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第89話 食材確保と抜かれた度肝
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セムネイルとキュイジーヌはスーパーキヨスギに到着した。
「キヨスケ、やってるかー?」
スーパーキヨスギは、先日の災厄の後に店の商品を全て困っている住民達に無償で配ったお人好しのキヨスケが店主をしている店だ。
昨日来た時は、もぬけの殻になっていたのだがセムネイル達が到着し見てみると店の中は多くの商人達で溢れ商品が次から次へと運ばれていた。
「これはこれは~、いらっしゃいやせ~お客様」
商人達と商談をしていたキヨスケは、セムネイルに気付くと直ぐに出迎える。
「仕事中にすまん。 どうだ、店はまたやれそうか?」
「勿論ですよ~。 お客様のお陰で、前よりも素晴らしいスーパーに出来そうですよ! それより、何かご入用なのでは~? まだ開店しておりませんが、お客様の為ならどのような商品でもご用意致しますよ~?」
キヨスケは笑いながらも、商人の鋭い目でセムネイルの隣に立つキュイジーヌを見定めていた。
「あぁ、実は食材をかなりの量欲しくてな。 キュイジーヌ、自分で見るんだろ?」
「まさか、この街で名高いスーパーキヨスギの店長と知り合いなんて……すご!! 予想以上ね……よし! めちゃくちゃ買い込むけど、お金はあるのよね?」
キュイジーヌがコックコートの袖をもくり、まだ陳列されていない商品の下へと向かう。
「幾らでも払える。 好きなだけ買わせてもらっても構わないか?」
「お客様のお願いを聞かない商人は落第ですから。 勿論、文字通りお好きなだけどうぞ~!」
店の店主の許可も貰い、セムネイルはキュイジーヌが選んだ食材を4次元に放り込む。
「幾らか後で請求してくれ」
「うお!? 何かまた凄い事してる……それ、もしかして魔法鞄なの? 初めて見た! あははは! どんどん選ぶから、全部入れて下さいよー!」
それから暫くセムネイルは、楽しそうに食材を選ぶキュイジーヌに付き合った。
「全て合わせまして、金貨100枚でござやす。 大金貨でお支払いしやすか?」
「いや、金貨で頼む」
セムネイルは4次元から金貨を100枚出して、キヨスケに支払った。
「う~む、前に頂いたとの同じ、古くとも素晴らしい金貨でございますね。 このボブムズ王国の金貨ではございませんが、何の問題もありません。 毎度、ありがとうございました~! またのお越しを心よりお待ちしております~!」
深々と頭を下げるキヨスケに手を振り、セムネイルはキュイジーヌと宿屋へと向かう。
「ねぇ、本当にあんなに買って大丈夫だったの? さっき、アタイに金貨100枚払ったばっかりなのに」
「ん? あぁ、問題無い。 少し前にダンジョンで巨大な宝箱から金銀財宝を入手したからな。 それの金貨だ」
「へぇ……Gランクのタグ付けてるのに凄腕何だ。 こりゃ、直ぐにSランクになるんじゃない?」
キュイジーヌと雑談しながら歩き、サシャの宿屋へと到着した。
「此処だ。 戻ったぞ、サシャ」
「お邪魔しま~す」
宿屋に入ると受付にサシャが座っており、セムネイルを見て嬉しそうに微笑む。
「あれま、お帰りなさいお兄さん。 そっちのお姉さんが、言ってた料理長さんかい?」
「そうだ。 紹介しとく、キュイジーヌだ。 4次元で亜人達の料理人をしてもらう。 キュイジーヌ、サシャだ。 この宿屋の主で、俺の妻の1人だ。 これから顔をよく合わせるだろう、仲良くしてくれ」
セムネイルに紹介され、サシャとキュイジーヌは握手を交わす。
「ギルドの受付嬢ちゃんから聞いた噂では、奥さんが複数人居るとか聞いてたけど、本当だったんだ。 よろしくお願いしますね、サシャさん」
「こちらこそ、よろしくね。 多分……この後度肝を抜かれると思うけど、気をしっかり保つんだよ!」
「……へ?」
サシャに謎の励ましをされたキュイジーヌは、セムネイルに地下へと連れて行かれ少し身構える。
「あ、あの……この宿屋の厨房で働くにしても、何で地下に……はぇ?」
案内された地下室の部屋には、謎の門が聳え立っていた。
「どうした、仕事場に案内するから入ってくれ」
セムネイルは門を開き、キュイジーヌの手を引いて門を潜った。
「ちょっ、待って! これ何……? はぁぁぁ?! 外!? いや、此処……何処!!」
キュイジーヌは門の周囲を見渡し絶句した。
先程まで宿屋の地下室に居たのに、次の瞬間には見渡す限りの平原や山々が聳え立ち、立派な豪邸やコロシアムも見える。
更に、大きな平屋と広大や農場や牧場の様なものも見えた。
自身の頭がおかしくなったと考えても不思議では無い光景だ。
「ようこそ、此処がキュイジーヌの仕事場だ。 此処は俺が創り出した4次元世界だが……おっと、すまん。 ちゃんと自己紹介して無かったな。 俺は欲望と狭間の魔王セムネイルた。 改めてよろしくな」
笑顔のセムネイルを見て、キュイジーヌは先程のサシャが言っていた言葉を思い出す。
「はは……アタイ、とんでもない人に雇われたのかも」
「キヨスケ、やってるかー?」
スーパーキヨスギは、先日の災厄の後に店の商品を全て困っている住民達に無償で配ったお人好しのキヨスケが店主をしている店だ。
昨日来た時は、もぬけの殻になっていたのだがセムネイル達が到着し見てみると店の中は多くの商人達で溢れ商品が次から次へと運ばれていた。
「これはこれは~、いらっしゃいやせ~お客様」
商人達と商談をしていたキヨスケは、セムネイルに気付くと直ぐに出迎える。
「仕事中にすまん。 どうだ、店はまたやれそうか?」
「勿論ですよ~。 お客様のお陰で、前よりも素晴らしいスーパーに出来そうですよ! それより、何かご入用なのでは~? まだ開店しておりませんが、お客様の為ならどのような商品でもご用意致しますよ~?」
キヨスケは笑いながらも、商人の鋭い目でセムネイルの隣に立つキュイジーヌを見定めていた。
「あぁ、実は食材をかなりの量欲しくてな。 キュイジーヌ、自分で見るんだろ?」
「まさか、この街で名高いスーパーキヨスギの店長と知り合いなんて……すご!! 予想以上ね……よし! めちゃくちゃ買い込むけど、お金はあるのよね?」
キュイジーヌがコックコートの袖をもくり、まだ陳列されていない商品の下へと向かう。
「幾らでも払える。 好きなだけ買わせてもらっても構わないか?」
「お客様のお願いを聞かない商人は落第ですから。 勿論、文字通りお好きなだけどうぞ~!」
店の店主の許可も貰い、セムネイルはキュイジーヌが選んだ食材を4次元に放り込む。
「幾らか後で請求してくれ」
「うお!? 何かまた凄い事してる……それ、もしかして魔法鞄なの? 初めて見た! あははは! どんどん選ぶから、全部入れて下さいよー!」
それから暫くセムネイルは、楽しそうに食材を選ぶキュイジーヌに付き合った。
「全て合わせまして、金貨100枚でござやす。 大金貨でお支払いしやすか?」
「いや、金貨で頼む」
セムネイルは4次元から金貨を100枚出して、キヨスケに支払った。
「う~む、前に頂いたとの同じ、古くとも素晴らしい金貨でございますね。 このボブムズ王国の金貨ではございませんが、何の問題もありません。 毎度、ありがとうございました~! またのお越しを心よりお待ちしております~!」
深々と頭を下げるキヨスケに手を振り、セムネイルはキュイジーヌと宿屋へと向かう。
「ねぇ、本当にあんなに買って大丈夫だったの? さっき、アタイに金貨100枚払ったばっかりなのに」
「ん? あぁ、問題無い。 少し前にダンジョンで巨大な宝箱から金銀財宝を入手したからな。 それの金貨だ」
「へぇ……Gランクのタグ付けてるのに凄腕何だ。 こりゃ、直ぐにSランクになるんじゃない?」
キュイジーヌと雑談しながら歩き、サシャの宿屋へと到着した。
「此処だ。 戻ったぞ、サシャ」
「お邪魔しま~す」
宿屋に入ると受付にサシャが座っており、セムネイルを見て嬉しそうに微笑む。
「あれま、お帰りなさいお兄さん。 そっちのお姉さんが、言ってた料理長さんかい?」
「そうだ。 紹介しとく、キュイジーヌだ。 4次元で亜人達の料理人をしてもらう。 キュイジーヌ、サシャだ。 この宿屋の主で、俺の妻の1人だ。 これから顔をよく合わせるだろう、仲良くしてくれ」
セムネイルに紹介され、サシャとキュイジーヌは握手を交わす。
「ギルドの受付嬢ちゃんから聞いた噂では、奥さんが複数人居るとか聞いてたけど、本当だったんだ。 よろしくお願いしますね、サシャさん」
「こちらこそ、よろしくね。 多分……この後度肝を抜かれると思うけど、気をしっかり保つんだよ!」
「……へ?」
サシャに謎の励ましをされたキュイジーヌは、セムネイルに地下へと連れて行かれ少し身構える。
「あ、あの……この宿屋の厨房で働くにしても、何で地下に……はぇ?」
案内された地下室の部屋には、謎の門が聳え立っていた。
「どうした、仕事場に案内するから入ってくれ」
セムネイルは門を開き、キュイジーヌの手を引いて門を潜った。
「ちょっ、待って! これ何……? はぁぁぁ?! 外!? いや、此処……何処!!」
キュイジーヌは門の周囲を見渡し絶句した。
先程まで宿屋の地下室に居たのに、次の瞬間には見渡す限りの平原や山々が聳え立ち、立派な豪邸やコロシアムも見える。
更に、大きな平屋と広大や農場や牧場の様なものも見えた。
自身の頭がおかしくなったと考えても不思議では無い光景だ。
「ようこそ、此処がキュイジーヌの仕事場だ。 此処は俺が創り出した4次元世界だが……おっと、すまん。 ちゃんと自己紹介して無かったな。 俺は欲望と狭間の魔王セムネイルた。 改めてよろしくな」
笑顔のセムネイルを見て、キュイジーヌは先程のサシャが言っていた言葉を思い出す。
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