐っこいリナがこんな反応をするのは初めてで、ユウヤ達はどうしたものかと困り果てる。
ただ、どうやら怒っているというよりは、拗ねているように思える。
しばらく考えたのだが、ユウヤにはリナが何を不満に思っているのかわからない。目で合図を送ってファリアに尋ねてみても、彼女にも心当たりがないようだ。
何が理由なのか考えていても埒が明かないことに気づき、ユウヤはリナにもう一度声を掛ける。
「リナ。その、機嫌を直して貰えないかな?」
ユウヤは叱責するではなく、優しく声をかけたのだが、リナはその言葉に、大粒の涙を零し始める。
「りっ、リナ……。なっ!」
驚くユウヤに、リナが突然抱きついてきた。
その行動を全く予想していなかったユウヤは、その勢いにベッドの上に押し倒されてしまう。
「……ユウヤさん。わっ、私では駄目ですか? 私ではユウヤさんの妻として不足なのですか?」
ユウヤに覆いかぶさり、リナは息のかかる距離まで顔を近づけて質問を投げかけてくる。
「そっ、そんなこと、あるわけないじゃないか。僕は君が妻になってくれて、本当に幸せだと思っているんだ。とても優しくて、何事にも一生懸命頑張ってくれて、皆のために心を砕いてくれる。そして、こんなにも可愛い君に不満に思うことなんてないよ」
ユウヤは事実を口にしたのだが、リナは泣き止まない。
「嘘です! ユウヤさんは、私がシルフィの時の方が嬉しそうでした。とても満足そうでした!」
リナのそう続いた言葉に、鈍感なユウヤも流石にリナの心情を察することが出来た。
「リナ、ですがあれは……」
それはファリアも同じようで、リナを諭そうと声をかけるが、リナは泣きながらイヤイヤと首を横に振る。
「わっ、分かっています。あのシルフィは、私がそのままでは恥ずかしいと言ったので、ファリアさんが知恵を絞って作ってくれた存在だということは。
ですが、私はやっぱりリナです。ユウヤさんには、この本当の自分を好きでいてほしいのです。あんな偽りの存在の方が、ユウヤさんに喜んで頂けるなんて、悲しいです……」
リナの気持ちは痛いほどユウヤに伝わった。
思い返してみると、先程の風呂場での行為の最中も、リナの演じるシルフィは、自分が普段より興奮したところを見せる度に、面白くなさそうな顔をしていたのではなかっただろうか?
「リナは、ずっとシルフィにヤキモチを焼いていたんだな」
ユウヤは心の中でそう呟き、泣きじゃくるリナの頬を右手で優しく撫でて、空いていた左手をリナの頭の裏に回して引き寄せる。そうやって自身に彼女を乗せてから、優しく唇を重ね合う。
「あっ、んんっ……」
リナが好きな啄む口づけを繰り返しながら、ユウヤは自分がどれほど彼女を愛しているのかを行動で伝えた。
やがて長い口づけを終えると、リナは「ごめんなさい、ごめんなさい」とユウヤに何度も謝る。
だが、ユウヤは優しく彼女の頭を撫で続け、
「君は悪くないよ。寂しい気持ちや悲しい気持ちを、分かってあげられなくてごめんね」
そう言って、ただ優しく愛しい妻を慰め続けた。
しばらく時間を置いて、リナは完全に落ち着きを取り戻した。それを見計らって、今まで黙っていたファリアもリナに頭を下げる。
「すみませんでした、リナ。貴女の気持ちを考えずに、私は……」
心から謝罪するファリアに、リナは首を小さく横に振る。
「ファリアさん、どうか頭を上げて下さい。私も自分がこんな風になるなんて思いもしていませんでした。
……私の方こそすみませんでした。ユウヤさんの私達に対する思いやりへの感謝の気持ちとして、せっかくファリアさんが考えてくださったことでしたのに」
リナも申し訳無さそうに頭を下げる。
なんとも言えない気まずい雰囲気になってしまったが、やがてリナがその空気を払拭すべく口を開いた。
「その、ユウヤさん。先程頑張られて、お疲れと思いますが、どうか私とファリアさんに、お礼をさせて下さいませんか?」
「えっ? お礼?」
ユウヤのオウム返しの問に、リナは「はい」と頷いた。
「私もファリアさんも、今朝、ユウヤさんから素敵なプレゼントを頂いて、感激していたのです。普段から良くして下さっているだけでなく、そのような贈り物をして下さる、優しい旦那様になにかお返しをしたいと思っていました」
リナはユウヤにそう言ったかと思うと、ファリアの方を向いて、彼女に微笑みを向ける。
「ファリアさん。私と一緒に、ユウヤさんに感謝の気持ちを伝えて下さいませんか? セリーナさんとシルフィよりも、ファリアさんと私のほうが、ずっとユウヤさんを愛しているのだと、ユウヤさんに分かって頂けるように」
リナの提案に、ファリアは笑顔で頷いた。
「ええ。貴女の言うとおりですね。娼婦などよりも、私達の想いの方がずっと強いことを分かって頂く事としましょう」
今日はもう眠るだけだと思っていたユウヤは、自分に向けられる二人の妻の満面の笑みに冷や汗を垂らす。
すでに体は疲れ切っているし、今から再び二人が満足できるほど頑張れる精力が残っていない。
だが、ここで妻たちの期待を裏切ることが不義理この上ないことは分かる。
「うっ、うん。大丈夫だ、きっと。明日は休みだし……」
だから、ユウヤはなんとしても二人の要望に応えたいと考え、
「これも、夫の努めだな……」
ユウヤは心の内で覚悟を決めて、二人の妻のお礼を真っ向から受けることにした。
結果として、ユウヤは精根尽き果てて、翌日の昼過ぎまでベッドから起き上がる事が出来なかったのだが、それは些細なことだろう。
そのことで、円満な家庭が守られたのだから。
◇
満ち足りた気持ちで目を覚ましたリナは、自分たちのために限界まで頑張ってくれた夫を起こすことのないように、ファリアと一緒にベッドを抜け出して、まずは湯浴みをする。
その後朝食の準備をするのだが、リナは最近手に入れた料理本に載っていたスタミナ料理を作ってみようと思い、本のある自室に戻った。
後は目的の本を持ち出すだけだったのだが、リナはそこで異変に気づく。
「ほっ、本が、光って……」
書棚に保管してある本の一冊が光を放っている。何の本かと近寄ってみると、以前『お役目』に出発する際に、先輩シスターのエリーから手渡された手作りの本だった。
リナは万が一のことを想定し、部屋を出てファリアに事情を話してから対応することにした。
そして、このことをきっかけに、リナとファリアはこの世界の残酷な仕組みを知ることとなる。
残された時間はもう僅か。
けれど、ユウヤ達には、ここでこの世界の秘密が明示されることとなる。
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