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第154話 油断大敵
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最初に現れたのは目玉が飛び出し内蔵もはみ出している歩く死体、アンデッドとなって蘇ったフォレストウルフ達だった。
黒い涎を垂らしながら向かって来ており、涎が当たった草や林は真っ黒に変色していた。
(う……コイツら、知ってるぞ。 見た事有る、アイツ? 偽者の友達を騙る狼? 違う、もっと前に、前に見た。 ん~……? そうだ! お祖父ちゃんが、私のスキル確認と検証に連れて来てくれた狼だ)
赤髪のクウネルは手製の槍を構えたが、改めて記憶と違う身体の大きさに混乱し始める。
(あの時は、もっと大きく感じたのに。 もしかしてこの狼達が小さい? ……小さい? あれ? 私が大きい? んん? 大きい? どうして……?)
赤髪のクウネルは考える程に頭の中が混乱し、祖父であるトールに軽々と持ち上げられていた時の記憶がフラッシュバックした。
(ダメだ、思考が、手が震える。 なんで私大きくなった? 分からない、知らない、分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からな«――クウネル!!!!»
頭の中がぐるぐると回り、視界すらぼやけ始めたその時、脳内に鑑定の大声が響いた。
――っは!? 危なっ!!」
鑑定の大声で意識がはっきりした時には、アンデッドのフォレストウルフが赤髪のクウネルの足に噛み付く寸前だった。
赤髪のクウネルは咄嗟に後ろに飛び退き、間一髪の所で噛まれずに済む。
「あっっぶな! ……ぃつ、頭いっった!」
口を開け空振りした場所には、黒い涎が滴り落ちジュージューと嫌な音を立てている。
«――しっかりして下さい。 貴女が何の気紛れでゴブリン達を助けようとしているのかは知りません。 ですが、今貴女が死ぬような事になれば後ろのゴブリン達は死にます»
鑑定からの忠告に赤髪のクウネルは歯ぎしりをし、此方に向かってゆっくりと向かって来るフォレストウルフを睨んだ。
(死にます……か。 ちっ、なんで助けようと思ったかなんて知らないよ。 でも、なんか嫌なんだよ! 知ってる誰かがまた死ぬのを見るのは!)
赤髪のクウネルは深呼吸をして息を整え、もう一度木の槍をフォレストウルフに向けて構え戦技を放つ。
「もう大丈夫、あれはただの動く死体。 ゾンビなら頭を潰すのがセオリーでしょ! おりゃぁぁぁ! 槍突き!!」
ゾンビ狼のはるか頭上から放たれた戦技の威力は凄まじく、地面を抉り大きなクレーターを作り出した。
「グルル? グル!? キャインッ!」
「「「「キャインッ!」」」」
一度に数匹のゾンビ狼を貫き、ミンチに変え再生しないかと観察したがどうやら完全に息絶えたようだ。
「よし、動かないね。 偽者が喰い殺したあの骨と違ってゾンビは倒せるのか」
«――鑑定をする事を推奨»
(うっさい! 倒せるんだから、わざわざ鑑定する必要無い!)
赤髪のクウネルは鑑定の言葉に聞く耳を持たず、木の槍を振り回し、次々に屠ってゆく。
「槍突き槍突き槍突きーー! 楽勝! ふふん! こんなのに負ける私じゃないからね!」
赤髪のクウネルは久し振りの生身の高揚感に酔いしれていた。
◆◇◆
ゾンビ狼達と戦い始めて暫くが経ったが、未だに敵は減らない。
赤髪のクウネルの足下には数百程のゾンビ狼の死体が転がっているが、森の奥からはまだ大量のゾンビ狼が向かって来ている。
更に、最悪な事に横からゾンビ大蟻とゾンビ蟷螂も現れ赤髪のクウネルは囲まれながらも戦技を駆使し必死に応戦していた。
「ちょっとちょっと、まさか千匹とか居ないでしょうね?! 鑑定! 後どんだけいるの?!」
«――――不明。 アンデッドは気配察知出来ない為、総数は不明です»
「何よ、全然使えないじゃない! 叩き付け!」
幾つものクレーターを作りながら戦うが、数が多過ぎてやってられない。
(どうする? 逃げる? 逃げちゃう? いや、でもやっぱりゴブリン達を見捨てるのは……なんか嫌だ。 くそ、あの偽者の影響だろうか。 この世界の奴等なんて、全員死ねば良いって思ってるのに!)
「キチキチ? キチ、キシャァァァ!」
「うっさい、死ね!」
ゾンビながらも、ボロボロの羽で飛びかかって来たゾンビ蟷螂を槍で吹き飛ばす。
巨木から作り出した即席の槍はまだ健在だ。 激しい戦闘でボロボロになったが、まだ使える。
それでも、何処かで折れてしまうだろう。
「うぅぅ……面倒臭いなぁもう!」
わらわらとゾンビ達が赤髪のクウネルに殺到する。
(でも、何? この違和感……。 ゴブリン達の方には1匹も向かってない? まるで、私が憎くて仕方が無いかの様に私だけに向かって来るじゃん!)
どのゾンビ達も狙いは赤髪のクウネルの様だ。
「アレか! 偽者が仲間を殺したからとかそんな理由でしょ! 全く……どれだけ私に迷惑かけるのよ!」
赤髪のクウネルは前方ばかりを気にし過ぎ、槍突きを放った結果土埃が舞って視界が塞がれてしまう。
「けほ! ぺっぺっぺっ! 向かって来るなら皆殺しにしてやるー!」
«――クウネル! 注意して下さい!»
「うっさい! 話し掛けて無いのに、スキルが勝手に話すな! って、いっっったーーーい!!」
鑑定の忠告を無視し槍を振るっていると、突然足下の土から顔を出したゾンビ大蟻が鋭利な顎で赤髪のクウネルの足の指に噛み付いた。
「最悪! ほら、鑑定が話し掛けるから!」
即座にボロボロの槍で大蟻の頭を潰し難を逃れたが、傷口の大きさに対し激痛が走る事に赤髪のクウネルは顔を顰める。
「あれ? なんでこんなに痛いの!? いっっった!! いたたた! くそ! 死ねー!」
「チキチキ……キシャァァァ!?」
横から迫っていたゾンビ蟷螂達をミンチにしてから、再度足を見る。
すると、指からゆっくりと侵食が始まっていた。
ゾンビ達の涎と同じ……黒い何かが。
黒い涎を垂らしながら向かって来ており、涎が当たった草や林は真っ黒に変色していた。
(う……コイツら、知ってるぞ。 見た事有る、アイツ? 偽者の友達を騙る狼? 違う、もっと前に、前に見た。 ん~……? そうだ! お祖父ちゃんが、私のスキル確認と検証に連れて来てくれた狼だ)
赤髪のクウネルは手製の槍を構えたが、改めて記憶と違う身体の大きさに混乱し始める。
(あの時は、もっと大きく感じたのに。 もしかしてこの狼達が小さい? ……小さい? あれ? 私が大きい? んん? 大きい? どうして……?)
赤髪のクウネルは考える程に頭の中が混乱し、祖父であるトールに軽々と持ち上げられていた時の記憶がフラッシュバックした。
(ダメだ、思考が、手が震える。 なんで私大きくなった? 分からない、知らない、分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からな«――クウネル!!!!»
頭の中がぐるぐると回り、視界すらぼやけ始めたその時、脳内に鑑定の大声が響いた。
――っは!? 危なっ!!」
鑑定の大声で意識がはっきりした時には、アンデッドのフォレストウルフが赤髪のクウネルの足に噛み付く寸前だった。
赤髪のクウネルは咄嗟に後ろに飛び退き、間一髪の所で噛まれずに済む。
「あっっぶな! ……ぃつ、頭いっった!」
口を開け空振りした場所には、黒い涎が滴り落ちジュージューと嫌な音を立てている。
«――しっかりして下さい。 貴女が何の気紛れでゴブリン達を助けようとしているのかは知りません。 ですが、今貴女が死ぬような事になれば後ろのゴブリン達は死にます»
鑑定からの忠告に赤髪のクウネルは歯ぎしりをし、此方に向かってゆっくりと向かって来るフォレストウルフを睨んだ。
(死にます……か。 ちっ、なんで助けようと思ったかなんて知らないよ。 でも、なんか嫌なんだよ! 知ってる誰かがまた死ぬのを見るのは!)
赤髪のクウネルは深呼吸をして息を整え、もう一度木の槍をフォレストウルフに向けて構え戦技を放つ。
「もう大丈夫、あれはただの動く死体。 ゾンビなら頭を潰すのがセオリーでしょ! おりゃぁぁぁ! 槍突き!!」
ゾンビ狼のはるか頭上から放たれた戦技の威力は凄まじく、地面を抉り大きなクレーターを作り出した。
「グルル? グル!? キャインッ!」
「「「「キャインッ!」」」」
一度に数匹のゾンビ狼を貫き、ミンチに変え再生しないかと観察したがどうやら完全に息絶えたようだ。
「よし、動かないね。 偽者が喰い殺したあの骨と違ってゾンビは倒せるのか」
«――鑑定をする事を推奨»
(うっさい! 倒せるんだから、わざわざ鑑定する必要無い!)
赤髪のクウネルは鑑定の言葉に聞く耳を持たず、木の槍を振り回し、次々に屠ってゆく。
「槍突き槍突き槍突きーー! 楽勝! ふふん! こんなのに負ける私じゃないからね!」
赤髪のクウネルは久し振りの生身の高揚感に酔いしれていた。
◆◇◆
ゾンビ狼達と戦い始めて暫くが経ったが、未だに敵は減らない。
赤髪のクウネルの足下には数百程のゾンビ狼の死体が転がっているが、森の奥からはまだ大量のゾンビ狼が向かって来ている。
更に、最悪な事に横からゾンビ大蟻とゾンビ蟷螂も現れ赤髪のクウネルは囲まれながらも戦技を駆使し必死に応戦していた。
「ちょっとちょっと、まさか千匹とか居ないでしょうね?! 鑑定! 後どんだけいるの?!」
«――――不明。 アンデッドは気配察知出来ない為、総数は不明です»
「何よ、全然使えないじゃない! 叩き付け!」
幾つものクレーターを作りながら戦うが、数が多過ぎてやってられない。
(どうする? 逃げる? 逃げちゃう? いや、でもやっぱりゴブリン達を見捨てるのは……なんか嫌だ。 くそ、あの偽者の影響だろうか。 この世界の奴等なんて、全員死ねば良いって思ってるのに!)
「キチキチ? キチ、キシャァァァ!」
「うっさい、死ね!」
ゾンビながらも、ボロボロの羽で飛びかかって来たゾンビ蟷螂を槍で吹き飛ばす。
巨木から作り出した即席の槍はまだ健在だ。 激しい戦闘でボロボロになったが、まだ使える。
それでも、何処かで折れてしまうだろう。
「うぅぅ……面倒臭いなぁもう!」
わらわらとゾンビ達が赤髪のクウネルに殺到する。
(でも、何? この違和感……。 ゴブリン達の方には1匹も向かってない? まるで、私が憎くて仕方が無いかの様に私だけに向かって来るじゃん!)
どのゾンビ達も狙いは赤髪のクウネルの様だ。
「アレか! 偽者が仲間を殺したからとかそんな理由でしょ! 全く……どれだけ私に迷惑かけるのよ!」
赤髪のクウネルは前方ばかりを気にし過ぎ、槍突きを放った結果土埃が舞って視界が塞がれてしまう。
「けほ! ぺっぺっぺっ! 向かって来るなら皆殺しにしてやるー!」
«――クウネル! 注意して下さい!»
「うっさい! 話し掛けて無いのに、スキルが勝手に話すな! って、いっっったーーーい!!」
鑑定の忠告を無視し槍を振るっていると、突然足下の土から顔を出したゾンビ大蟻が鋭利な顎で赤髪のクウネルの足の指に噛み付いた。
「最悪! ほら、鑑定が話し掛けるから!」
即座にボロボロの槍で大蟻の頭を潰し難を逃れたが、傷口の大きさに対し激痛が走る事に赤髪のクウネルは顔を顰める。
「あれ? なんでこんなに痛いの!? いっっった!! いたたた! くそ! 死ねー!」
「チキチキ……キシャァァァ!?」
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ゾンビ達の涎と同じ……黒い何かが。
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