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46. 協力者
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――私は気づいてしまった。
魔王は……私が言った『相棒』って言葉を、めちゃくちゃ気に入っているっ!!
「パートナーって、どういう事ですか? 何か利害関係でもあるのですか?」
レンは圧倒されそうな美貌の笑みに負けじと、グッと眉を寄せ怪訝そうに魔王を見る。
「……ふむ。私の望みは、ビーチェがいればそれだけで良い」
「「はい?」」
思わずレンと同時に聞き返してしまう。
ハァ……と、見兼ねたノアが口を開く。
「魔王は、ベアトリーチェ嬢以外の人間には興味がないのですよ。人間界にとって、それは最大の利になるでしょうね。ベアトリーチェ嬢は、この国やご家族をとても大切にしていますから」
うんうんと、私はうなずく。
前半はちょっとひっかかるが、この国と家族が大切なのは本当。ノアの言う通りだ。
「それって、ベアトリーチェ嬢ひとりが犠牲になるってことじゃないですか!」
レンは怒りを顕にする。
「レン様、それは違います。私は、彼らがいなければ……エルネスト殿下とアリス様に、無実の罪で断罪を受けていました。婚約破棄や、最悪は国外追放だってあったのです」
「そ、それは……」
私がダンスパーティーの出来事を指していると、レンは気づいているようだ。
「ですから、犠牲になどなっておりません。私は、ここに居る魔族のみんなが好きですから」
これは、絶対に言っておきたかった。
レンの方を見ていたので彼らの顔は見えなかったが、温かい優しい視線を感じた。
「むしろ、ベアトリーチェ嬢が魔族と関係があると知られたら、人間によって彼女が血祭りにあげられるでしょう。もしくは……魔王を抑えられる存在、救世主として利用されるかもしれません」と、ノアは言った。
えっ!? 何それ、初耳なんですけど!
「もしも、レンがベアトリーチェ嬢の身を案じるのであれば、こちらに協力していただきたいのです」
「協力……ですか?」
「そうです。レンは勇者として召喚されましたが、国王とは謁見していませんね」
「……はい。謁見には順序があり、時間がかかると言われました」
「聖女と言われるアリス嬢においても然り。つまり、国王陛下はまだ魔王の復活を信じていません。そもそも、この世界には沢山の国があるのに、この国だけがその兆候を得るなど少々胡散臭いのですよ。陛下の命を受け、宰相や影の存在が周囲の国々の情報を探っています」
「そんなことって……」と、レンはショックを隠しきれない。
ノアがお父様とやたら会っていたのは、それだったのね。
まさか、国王から信用されていなかったとは思いもしなかった。いくらなんでも、異世界から勝手に召喚しておいて、それは酷い話だろう。
「別に、レンを信用するしないの話ではありません。誰が、何の目的をもってした事なのかが問題なのです」
ノアは素早くフォローすると、話を続ける。
「我々には、不穏な要素諸共この国を消し去るのは簡単なのです。しかしながら、ベアトリーチェ嬢はそれを望みません。それ以外の方法として……人間達で解決できるように、我々は手を貸し動いています」
「もしかして、怪しいのは……宮廷魔術師団とアリス嬢ってことですか?」
レンの問いかけにノアは首肯した。
あれ?
思わず首を傾げる。今の二人の会話に、エルネストが含まれていないのが不思議だった。
「なぜ、レン様はそう思うのですか? エルネスト殿下も関わっていますよね?」
「……ああ、何となく直感と言うか」と、ぽりぽり頭を掻く。
「直感ですか?」
「エルネストは、僕が魔道具を着けていると知らないんです。……ただ、アリス嬢がどうなのかが分からなくて。それで」
「交換日記、なのですね?」
「はい、そうです。それを確かめたくて、ベアトリーチェ嬢に協力をお願いしました」
レンが盗聴を疑っていたのは、魔術師バスチアンとアリスだったのだ。
疑うきっかけなったのは、アリスをつけて保健室を覗いた時だった――と告白しだした。
ぁうっ……!! 恥ずかしいっ!
「あの……ベアトリーチェ嬢と魔王は恋人なのですか?」
「ち、違っ」
恋人ではないが、直球すぎる質問に戸惑いを隠せない。
「だから、大切なパートナーだと言っている」
魔王は全く揺るがない。
ノアは小さくため息を吐いた。
「ベアトリーチェ嬢は生まれた時から事情があり、魔力が不安定なのです。それを、魔王の魔力で補っています。時々、魔王が魔力を流して安定させているのですよ。以前、ベアトリーチェ嬢が倒れたのを見たでしょう?」
おおっ! 見事な嘘八百だ。いや、半分本当か。
私が日向であることを、まだ隠し続けてくれるのは有り難かった。
正直に話すのは、今じゃない。私がちゃんと義兄に向き合う時だ。それは近いうちにきっと来る――そんな気がした。
「あ! だから、わざわざ保健医に?」と、閃いたようにレンは言う。
いいえ。魔王は絶対退屈だっただけです。心の中で謝りつつ、微笑んで誤魔化しておく。
「それで、どうしますか?」と、ノアは再度尋ねた。
「わかりました、協力します。僕も捨て駒なんて御免ですからね。奴らの尻尾を捕まえますよ」
肩を竦めてレンは言った。
答えに満足したノアはフッと笑う。魔王に目配せすれば、問題ないとうなずいた。
「では……協力者であるレンには、私達の本来の姿をお見せしましょう」
顔を見合わせた三人は、魔族の姿に戻った。
背中から輝くような銀翼を生やした、元天族のノア。
人間の姿よりかなり大きくなった、ブルーグレーと茶の美しい毛並みのムキムキの剣士。ワーウルフのロラン。
耳とシッポが愛らしい魔眼のオッドアイ、猫獣人キーラン。
全員が魔王直属の部下で、他の魔族とは桁違いの力を持っている。ほんの少しだけ、それを解放しているのか……立っているだけで凄い威圧感だ。
うーん、圧感だわ!
どうせなら、戦隊モノの決めポーズでもしてほしい。
ロランがいつも半裸だったのは、服を着ていても本来の姿になると破けてしまうのが原因だそうだ。
変身する前に、いそいそと制服をジゼルに渡していた姿は、ちょっと可愛い。
ノアとキーランの服が変化するのは、何か特殊能力が働いているのだろうか?
「……マジ、か」
「これで、少しは信用してもらえますか?」
「ああ……どう考えても、俺には倒せないよ」
後ずさったレンの口調が、義兄らしく戻っている。
クスリと笑った眼鏡なしのノアは、「魔王は更に別格ですよ」とレンの耳元で囁いた。
魔王は……私が言った『相棒』って言葉を、めちゃくちゃ気に入っているっ!!
「パートナーって、どういう事ですか? 何か利害関係でもあるのですか?」
レンは圧倒されそうな美貌の笑みに負けじと、グッと眉を寄せ怪訝そうに魔王を見る。
「……ふむ。私の望みは、ビーチェがいればそれだけで良い」
「「はい?」」
思わずレンと同時に聞き返してしまう。
ハァ……と、見兼ねたノアが口を開く。
「魔王は、ベアトリーチェ嬢以外の人間には興味がないのですよ。人間界にとって、それは最大の利になるでしょうね。ベアトリーチェ嬢は、この国やご家族をとても大切にしていますから」
うんうんと、私はうなずく。
前半はちょっとひっかかるが、この国と家族が大切なのは本当。ノアの言う通りだ。
「それって、ベアトリーチェ嬢ひとりが犠牲になるってことじゃないですか!」
レンは怒りを顕にする。
「レン様、それは違います。私は、彼らがいなければ……エルネスト殿下とアリス様に、無実の罪で断罪を受けていました。婚約破棄や、最悪は国外追放だってあったのです」
「そ、それは……」
私がダンスパーティーの出来事を指していると、レンは気づいているようだ。
「ですから、犠牲になどなっておりません。私は、ここに居る魔族のみんなが好きですから」
これは、絶対に言っておきたかった。
レンの方を見ていたので彼らの顔は見えなかったが、温かい優しい視線を感じた。
「むしろ、ベアトリーチェ嬢が魔族と関係があると知られたら、人間によって彼女が血祭りにあげられるでしょう。もしくは……魔王を抑えられる存在、救世主として利用されるかもしれません」と、ノアは言った。
えっ!? 何それ、初耳なんですけど!
「もしも、レンがベアトリーチェ嬢の身を案じるのであれば、こちらに協力していただきたいのです」
「協力……ですか?」
「そうです。レンは勇者として召喚されましたが、国王とは謁見していませんね」
「……はい。謁見には順序があり、時間がかかると言われました」
「聖女と言われるアリス嬢においても然り。つまり、国王陛下はまだ魔王の復活を信じていません。そもそも、この世界には沢山の国があるのに、この国だけがその兆候を得るなど少々胡散臭いのですよ。陛下の命を受け、宰相や影の存在が周囲の国々の情報を探っています」
「そんなことって……」と、レンはショックを隠しきれない。
ノアがお父様とやたら会っていたのは、それだったのね。
まさか、国王から信用されていなかったとは思いもしなかった。いくらなんでも、異世界から勝手に召喚しておいて、それは酷い話だろう。
「別に、レンを信用するしないの話ではありません。誰が、何の目的をもってした事なのかが問題なのです」
ノアは素早くフォローすると、話を続ける。
「我々には、不穏な要素諸共この国を消し去るのは簡単なのです。しかしながら、ベアトリーチェ嬢はそれを望みません。それ以外の方法として……人間達で解決できるように、我々は手を貸し動いています」
「もしかして、怪しいのは……宮廷魔術師団とアリス嬢ってことですか?」
レンの問いかけにノアは首肯した。
あれ?
思わず首を傾げる。今の二人の会話に、エルネストが含まれていないのが不思議だった。
「なぜ、レン様はそう思うのですか? エルネスト殿下も関わっていますよね?」
「……ああ、何となく直感と言うか」と、ぽりぽり頭を掻く。
「直感ですか?」
「エルネストは、僕が魔道具を着けていると知らないんです。……ただ、アリス嬢がどうなのかが分からなくて。それで」
「交換日記、なのですね?」
「はい、そうです。それを確かめたくて、ベアトリーチェ嬢に協力をお願いしました」
レンが盗聴を疑っていたのは、魔術師バスチアンとアリスだったのだ。
疑うきっかけなったのは、アリスをつけて保健室を覗いた時だった――と告白しだした。
ぁうっ……!! 恥ずかしいっ!
「あの……ベアトリーチェ嬢と魔王は恋人なのですか?」
「ち、違っ」
恋人ではないが、直球すぎる質問に戸惑いを隠せない。
「だから、大切なパートナーだと言っている」
魔王は全く揺るがない。
ノアは小さくため息を吐いた。
「ベアトリーチェ嬢は生まれた時から事情があり、魔力が不安定なのです。それを、魔王の魔力で補っています。時々、魔王が魔力を流して安定させているのですよ。以前、ベアトリーチェ嬢が倒れたのを見たでしょう?」
おおっ! 見事な嘘八百だ。いや、半分本当か。
私が日向であることを、まだ隠し続けてくれるのは有り難かった。
正直に話すのは、今じゃない。私がちゃんと義兄に向き合う時だ。それは近いうちにきっと来る――そんな気がした。
「あ! だから、わざわざ保健医に?」と、閃いたようにレンは言う。
いいえ。魔王は絶対退屈だっただけです。心の中で謝りつつ、微笑んで誤魔化しておく。
「それで、どうしますか?」と、ノアは再度尋ねた。
「わかりました、協力します。僕も捨て駒なんて御免ですからね。奴らの尻尾を捕まえますよ」
肩を竦めてレンは言った。
答えに満足したノアはフッと笑う。魔王に目配せすれば、問題ないとうなずいた。
「では……協力者であるレンには、私達の本来の姿をお見せしましょう」
顔を見合わせた三人は、魔族の姿に戻った。
背中から輝くような銀翼を生やした、元天族のノア。
人間の姿よりかなり大きくなった、ブルーグレーと茶の美しい毛並みのムキムキの剣士。ワーウルフのロラン。
耳とシッポが愛らしい魔眼のオッドアイ、猫獣人キーラン。
全員が魔王直属の部下で、他の魔族とは桁違いの力を持っている。ほんの少しだけ、それを解放しているのか……立っているだけで凄い威圧感だ。
うーん、圧感だわ!
どうせなら、戦隊モノの決めポーズでもしてほしい。
ロランがいつも半裸だったのは、服を着ていても本来の姿になると破けてしまうのが原因だそうだ。
変身する前に、いそいそと制服をジゼルに渡していた姿は、ちょっと可愛い。
ノアとキーランの服が変化するのは、何か特殊能力が働いているのだろうか?
「……マジ、か」
「これで、少しは信用してもらえますか?」
「ああ……どう考えても、俺には倒せないよ」
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