真巨人転生~腹ペコ娘は美味しい物が食べたい~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
2 / 247

第2話 自分語りとゲームスタートした同級生達

しおりを挟む
 私の名前は狩人 喰かりうど くうだ。
 え? ステータスの時に見たって?
 良いんだよ、固いことは。

 私は両親の顔を知らずに、ド田舎で育った。

 家族は祖父の1人だけ。
 名前の喰も、祖父が付けてくれた。

 何でも、無限にミルクを飲み、離乳食をバカ食いしまくる事から名付けたそうだ。

 常に襲ってくる空腹とは、産まれた時からの付き合いらしい。

 普通食になる頃には、祖父が狩ってきてくれた鹿を丸々1頭平らげたらしく。 その時、祖父は窒息する程大笑いしたそうだ。

 優しくて、大好きな祖父だった。
 でも、両親の事を聞いても教えてくれる事は無かった。

 ド田舎に有った小学校に入る前から、突如として祖父に狩りやサバイバルを叩き込まれ始め理不尽極まりない日々を送る。

 その時の祖父は、本当に厳しかった。
 それもその筈、狩猟は命懸けだ。
 もし、熊に出会えば終わりだからね。

 1度見た事が有るけど、只でさえ身長の低い私からすると熊は怪物にしか見えなかった。

 猟銃が有っても、熊とは絶対にやり合いたくないね。

 そんなこんなで、自分の空腹を満たす為、私は小学校に通いながら狩りをする日々を過ごしたんだ。

 狩猟に使えるのは、罠と祖父お手製の槍や弓矢。 それらを駆使して頑張った。 皆は真似しちゃダメだぞ?

 だって……

 あ、ごめん。
 眠くなってきちゃった。

 自分語りの続きは、また今度ね。

 お休みなさい、まだ見ぬ母よ。

 ◆◇◆

 真っ白な部屋から魔方陣の様な物で転移すると、其処は神殿か宮殿の様な広間だった。

 「おお! よくぞ、来て下さいました召喚者様方。私はこの国の宮廷魔術師を務めている者でございます」

 青年や少女達の前に立つ、黒いローブを着た老人が自己紹介をしていた。

 周りには武装した兵士達が青年達を遠巻きに囲んでいる。

 「やれやれ、俺達は神に選ばれた者達だと言うのに何て扱いだ」

 そう愚痴るのは、この選ばれたクラスメイト達の中でリーダー的な存在の星空和樹だ。

 短髪の黒髪で、活発で明るいイメージを持ち、初対面の人にも好印象を与える人柄から高校二年生で生徒会長を務めていた完璧な男だ。

 「あー、あー、言葉はわかるか? 俺達はオリジンの創造神様により使命を与えられた«召喚されし者達»だ。俺の名前は和樹《かずき》。勇者だ、よろしく頼む」

 「もー、直ぐに和樹君はリーダーシップを取るんだから!! あ、私は結月《ゆずき》って言います、聖女でーす!」

 和樹に文句を言ってきた女子は、三山結月。
金髪に褐色の肌、何処かチャラチャラしているが顔は間違いなく美人な女子だ。 しかし、聖女言われると首を傾げてしまう。

 「うっす、自分は小次郎《こじろう》。剣聖っす」

 短く自己紹介した男子は、阿賀小次郎。 坊主な黒髪で剣道部副部長の、ガチガチに堅物で有名な男である。

 「わ、私は光香《みか》で、す。賢者、です」

目立った特徴が無く、三つ編み黒髪の眼鏡っ娘な少女だ。 良く言えば真面目、悪く言えば脇役である。 名前は天童光香。

 「僕は潤《るう》。魔道王、よろしく」

 和樹が嫌いな僕っ子なガキみたいな青年。 黒髪が目元まで伸びてて、表情も変わらず学校では根暗で有名だった。名前は如月潤。

 「わては琉斗《りゅうと》って名前や!格闘王をさせてもらっとります。よろしゅう」

 関西出身では無いのに、エセ関西弁を話す茶髪の青年。 総合格闘技大会で優勝の経歴があり天狗になっているとして学校の運動部からの嫌われ者だ。 職が格闘王でも、話し方のせいで胡散臭く他の同級生からも煙たがられている可哀想な青年。

 名前は菅藤琉斗。

 「あたちは光里《ひかり》! よろぴくね! 精霊王使いだお!」

 自称、アイドルの痛い少女。 大きな特徴として、ピンクの髪をドリルの様にセットしツインテールにしている。
 
 名前は丸藤光里。

 「ぶぐふふふ、ひかりたんかわゆす。あ、拙者は於多福《おたふく》でござる。しょ、職は奴隷使い王でござるよ。」

 次に自己紹介を始めたのは、和樹が本当に嫌いなタイプの青年だ。 だらしなく太った身体に、気持ち悪い喋り方。 職である奴隷使いにも和樹は嫌悪感を露わにする。

 因みに自称アイドルの光里唯一のファンだ。

 (何故、この選ばれし者達の中にこんなのが居るんだ?創造神様のお考えはまだ理解できん)

 次に自己紹介を始めた同級生に和樹は思わず頬を緩ませた。

 「ぼ、僕は真昼《まひる》って言います! 職は、その職は、性王です!」

 (うん、可愛い! コイツはまひるって名前だが、歴とした男だ。 ただし、男の娘というやつだ。 なのに、このメンバーの中で一番可愛いんだよな)

 和樹は真昼を見て笑みを隠せない。
 他の女子メンバーが見たらドン引きするレベルの気持ち悪い笑みだ。

 名前は小鳥真昼。

 「……ちっ。あたいは小豆《あずき》だよ。もし、名前の事弄ってきたらぶっ殺すからね! 職は破壊王だよ、何だよ! 何か文句あんのか爺! あぁん?!」

 最後のメンバーであり、学校一の不良だった小豆は兵士達にメンチを切り始める。

 (スケバンだったか? 絶滅危惧種のヤンキー女だな、選んだ職もピッタリじゃないか。 確か、コイツはコマメって呼ぶとキレるんだよな) 

 名前は新井小豆。

 小豆に詰め寄られ、宮廷魔術師の老人が怯える。

 「おい、小豆。ご老人が怯えている、やめろ」

 「あぁん?! さっそく命令ですか?! 勇者様ぁ?!」

 和樹と小豆が睨み合うと、老人や兵士達が慌て出した。

 「お、お待ちくだされ! 大丈夫でございます! 皆様も、召喚されたばかりでお疲れでございましょう。ささっ、こちらへどうぞ」

 老人や兵士達に案内され、和樹達は各一人部屋を与えられた。 部屋の内装はかなり豪華だ。

 地球の文化レベルで例えると、中世の貴族が住む部屋だ。

 「まぁまぁの扱いじゃないか。 くっくっくっ、何たって創造神様に選ばれし勇者様だからな。 真昼以外、余計な者達が居るが。 さて、外も暗いし今日は寝るか。 使命を達成する為、明日から頑張るとしよう。 俺の望みを叶える為にな! ふははははっ!」

 凄まじく大きな独り言を呟く和樹の事を、廊下で警備する兵士達は怪訝な顔で聞いていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...