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プレリュード
③ 『朝食とお寝坊さん』
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心から楽しめる食事というものは難しいとマリアは思う。
ただ料理が美味しいだけではなく、その時の体調や一緒に食事をする相手、気温や気候。なにより雰囲気が大事である。
……それは知っていたが、今日ほどそう思ったことはない。
マリアは侍女のメイが途方も無い手間を掛けて作ったであろう三色のパスタ料理を味わいながら、ものすごく気まずい気持ちになっていた。
いや、このパスタは絶品である。一枚の皿の上に、普通の淡い黄色のパスタの他、野菜を練り込んだらしき緑とほんのり赤いパスタが綺麗に盛り付けられ、見た目にも鮮やかだ。
そして、それらに合わせたソースも三種類掛けられており、どれも素晴らしい味だ。そして、やったらまず間違いなく怒られるのでやらないが、きっとこのソース全てを混ぜて食べても、味の調和が崩れることなく、それどころか更に美味しくなるであろうことは容易に想像できる。
きっと侍女たちは、後でこの三つのソースを合わせたものを三色のパスタにかけて食べるのだろう。人の目を気にしないでいいから。
まったく、自分達だけずるいと思う。
「……メイ。その、とっても美味しいわよ、このパスタ」
口うるさい年配の侍女長が席を外したので、マリアは頑張って笑顔で話しかける。
するとメイは、凄みのある笑顔をこちらに向けて「ありがとうございます」と事務的な声でお礼を返してくる。
メイは笑顔を浮かべている。きっと、後で顔の筋肉が後でひきつるのではと思うくらい笑顔を作って、それを貼り付けている。内心ではこの上なく怒っていることが、容易に想像できた。
「……セレクト先生。よりにもよって今日、寝坊するなんて……」
マリアはそう心のなかで嘆く。
そして彼女は、自分の向かいの席に置かれた、冷め始めてしまった手つかずのパスタ皿を見て、嘆息せざるを得なかった。
本来、主人が使用人と一緒に食事をすることはない。
だが、来客用の長いテーブルで一人食事をすることを嫌ったマリアが、わがままを言って小さなテーブルを用意させて、セレクトという家庭教師の先生と一緒に食べるのが日課になっているのだ。
だが、今日だけは、一人で長テーブルで食べている方が気が楽だっただろうと思う。
「し、メイ。セレクト先生、今日は遅いわね……」
触れてはいけない話題だというのは分かっていたが、触れないわけにも行かず、マリアは緊張した面持ちでメイに話題をふる。
「……そうですね。部屋に鍵をお掛けになられておりまして、三回も起こしに伺ったのに、一向に起きてこられる様子がありません」
溢れ出る怒気を完全には抑えられず、彼女は満面の笑顔のままそれを放つ。
怖い。怖すぎる。
マリアは絶品のパスタを食べながらも、それを楽しむ気持ちよりも、一刻も早くセレクト先生が来てくれることを切に願う。
けれど、彼がやってきたのは、マリアがパスタを全て食べ終わる頃だった。
走るではなく、ギリギリ早足の範囲で息を切らせてマリアの前にやってきたその男性は、二十代半ばくらいで深いブラウンの髪色の男性――セレクトだった。
それなりに整った顔立ちではあるのだが、どこか抜けていそうな……もとい、親しみを持ちやすそうな柔らかな雰囲気の中肉中背の男性。
メガネを掛けているが、伊達であるらしい。これは、少しでも年相応の威厳を出したいがためだと以前話してくれていたが、今、最低限の身だしなみを整えて入るものの、髪に寝癖が残ったその姿は、威厳とは程遠い。
「おっ、おはようございます、マリア様。すみません、寝坊してしまいました……」
セレクトは、息を切らせながら、主人であるマリアに謝罪をしてくる。
それは正しい行いだ。まず第一に主人に対して非礼を詫びるのが筋だろう。だが、彼の謝罪はそこで終わってしまう。
マリアは少々呆れ気味なだけだが、彼が今日、寝坊した事を怒る存在が彼女の側に控えていることに気づいていない。
「……おはようございます、セレクト先生」
「んっ? ああ、おはよう、メイ」
笑顔でこそあるものの、明らかに不機嫌であるメイに対して、セレクトは悪びれた様子もなく、笑顔で挨拶を交わす。
正直、それを見ているマリアの方が胃が痛くなってきそうだ。
だが、そんなセレクトも、自分の席についてすっかり冷めてしまった手の混んだパスタ料理を見て、自らの過ちに、罪に気づいたようで、だらだらと冷や汗をかき始める。
普段は時間通りに、いや決められた時間の十分前には行動するセレクトのたまの寝坊だ。マリアは軽く注意はしようと思うが、大事にするつもりはない。だが、今重要なのは彼女の気持ちではない。
「セレクト先生。今朝のメニューは、先生が一度是非食べてみたいと仰っておられた、私渾身のパスタ料理ですわ。
ええ、ええ。自分で言うのもおこがましいですが、朝早くから手間ひまをかけて作った珠玉の一皿です……」
視線を伏せ、低い声でメイは料理の解説をする。その言葉を聞き、セレクトの顔から血の気が引いていく。
「昨晩、明日の朝食は、頑張って先生のリクエストに応えてみせますと、私、言いましたよね?」
「……うっ、うん」
セレクトは青ざめた顔で頷く。
「ただ、先生がお寝坊さんでしたので、すっかり冷めてしまいました。でも、大丈夫ですよ。すぐに代えの皿をお持ちしますから。
その愛情をたっぷり込めて作った一皿は、ゴミ箱にでも棄てますので」
「いや、その、大丈夫だよ。これを頂きます……」
「いいえ、そんな。気になさらないで下さい。昨日の晩から仕込んでおいて、セレクト先生が喜ぶ顔を想像しながら、今朝早くから眠いのを堪えて作った私の気持ちなど、先生にはどうでもいいことなのでしょうから」
「いや、本当にごめんなさい。お願いですから、これを食べさせて下さい、お願いします……」
セレクトはメイに深々と頭を下げて、冷めきったパスタ料理を食べさせて下さいと懇願する。
「……そこまで仰られるのならば、仕方ありませんね。どうぞ、お召し上がり下さい」
メイはそう言うと、笑顔で食べるように促す。
冷めたパスタを食べなければいけないセレクト先生には同情するが、自分で蒔いた種なのだから、しっかりと責任を取ってもらわなければともマリアも思う。
「あっ、うん。冷めても美味しいね、このパスタ……」
食事前の祈りを終えてパスタを口にするなり、セレクトは引きつった笑顔でメイの料理を褒める。
冷たいパスタ料理で美味しいものもあるが、今、彼が食べているのは間違いなく熱いうちだけが美味しく食べられる類のものだ。美味しいはずがない。
「……見え見えのご機嫌取りを仰らなくてもいいですよ。料理にも美味しく食べられる時間というものがあります。それを過ぎてしまっては美味しいはずはありません」
「いや、それでも本当に美味しいと思うよ。ごめん、本当にこんな時に寝坊なんかしてしまって……。君の思いやりを無下にしてしまって」
セレクトは心から反省しているようで、メイにもう一度謝罪をし、パスタを再び口に運ぶ。
「……分かりました。先生も反省なされているようですので、新しい皿をお持ちしますので、もうしばらくお待ち下さい」
メイはそう言うと、セレクトに近づき、「失礼致します」と言って、パスタ皿を下げる。
「でも、メイ……」
「大丈夫です。この皿は温め直して私が頂きますから、無駄にはしません。先生には新しいできたてをお持ちしますね」
「メイ……」
セレクトは、ようやく本当に心から微笑んでくれたメイに安堵する。
「ですが、先程も申し上げたとおり、何事にも美味しく食べられる時間というものがあります。その時間内に召し上がって頂かねば、それはそれを作った人間だけでなく、食材への冒涜です」
「うん。君の言うとおりだね」
セレクトは頷き、笑顔を返す。
ようやく重苦しい雰囲気が払拭され、マリアも安堵して食後の紅茶を口にする。だが……。
「というわけですから、私自身も、十六歳の今が旬ですので、しっかり今晩もしてくださいね」
そう続いたメイの言葉に、マリアはお茶を吹き出してしまいそうになった。
「……あの、セレクト先生。食事中に申し訳ございませんが、私、主人として、先生に少しお話を聞かせて頂きたいのですが?」
今度はマリアが笑顔を貼り付けて、セレクトに尋ねる。
「マリア様、誤解です! ものすごい誤解です! メイは、『今晩も授業をしてください』というのを、冗談でそんな言い方をしているだけです」
セレクトは慌てて弁明するが、そこにメイの言葉が続く。
「ええ。先生の夜の個人授業は最高です。(無学で)何も知らなかった私に、あんなすごいこと(算術や一般教養)をじっくりたっぷり仕込んでくださって……。
私はもう、一人(での勉強)じゃあ物足りないんです。こんなに教え込まれてしまっては、私、先生(の分かりやすい授業)でないと駄目になってしまいました」
嘘をついていないが、メイは肝心な言葉を省略し、妙に体をくねらせて言う。
当然、事情を知らないマリアは彼女の言葉を別な意味で捉えてしまう。
「セレクト先生? 確かにメイにも勉強を教えて欲しいと私は言いましたが、先生は一体何の勉強を私の侍女に教えていらっしゃるのでしょうか? 詳しく話して頂けますよね?」
マリアは美しくも凄みの効いた低い声で言う。
疑問を問うているのではない。話しなさいと命じているのだ。
「ですから、誤解です。神に誓って、何もやましいことはしていません! メイ、君も紛らわしいことを言わないで、マリア様にきちんと説明をし……」
「それでは、私はパスタを茹でてきますので」
セレクトはメイに助けを求めようとしたようだったが、彼女は早々に退出していった。
「メイ、待って! 私が悪かったから、行かないでくれ!」
「セレクト先生!」
マリアは情けなく懇願するセレクトに詰め寄り、誤解が解けるまで尋問を続けたのであった。
ただ料理が美味しいだけではなく、その時の体調や一緒に食事をする相手、気温や気候。なにより雰囲気が大事である。
……それは知っていたが、今日ほどそう思ったことはない。
マリアは侍女のメイが途方も無い手間を掛けて作ったであろう三色のパスタ料理を味わいながら、ものすごく気まずい気持ちになっていた。
いや、このパスタは絶品である。一枚の皿の上に、普通の淡い黄色のパスタの他、野菜を練り込んだらしき緑とほんのり赤いパスタが綺麗に盛り付けられ、見た目にも鮮やかだ。
そして、それらに合わせたソースも三種類掛けられており、どれも素晴らしい味だ。そして、やったらまず間違いなく怒られるのでやらないが、きっとこのソース全てを混ぜて食べても、味の調和が崩れることなく、それどころか更に美味しくなるであろうことは容易に想像できる。
きっと侍女たちは、後でこの三つのソースを合わせたものを三色のパスタにかけて食べるのだろう。人の目を気にしないでいいから。
まったく、自分達だけずるいと思う。
「……メイ。その、とっても美味しいわよ、このパスタ」
口うるさい年配の侍女長が席を外したので、マリアは頑張って笑顔で話しかける。
するとメイは、凄みのある笑顔をこちらに向けて「ありがとうございます」と事務的な声でお礼を返してくる。
メイは笑顔を浮かべている。きっと、後で顔の筋肉が後でひきつるのではと思うくらい笑顔を作って、それを貼り付けている。内心ではこの上なく怒っていることが、容易に想像できた。
「……セレクト先生。よりにもよって今日、寝坊するなんて……」
マリアはそう心のなかで嘆く。
そして彼女は、自分の向かいの席に置かれた、冷め始めてしまった手つかずのパスタ皿を見て、嘆息せざるを得なかった。
本来、主人が使用人と一緒に食事をすることはない。
だが、来客用の長いテーブルで一人食事をすることを嫌ったマリアが、わがままを言って小さなテーブルを用意させて、セレクトという家庭教師の先生と一緒に食べるのが日課になっているのだ。
だが、今日だけは、一人で長テーブルで食べている方が気が楽だっただろうと思う。
「し、メイ。セレクト先生、今日は遅いわね……」
触れてはいけない話題だというのは分かっていたが、触れないわけにも行かず、マリアは緊張した面持ちでメイに話題をふる。
「……そうですね。部屋に鍵をお掛けになられておりまして、三回も起こしに伺ったのに、一向に起きてこられる様子がありません」
溢れ出る怒気を完全には抑えられず、彼女は満面の笑顔のままそれを放つ。
怖い。怖すぎる。
マリアは絶品のパスタを食べながらも、それを楽しむ気持ちよりも、一刻も早くセレクト先生が来てくれることを切に願う。
けれど、彼がやってきたのは、マリアがパスタを全て食べ終わる頃だった。
走るではなく、ギリギリ早足の範囲で息を切らせてマリアの前にやってきたその男性は、二十代半ばくらいで深いブラウンの髪色の男性――セレクトだった。
それなりに整った顔立ちではあるのだが、どこか抜けていそうな……もとい、親しみを持ちやすそうな柔らかな雰囲気の中肉中背の男性。
メガネを掛けているが、伊達であるらしい。これは、少しでも年相応の威厳を出したいがためだと以前話してくれていたが、今、最低限の身だしなみを整えて入るものの、髪に寝癖が残ったその姿は、威厳とは程遠い。
「おっ、おはようございます、マリア様。すみません、寝坊してしまいました……」
セレクトは、息を切らせながら、主人であるマリアに謝罪をしてくる。
それは正しい行いだ。まず第一に主人に対して非礼を詫びるのが筋だろう。だが、彼の謝罪はそこで終わってしまう。
マリアは少々呆れ気味なだけだが、彼が今日、寝坊した事を怒る存在が彼女の側に控えていることに気づいていない。
「……おはようございます、セレクト先生」
「んっ? ああ、おはよう、メイ」
笑顔でこそあるものの、明らかに不機嫌であるメイに対して、セレクトは悪びれた様子もなく、笑顔で挨拶を交わす。
正直、それを見ているマリアの方が胃が痛くなってきそうだ。
だが、そんなセレクトも、自分の席についてすっかり冷めてしまった手の混んだパスタ料理を見て、自らの過ちに、罪に気づいたようで、だらだらと冷や汗をかき始める。
普段は時間通りに、いや決められた時間の十分前には行動するセレクトのたまの寝坊だ。マリアは軽く注意はしようと思うが、大事にするつもりはない。だが、今重要なのは彼女の気持ちではない。
「セレクト先生。今朝のメニューは、先生が一度是非食べてみたいと仰っておられた、私渾身のパスタ料理ですわ。
ええ、ええ。自分で言うのもおこがましいですが、朝早くから手間ひまをかけて作った珠玉の一皿です……」
視線を伏せ、低い声でメイは料理の解説をする。その言葉を聞き、セレクトの顔から血の気が引いていく。
「昨晩、明日の朝食は、頑張って先生のリクエストに応えてみせますと、私、言いましたよね?」
「……うっ、うん」
セレクトは青ざめた顔で頷く。
「ただ、先生がお寝坊さんでしたので、すっかり冷めてしまいました。でも、大丈夫ですよ。すぐに代えの皿をお持ちしますから。
その愛情をたっぷり込めて作った一皿は、ゴミ箱にでも棄てますので」
「いや、その、大丈夫だよ。これを頂きます……」
「いいえ、そんな。気になさらないで下さい。昨日の晩から仕込んでおいて、セレクト先生が喜ぶ顔を想像しながら、今朝早くから眠いのを堪えて作った私の気持ちなど、先生にはどうでもいいことなのでしょうから」
「いや、本当にごめんなさい。お願いですから、これを食べさせて下さい、お願いします……」
セレクトはメイに深々と頭を下げて、冷めきったパスタ料理を食べさせて下さいと懇願する。
「……そこまで仰られるのならば、仕方ありませんね。どうぞ、お召し上がり下さい」
メイはそう言うと、笑顔で食べるように促す。
冷めたパスタを食べなければいけないセレクト先生には同情するが、自分で蒔いた種なのだから、しっかりと責任を取ってもらわなければともマリアも思う。
「あっ、うん。冷めても美味しいね、このパスタ……」
食事前の祈りを終えてパスタを口にするなり、セレクトは引きつった笑顔でメイの料理を褒める。
冷たいパスタ料理で美味しいものもあるが、今、彼が食べているのは間違いなく熱いうちだけが美味しく食べられる類のものだ。美味しいはずがない。
「……見え見えのご機嫌取りを仰らなくてもいいですよ。料理にも美味しく食べられる時間というものがあります。それを過ぎてしまっては美味しいはずはありません」
「いや、それでも本当に美味しいと思うよ。ごめん、本当にこんな時に寝坊なんかしてしまって……。君の思いやりを無下にしてしまって」
セレクトは心から反省しているようで、メイにもう一度謝罪をし、パスタを再び口に運ぶ。
「……分かりました。先生も反省なされているようですので、新しい皿をお持ちしますので、もうしばらくお待ち下さい」
メイはそう言うと、セレクトに近づき、「失礼致します」と言って、パスタ皿を下げる。
「でも、メイ……」
「大丈夫です。この皿は温め直して私が頂きますから、無駄にはしません。先生には新しいできたてをお持ちしますね」
「メイ……」
セレクトは、ようやく本当に心から微笑んでくれたメイに安堵する。
「ですが、先程も申し上げたとおり、何事にも美味しく食べられる時間というものがあります。その時間内に召し上がって頂かねば、それはそれを作った人間だけでなく、食材への冒涜です」
「うん。君の言うとおりだね」
セレクトは頷き、笑顔を返す。
ようやく重苦しい雰囲気が払拭され、マリアも安堵して食後の紅茶を口にする。だが……。
「というわけですから、私自身も、十六歳の今が旬ですので、しっかり今晩もしてくださいね」
そう続いたメイの言葉に、マリアはお茶を吹き出してしまいそうになった。
「……あの、セレクト先生。食事中に申し訳ございませんが、私、主人として、先生に少しお話を聞かせて頂きたいのですが?」
今度はマリアが笑顔を貼り付けて、セレクトに尋ねる。
「マリア様、誤解です! ものすごい誤解です! メイは、『今晩も授業をしてください』というのを、冗談でそんな言い方をしているだけです」
セレクトは慌てて弁明するが、そこにメイの言葉が続く。
「ええ。先生の夜の個人授業は最高です。(無学で)何も知らなかった私に、あんなすごいこと(算術や一般教養)をじっくりたっぷり仕込んでくださって……。
私はもう、一人(での勉強)じゃあ物足りないんです。こんなに教え込まれてしまっては、私、先生(の分かりやすい授業)でないと駄目になってしまいました」
嘘をついていないが、メイは肝心な言葉を省略し、妙に体をくねらせて言う。
当然、事情を知らないマリアは彼女の言葉を別な意味で捉えてしまう。
「セレクト先生? 確かにメイにも勉強を教えて欲しいと私は言いましたが、先生は一体何の勉強を私の侍女に教えていらっしゃるのでしょうか? 詳しく話して頂けますよね?」
マリアは美しくも凄みの効いた低い声で言う。
疑問を問うているのではない。話しなさいと命じているのだ。
「ですから、誤解です。神に誓って、何もやましいことはしていません! メイ、君も紛らわしいことを言わないで、マリア様にきちんと説明をし……」
「それでは、私はパスタを茹でてきますので」
セレクトはメイに助けを求めようとしたようだったが、彼女は早々に退出していった。
「メイ、待って! 私が悪かったから、行かないでくれ!」
「セレクト先生!」
マリアは情けなく懇願するセレクトに詰め寄り、誤解が解けるまで尋問を続けたのであった。
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