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第309話 魔王の庇護下
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「そこまで! 全員集まれぇぇぇ!」
セムネイルが号令をかけると、ボロボロな姿の生徒達が一斉に整列した。
疲労困憊の生徒達だが、その表情はとても明るい。
セムネイルはそんな生徒達の表情を見渡し、ニヤリと笑みを浮かべた。
「良くやったな。 俺の想像以上の成果だ。 お前達が夜までに狩った地竜の数を教えてやろう……8体だ! 誇れ! お前達は人間族として偉業を成し遂げた!」
「「「「「「「わぁぁぁぁぁぁ!」」」」」」」
直後、生徒達は喜びの雄叫びを上げる。
「し、信じられないっす! 力が、力がどんどん湧いてくるっす!」
「そうだね。 疲労困憊のはずなのに、まだまだやれそうだ!」
ルイスとカイルは壊れる寸前の大斧を肩に乗せながら、あふれる力に興奮していた。
「リン教官。 さっきの剛射って戦技、ちゃんと出来てた?」
「ふふ、勿論です! リンびっくりしました! イザベラさんは弓使いとして凄い才能がありますよ!!」
リンとすっかり打ち解けたイザベラは、遥かな高みにいるリンに認められ嬉しそうに微笑む。
「ふはははは! この力があれば、俺は無敵だ! あ、いや、違います。 驕ってただけです! 止めてくれ、セリス教官! いやあばびびばばば!?」
「あら、無敵と言えるほどに強くなれたのなら上級の魔法も覚えておきましょうね」
自らの才能に溺れそうになっていたギムノだったが、狂気の教官に見つかり教育を受けていた。
全身に上級の雷魔法を優しく流し込まれ、ギムノは全身を震わせながら煙を噴き出す。
「おー! 皆見違えたな、グラ!」
「あはは、そうだね。 まぁ、魔王の庇護下に入ってるからこんなもんじゃないかな」
聞き慣れない言葉にグラは首を傾げる。
「ん?? グラ、魔王の庇護下って何だ? 美味いのか?」
「う~ん、なんて説明すれば分かりやすいかな。 えっと、私達はセムネイルに抱かれると強くなるよね? それは欲望の魔王の権能。 で、それは微力ながらも配下や庇護下の者達にも及ぶの」
「ん~?? つまり、今日俺達が教えたコイツラもその庇護下ってのに入ってるから強くなったのか?」
「そんな感じかな? 欲望の権能である殺した相手から力を吸収するってのが少しだけ宿ったって言ったほうが正確かもね」
グラの説明にノラは曖昧にうなずく。
「うん、なるほどな!」
「あはは、完全に理解しなくて大丈夫だよ」
グラは可愛らしい笑みを浮かべるノラの頭を撫でながら、生徒達を褒める愛しい男の表情を見つめた。
「さて、あのお人好しになった魔王様はどこまで世話を焼くのかしらね」
何やら企んでいる様子のセムネイルに、グラは苦笑いを浮かべるのであった。
◆◇◆
「よし、これからお前達に俺から褒美をやる! 順番に来い」
セムネイルは準備を終えると、生徒達を並ばせた。
何故かセムネイルの隣には、ドワーフ族のルグ達が待機している。
そして、最初にやって来たルイスに大きな袋をセムネイルは手渡した。
「うぉっ?! セムネイル教官……コレは何っすか?」
「おう、コレは地竜のステーキを使ったサンドイッチだ。 ルグ達の仕事が終わったら、帰って良いぞ」
セムネイルの言葉に生徒達から困惑の声が上がる。
「地竜の……ステーキ? それって、王族でも食えないっすよね?!」
男爵家の貴族であるルイスは自らの手に載る重いサンドイッチがどれ程の価値を秘めているのか想像して顔面を蒼白にした。
後ろに並ぶ生徒達からも動揺の声が広がる。
冒険者の誉れと名高い竜殺し。
Sランク冒険者達にしか成し得ない事をやり遂げただけでも凄まじい出来事なのに、その竜の肉を食べられるのかと平民や落ちこぼれ貴族の生徒達は驚愕しているのだ。
「らしいが、知らん。 明日のクラス別対抗試合に備えて、しっかり食って寝ろ! あ、装備はそのまま持って行っていいからなー!」
セムネイルに見送られたルイスは顔面を蒼白させたまま、ルグ達の下へと向かった。
「はいはい、お疲れ様です~。 では、採寸をしますので動かないで下さいね~」
「ド、ドワーフ族?! え、あ、よろしくお願いするっす」
テキパキとルグ達に採寸をされたルイスはそのまま解放された。
他の生徒達も地竜のサンドイッチを受け取り、ルグ達の採寸を理由もわからず受けている。
ルイスはどうしたら良いのか分からずに、その光景を眺めていた。
「ルイス、帰るのは冒険者学校にある寮?」
「グラ教官! そ、そうっす!」
「そう、なら今日はよく頑張ったんだから帰って食べて寝なさい。 私達はちゃんと明日のクラス別対抗試合を見に行くから」
「は、はいっす! 明日は必ず勝ってみせるっす!」
ルイスはグラに敬礼し、渡された包みと壊れかけの大斧を持って寮に向かい始めた。
「ノラちゃん、私達はルグちゃん達の採寸が終わった子達を誘導しよっか」
「おー! 任せろ! でも、なんで寸法するんだ??」
「あー……そうね。 きっと、明日の試合が終わった後にジェイソン達と同じ表情を見ることになるんじゃないかな」
「ん?? ジェイソン達って、4次元の見張り番だよな? まさか、コイツラもハゲるのか?!」
「うんうん、そうだね」
全然分かってない可愛いノラの頭を撫でながら、グラは生徒達を誘導するのであった。
セムネイルが号令をかけると、ボロボロな姿の生徒達が一斉に整列した。
疲労困憊の生徒達だが、その表情はとても明るい。
セムネイルはそんな生徒達の表情を見渡し、ニヤリと笑みを浮かべた。
「良くやったな。 俺の想像以上の成果だ。 お前達が夜までに狩った地竜の数を教えてやろう……8体だ! 誇れ! お前達は人間族として偉業を成し遂げた!」
「「「「「「「わぁぁぁぁぁぁ!」」」」」」」
直後、生徒達は喜びの雄叫びを上げる。
「し、信じられないっす! 力が、力がどんどん湧いてくるっす!」
「そうだね。 疲労困憊のはずなのに、まだまだやれそうだ!」
ルイスとカイルは壊れる寸前の大斧を肩に乗せながら、あふれる力に興奮していた。
「リン教官。 さっきの剛射って戦技、ちゃんと出来てた?」
「ふふ、勿論です! リンびっくりしました! イザベラさんは弓使いとして凄い才能がありますよ!!」
リンとすっかり打ち解けたイザベラは、遥かな高みにいるリンに認められ嬉しそうに微笑む。
「ふはははは! この力があれば、俺は無敵だ! あ、いや、違います。 驕ってただけです! 止めてくれ、セリス教官! いやあばびびばばば!?」
「あら、無敵と言えるほどに強くなれたのなら上級の魔法も覚えておきましょうね」
自らの才能に溺れそうになっていたギムノだったが、狂気の教官に見つかり教育を受けていた。
全身に上級の雷魔法を優しく流し込まれ、ギムノは全身を震わせながら煙を噴き出す。
「おー! 皆見違えたな、グラ!」
「あはは、そうだね。 まぁ、魔王の庇護下に入ってるからこんなもんじゃないかな」
聞き慣れない言葉にグラは首を傾げる。
「ん?? グラ、魔王の庇護下って何だ? 美味いのか?」
「う~ん、なんて説明すれば分かりやすいかな。 えっと、私達はセムネイルに抱かれると強くなるよね? それは欲望の魔王の権能。 で、それは微力ながらも配下や庇護下の者達にも及ぶの」
「ん~?? つまり、今日俺達が教えたコイツラもその庇護下ってのに入ってるから強くなったのか?」
「そんな感じかな? 欲望の権能である殺した相手から力を吸収するってのが少しだけ宿ったって言ったほうが正確かもね」
グラの説明にノラは曖昧にうなずく。
「うん、なるほどな!」
「あはは、完全に理解しなくて大丈夫だよ」
グラは可愛らしい笑みを浮かべるノラの頭を撫でながら、生徒達を褒める愛しい男の表情を見つめた。
「さて、あのお人好しになった魔王様はどこまで世話を焼くのかしらね」
何やら企んでいる様子のセムネイルに、グラは苦笑いを浮かべるのであった。
◆◇◆
「よし、これからお前達に俺から褒美をやる! 順番に来い」
セムネイルは準備を終えると、生徒達を並ばせた。
何故かセムネイルの隣には、ドワーフ族のルグ達が待機している。
そして、最初にやって来たルイスに大きな袋をセムネイルは手渡した。
「うぉっ?! セムネイル教官……コレは何っすか?」
「おう、コレは地竜のステーキを使ったサンドイッチだ。 ルグ達の仕事が終わったら、帰って良いぞ」
セムネイルの言葉に生徒達から困惑の声が上がる。
「地竜の……ステーキ? それって、王族でも食えないっすよね?!」
男爵家の貴族であるルイスは自らの手に載る重いサンドイッチがどれ程の価値を秘めているのか想像して顔面を蒼白にした。
後ろに並ぶ生徒達からも動揺の声が広がる。
冒険者の誉れと名高い竜殺し。
Sランク冒険者達にしか成し得ない事をやり遂げただけでも凄まじい出来事なのに、その竜の肉を食べられるのかと平民や落ちこぼれ貴族の生徒達は驚愕しているのだ。
「らしいが、知らん。 明日のクラス別対抗試合に備えて、しっかり食って寝ろ! あ、装備はそのまま持って行っていいからなー!」
セムネイルに見送られたルイスは顔面を蒼白させたまま、ルグ達の下へと向かった。
「はいはい、お疲れ様です~。 では、採寸をしますので動かないで下さいね~」
「ド、ドワーフ族?! え、あ、よろしくお願いするっす」
テキパキとルグ達に採寸をされたルイスはそのまま解放された。
他の生徒達も地竜のサンドイッチを受け取り、ルグ達の採寸を理由もわからず受けている。
ルイスはどうしたら良いのか分からずに、その光景を眺めていた。
「ルイス、帰るのは冒険者学校にある寮?」
「グラ教官! そ、そうっす!」
「そう、なら今日はよく頑張ったんだから帰って食べて寝なさい。 私達はちゃんと明日のクラス別対抗試合を見に行くから」
「は、はいっす! 明日は必ず勝ってみせるっす!」
ルイスはグラに敬礼し、渡された包みと壊れかけの大斧を持って寮に向かい始めた。
「ノラちゃん、私達はルグちゃん達の採寸が終わった子達を誘導しよっか」
「おー! 任せろ! でも、なんで寸法するんだ??」
「あー……そうね。 きっと、明日の試合が終わった後にジェイソン達と同じ表情を見ることになるんじゃないかな」
「ん?? ジェイソン達って、4次元の見張り番だよな? まさか、コイツラもハゲるのか?!」
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全然分かってない可愛いノラの頭を撫でながら、グラは生徒達を誘導するのであった。
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