【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

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第308話 地竜討伐訓練開始

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 「さて、全員武器は持ったな」

 セムネイルはノラが首を切り落とした地竜の死骸を4次元に収納しながら振り向いた。

 「……ん? グラ、どうした」

 鎧や武器を持った生徒達が整列する中、グラがカイルと何やら口論しているのが視界に入る。

 「はぁ……セムネイルからも言ってやってよ。 この馬鹿、どう見ても聖騎士とかの軽戦士職よりも重戦士職に適性が向いてるのに大剣や大斧は嫌だって文句言ってるのよ」

 「ふむ、カイル何故だ? 魔剣の魔王であるグラの見る目は確かだぞ」

 頑なに剣と盾を離そうとしないカイルは、顔をしかめながら答える。

 「わ、私の目指す聖騎士は……直剣と盾を装備するのが当たり前なんです! なのに、私が向いてるのは重戦士と言われても納得出来ません!!」

 グラはため息を吐き、同じ班のリーダーであるルイスはミノタウロスの大斧を眺めながら呟いた。

 「カイル、自分達は早く地竜と戦いたいんすけど。 あんなに恐怖してたのに、今は戦える気がするっすから」

 他の生徒達達も、選んだ武器を眺めながら同意する様に頷く。

 「へぇ、手加減したのねセムネイル。 皆ちゃんと理性残ってるじゃん」

 「くっくっくっ、流石に狂戦士ばかりを増やす訳にはいかんだろ。 それより、カイル。 勘違いしている様だが、なりたい職と適性は別物だ。 使える様になる戦技にも悪影響が出るからな。 お前は……死にたいのか?」

 ルイスの呟きに顔をしかめていたカイルは、セムネイルからの苦言に諦めたように項垂れる。

 「わ、分かりました……」

 カイルはミノタウロスの大斧を両手に持ち、夢であった聖騎士が崩れていくのを感じていた。 幼き頃より憧れていた夢は叶わないものなのだと、大斧を持つ手に力が入る。

 「お! お前も大斧使うのか? なはは!
俺と一緒だなー! 俺も前は大斧使ってたんだぞ!」

 しかし、美しく舞うような回避をしていたノラに背中を叩かれたカイルの表情に生気が戻った。

 「そうだ! 私も、いつかノラ教官の様な美しい戦闘を出来るようになるんだ! ありがとうございます、ノラ教官! 新しい夢が出来ました!」

 「お? よく分からないが、なんか良かったんだな!」

 現金な反応をするカイルをジト目で見ながらグラはセムネイルを肘で小突く。

 「セムネイル、さっさとやろうよ」

 「くっくっくっ、ノラの魅力に気付けるとは中々に見る目があるな。 さぁ、やるぞ! 各班はリーダーと教官の下に集まれ!」

 ようやく全員の準備が終わり、生徒達の瞳に闘志の炎が燃え上がった。

 ◆◇◆

 「コレは……夢か?」

 グラウンドに誰も近づかないように根回しを終えた冒険者学校校長のシパルは、目の前の光景を見て愕然とした。

 「おう、帰ってきたのか爺。 気持ちは分かるんだけどよ。 夢じゃねぇんだよな……コレ」

 一部始終をずっと見物していたササガは苦笑いしながら答える。

 シパルとササガの目の前では、グラウンドの中で地竜と殺し合いをしている生徒達の姿があったのだ。

 Sランク冒険者達が使ってそうな高級品の武器や防具を装備したFクラスの生徒達は、臆すること無く地竜に立ち向かっていた。

 茶色いゴツゴツした岩の様な肌に、2メートルは超える地竜がグラウンドで暴れている。 

 大きく開けた口にずらりと鋭利な歯が戦士職の班を襲うが当たらず、大きな爪を振り回すが無駄に終わっていた。

 「信じられん……何をしたら、あの様な胆力が身に付くんじゃ」

 分裂したグラやノラが直ぐ側でサポートをしているとはいえ、生徒達は殆どの冒険者が逃げ出す竜に自ら襲いかかる。

 カイルとルイス率いる戦士職の班は、地竜の攻撃をギリギリで躱しながら弱点である首の下や腹を執拗に斬りつけていた。

 「なんと?! あの口に噛まれれば即死、爪に当たっても死ぬであろうに顔や腹の下へと潜るとは!」

 イザベラ率いる弓使いの班は、地竜の目に向かって矢を射続けている。

 特にイザベラの腕前は凄まじく、何度も地竜が放った尻尾の攻撃を黒檀の剛弓から放たれた矢で押し返していた。

 そのおかげで、未だに戦士職の班は一度も攻撃をまともに受けずに済んでいるのだ。

 「アレは……元Aクラスのイザベラじゃな。 話にだけは聞いていたが、どう見てもSクラスの弓使いよりも正確無比ではないか! Aクラスを担当した冒険者達は何を見ておったのじゃ!」

 そして、瞬く間にボロボロな姿になった地竜に魔法使いの班がとどめを刺す。

 セリスから魔力を流されながら、魔法使い職の生徒達は詠唱を始める。

 「まさか……中級魔法の氷槍じゃと?! Fクラスの生徒に氷魔法が使える者は居らぬ筈じゃぞ?! それに、あの者は……」

 セリスの号令で魔法使い班の生徒達は一斉に氷槍を放ち、硬いはずの背中を貫いた。

 直後、風魔法で高く飛翔していたギムノが槍の様に長くなった氷を纏った短剣で地竜の頭へと突進し、そのまま額に槍を突き刺す。

 「短剣に魔法を纏っておるのか?! まさか、魔法剣士じゃと……? オーウェン フォル ギムノ……戦士の才能が開花せずに、魔法使いへとなるしか無かった不遇の貴族。 オーウェン男爵家の四男坊が、伝説の魔法剣士……? ササガ、すまん……儂気絶しそうじゃ」

 傷だらけの地竜は遂にグラウンドへと倒れ、骸となった。

 直後、生徒達から割れんばかりの喝采が起こる。

 「しっかりしろよ、爺! ほれ、コレで訓練も終わったんじゃねぇの……か?」

 ササガは、倒れかけるシパルを支えながらセムネイル達の方を見る。

 すると、何やら生徒達が懇願している様で直ぐにセムネイルが骸となった地竜を4次元に消して新しい地竜を出現させた。

 「まさか……おかわりかよ!」

 「……儂、もうダメ」

 まさかの2体目に挑む生徒達の姿を見て、シパルは本当に気絶したのであった。
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