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第44話 勇者カズキとウンポ
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カズキは全力で走りながら探知を発動しマヒルの居場所に一直線で向かった為、何とかナニがナニも無く済んだ。
「あはは~早かったね~カズキ君♡」
素早さが上がる効果が付いた白銀の鎧に攻撃力が上がる両手剣を装備したカズキが全力で走ると、それだけで凄まじい衝撃波が周りを襲う。
そして、ジンネル王国の将軍はその衝撃波で粉々に砕け痛みを感じる暇もなく死んだ。
(ちっ、雑魚が。 まぁ、魔物が綺麗にしてくれるだろ。 俺の女? に手を出そうとしたんだ、当然の報いだな)
マヒルを連れて戻ると、将軍が運んでいたでかい鏡をユズキが絶対に要ると言い出しルウの魔法袋に無理矢理突っ込んでいる所だった。
ルウがキレていたが、カズキは見て見ぬふりをした。 これでユズキが大人しくなるなら儲けものである。
それからカズキ達は、マヒルの尋問で手に入った情報を元に目的の亜人が居る村へと向かう事にした。
あの将軍は、昔に国を救ってくれたトールという亜人最強の巨人とだけ繋がりが有ったようで、その孫が2歳を迎えた祝いに亜人側の領域に向かっていたそうだ。
馬鹿でかい鏡を引いて。
祝いの使者に将軍を1人行かせる感性もカズキには理解不能だ。
(この世界の文化はどこか歪だ。 地球での生活を知ってるから、感じる疑問なのだろうか? ……いや、今は考えるのは止めよう)
暫く地竜に乗って移動すると、さっき越えて来た山の様に巨大な巨人が戦闘しているのが遠目に見えて来た。
「何じゃありゃ。 デカイ魔物との戦闘は経験が有るが、アレはでかすぎるだろ。 何だよ、あの城壁の入り口をピンポイントで蹴って破壊しそうな巨人は」
(どうやら、亜人連合の軍は無事に村を包囲して戦闘に入ったみたいだな。 これは……無駄足だったか?)
地竜に乗ったまま、ゆっくりと村に近付く。
こちら側の亜人達はカズキ達を知らない為に、まだ姿を現す訳にはいかなかった。 突如、現れてパニックになった亜人達に襲われては面倒臭いからだ。
「透明化は切らさず近づくぞ」
「カズキ氏、あ、あ、ああ、アレが魔王なのでは?」
オタフクが足をガクガクと震わせながら呟く。
「いや、アレは違う。さっきの将軍が吐いた情報に有る亜人最強の巨人トールだろう」
「ふっ、何であろうと斬るだけだ」
「コジロウ君、気を付けてね」
「ミカ……任せろ」
「ちょっと、其処の二人。 何良い雰囲気になってるの? これから戦闘になるかも知れないのよ?」
「なんやユズキちゃん、嫉妬かいな」
「違いますー! 何かミスして死んだら、私が蘇生しないといけないのよ? 文句言う権利有るもん!」
「ふぁ~、何々。 うるさいよ、僕は眠いんだ」
「ルウ君! 見てみて! お客さんがいっぱいだよ! キラッ♪」
「ふふっ、ヒカリ多分アレはお客さんじゃないと思うよ? さ、カズキ君。 早く終わらせて、聖王国に戻ろう? 僕、もう我慢出来なくなってきちゃった」
「しゃっ! よし、皆聞いてくれ。 この作戦は今後の使命を果たす為に必要な計画だ。 目標は、生まれ変わりか知らんが1年後に魔王となり世界を滅びに向かわす予定の幼い巨人の娘だ。 ここで倒しておかないと、後々面倒な事になるだろう。 必ず倒すぞ! 俺達は強い、さっさと終わらして拠点に戻るぞ!!」
「流石カズキ氏、名演説ですな! やりますぞ!」
「巨人か……斬り応えが有りそうだ」
「わ、私も、皆を魔法で守ります!」
「汗でベトベトするー、カズキ~なるはやでよろしくねー!」
「うひゃひゃひゃ、さーてやりましょか~」
「どうでもいい。 これが終わったら、僕は引きこもる」
「よーしっ! 頑張ってファンを増やすぞー! キラッ☆」
「いや、ヒカリ勘違いしてない? 大丈夫? っていうか、カズキ! もしかして早く終わらせて帰りたいのって、マヒルと2人っきりになりたいだけでしょ!! この、変態!」
「うるさい! このドS聖女! 後、俺は変態じゃない!」
「えへへ~、そんなに張り切られると照れるな~♡」
マヒルが可愛い過ぎるだけで、自身は変態では無いとカズキは固辞する。
「カズキ氏は変態ですぞ?」
「だな」 「う、うん」 「せやな」 「どうでもいい」
「ヘンタイって何?? キラッ?」 「あはは、ヤる気になってるのは嬉しいけど。 先に殺らなきゃね、カズキ君」
「この、ド変態っ!!」
「えーい、うるさーーい!! マヒル以外に言われたくないわー!! さ、さぁ、行くぞっ。 前進!」
カズキ達は透明化を持続させながら亜人連合軍に接近する。 目標は獣人の第2王子ウンポだ。
(酷い名前だが、唯一俺と面識の有る味方だからな。 まぁ、味方と言っても使い捨てのゴミだが……)
「お、居たぞ。 おーおー、唾を撒き散らしながら何やら叫んでるな。 オタフクこのままゆっくり近づけ、ミカ透明化を消してくれ」
カズキ達が村の側に着いた時には、巨大な巨人は全軍からの猛攻撃でボロボロだった。 しかし、まだまだ巨人トールとやらには余裕が有るのだろう。
笑いながら雨のような矢と攻撃魔法を受け、ふざけた事に亜人連合軍の兵士達が死なないように手加減すらしている。
空中で雷の魔法を放っている者の攻撃でしか、亜人連合軍に死者は出ていない無様な状況だ。
「流石は亜人最強の巨人か……」
勇者であるカズキからすると巨大な巨人すら雑魚にしか見えないが、見上げる程の巨体はそれだけでアドバンテージになっているのだろう。
「了解ですぞ!」
「う、うん。分かった」
透明化を解き突如として現れた地竜やカズキ達に驚いた獣人達の兵士達が武器を構える。
「な、何だ貴様等は! トールや魔王の手先か!!」
「はぁ……失礼な奴等だ。 さて、音声拡大の魔道具の出番だな。 ゴソゴソ……カチッ! プァーーンッ ん、あー、あー、よし。 私は勇者カズキだ! 盟友ウンポ殿から魔王討伐の知らせを聞き駆け付けた! ウンポ殿は居られるか!!」
(あーあー、自分で叫んでて最悪な気分になる名前だな)
カズキの拡大された大声に亜人連合軍の兵士達がざわつき、巨人トールへの攻撃を中止して全員の注目がカズキ達に注がれる。
「こ、これは勇者カズキ様! どうしてこの様な場所に!? おい! お前達、武器を納めよ。 このお方は敵では無い、創造神オリジン様より召喚されし者、勇者様だ!」
血相を変えて獣人の陣からウンポが走って来た。 その姿を見ながらカズキは内心で悪態をつく。
(どうしてって……お前が信用出来ないからだよ。 あと味方じゃないからな、勘違いするなよ)
「ウンポ殿が、亜人連合を率いて魔王討伐に乗り出したと聞き援軍として駆け付けた。 此処からは私が出よう」
「え、いや……それは、何と嬉しい知らせ! あの大罪人トールの討伐をぜひ! 我等では攻めきれず、膠着状態でしたので……」
(はい嘘、嬉しくないんだろ? 手柄を自分だけの物にしたかったんだよな? あの巨人を攻め切れてないのは、見れば分かるんだよこのウンポが!)
「了解した。 して、件の魔王は? もう討伐されたのですよね」
カズキの質問に、ウンポの顔色はみるみる悪くなる。
「い、いや、その……娘の両親が連れて魔の森に逃げ込みまして……。 だ、大丈夫です! 現在、我が軍の精鋭が追っております。 暫くすれば首を持って戻るでしょう」
(くそっ! 失敗してんじゃねーか!)
「あはは~早かったね~カズキ君♡」
素早さが上がる効果が付いた白銀の鎧に攻撃力が上がる両手剣を装備したカズキが全力で走ると、それだけで凄まじい衝撃波が周りを襲う。
そして、ジンネル王国の将軍はその衝撃波で粉々に砕け痛みを感じる暇もなく死んだ。
(ちっ、雑魚が。 まぁ、魔物が綺麗にしてくれるだろ。 俺の女? に手を出そうとしたんだ、当然の報いだな)
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それからカズキ達は、マヒルの尋問で手に入った情報を元に目的の亜人が居る村へと向かう事にした。
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馬鹿でかい鏡を引いて。
祝いの使者に将軍を1人行かせる感性もカズキには理解不能だ。
(この世界の文化はどこか歪だ。 地球での生活を知ってるから、感じる疑問なのだろうか? ……いや、今は考えるのは止めよう)
暫く地竜に乗って移動すると、さっき越えて来た山の様に巨大な巨人が戦闘しているのが遠目に見えて来た。
「何じゃありゃ。 デカイ魔物との戦闘は経験が有るが、アレはでかすぎるだろ。 何だよ、あの城壁の入り口をピンポイントで蹴って破壊しそうな巨人は」
(どうやら、亜人連合の軍は無事に村を包囲して戦闘に入ったみたいだな。 これは……無駄足だったか?)
地竜に乗ったまま、ゆっくりと村に近付く。
こちら側の亜人達はカズキ達を知らない為に、まだ姿を現す訳にはいかなかった。 突如、現れてパニックになった亜人達に襲われては面倒臭いからだ。
「透明化は切らさず近づくぞ」
「カズキ氏、あ、あ、ああ、アレが魔王なのでは?」
オタフクが足をガクガクと震わせながら呟く。
「いや、アレは違う。さっきの将軍が吐いた情報に有る亜人最強の巨人トールだろう」
「ふっ、何であろうと斬るだけだ」
「コジロウ君、気を付けてね」
「ミカ……任せろ」
「ちょっと、其処の二人。 何良い雰囲気になってるの? これから戦闘になるかも知れないのよ?」
「なんやユズキちゃん、嫉妬かいな」
「違いますー! 何かミスして死んだら、私が蘇生しないといけないのよ? 文句言う権利有るもん!」
「ふぁ~、何々。 うるさいよ、僕は眠いんだ」
「ルウ君! 見てみて! お客さんがいっぱいだよ! キラッ♪」
「ふふっ、ヒカリ多分アレはお客さんじゃないと思うよ? さ、カズキ君。 早く終わらせて、聖王国に戻ろう? 僕、もう我慢出来なくなってきちゃった」
「しゃっ! よし、皆聞いてくれ。 この作戦は今後の使命を果たす為に必要な計画だ。 目標は、生まれ変わりか知らんが1年後に魔王となり世界を滅びに向かわす予定の幼い巨人の娘だ。 ここで倒しておかないと、後々面倒な事になるだろう。 必ず倒すぞ! 俺達は強い、さっさと終わらして拠点に戻るぞ!!」
「流石カズキ氏、名演説ですな! やりますぞ!」
「巨人か……斬り応えが有りそうだ」
「わ、私も、皆を魔法で守ります!」
「汗でベトベトするー、カズキ~なるはやでよろしくねー!」
「うひゃひゃひゃ、さーてやりましょか~」
「どうでもいい。 これが終わったら、僕は引きこもる」
「よーしっ! 頑張ってファンを増やすぞー! キラッ☆」
「いや、ヒカリ勘違いしてない? 大丈夫? っていうか、カズキ! もしかして早く終わらせて帰りたいのって、マヒルと2人っきりになりたいだけでしょ!! この、変態!」
「うるさい! このドS聖女! 後、俺は変態じゃない!」
「えへへ~、そんなに張り切られると照れるな~♡」
マヒルが可愛い過ぎるだけで、自身は変態では無いとカズキは固辞する。
「カズキ氏は変態ですぞ?」
「だな」 「う、うん」 「せやな」 「どうでもいい」
「ヘンタイって何?? キラッ?」 「あはは、ヤる気になってるのは嬉しいけど。 先に殺らなきゃね、カズキ君」
「この、ド変態っ!!」
「えーい、うるさーーい!! マヒル以外に言われたくないわー!! さ、さぁ、行くぞっ。 前進!」
カズキ達は透明化を持続させながら亜人連合軍に接近する。 目標は獣人の第2王子ウンポだ。
(酷い名前だが、唯一俺と面識の有る味方だからな。 まぁ、味方と言っても使い捨てのゴミだが……)
「お、居たぞ。 おーおー、唾を撒き散らしながら何やら叫んでるな。 オタフクこのままゆっくり近づけ、ミカ透明化を消してくれ」
カズキ達が村の側に着いた時には、巨大な巨人は全軍からの猛攻撃でボロボロだった。 しかし、まだまだ巨人トールとやらには余裕が有るのだろう。
笑いながら雨のような矢と攻撃魔法を受け、ふざけた事に亜人連合軍の兵士達が死なないように手加減すらしている。
空中で雷の魔法を放っている者の攻撃でしか、亜人連合軍に死者は出ていない無様な状況だ。
「流石は亜人最強の巨人か……」
勇者であるカズキからすると巨大な巨人すら雑魚にしか見えないが、見上げる程の巨体はそれだけでアドバンテージになっているのだろう。
「了解ですぞ!」
「う、うん。分かった」
透明化を解き突如として現れた地竜やカズキ達に驚いた獣人達の兵士達が武器を構える。
「な、何だ貴様等は! トールや魔王の手先か!!」
「はぁ……失礼な奴等だ。 さて、音声拡大の魔道具の出番だな。 ゴソゴソ……カチッ! プァーーンッ ん、あー、あー、よし。 私は勇者カズキだ! 盟友ウンポ殿から魔王討伐の知らせを聞き駆け付けた! ウンポ殿は居られるか!!」
(あーあー、自分で叫んでて最悪な気分になる名前だな)
カズキの拡大された大声に亜人連合軍の兵士達がざわつき、巨人トールへの攻撃を中止して全員の注目がカズキ達に注がれる。
「こ、これは勇者カズキ様! どうしてこの様な場所に!? おい! お前達、武器を納めよ。 このお方は敵では無い、創造神オリジン様より召喚されし者、勇者様だ!」
血相を変えて獣人の陣からウンポが走って来た。 その姿を見ながらカズキは内心で悪態をつく。
(どうしてって……お前が信用出来ないからだよ。 あと味方じゃないからな、勘違いするなよ)
「ウンポ殿が、亜人連合を率いて魔王討伐に乗り出したと聞き援軍として駆け付けた。 此処からは私が出よう」
「え、いや……それは、何と嬉しい知らせ! あの大罪人トールの討伐をぜひ! 我等では攻めきれず、膠着状態でしたので……」
(はい嘘、嬉しくないんだろ? 手柄を自分だけの物にしたかったんだよな? あの巨人を攻め切れてないのは、見れば分かるんだよこのウンポが!)
「了解した。 して、件の魔王は? もう討伐されたのですよね」
カズキの質問に、ウンポの顔色はみるみる悪くなる。
「い、いや、その……娘の両親が連れて魔の森に逃げ込みまして……。 だ、大丈夫です! 現在、我が軍の精鋭が追っております。 暫くすれば首を持って戻るでしょう」
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