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第64話 フォレトウルフクイーンの戦い
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牙を剥き出し、爪を尖らせ、全力で戦い抜く覚悟を決めた私は空に向かって嘶いた。
アナタ……見ていて下さい、私の最後の戦いを!
「アオオォォォォォォォォォォンッ!!」
応えるように飛竜は叫び、その巨体を揺らしながら襲い来る。
「クルルルルル……ガアアァァァァァッ!!」
大口を開けて迫る飛竜の上に乗り、背中に向けて駆け出した私は爪で鱗を引き裂こうとするも全く歯が立たない。
ふふ、本当に最悪ね。
◆◇◆
戦いが始まって、どれだけの時間が経っただろうか。
少なくとも、まだ私は生きている。
殺されてないのは、飛竜が足を負傷しているお陰だろう。 2匹の森狼が逃げた時にも直ぐに追い掛けなかったのは、傷が深くゆっくりとしか歩けなかったのだ。
足以外にも、身体の至る所に噛まれたような傷が数多に有り出血もしている。 翼も傷付いており、アレでは思うように飛べ無い筈だ。
もし、飛竜の状態が万全なら瞬殺されていたわね。
……でも、幾ら試しても私の爪も牙も通らない。
飛竜は噛み付きや、爪で私を仕留めようとしてくるが、距離を取れば難なく躱す事は可能。 代わりに、私も飛竜に対して有効打がない……歯痒いわね。
どうしよう、どうすれば一矢報いれる?
何か、何か切っ掛けが有れば……。
少し思考に耽っていると、地面が揺れ始めた。
え!? 何?!
突如、足下の地面が盛り上がり。 土が棘のように固まって、私目掛けて飛んできた。
くっ! 何なのよ!
走って逃げるが、次から次へと土の棘が襲い掛かる。 しかし、固まってから射出されるまで一時の猶予がある為、避け続ける事は可能だった。
大丈夫、このスピードなら逃げられる。
しかし、棘の雨を避けて辿り着いた先は飛竜の正面だった。
飛竜は大口を開けて、口の中を真っ赤に光らせている。
炎!? しまった、罠だ!
「チリチリチリチリ……ガフォッ!? クルル!? ガフォッ!? ガフォフォッ! ゲェアァァァ!!」
飛竜が何やら苦しみだし、口から真っ黒な煙を吐き出し始めた。
分からないけど、助かったわ! そして、今がチャンス!
正面から苦しむ飛竜目掛けて駆ける。
すれ違いざまに飛竜の左目を牙で抉り、おびただしい血が噴水の様に吹き上がった。
「クルル?! ゲガァッ! ガアアァァァッ!」
よし、やってやったわ! 一矢報いたのよ!
飛竜の横をすり抜け、山の様に大きな腹を横切る際に驚愕する事となった。
え……待って。 飛竜の腹から、微かに夫の気配がした! 生きてる! 夫はまだ生きてるんだわ!
助けれる、この飛竜を殺せば!
一縷の希望を得た私は、無我夢中で飛竜の腹を引き裂こうと足掻く。
「クルルルル……ガゲァァァァァッ!」
片目を失ったのが余程腹に据えたのか、憎しみを込めた瞳で私を探しているが知ったことでは無い。
片目を失ったのがどうした! 私からは全てを奪ったくせに! 私はお前を殺す! 殺して夫を助けるの! 諦めてたまるものですか!
飛竜が暴れ、距離を取ると飛竜の気配も夫の気配もしなくなった。 あの飛竜が気配察知を妨げているのだろう。
「グルルルル……アオーーーーーンッ!」
死角となる左側から、飛竜の腹目掛けて何度も何度も攻撃を仕掛ける。
しかし、まるでダメージを与えれない。
さっきのような、チャンスが有れば……。
「クルル……ゲェッ!? ゲェェェェェガァッ!」
またしても、飛竜が苦しみ始めた。
今だ!!
今日は最悪な日だと思っていたが、そうではないらしい。
「ガルルル! ガブゥゥゥゥッ!!」
残った右目に食らい付き、牙で飛竜の目を抉り取る。
これで視界は潰せた。 後は、何とか致命傷を負わせたら勝てる!
◆◇◆
飛竜の両目を潰してからは、私が手を出す必要も無かった。
急に身体をかきむしったり、腹を抑えたりと終始苦しみだしたのだ。 巨体がビッタンバッタンと暴れるものだから、手の出しようが無い。
腹に居る夫は無事だろうか。
飛竜から生気がどんどん失われていく様は何とも言えない光景だ。 あれ程に傍若無人に巨木の森を荒らし回った飛竜が、今は死に恐怖し空へと手を伸ばしている。
一体、身体の中で何が起きてるの?
何度目かの絶叫を飛竜が上げ、そのまま動かなくなった。
「クルル?! ……ゲガァァアアアアッ!!」
遂に、夫や多くの群れでも勝てなかった巨大な飛竜は息絶えた。
それも、私の攻撃では無く何かに身体の中を食い殺された様に死んだのだ。
え……? 何で!? 怖っ!!
アナタ……見ていて下さい、私の最後の戦いを!
「アオオォォォォォォォォォォンッ!!」
応えるように飛竜は叫び、その巨体を揺らしながら襲い来る。
「クルルルルル……ガアアァァァァァッ!!」
大口を開けて迫る飛竜の上に乗り、背中に向けて駆け出した私は爪で鱗を引き裂こうとするも全く歯が立たない。
ふふ、本当に最悪ね。
◆◇◆
戦いが始まって、どれだけの時間が経っただろうか。
少なくとも、まだ私は生きている。
殺されてないのは、飛竜が足を負傷しているお陰だろう。 2匹の森狼が逃げた時にも直ぐに追い掛けなかったのは、傷が深くゆっくりとしか歩けなかったのだ。
足以外にも、身体の至る所に噛まれたような傷が数多に有り出血もしている。 翼も傷付いており、アレでは思うように飛べ無い筈だ。
もし、飛竜の状態が万全なら瞬殺されていたわね。
……でも、幾ら試しても私の爪も牙も通らない。
飛竜は噛み付きや、爪で私を仕留めようとしてくるが、距離を取れば難なく躱す事は可能。 代わりに、私も飛竜に対して有効打がない……歯痒いわね。
どうしよう、どうすれば一矢報いれる?
何か、何か切っ掛けが有れば……。
少し思考に耽っていると、地面が揺れ始めた。
え!? 何?!
突如、足下の地面が盛り上がり。 土が棘のように固まって、私目掛けて飛んできた。
くっ! 何なのよ!
走って逃げるが、次から次へと土の棘が襲い掛かる。 しかし、固まってから射出されるまで一時の猶予がある為、避け続ける事は可能だった。
大丈夫、このスピードなら逃げられる。
しかし、棘の雨を避けて辿り着いた先は飛竜の正面だった。
飛竜は大口を開けて、口の中を真っ赤に光らせている。
炎!? しまった、罠だ!
「チリチリチリチリ……ガフォッ!? クルル!? ガフォッ!? ガフォフォッ! ゲェアァァァ!!」
飛竜が何やら苦しみだし、口から真っ黒な煙を吐き出し始めた。
分からないけど、助かったわ! そして、今がチャンス!
正面から苦しむ飛竜目掛けて駆ける。
すれ違いざまに飛竜の左目を牙で抉り、おびただしい血が噴水の様に吹き上がった。
「クルル?! ゲガァッ! ガアアァァァッ!」
よし、やってやったわ! 一矢報いたのよ!
飛竜の横をすり抜け、山の様に大きな腹を横切る際に驚愕する事となった。
え……待って。 飛竜の腹から、微かに夫の気配がした! 生きてる! 夫はまだ生きてるんだわ!
助けれる、この飛竜を殺せば!
一縷の希望を得た私は、無我夢中で飛竜の腹を引き裂こうと足掻く。
「クルルルル……ガゲァァァァァッ!」
片目を失ったのが余程腹に据えたのか、憎しみを込めた瞳で私を探しているが知ったことでは無い。
片目を失ったのがどうした! 私からは全てを奪ったくせに! 私はお前を殺す! 殺して夫を助けるの! 諦めてたまるものですか!
飛竜が暴れ、距離を取ると飛竜の気配も夫の気配もしなくなった。 あの飛竜が気配察知を妨げているのだろう。
「グルルルル……アオーーーーーンッ!」
死角となる左側から、飛竜の腹目掛けて何度も何度も攻撃を仕掛ける。
しかし、まるでダメージを与えれない。
さっきのような、チャンスが有れば……。
「クルル……ゲェッ!? ゲェェェェェガァッ!」
またしても、飛竜が苦しみ始めた。
今だ!!
今日は最悪な日だと思っていたが、そうではないらしい。
「ガルルル! ガブゥゥゥゥッ!!」
残った右目に食らい付き、牙で飛竜の目を抉り取る。
これで視界は潰せた。 後は、何とか致命傷を負わせたら勝てる!
◆◇◆
飛竜の両目を潰してからは、私が手を出す必要も無かった。
急に身体をかきむしったり、腹を抑えたりと終始苦しみだしたのだ。 巨体がビッタンバッタンと暴れるものだから、手の出しようが無い。
腹に居る夫は無事だろうか。
飛竜から生気がどんどん失われていく様は何とも言えない光景だ。 あれ程に傍若無人に巨木の森を荒らし回った飛竜が、今は死に恐怖し空へと手を伸ばしている。
一体、身体の中で何が起きてるの?
何度目かの絶叫を飛竜が上げ、そのまま動かなくなった。
「クルル?! ……ゲガァァアアアアッ!!」
遂に、夫や多くの群れでも勝てなかった巨大な飛竜は息絶えた。
それも、私の攻撃では無く何かに身体の中を食い殺された様に死んだのだ。
え……? 何で!? 怖っ!!
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