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2章〜フォレスト王国王都〜

98、良い笑顔のエリリア

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「……リティア、もう泣き止んでくれ。コノキナーマージャくれえぇ!!」
『………………』

 木霊したリチャードくんの心の叫びに、皆顔が無になった。勿論私も。

 せっかくイイ感じで終わろうとしていたのに、コノキナーマージャ如きで全て霧散したよ……。

 いや、リチャードくんは本気なんだよね。……でも、時と場合と場所は考えようよ。子供じゃ……ある。うん?子供だから仕方がないの、かなぁ?

 皆実年齢より早熟し過ぎていて子供感が皆無だったわ。特にソークなんだけど。


 そして私は答えるーー

「勿論コノキナーマージャはあげる!けどもう疲れたから私の部屋に置いていくからね。もう明日勝手に持ってけ泥棒!!」

と。もう疲れたし!恥ずかしいし!(これは八つ当たり)

「いや、泥棒はしないぞ?」
「……あ、はい。気にしないで下さいな」

 くぅ!この表現伝わらないのね!ノリなのに!もう一度言う。ノリなのに!!

「とにかく、明日私が部屋出る時に置いておくから勝手に運んで?私はもう魔法師団に行く気力が皆無だからね。今日は帰ってすぐ寝る!」

 ふっ。これぞ幼児の特権だよね。当たり前の事だと我儘は意外と通る。

 皆も苦笑いをするだけで留めている。これが証拠さ。


 という事で私は自分の部屋へと戻って来た。そして入口から勢いをつけて思いっきりベッドへダイブ……出来ませんでした。

「リティア様?」

 ガシッと腕を掴まれ恐る恐る振り返ってみると、そこにはとても良い笑顔のエリリアが。

 あ、メイドさん達に敬称を付けるべきではないと分かっているから流石に私も最初から敬称は付けていない。

 エリリアさん、その笑顔コワイですよ。美人さんが台無しですよ。……だから、ね?そのコワイ笑顔はやめてーーーーっ!!

 結局私はそのままずっと良い笑顔だったエリリアに体をピカピカに仕上げられた。

 体の疲れは取れたよ?マッサージもしてもらったから。……だけど他のモノが何か絶対ゴリゴリと減っていったよ。

 『明日の為に!』と張り切っていたメイドさん達には申し訳ないけど、私はビフォーアフターでの違いが分からなかった。

 というか、明日の為?明日はカイヴの街に帰るだけだよね?よく分からないけどメイドさん達はとてもとってもと~ても頑張って二時間もかけてくれた。(イヤミデハナイヨ?)

 とりあえずこんな私の為にありがとうございます。としか言えません。

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