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第233話 別れと終わり
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「さて、じゃあ行くね。 またね、トロールの皆」
ネルは肩にモロとキュウベイを乗せ、大切なハルバートを手に持ち出発の準備を終えていた。
ネルの眼下には全てのトロール達が見送りに集まっており、新たな英雄の早すぎる旅立ちに涙を流す。
「ガウッ! 友よ、また会おう」
「んだべやさ! 必ずまた来てくんろ! 必ずだべ?!」
「ゴッ! でっけぇ姉ちゃん、本当にあんがとなー!」
「「んだんだ!」」
オログ族長やトロール達は手を振り、ネル達が助けた子トロール達も自分達よりも巨大な英雄に別れを告げる。
「魔力弓の狩人殿、譲り受けたこの筒で必ず主を守ると誓いやす」
「ギガン、馬鹿たれ。 キュウベイの方がワテよりも凄腕の狩人だっぺ。 むしろ、ワテこそ誓う。 次、また水竜共が来たらワテが目を貫き追い返せる様に精進するべ!」
キュウベイと魔力弓の狩人は弓を掲げ、互いに誓いを立てていた。
「カァーーー! さぁ、主よ。 行きましょうぞ!」
空には皮袋を掴んで飛ぶアタが旋回しており、ネルは分かったと手を振って応える。
「よし、じゃあモロ。 道案内はお願いね」
「ワフ! 任せてくれ、ネル。 ふふ……またトロール達のあんなに生き生きとした顔が見れたなら、頑張ったかいがあったね」
「ふん……仕方無くよ」
ネルはモロの案内の通りに歩みを進めていたが、モロの言葉に後ろを振り返るとかなり離れたのにまだトロール達は手を振っていた。
其処には、雄と雌を分けて絶滅を待つだけのトロール達は居らず。 分厚い城壁に囲まれ、新たな集落で再出発を始めた明るいトロール達の笑顔があるのだ。
「ううん……違う。 頑張って良かったね……モロ」
「クフクフ、うんうん。 その通りさ」
確実に変わり続ける赤髪ネルの様子に、モロは確信していた。 最後の目的地であるオーク帝国でも善なる巨人と認められれば、あの御方はネルを認めてくれると。
それから暫く、ネル達はオーク帝国に向けて歩き続けるのであった。
◆◇◆
『ガガガーーだかーー巨人のネルをーーガガガ』
「ブヒ! おい、聞こえておらぬのか!? クソ、何が御方と連絡が取れる宝玉だ! ゴミでは無いか!!」
豪華な毛皮を来たオークが怒りのままに、宝玉と呼ばれる水晶を床に叩き付け粉々に粉砕した。
「フゴッ! 皇帝陛下!! どうなったのですか! アレ等はもう、城の中にまで入っておりますぞ!」
「ブヒ! えぇぇい、うるさい! 宝物庫まで足を運んだのが失敗であったわ! 禄に会話も出来ぬゴミを寄越すとは……クソ!!」
オーク帝国の皇帝は宝物庫に入って来た大臣に唾を撒き散らしながら怒鳴る。
「フゴ……そ、そんな。 それでは我々はどうなるのですか!」
「ブヒィィ……近衛師団はどうなった。 団長は……?」
大臣はもう逃げ場は無いのだと膝から崩れ落ち、枯れかけの声を絞り出す。
「フゴ……既に、アレ等と同じになり同じ近衛師団を襲って……うっぷ。 数は帝国民を上回り、この城は包囲されております!」
「ブヒィィ!! クソクソクソ!! 何故だ、我が何をしたのだ!」
オーク皇帝は己を守る盾すら既に無く、寧ろその盾達が襲い来る姿を想像して身震いをした。
「ブヒッブヒッ……やはり、あの奇妙な生き物のせいだ。 突然、我の前に不遜にも現れ何かを言った後に消えたのだ」
「フゴッ?! な、何のお話しですか?!」
「ブヒ……あの奇妙な生き物が言ったのだ。 此処から広げてもいいな……と」
大臣の顔が更に青ざめる。
「フゴッフゴッ……まさか、その生き物が帝国民をアレに!? な、なんの為に!」
大臣が皇帝に掴みかかろうとしたその瞬間、閉じていた宝物庫の扉が外から突如として開け放たれた。
「「「「「「「「「ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!」」」」」」」」」
「フゴッ?! ひ、ひぃぃぃ! やめろ、私を誰だと……皇帝陛下、お逃げ……お逃げ下さ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」
現れた群れに大臣は生きたまま噛みつかれ、引き千切られ肉塊へと変わる。
「ブヒ……ここまでか。 クソ、他の2足型種族を統治するという我の野望がまさか味方に破られるとはな……。 無念だが……愛しい娘よ。 どうか生き延びておくれ……さらば!」
オーク皇帝は腰の宝剣を抜き、迫りくる群れに向かって斬り掛かった。
しかし、直ぐに断末魔と咀嚼音だけになり、暫くすると呻き立ち上がる影が群れへと加わるのであった。
「「ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙……」」
ネルは肩にモロとキュウベイを乗せ、大切なハルバートを手に持ち出発の準備を終えていた。
ネルの眼下には全てのトロール達が見送りに集まっており、新たな英雄の早すぎる旅立ちに涙を流す。
「ガウッ! 友よ、また会おう」
「んだべやさ! 必ずまた来てくんろ! 必ずだべ?!」
「ゴッ! でっけぇ姉ちゃん、本当にあんがとなー!」
「「んだんだ!」」
オログ族長やトロール達は手を振り、ネル達が助けた子トロール達も自分達よりも巨大な英雄に別れを告げる。
「魔力弓の狩人殿、譲り受けたこの筒で必ず主を守ると誓いやす」
「ギガン、馬鹿たれ。 キュウベイの方がワテよりも凄腕の狩人だっぺ。 むしろ、ワテこそ誓う。 次、また水竜共が来たらワテが目を貫き追い返せる様に精進するべ!」
キュウベイと魔力弓の狩人は弓を掲げ、互いに誓いを立てていた。
「カァーーー! さぁ、主よ。 行きましょうぞ!」
空には皮袋を掴んで飛ぶアタが旋回しており、ネルは分かったと手を振って応える。
「よし、じゃあモロ。 道案内はお願いね」
「ワフ! 任せてくれ、ネル。 ふふ……またトロール達のあんなに生き生きとした顔が見れたなら、頑張ったかいがあったね」
「ふん……仕方無くよ」
ネルはモロの案内の通りに歩みを進めていたが、モロの言葉に後ろを振り返るとかなり離れたのにまだトロール達は手を振っていた。
其処には、雄と雌を分けて絶滅を待つだけのトロール達は居らず。 分厚い城壁に囲まれ、新たな集落で再出発を始めた明るいトロール達の笑顔があるのだ。
「ううん……違う。 頑張って良かったね……モロ」
「クフクフ、うんうん。 その通りさ」
確実に変わり続ける赤髪ネルの様子に、モロは確信していた。 最後の目的地であるオーク帝国でも善なる巨人と認められれば、あの御方はネルを認めてくれると。
それから暫く、ネル達はオーク帝国に向けて歩き続けるのであった。
◆◇◆
『ガガガーーだかーー巨人のネルをーーガガガ』
「ブヒ! おい、聞こえておらぬのか!? クソ、何が御方と連絡が取れる宝玉だ! ゴミでは無いか!!」
豪華な毛皮を来たオークが怒りのままに、宝玉と呼ばれる水晶を床に叩き付け粉々に粉砕した。
「フゴッ! 皇帝陛下!! どうなったのですか! アレ等はもう、城の中にまで入っておりますぞ!」
「ブヒ! えぇぇい、うるさい! 宝物庫まで足を運んだのが失敗であったわ! 禄に会話も出来ぬゴミを寄越すとは……クソ!!」
オーク帝国の皇帝は宝物庫に入って来た大臣に唾を撒き散らしながら怒鳴る。
「フゴ……そ、そんな。 それでは我々はどうなるのですか!」
「ブヒィィ……近衛師団はどうなった。 団長は……?」
大臣はもう逃げ場は無いのだと膝から崩れ落ち、枯れかけの声を絞り出す。
「フゴ……既に、アレ等と同じになり同じ近衛師団を襲って……うっぷ。 数は帝国民を上回り、この城は包囲されております!」
「ブヒィィ!! クソクソクソ!! 何故だ、我が何をしたのだ!」
オーク皇帝は己を守る盾すら既に無く、寧ろその盾達が襲い来る姿を想像して身震いをした。
「ブヒッブヒッ……やはり、あの奇妙な生き物のせいだ。 突然、我の前に不遜にも現れ何かを言った後に消えたのだ」
「フゴッ?! な、何のお話しですか?!」
「ブヒ……あの奇妙な生き物が言ったのだ。 此処から広げてもいいな……と」
大臣の顔が更に青ざめる。
「フゴッフゴッ……まさか、その生き物が帝国民をアレに!? な、なんの為に!」
大臣が皇帝に掴みかかろうとしたその瞬間、閉じていた宝物庫の扉が外から突如として開け放たれた。
「「「「「「「「「ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!」」」」」」」」」
「フゴッ?! ひ、ひぃぃぃ! やめろ、私を誰だと……皇帝陛下、お逃げ……お逃げ下さ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」
現れた群れに大臣は生きたまま噛みつかれ、引き千切られ肉塊へと変わる。
「ブヒ……ここまでか。 クソ、他の2足型種族を統治するという我の野望がまさか味方に破られるとはな……。 無念だが……愛しい娘よ。 どうか生き延びておくれ……さらば!」
オーク皇帝は腰の宝剣を抜き、迫りくる群れに向かって斬り掛かった。
しかし、直ぐに断末魔と咀嚼音だけになり、暫くすると呻き立ち上がる影が群れへと加わるのであった。
「「ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙……」」
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