真巨人転生~腹ペコ娘は美味しい物が食べたい~

秋刀魚妹子

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第143話 ゴブリン王国復興大作戦

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 「ぬぅぉぉぉぉぉぉ! なんでぇぇぇぇ!!?」

 クウネルが女神になっていたと判明してから一晩、未だにクウネルは悶えていた。

 「私えらい! 偉いよー! よく頑張って打ち合わせしたよ! だって、打ち合わせしている間にも拝みにゴブリン達が暴食の邪神様だべ~って来んだよ!? 広まるのはえぇぇよ! 田舎か!」

 クウネルは大きい独り言を叫びながら一人寂しく、焚き火に地竜の塊肉を乗せて焼いて食べていた。

 キュウベイは服の作製を手伝う為にモロの所へ行ったままだ。 当然ながら、モロも直ぐに服を作る事は不可能なので仕方無いだろう。

 「ぐすん……でも一人は寂しいよ~」

 そして、遂に王国復興を決行する日となったのだがまだ女神になった現実が受け止めきれず、やる気が出ない。

 「そりゃそうだよぉぉぉぉ! 私、ただの巨人だし! JKだし! あれ? JKだよね? まだ、ギリギリJKだよね! だって、卒業してないし……」

 «――冷静。クウネル、皆が待っています。 土魔法で城壁を作りに行きましょう»

 「ぐぬぬぬぬぬ……分かってるよ鑑定さん。 はぁ……仕方無い行くかぁ。 あ、塊肉で焼くのも美味しい」

 クウネルは朝食を食べ終え、昨日打ち合わせした場所へと向かった。

 ◆◇◆

 「えっと、この辺だよね」

 クウネルは、大きく拡大する王都を囲む城壁を作りに草原まで来ている。 一昨日、クウネルがゴブリンやフォレストウルフと遭遇した辺りだ。 

 「この辺からぐるりと囲むのか……うーん、大変だけどゴブリン達の人口密集も増えたし、森狼達も大勢住むんだもんね。 かなり大きく広く領土を確保しなきゃ」

 クウネルは服から丸めた木の皮を取り出す。 昨日打ち合わせの際に、剥ぎ取った木の裏に絵を書いておいたのだ。

 予定では、大きな円型の城壁を3つ作る手筈になっている。

 最初の城壁の円内は、森狼達の住む森を確保。 更に兵士達の待機所や訓練所を作って常に兵士が1番外側の城壁を守れるようにするのだ。

 これらはモロとギド将軍からの要望が反映されていた。 先日の襲撃から反省し、城壁を突破された段階で民達の住む場所が襲撃されるのを何とかしたかったのだろう。

 2つ目は、城と繋げる形で城壁を作る予定だ。 内側には兵士達の家々を建築し襲撃が起こった際に応援にすぐ駆け付けれる様にする為である。

 これはゴブリン王の要望で、民を絶対に守り抜くと云う確固たる意志の表れだ。 この城壁なら、2つ目で守り切れば民に被害は出ないだろう。

 「うんうん、本当に良い王様だよね。 なんか、直ぐに眷属になりたがるけど。 えっと……最後が」

 3つ目が内側に民達の家々や、市場を建てる予定だ。

 空き地が出てくる程広く、要望を聞いてその都度ゴブリンの大工が建てるのだろう。

 「あ、此処に鍛冶場も作るのか。 大工さん達が作業する場所も必要だな~。 えっと……これ全部土魔法で何とかなるの? 鑑定さん」

 «――可能です。 クウネルの強いイメージの元、土魔法を発動すれば実現できる筈です。 LvMaxまで上がった土魔法なら土も石も岩も操れます»

 「オーケー! イメージね。 ……でも、岩も石も操れるならそれはもう土魔法じゃなくね? そんな雑な事有る? いや、余計な事は考えないでおこう。 よし、やるぞー!」

 クウネルが腕を回し気合を入れていると聞こえてきた、周囲を警戒しているゴブリン兵士からの声援がクウネルのやる気を削ぐ。

 「ギガガ~! 暴食の女神様~、頑張ってくだせー!」

 「ぐぁーー! やめてぇぇぇ!! はずいんじゃぁぁぁぁ!!」

 クウネルは恥ずかしさに耐えきれずその場で悶える。 しかし、今日はやる事が多く立ち止まっている暇は無かった。

 「ま、負けるかぁー! ふんぬーーー! 土魔法……発動! 伸びろ城塞!!」

 地鳴りが響き渡り土や岩が盛り上がる。 そしてクウネルのイメージした通りに変形していく。

 「良い感じ! 良い感じだよ私ー!」

 「ギガ! すげぇぇぇぇ! すげぇです、女神様ー!」

 見物しているゴブリン達から喝采が上がる。

 「やめろぉぉぉ! その呼び方をやめろぉぉ! おっと、あの見物してる集団に王様やギドさんも居るんだよね。 落胆させれない! よーし、気張れ私ーーー! ふぬぬぬぬ! イメージ!! イメージを固めるんだー!」

 クウネルは強く堅い城壁をイメージする。 モデルは前世のオンラインゲームで何度も見た城壁を勝手に使っている。 

 周辺を見渡す限りは城壁を無事作れた様だ。

 立派で分厚い城壁がずらりと並ぶ様は壮観である。

 「ふぅ……まだこれを何回もするのか……しんど。 最初の城壁が1番長いんだよね~。 鑑定さん、この城壁ってどれぐらいの長さになるの?」

 «――検索。 計算終了、周囲約20㎞です。 次の城壁は10㎞、最後の城壁は5㎞です。 頑張りましょう»

 「うへー、マジか。 やばたにえんじゃん! え、今日で終わる? 建物も作るんだよね?」

 «――奮起。 現在の時刻は早朝の5時です。 休まず作業すれば、可能です。 頑張りましょう»

 「その頑張りましょうは1回でいいのよ、1回で! でも、いーやーだー! 休まずはダメだよ! ブラック仕事、ダメ! 絶対! はぁ……ぶつくさ言っても終わらないよね。 やるぞー! そいやーー!」

 クウネルは文句を言いながらも次の城壁作りへと向かうのであった。
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