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第118話 決戦 魔族VS亜人連合 その1
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――クウネルが地面に地竜を突き刺し、オブジェを作っている頃、魔王国連合と竜神帝国の国境沿いに有る平原で決戦が行われようとしていた。
◆新獣王ウンポside◆
ふふふ、愚かな魔族共め! わざわざ、宣戦布告してくるとは……大軍で踏み潰してくれと言っているような物ではないか! くはははっ!
「獣王ウンポ陛下、5万もの大軍を率いての参戦心より御礼申し上げる」
獣王で有るこの私に無礼にも話し掛けて来たのは、竜神帝国の将軍だ。 名前は知らんし興味も無い。
大層な黒檀の鎧と槍を装備しているが、如何せん竜人兵の数が少ないのが気に食わん!
私は5万もの獣人兵を連れて来たと云うのに、竜人兵はどう見ても3000人程か……。
「いやいや、亜人連合の代表として当然の事。 そちらも手練れの軍かとは思うが、手柄の独り占めは止してくれよ? くはははっ!」
「はははっ! それはそれは、なるべく気を付ける事としましょう。 我が軍自慢の黒檀槍の武勇をお見せ致しますぞ!」
ふっ、私達が余裕綽々なのは当然だ。
5万3000の大軍が布陣する丘の反対に陣取っている魔族はたったの1000人程だ。
獣人兵だけでも、大罪人トール討伐に動いた兵の総数を数万上回っているのだぞ? 楽勝に決まっている。
不満が有るとすれば他の亜人共の事だな。 仕方ない、確認してやるか……。
私達が居る本陣に待機していた部下の1人を呼びつける。
「おい、其処のお前。 まだ巨人、エルフ、妖精、鬼人、ドワーフの兵達は来ないのか?」
「ひっ! も、も、申し訳ございません! まだ物見から報告等は……」
「ちっ、もう良い。 戻れ」
「はっ! し、失礼します!」
くそが、役に立たないデカブツに長耳達だ。 羽虫も馬鹿鬼も、モグラも来てないだと!?
ぬぅぅぅ!! ……いや、落ち着け私よ。
私は愚かな前獣王とは違い聡明で賢い新獣王なのだ。 こんな些事で腹を立ててはいけないな。
反省しなければ、深呼吸でもするか。
私が深呼吸していると、1人の獣兵士が走って来た。
ん? あれは、獣王国の狼獣人か?
「獣王陛下に伝令! 獣王国より伝令でございます!」
「私は此処だ! 何事だ?」
「ぜー、ぜー、で、伝令で……ございます。 巨人王国から獣王国へ文が届きました。 こ、此方でございます」
息も絶え絶えな伝令から文を受け取る。
「ご苦労。 誰か! この者を休ませよ!」
あまり良い予感はしないが、伝令の様子を見る限り火急の文だろう。 仕方ない、読むか……。
観念して文を開けると其処には予想通り最悪な内容が書かれていた。
『ぐふ、おでの友にして新獣王殿。 巨人王となる目的も果たしたので、貴殿に加担するつもりはもう無いでぇな。 嫁達を可愛がるので忙しいから、派兵しろ等と文はもう送ってくるなよぉ。 気に食わないなら攻めて来ればいいでなぁ、最強の巨人兵で相手をしてやるでぇ。 ぐふふふ』
あぁぁぁんのぉイカれデブがぁぁぁぁ!!
「ぬっ!? 獣王殿、ど、どうなされた!」
文を引き裂いて乱心している私を怪訝な顔で竜人の将軍が話し掛けてきた。 一瞬、侮辱されたのかと勘違いしそうになったが、どうやら違うようだ。
心配しているのか、蔑んでいるのか竜人の表情は分かりにくくて仕方ない。 くそ! どいつもこいつも!
「ん! ごほんっ!! 失礼した、少々取り乱してしまった。 すまない、将軍殿。 巨人王国が裏切った、派兵はしないとな」
「なっ! いや、しかし我等竜人と5万もの獣人兵がおります。 それに、まだ他の亜人の兵もきっと直ぐに来ますぞ!」
そうか、表情は読めないがこの将軍は本当に私を心配してくれていたのか。 ふっ、巨人等もはやどうでもいいわ!
「頼もしい言葉、感謝しますぞ将軍殿。 さ、気を取り直して戦いの準備を進め――「敵襲! 魔族の敵襲ー!」
竜人の将軍と意気投合していたその時、1人の獣人兵が叫びながら駆けてきた。
「「「「「「ぎゃぁぁぁぁ!!」」」」」」
それと同時に兵士が布陣している辺りに火柱が上がり、兵士達の悲鳴が聞こえる。
な、何ぃ!? まさか、もう魔族共が攻めて来たのか!?
いや、此処で取り乱してはダメだ! 私は獣王なのだから!
「落ち着け! 数は此方の方が上だ、直ぐに迎撃準備をしろ! 獣魔法部隊! 魔族は魔法しか能の無い奴等だ、結界を陣地に張り巡らせろ! 将軍、竜人兵も迎撃を!」
「「「「「ははっ!!」」」」」
周囲の部隊長達が一斉に動き出す。
「お任せあれ、我等竜人兵も参る! 獣王陛下、ご武運を!」
竜人の将軍も取り巻きの護衛と共に走って行き、私はそれを微動だにせずに見送った。
武運も何も、私はこの玉座から動かんぞ?
私に何か有ったら大変だからな!
私の名指揮で混乱していた軍は落ち着きを取り戻したし流石私だ! おべっかしか使えない兄とは違うのだよ! ふはははっ!
竜人の将軍もまるで私の部下の様では無いか!
これは、私の指揮が素晴らし過ぎたからか? 流石私だ!
「ふはははっ! ふははははははっ!」
私が高笑いをしていると、外から爆音が響く。
「ふはぁっ!? な、ななな何だー!?」
恐る恐る玉座から離れ、テントから顔を出すと本陣の真上に巨大な火の玉が降って来るのが見えた。
「獣王陛下! お逃げ下さい!」
側近の近衛兵が叫ぶが、もう巨大な火の玉は目の前だ。
「し、死ぬぅぅぅぅぅっ!!」
しかし、当たる直前に見えぬ壁にぶつかり飛散した。
獣魔法部隊の結界が間に合ったのだろう。
「ふーーーーーーーーっ! 死んだ……死んだかと思った!」
火の玉が飛んできた方を見ると、向こうの丘にいる魔族達が一斉に魔法を唱え始めているのが見えた。 また直ぐにあの火の玉が降ってくるのか?! 冗談じゃない! 結界は無限に張れないのだぞ!?
「ふぉぉぉぉ!? 突撃だ! 獣暗殺部隊、獣特攻隊突撃しろ! 接近して殺すのだ! 早く早く早く! 殺せーーー!!」
「はっ! 私達の俊足をご覧有れ!! 行くぞ!」
「「「「「はっ!」」」」」
ウンポの取り乱しまくった指揮のお陰で、魔族と亜人連合の戦争は泥沼に向かうのであった。
◆新獣王ウンポside◆
ふふふ、愚かな魔族共め! わざわざ、宣戦布告してくるとは……大軍で踏み潰してくれと言っているような物ではないか! くはははっ!
「獣王ウンポ陛下、5万もの大軍を率いての参戦心より御礼申し上げる」
獣王で有るこの私に無礼にも話し掛けて来たのは、竜神帝国の将軍だ。 名前は知らんし興味も無い。
大層な黒檀の鎧と槍を装備しているが、如何せん竜人兵の数が少ないのが気に食わん!
私は5万もの獣人兵を連れて来たと云うのに、竜人兵はどう見ても3000人程か……。
「いやいや、亜人連合の代表として当然の事。 そちらも手練れの軍かとは思うが、手柄の独り占めは止してくれよ? くはははっ!」
「はははっ! それはそれは、なるべく気を付ける事としましょう。 我が軍自慢の黒檀槍の武勇をお見せ致しますぞ!」
ふっ、私達が余裕綽々なのは当然だ。
5万3000の大軍が布陣する丘の反対に陣取っている魔族はたったの1000人程だ。
獣人兵だけでも、大罪人トール討伐に動いた兵の総数を数万上回っているのだぞ? 楽勝に決まっている。
不満が有るとすれば他の亜人共の事だな。 仕方ない、確認してやるか……。
私達が居る本陣に待機していた部下の1人を呼びつける。
「おい、其処のお前。 まだ巨人、エルフ、妖精、鬼人、ドワーフの兵達は来ないのか?」
「ひっ! も、も、申し訳ございません! まだ物見から報告等は……」
「ちっ、もう良い。 戻れ」
「はっ! し、失礼します!」
くそが、役に立たないデカブツに長耳達だ。 羽虫も馬鹿鬼も、モグラも来てないだと!?
ぬぅぅぅ!! ……いや、落ち着け私よ。
私は愚かな前獣王とは違い聡明で賢い新獣王なのだ。 こんな些事で腹を立ててはいけないな。
反省しなければ、深呼吸でもするか。
私が深呼吸していると、1人の獣兵士が走って来た。
ん? あれは、獣王国の狼獣人か?
「獣王陛下に伝令! 獣王国より伝令でございます!」
「私は此処だ! 何事だ?」
「ぜー、ぜー、で、伝令で……ございます。 巨人王国から獣王国へ文が届きました。 こ、此方でございます」
息も絶え絶えな伝令から文を受け取る。
「ご苦労。 誰か! この者を休ませよ!」
あまり良い予感はしないが、伝令の様子を見る限り火急の文だろう。 仕方ない、読むか……。
観念して文を開けると其処には予想通り最悪な内容が書かれていた。
『ぐふ、おでの友にして新獣王殿。 巨人王となる目的も果たしたので、貴殿に加担するつもりはもう無いでぇな。 嫁達を可愛がるので忙しいから、派兵しろ等と文はもう送ってくるなよぉ。 気に食わないなら攻めて来ればいいでなぁ、最強の巨人兵で相手をしてやるでぇ。 ぐふふふ』
あぁぁぁんのぉイカれデブがぁぁぁぁ!!
「ぬっ!? 獣王殿、ど、どうなされた!」
文を引き裂いて乱心している私を怪訝な顔で竜人の将軍が話し掛けてきた。 一瞬、侮辱されたのかと勘違いしそうになったが、どうやら違うようだ。
心配しているのか、蔑んでいるのか竜人の表情は分かりにくくて仕方ない。 くそ! どいつもこいつも!
「ん! ごほんっ!! 失礼した、少々取り乱してしまった。 すまない、将軍殿。 巨人王国が裏切った、派兵はしないとな」
「なっ! いや、しかし我等竜人と5万もの獣人兵がおります。 それに、まだ他の亜人の兵もきっと直ぐに来ますぞ!」
そうか、表情は読めないがこの将軍は本当に私を心配してくれていたのか。 ふっ、巨人等もはやどうでもいいわ!
「頼もしい言葉、感謝しますぞ将軍殿。 さ、気を取り直して戦いの準備を進め――「敵襲! 魔族の敵襲ー!」
竜人の将軍と意気投合していたその時、1人の獣人兵が叫びながら駆けてきた。
「「「「「「ぎゃぁぁぁぁ!!」」」」」」
それと同時に兵士が布陣している辺りに火柱が上がり、兵士達の悲鳴が聞こえる。
な、何ぃ!? まさか、もう魔族共が攻めて来たのか!?
いや、此処で取り乱してはダメだ! 私は獣王なのだから!
「落ち着け! 数は此方の方が上だ、直ぐに迎撃準備をしろ! 獣魔法部隊! 魔族は魔法しか能の無い奴等だ、結界を陣地に張り巡らせろ! 将軍、竜人兵も迎撃を!」
「「「「「ははっ!!」」」」」
周囲の部隊長達が一斉に動き出す。
「お任せあれ、我等竜人兵も参る! 獣王陛下、ご武運を!」
竜人の将軍も取り巻きの護衛と共に走って行き、私はそれを微動だにせずに見送った。
武運も何も、私はこの玉座から動かんぞ?
私に何か有ったら大変だからな!
私の名指揮で混乱していた軍は落ち着きを取り戻したし流石私だ! おべっかしか使えない兄とは違うのだよ! ふはははっ!
竜人の将軍もまるで私の部下の様では無いか!
これは、私の指揮が素晴らし過ぎたからか? 流石私だ!
「ふはははっ! ふははははははっ!」
私が高笑いをしていると、外から爆音が響く。
「ふはぁっ!? な、ななな何だー!?」
恐る恐る玉座から離れ、テントから顔を出すと本陣の真上に巨大な火の玉が降って来るのが見えた。
「獣王陛下! お逃げ下さい!」
側近の近衛兵が叫ぶが、もう巨大な火の玉は目の前だ。
「し、死ぬぅぅぅぅぅっ!!」
しかし、当たる直前に見えぬ壁にぶつかり飛散した。
獣魔法部隊の結界が間に合ったのだろう。
「ふーーーーーーーーっ! 死んだ……死んだかと思った!」
火の玉が飛んできた方を見ると、向こうの丘にいる魔族達が一斉に魔法を唱え始めているのが見えた。 また直ぐにあの火の玉が降ってくるのか?! 冗談じゃない! 結界は無限に張れないのだぞ!?
「ふぉぉぉぉ!? 突撃だ! 獣暗殺部隊、獣特攻隊突撃しろ! 接近して殺すのだ! 早く早く早く! 殺せーーー!!」
「はっ! 私達の俊足をご覧有れ!! 行くぞ!」
「「「「「はっ!」」」」」
ウンポの取り乱しまくった指揮のお陰で、魔族と亜人連合の戦争は泥沼に向かうのであった。
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