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第240話 豚ゾンビを駆逐せよ
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「あーもう! モロ、また来てる!」
「ガウッ! ネルは作業に集中してくれ! 大丈夫、近付かなければ楽勝さ!」
夜通しでアンデットを囲む壁を作り続けているネルの下に、アンデットオーク達がノロノロと近付いてきた。
安全を確保する為に、点々とネルが作った巨大な焚き火に照らされてグロい見た目のオーク達が黒い涎を垂らしながら向かってくるのが見える。
作業を始めて数時間、未だに壁は完成せず既に数千匹近いアンデットオーク達を倒している。
「終わったらまた風魔法で集めておいてねー! まとめて燃やすからー!」
「アオーン! 任せてくれ友よ! ウィンドトルネード!」
モロがネルの肩から飛び降り、接近するアンデットオーク達の首を跳ねていく。
アンデットは首を切り離せば即死する事が分かっている為、安全圏からの風魔法が一番安定し安全なのだ。
「ちぇっ、落とし穴作ればもっと楽なのにな~」
«――ダメです。 残りのFPは半分を切ってます。 節約しましょう»
ネルは壁を作り続けないといけない為、FPが枯渇しない様に落とし穴はもう使えないのだ。
「「「「「「ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!」」」」」」
「はぁ~……うるさいわね。 ねぇ、モロ。 オーク帝国って何匹のオークが住んでるの? もうかなりの数倒してるわよね?」
「ガルルル! え? 数かい? いやぁ、昔の事しか分からないけど……確か5万匹ぐらいだったかなぁ」
戦闘中のモロに話し掛けると、気が遠くなる答えが返ってきた。 ネルは思わず可愛い顔を顰める。
「えー……4万匹ぐらい避難出来て無いかな。 流石に殆どがゾンビになってたらしんどいね……噛まれたらアウトだし。 キュウベイやアタ……大丈夫かな」
文句を言いながらもネルは黙々と壁を作り続ける。
(っていうか……これ、壁で囲む前に何処かにゾンビが行ってたら大変な事にならない……?)
«――その通りです。 ですが、オークの皇女が帝都を脱出した時間とアンデット達の歩行速度を計算した結果。 止まらずにこのまま囲めば間に合う筈です。 間に合わなければ……最悪な事態になります»
(うっ……分かった。 急ぐわね)
ネルは囲い込みが失敗した時の事を考え身震いする。 もし、ゴブリン達やトロール達があのオーク達の様にアンデットの姿になったらと想像するだけで吐きそうになった。
「ガウッ! ネル、とりあえずは全部倒せたよ。 燃やすのを頼むー!」
「あ、はーい!」
ネルとモロの作業はまだまだ終わらない。
◆◇◆
「早く進んでくだせい! 速射!」
ネルとモロが壁を作り続けている頃、キュウベイはアタの案内で避難所に向かうオーク達の殿を務めていた。
「ブヒッ! ですが、貴殿だけでは」
「構いやせん! それより、これ以上のオークを死なせる訳にはいかないんでさぁ!」
避難する民達を追い掛けるアンデットオーク達は動きは遅いものの、草原を覆い尽くさんばかりの数である。
更に夜という環境がアンデットオークの味方をし、月明かりに照らされる僅かの光りを頼りにオーク弓兵達は矢を放ち行軍を遅らせようと戦っていたのだが殆ど命中せず意味を成していなかった。
キュウベイは持ち前の高いステータスで暗闇でも正確無比に矢を射る事が出来る為、距離の近いアンデットオークから矢で頭を吹き飛ばし倒しているが、幾ら倒しても焼け石に水である。
キュウベイが後方に到着してから数百匹近く倒している筈なのだが数は減らず、むしろ増えていた。
帝都以外の村や町も夜の闇に紛れ既にアンデットオーク達の餌食になったのだろう。
帝都に住むしっかりとした服を着たオーク以外に、質素な服を着たオークがちらほらと見える。
「ブヒッ?! そんな……あれは農業町のオーク達じゃないか!」
「フゴッ?! くそ、親父とお袋! なんて姿に!!」
オーク弓兵達の持つ松明に照らされ、姿を現したアンデットオーク達を見てオーク弓兵達から悲痛な声が上がった。
「「「「「ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!」」」」」
「ブヒッ、狼狽えるな! 帝国民達を守る事に集中せよ! アレはもう……我等の味方では無い!!」
隊長が激を飛ばし、弓兵達を落ち着かせる。
「隊長殿。 変わり果てた姿といえど、身内を倒すのは味方の士気に関わりやす。 俺が食い止めやすから、早く避難所へ!」
キュウベイがアンデットオーク達をまとめて吹き飛ばし、その強さを改めて見た隊長は頷き弓兵達に命令した。
「フゴッ、かたじけない! 総員、帝国民達を急ぎ歩かせよ! 我等では足手まといになるだけだ、これから先は1匹も死なぬ事で恩を返せ!」
「「「「「ブヒッ! はっ!!」」」」」
「ブヒッ、キュウベイ殿。 道中、明かりになるように木々に火を放っておきます。 どうか、お願いします!」
キュウベイと共に矢を放っていたオーク弓兵達を引き連れて、オークの隊長は避難所に向けて急ぐ帝国民達の後ろへと向かった。
「よし、これからが正念場だな。 姉御の方は大丈夫だろうか……早く合流しないと! 速射!」
「ア゙ギャッ!」
接近するアンデットオークの頭を吹き飛ばし、後退しながら高速で矢を放つ。
キュウベイのステータスから放たれる矢の威力は凄まじく、1本の矢で幾匹ものアンデットオーク達の頭を同時に貫き倒していく。
もし、キュウベイが殿をしなければ帝国民達を守っていた後方のオーク弓兵達は直にアンデットに呑み込まれ生き残っていた帝国民達も全滅していた事だろう。
それ程の大群がキュウベイ目掛けて群がり始める。
深い闇の中、キュウベイの撤退戦が始まった。
「ガウッ! ネルは作業に集中してくれ! 大丈夫、近付かなければ楽勝さ!」
夜通しでアンデットを囲む壁を作り続けているネルの下に、アンデットオーク達がノロノロと近付いてきた。
安全を確保する為に、点々とネルが作った巨大な焚き火に照らされてグロい見た目のオーク達が黒い涎を垂らしながら向かってくるのが見える。
作業を始めて数時間、未だに壁は完成せず既に数千匹近いアンデットオーク達を倒している。
「終わったらまた風魔法で集めておいてねー! まとめて燃やすからー!」
「アオーン! 任せてくれ友よ! ウィンドトルネード!」
モロがネルの肩から飛び降り、接近するアンデットオーク達の首を跳ねていく。
アンデットは首を切り離せば即死する事が分かっている為、安全圏からの風魔法が一番安定し安全なのだ。
「ちぇっ、落とし穴作ればもっと楽なのにな~」
«――ダメです。 残りのFPは半分を切ってます。 節約しましょう»
ネルは壁を作り続けないといけない為、FPが枯渇しない様に落とし穴はもう使えないのだ。
「「「「「「ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!」」」」」」
「はぁ~……うるさいわね。 ねぇ、モロ。 オーク帝国って何匹のオークが住んでるの? もうかなりの数倒してるわよね?」
「ガルルル! え? 数かい? いやぁ、昔の事しか分からないけど……確か5万匹ぐらいだったかなぁ」
戦闘中のモロに話し掛けると、気が遠くなる答えが返ってきた。 ネルは思わず可愛い顔を顰める。
「えー……4万匹ぐらい避難出来て無いかな。 流石に殆どがゾンビになってたらしんどいね……噛まれたらアウトだし。 キュウベイやアタ……大丈夫かな」
文句を言いながらもネルは黙々と壁を作り続ける。
(っていうか……これ、壁で囲む前に何処かにゾンビが行ってたら大変な事にならない……?)
«――その通りです。 ですが、オークの皇女が帝都を脱出した時間とアンデット達の歩行速度を計算した結果。 止まらずにこのまま囲めば間に合う筈です。 間に合わなければ……最悪な事態になります»
(うっ……分かった。 急ぐわね)
ネルは囲い込みが失敗した時の事を考え身震いする。 もし、ゴブリン達やトロール達があのオーク達の様にアンデットの姿になったらと想像するだけで吐きそうになった。
「ガウッ! ネル、とりあえずは全部倒せたよ。 燃やすのを頼むー!」
「あ、はーい!」
ネルとモロの作業はまだまだ終わらない。
◆◇◆
「早く進んでくだせい! 速射!」
ネルとモロが壁を作り続けている頃、キュウベイはアタの案内で避難所に向かうオーク達の殿を務めていた。
「ブヒッ! ですが、貴殿だけでは」
「構いやせん! それより、これ以上のオークを死なせる訳にはいかないんでさぁ!」
避難する民達を追い掛けるアンデットオーク達は動きは遅いものの、草原を覆い尽くさんばかりの数である。
更に夜という環境がアンデットオークの味方をし、月明かりに照らされる僅かの光りを頼りにオーク弓兵達は矢を放ち行軍を遅らせようと戦っていたのだが殆ど命中せず意味を成していなかった。
キュウベイは持ち前の高いステータスで暗闇でも正確無比に矢を射る事が出来る為、距離の近いアンデットオークから矢で頭を吹き飛ばし倒しているが、幾ら倒しても焼け石に水である。
キュウベイが後方に到着してから数百匹近く倒している筈なのだが数は減らず、むしろ増えていた。
帝都以外の村や町も夜の闇に紛れ既にアンデットオーク達の餌食になったのだろう。
帝都に住むしっかりとした服を着たオーク以外に、質素な服を着たオークがちらほらと見える。
「ブヒッ?! そんな……あれは農業町のオーク達じゃないか!」
「フゴッ?! くそ、親父とお袋! なんて姿に!!」
オーク弓兵達の持つ松明に照らされ、姿を現したアンデットオーク達を見てオーク弓兵達から悲痛な声が上がった。
「「「「「ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!」」」」」
「ブヒッ、狼狽えるな! 帝国民達を守る事に集中せよ! アレはもう……我等の味方では無い!!」
隊長が激を飛ばし、弓兵達を落ち着かせる。
「隊長殿。 変わり果てた姿といえど、身内を倒すのは味方の士気に関わりやす。 俺が食い止めやすから、早く避難所へ!」
キュウベイがアンデットオーク達をまとめて吹き飛ばし、その強さを改めて見た隊長は頷き弓兵達に命令した。
「フゴッ、かたじけない! 総員、帝国民達を急ぎ歩かせよ! 我等では足手まといになるだけだ、これから先は1匹も死なぬ事で恩を返せ!」
「「「「「ブヒッ! はっ!!」」」」」
「ブヒッ、キュウベイ殿。 道中、明かりになるように木々に火を放っておきます。 どうか、お願いします!」
キュウベイと共に矢を放っていたオーク弓兵達を引き連れて、オークの隊長は避難所に向けて急ぐ帝国民達の後ろへと向かった。
「よし、これからが正念場だな。 姉御の方は大丈夫だろうか……早く合流しないと! 速射!」
「ア゙ギャッ!」
接近するアンデットオークの頭を吹き飛ばし、後退しながら高速で矢を放つ。
キュウベイのステータスから放たれる矢の威力は凄まじく、1本の矢で幾匹ものアンデットオーク達の頭を同時に貫き倒していく。
もし、キュウベイが殿をしなければ帝国民達を守っていた後方のオーク弓兵達は直にアンデットに呑み込まれ生き残っていた帝国民達も全滅していた事だろう。
それ程の大群がキュウベイ目掛けて群がり始める。
深い闇の中、キュウベイの撤退戦が始まった。
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