【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
2 / 317

第2話 今日だけで2回目の最悪な気分だ

しおりを挟む
    「ふむ、脆いな。 少し頭を掴んで力を加えると爆ぜたぞ? やはり、クズは生きる価値も無いらしい」

      セムネイルの瞳が紅く光る。

      殺害欲が満たされ、セムネイルの身体に角ウサギの時とは別次元の力が宿ったのだ。

     「な、なんだてめぇ! よくも仲間を!」

      状況を理解しないまま、皮鎧を着込んだ男がセムネイルに向けて剣を構える。

     少女を犯していた男は全裸で装備を着てない為、少女を全面に出し人質にでもするつもりのようだ。 

     少女の細い首を男の丸太のような腕が捕まえる。

     「おい、気を付けろ! その全裸野郎、気色悪い眼をしてやがる! 油断するな!」

      助けが来たと少女の顔に希望が宿るが、セムネイルを見て直ぐに絶望の表情へと戻った。

      「ひぐっ、あ、貴方! 裸で冒険者の相手をするなど無謀です! 私は構いません、逃げて下さい」

      鍛えられた冒険者を裸で倒すなど、到底不可能だ。 だから、せめて汚され死ぬのは自分だけに止めようしているのだろう。

     つい先程、セムネイルが素手でその冒険者を殺したのだが意識も朦朧としている少女にそれを言うのは酷だ。

    「案ずるな娘よ。 直ぐにこのクズ共を視界から消してやる。 心配せずに、その眼を閉じろ」

     少女は何を想ったのかセムネイルの言うことを素直に聞き、眼を閉じて祈り始めた。

     (くっくっくっ、俺があのクズを信仰する信者を助けるとはな……これだから人間は面白い)

    「てめえ、何を笑ってやがる! 死ねぇ! 鉄斬り!!」

     皮鎧を着た男がセムネイルの頭上へと剣を振り下ろした。 

 剣に魔力が微かに宿り威力を向上させるこの技は、戦技と呼ばれる中でも初心者向けの技である。

    当然、そんな技が百戦錬磨のセムネイルに当たる筈も無く。

   「死ぬがいい、無価値な男よ」

   「げぺっ?!」 

     戦技を難なく避けたセムネイルの只のパンチで、皮鎧の男はダンジョンの壁まで吹き飛び即死した。

   「ひ、ひぃぃぃ! なんだ、何なんだお前は! う、動くな! この女がど――ぶぎょっ?!」

   「遅い」

     セムネイルの蹴りが残った最後のゲスな男の頭に炸裂し、祈る少女を置いて地面へと崩れ落ちた。

   「おい、娘。 もう眼を開けていいぞ」

    セムネイルが優しく語りかけると、少女はゆっくりと眼を開き驚愕する。

    「……え? ほ、本当にあの冒険者達を……?」

     セムネイルが少女を近くで見ると、赤毛で顔立ちもまだ幼かった。 年は16歳頃だろうか。

    「見ればまだ幼い娘ではないか。 酷な目にあったな……動けるか?」

    「え、あ、はい! ぁ、ぁりがとう……ございます」

     至近距離でセムネイルを見た少女は、何故か赤面し離れてゆく。

   「よし、では村まで送ろう……ふむ、その格好では厳しいな。 少し待て、ゲス共から服を奪ってこよう」

   「いえ! だ、大丈夫です! さ、先に、あ、あ、貴方が服を……着て下さい」 

 少女は手で顔を覆い、何かを必死に見ないようにしていた。 だが、セムネイルは気付かない。

    (む……? この娘は何を言ってるんだ? 年頃の乙女で、しかもさっきまで襲われてたんだぞ? いや……そうか)

 セムネイルは少女の行動を理解し、頭を下げた。

   「……すまん。 襲ってきた奴等の服など、嫌なのは当然だな。 では、暫し待ってろ。 雑魚のダンジョンでも、ボスは居るだろ。 ちょっとリセマラして、着れる装備を手に入れてくる」

    そう伝えると、セムネイルはさっさとダンジョンの奥へと歩き始める。

  「まっ、待って下さい! 危険です! わ、私はそもそも、このダンジョンの異常を冒険者達と調べる様にエオルニア教会から派遣されたシスターなのです。 まぁ……冒険者ギルドから紹介された冒険者達が、酷い方達だったので調査も何も出来てないんですけどね……あははは」

     セムネイルは足を止め、少女の話を聞き驚愕した。

     (シスターだと?! なんだ、その聞くだけで情欲を誘う単語は。 まさか、僧侶は今の時代には存在しないのか?)

     少女は、自分の説得を聞き入れてくれたと勘違いし胸を撫で下ろしていた。

     全裸巨根の変態が、邪な事しか考えてないことなど露知らず。

    「そうか、娘には色々聞きたい事が出来た。 尚更、ここで待て。 直ぐに戻る」

     「え、えぇ?! ちょ、待って下さいよー! それに、リセマラって何ですか?! 」

     「いいから、待ってろ。 破れた服で身体を隠しておけ。 魔物は近くには居ない、安心しろ」

     今度こそセムネイルはダンジョンの奥へと進んで行ってしまった。

     残された少女は不思議な全裸男の言われた通り、暫く待つ事にしたのかその場に座り込む。

    「どうか、エオルニア様。 あの善人たる男性をお守り下さい。 あの……あの人の、アレ大きかったな……ぁ、違! どうか、純潔を失いし汚れた私を罰して下さい。 どうか、どうか、お願い致します」

     少女は祈り続ける。

     自分を救ってくれた、全裸巨根の男の無事を祈り。

    理不尽な目にあった筈の、自分への罰を願い続けた。

    ◆◇◆

    ダンジョンの奥地へとセムネイルは向かう。

    周囲は静まり、素足で歩く音だけが耳に入る。

   (ん……? 居るな、3匹。 この気配は……ゴブリンか、雑魚だな)

    セムネイルの予想通り、このダンジョンは雑魚として有名だ。
   
    ダンジョンに入ると長い通路が伸びてるだけで、1層しか無いフロアに入るまで魔物も出ない。

   やっと出ても、最下級の魔物ゴブリンが数匹。

   ボスもゴブリンリーダーと、実入りも全く無く冒険者の新人しか来ないダンジョンであった。

   しかし、最近になってこのダンジョンに向かった新人冒険者達が1人も帰って来ない異常事態となったのだ。 

 だが、高位の冒険者達はそんな依頼を受けるメリットも無く放置されていた。

    そこで、業を煮やした魔物必滅を掲げるエオルニア教会がシスターを派遣し冒険者達と調べる事になったのだ。

    当然、セムネイルはそんな事は知らない。

    フロアに1歩入ると、直ぐに棍棒を持った緑の肌に小柄な体格をしている醜悪なゴブリンが襲いかかってきた。

   「ギヒ! ギヒギヒ! ギガァァァ!」

    「「ギガァァァ!」」

    人間を3人殺して力が強化されたセムネイルの敵になる筈も無く。

    「失せよ、魔神に生み出された醜いゴブリンよ。 火走り」

    「「「ギ、ギギャァァァァ!」」」

     セムネイルが手の平を前にかざすと、3本の火の玉が射出され。 瞬く間にゴブリン達を火に包んだ。

    辺りが焼けるゴブリンの火で照らされるが、その光景にセムネイルは舌打ちをした。

    フロアの床には、大量の人間の鎧や服や武器が転がっている。

    骨も大量に見えた。

    (男は食われたか……。クソ、女物の服もあるではないか。 ちっ……今日だけで2回目の最悪な気分だ)

 焼け焦げ、炭になったゴブリンの死骸を踏み潰しながらセムネイルは先を急ぐ。

    「あの娘にも直ぐに戻ると行ったしな。 急ぐか、光よ灯火をもたらせ」

     セムネイルの周囲に幾つかの光の玉が現れ、視界を確保する。

    そしてボスが居る筈の最奥地に向かうが、其処にボスは居なかった。

   代わりに、最奥地の壁に巨大は穴が空いているのが見える。

    (ダンジョンに穴だと? くっくっくっ、神々の試練も廃れたものだな。 気配は……穴の奥にかなり大量にあるな。 人間の女か? それとも……ん?)

    セムネイルの予想は、最悪な形で判明する。

   「ちっ、気付かれたか。 殆んどの気配が魔物だな、此方に向かって来るか」

     穴の入り口に陣取り、魔法の詠唱を始めた。

    大量の魔物は直ぐ其処まで来ている。

    「この気配は、ブラックゴブリンだな」

    ブラックゴブリンは、通常のゴブリンとは違い玄人の冒険者でも敗北する怖れが有る魔物だ。

    黒い肌に、通常種のゴブリンより大きく狂暴かつ繁殖力が旺盛で、様々な種族の牝や女と子作りをする。

    更に、誕生したダンジョンや生息地では1日経過のリセットリスポーンの事もあり、早く殺さないと街が滅ぶと云われている危険な中級の魔物だ。

 本来はこんな初級冒険者が通うダンジョンに居て良い存在では無い。

    「「「「「ギャギャギャギャ」」」」」

    数百のブラックゴブリン達が、セムネイル目掛けて穴の通路を駆けてきた。

   「我と契約せし重力喚び魔女よ、久し振りだな。 戻ってきたぞ! さっさと力を寄越せ! 重力岩!! 」

    セムネイルが魔法の詠唱を終えると、背後に半透明の重力喚び魔女が現れ力を貸し与える。

    ダダダダダダダダダダダダダダダダダ! !

    穴に向けて魔法で強化された石礫が連射されていく。

 その石礫は鉄より硬くなり、触れる者全てを貫通する。

   「「「「ゲッ?! ギャァァァァ!」」」」

    巨大な穴が埋まる程にブラックゴブリン達が駆けてきた為、石礫が満遍なく貫いていき殲滅しえいく。

    「ふん、ゴミ共め。 重力喚びの魔女よ、容赦なく射貫け! 射てぇぇぇぇ!! はっはっはっは!! ふははは!」

     契約主に久し振りに会えたからか、美女である重力喚びの魔女は恍惚の表情を浮かべながらブラックゴブリン達の殺戮を眺めていた。

     殲滅射撃が終了した時、穴から出ようと動く気配は既に皆無だ。

   「よし、終わったな。サリア感謝する、今後とも頼む」

    半透明な重力喚びの魔女サリアは、深々と頭を下げた後に消えていった。

    (封印前に契約した奴等は今でも喚べるのか。 くっくっくっ、それは上々だな。 よし、今度こそボス戦だな)

    奥にある気配は、大きな気配が1つにそれ以外の気配は複数のみである。

    穴の中に入り、ブラックゴブリンを4次元に放り込みながら進む。

 それなりの重さのブラックゴブリンを片手で持ち上げれる事にセムネイルは笑みを浮かべた。

    ブラックゴブリン数百匹分の力が宿ったのだ、当然ながらセムネイルの力は強化されている。

    4次元の広さも拡張され、これぐらいの量なら楽に収納できるだろう。

   (ブラックゴブリンの魔石なら、何かの役に立つだろ。 また暇を見て、採取するとしよう)

    穴の通路が綺麗になった頃、終着地点へと辿り着いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~

あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。 それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。 彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。 シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。 それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。 すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。 〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟 そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。 同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。 ※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...