[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
143 / 231

第141話 停戦の準備

しおりを挟む
 「おほんっ! ファースト、これは陛下からです。 もし、敵が来たらなるべく停戦の方向で動きたいから指揮官の首は跳ねないでとの事です。 後……無事に帰還した事とても嬉しく思います。 もう少し、一緒に頑張りましょう!」

 メリーはマリがサインした羊皮紙の束をファーストに手渡す。

 「あ、誤魔化しましたね隊長」

 「ふふ、隊長にも遂に春が来たのかしら?」

 「へっ! サードの奴も喜んでるんじゃないのかい?」

 「マジっすか。 良かったっすね!」

 メリーは何とか誤魔化そうとしたが、戦闘員達には全く通用しなかった。

 「もう! この話しは終わり! セカンド、スィクスス達の状況は?」

 「ふふ、了解ですわ。 スィクスス達は予定通り、国境での防衛戦準備に必要な物資の配給や準備に取り掛かっております」

 「そう、ありがとう。 じゃあ、ファーストはフィフスと一緒に国境を越えて見張りをお願い。 敵が再度来るかもしれない、来ても交戦せずにルニア侯爵殿に伝えて」

 「了解です」 「了解っす!」

 ファーストとフィフスは森へと消える。

 「セカンド、フォースは戦闘になった際にスィクスス達をアーサー城まで避難させて。 主に戦うのは連合軍の兵士達になります」

 「了解ですわ」 「ちぇっ、もう暴れるのはお終いなのか? 隊長」

 「ふふ、フォース暴れたいのは分かるけど我慢しなさい。私はルニア侯爵殿の下に向かいます。 お願いしますね」

 戦闘員達が散ったのを確認したメリーはルニア侯爵のテントへと向かう。

 「失礼します。 ルニア侯爵殿、ご無事で何よりです。 陛下の事では本当に助かりました」

 「おぉ、メリー殿! ファーストから聞いてはいたが、陛下はお元気か?」

 丁度、軍議をしていたのか主要の指揮官達が勢揃いしていた。   

 「はい、今はアーサー城にて安静にして頂いております」   

 「それは何よりだ。 丁度良いタイミングに来てくれた……実は、ゴルメディア帝国との戦争をどう決着付けるかで話し合っていたのだ」

 「それについては陛下から、なるべく停戦の方向でと言付けられています。 ルミニスを倒せる準備が我らには出来ておりませんから」

 「ふむ……あの羽虫か。 確かに払っても死なぬなら戦うだけ損だな。 陛下の意向、了解した。 出来る限り停戦出来るように努めよう」

 「皆様も、よろしくお願いします」

 メリーは一礼し、テントの出口へと向かう。

 「よし、決まったぞ。 皆聞いてくれ、戦争は終いだ停戦に向けて動くぞ。 って、ラリー師匠。 貴方も聞いて下さいね。 いや、デラン殿に稽古つけたいのは分かりましたから後でお願いします」

 ルニアは集まっている指揮官達に停戦の意向を伝え、軍議を再開する。

 一部の指揮官であるラリーが黒騎士団団長デランを連れて出ようとしていたのか、ルニアに止められているのを聞きながらメリーはテントを後にした。

 「さて、次は……」

 メリーはやるべき事を確認しながら、国境に作られた防衛陣地を歩いて行った。

 ◆◇◆

 「あ、ヨハネ。 丁度良いところに~! お酒、持ってない?」

 メリーが慌ただしく仕事をこなしている頃、ルーデウスに任せれない国境関係の執務をひと通り終わらしたマリは部屋を訪れたヨハネに酒を要求していた。

 「ははは、良いね。 ちょっとならメリーも怒らないだろ。 はい、マリの好きなヤツだよ」

 ヨハネは笑いながら懐をまさぐり、小瓶を取り出す。

 「ありがとー! くぴくぴくぴ……ぷはぁ~! やっぱり美味しいぃぃ~お酒飲むのも久し振りだよ~」

 「ふふ、それは良かったよ。 ずっと気を張ってたからね。 ご褒美として、全部飲んでも良いからね。 さて、少し目を診るよ~?」

 鬼殺しを飲むマリの目をヨハネは診察する。

 「うん、やっぱり呪いはあれから動いてないね。 メリーから聞いたよ? 帝国で手に入れた未来を見る力、使おうとしたんだって?」

 「あぅ……ごめんなさい。 ルニアさん達の無事を見たかったんだ……今は迂闊だったと反省してます。 くぴくぴ」

 ヨハネは仕方ないとため息を吐きながら診察を終える。

 「もう、使おうとしないようにね? この呪いはマリの目に宿った力に掛けられている。 次は……助けられないからね」

 真剣なヨハネの瞳に、流石のマリも真面目に頷いた。

 「ふふ、良い子だ。 もう少ししたらメリーも帰って来るだろう。 それまで……一緒に居ても良いかい?」

 「ひくっ……うん、勿論良いよ?」

 ヨハネの唐突な甘えにマリは頬を赤らめ、誤魔化すように酒を飲む。

 「ありがとう。 じゃあ、隣に失礼するね」

 ヨハネはマリの隣に座り、そのままマリに抱きついた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~

八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。 しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。 それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。 幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。 それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。 そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。 婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。 彼女の計画、それは自らが代理母となること。 だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。 こうして始まったフローラの代理母としての生活。 しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。 さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。 ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。 ※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります ※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

処理中です...