冷酷王太子に嫁いだら、ベタ惚れされて離してくれません

白米

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お前以外、必要ない。王太子の独占欲が限界突破!?

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 王宮の中庭にて、貴族令嬢たちが集う午後のお茶会。
アリシアも王太子妃として招かれ、数人の令嬢と談笑していた。

そこへ現れたのは、一人の青年。

「これはこれは、アリシア嬢……まさかこんなところで再会できるとは」

「リカルド様……?」

端整な顔立ちとやわらかな物腰、侯爵家の若き後継者、リカルド・フォルティス。
アリシアとはかつて、社交界で何度か顔を合わせたことがある。

「お変わりなく。ご結婚の噂は聞きましたが……お相手が王太子殿下とは、驚きましたよ」

「ええ……まだ、慣れないことばかりですけれど」

「ご立派ですよ、アリシア嬢は。昔からそうでした。……覚えていますか? あの舞踏会の夜——」

「えっ……」

(まさか、あの時のことを覚えてるなんて……)

アリシアが戸惑っていると、ふと背後から冷たい気配がした。

「アリシア」

声が、低く響く。

振り返ると、そこにはレオンハルトが立っていた。
どこか不機嫌そうな表情を浮かべ、真っ直ぐにアリシアとリカルドを見つめていた。

「陛下……!」

リカルドが慌てて一礼するが、レオンハルトの視線は微動だにせず。

「少し、いいか」

「は、はい……」

そうして、レオンハルトに手を引かれ、アリシアはその場を後にした。

(え、なにこの空気……すごく……怖い)



人気のない回廊にて。
レオンハルトは立ち止まり、アリシアをじっと見つめた。

「さっきの男は……誰だ」

「……リカルド様です。昔、何度か社交の場で……でも、それだけで」

「“それだけ”にしては、随分と親しげだったな」

「……え?」

レオンハルトは、わずかに目を細める。

「俺の前で、他の男にあんな顔を見せるな。お前は、俺の妻だ」

「……!」

(や、やきもち……!?)

アリシアは思わず口を開きかけるが、言葉が出てこない。

「お前が他の男に笑いかけるたび、喉の奥が焼けるように熱くなる。……どうしてだと思う?」

「それは……」

「お前が欲しい。誰にも渡したくない。俺だけを見ていてくれ」

(もうダメ……心臓が……爆発しそう……)



その日の夜。
寝室で、アリシアはひとり窓辺に立ち、外を眺めていた。

そこへ、後ろからそっと抱きしめられる。

「レオンさま……」

「もう、我慢できない」

レオンハルトはゆっくりとアリシアの頬に触れ、視線を合わせる。

「アリシア。お前のことが、好きだ。誰よりも、深く」

「……」

「だから、俺だけに笑ってくれ。他の誰にも、そんな顔を見せないで」

その言葉に、アリシアの中で何かが溢れた。

(この人がこんなにも真っ直ぐに気持ちを伝えてくれるなら——)

「レオンさま、わたしも……」

震える声で、言葉を紡ぐ。

「わたしも、レオンさまのことが好きです。……誰よりも、大切に思ってます」

「……!」

レオンハルトの目が見開かれ、そしてふっと緩む。

「ようやく……聞けたな」

「……はい」

次の瞬間、そっと額に口づけが落とされた。


「ベッド、座って」

レオンハルトの声に導かれ、アリシアはそっと腰を下ろした。
彼も隣に座り、ふたり、ぴたりと肩を寄せる。

部屋の中は静かで、外では虫の音が聞こえていた。
だけど、心臓の音だけがやけに大きく響いている気がする。

「……ねぇ、レオンさま」

「ん?」

「わたし、本当にあなたのことが好きなんです。……でも、こんなに早くこんな気持ちになるなんて、思ってなくて……少し、怖いです」

レオンハルトは、驚いたようにアリシアを見たあと、微笑んだ。

「それなら、俺も同じだ」

「……え?」

「お前がここに来てから、何もかもが変わった。
俺はずっと、誰かと心を通わせるなんて不可能だと思っていた。……けど今は、違う」

レオンハルトはアリシアの手を両手で包み込んだ。

「怖くても、いい。お前がいれば、俺はそれだけでいい。だから——」

ぐい、と腕を引かれて、アリシアは彼の胸の中に抱きしめられた。

「逃げるな。もう絶対に、離さない」

「……うん」

アリシアは静かに応え、彼の背にそっと腕を回した。



そのまま、二人はベッドに横になった。

といっても、何かが起きるわけではない。
ただ、手をつないだまま、お互いの温もりを感じながら。

「レオンさまは、わたしにだけこんなふうに甘くしてくれるけど……どうしてなんですか?」

「……お前だけが、俺を見てくれるから」

「え?」

「俺が無表情でも、無愛想でも、逃げずに向き合ってくれたのは、お前だけだった。……だから、安心できた」

「……わたしも、同じです。冷たい人だって思ってたけど、少しずつ、あなたのことが知れて……今はもう、離れたくないって思ってる」

レオンハルトは、アリシアの額に再び口づけを落とした。

「お前がいるだけで、俺は強くなれる。これからも、ずっとそばにいてくれ」

「……はい。ずっと、隣にいます」

夜が更けていく中、ふたりの想いは静かに重なっていく。
政略から始まった結婚。けれど今、そこにあるのは確かな愛情。

そしてアリシアは確信する。

(わたしはもう、この人に恋をしてる。心から。全身で)



翌朝。

目覚めたアリシアが最初に見たのは、隣で眠るレオンハルトの寝顔だった。

(……きれいな顔)

思わず見惚れてしまう。寝ている間だけ、普段より少し幼く、無防備で——
そんな彼に、つい、そっとキスを落とした。

「……起きてたのか?」

「っ、ばっ……!?」

「ふふ、照れてるのか。可愛い」

「い、今のなしです、今のは!」

「なら、今度は俺の番だな」

そう言って、レオンハルトはアリシアをそっと引き寄せて——
唇が重なる、優しい朝。

アリシアは、目を閉じながら思う。

(わたし、本当に……この人に、愛されてるんだ)

そして、彼の腕の中で微笑む。

(だったら——わたしも、全力であなたを愛します)

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