彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。

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あったかもしれない未来より確かな今を

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「ね!せっかくだからプリクラ撮りたい!」

「プリ……クラ。」

「どんな反応!?」

いや、プリクラ自体は撮った事ぐらいあるのだ。

実際直接会わなかった志麻以外の元カノとは三人とも一度以上は一緒に撮ってる。

まぁ流石にもう処分したけど……。

あの思い出の品とか写真を処分する時の虚しさ、ほんと慣れない……。

それだけでも充分トラウマなのに、現実世界で志麻は俺を裏切った後新しい彼氏とのプリクラをブログに上げまくっていた。

まるで結局会えずに終わった俺との時間を埋め合わせるかのように。

あれほんとトラウマ……。

「ごめん……嫌だった?」

「いや、ちょっと……な。」

分かってる。

今は状況が違うし、彼女の気持ちや覚悟だってあの時と違う事も。

でもやっぱり抵抗がある。

「あっ、映画!映画観よっか!」

彼女もそんな俺の抵抗に気付いたのか、無理やり話題を変えてくる。

「なんか、悪い。」

「良い!良いの!

悪いのは……多分私だしさ。」

それに俺は否定も肯定も出来なかった。

そこから沈黙が続き、俺達はシネマゾーンにやってきた。

今からの時間帯ですぐに観れてかつ席も空いている恋愛映画を観ようという話になった。

適当に選びはしたもののラブコメが好きだし恋愛映画なら間違いないだろう。

チケットを買って隣の席に座る。

「えへへ、なんかドキドキするね。」

「初めて見る映画だしな。」

「そう言う意味じゃなくて……。」

「お、始まるみたいだぞ。」

辺りが一斉に暗くなりお馴染みの映画館のマナー映像が流れ始める。

そこからはお互い無言になってスクリーンに目を向ける。

さて、ノリと勢いで選んだこの映画だが……見始めて数十分経った頃になってその選択を後悔する事となる。

これ……濡れ場シーンもあるやつだ、、

一応R15なので観る事自体はなんら問題はない。

でもこれ絶対女子と二人で、しかもデートで観る映画じゃない!

チラリと隣の志麻を見ると、呆けた顔をしてスクリーンを見つめていた。

うーん気まずいw何となく隠してたエロ本を家族に見られたような気まずさを覚える。

どうしよう俺ひーちゃんに見られたら死ぬかもしれない……。

あ、俺1回死んでるんだったわ……。

「な、なんか……凄かったね……。」

「お、おん...。」

ほんのり顔が赤い志麻。

まぁ普通の反応だよなぁ……。

これが瑞穂なら「悠太こんなので動揺してんの?お子ちゃまー!」とか言って笑われるんだろうな……。

「えっと……この後どうしよっか?」

「そ、そうだな。

カラオケにでも行くか?」

「え、か、カラオケ!?

良いけどカラオケってその……個室だよね……?

この流れで個室ってやっぱり……」

「ボウリング!ボウリングにしよう!」

「う……うん……。」

なんでそんな残念そうなんですかね……?

さて、そんな訳で次に俺達がやって来たのはボウリング場だ。

勘違いされがちだがボウリングのボウルは英語にするとballじゃなくてbowlが正しい。

bowlはラテン語で泡、こぶなどを意味して、ピンをこぶに見立てて倒す事からその名が付いたんだとか。

「なぁ、志麻ってボウリングは得意なのか?」

「うーん……あんまりやった事ないかな。」

「実は俺もだ。」

「……ならなんで提案したの……?」

正論すぐるwでもしょうがないじゃないw他になかったんだからw

「ま、まぁせっかく来たんだしたまには、な。」

「まぁ悠太がそう言うなら……。」

と、言う訳でスタート。

ここは一応経験者の俺がお手本の意味も込めて先手から見せてくれよう!

と、勢いを付けて!

ガター!

ちなみにガーターだと思われがちだがこれも正しくはガターである。

英語ではgutter。意味は側溝、溝であり、そこに落ちる事からそう呼ばれるようになったらしい。

ちなみにガーターは主に昨日瑞穂が言ってたベルトの事である。

こんな丁度良い説明ってある.....?

出来れば体験したくなかったっ!

「どうだ志麻。

実に鮮やかなガターだっただろう。」

「絶対そう言うゲームじゃないよね!?」

ちっ、バレたか。

考えてみたら子供の頃親が好きで時々ボウリングに連れて行かれたが、その頃の俺はボウリングが嫌いだった。

いつしかマトモに投げる事すらやめてたっけ。

通りで下手な訳である。

「えっと……こうしてこう……だよね!?」

フラフラと覚束無いながらに球を構えて転がす志麻。

「いや、そんな投げ方じゃ……。」

ストライク!

あるぇぇ……?

「わ、やった!全部倒れた!」

経験者とか威張っといて早々に経験不足な志麻に抜かれてて草。

いや、これはきっとビギナーズラックと言うやつで最初だけまぐれでストライクになっただけだ……。

きっとそうに違いない!

なんて思った俺が馬鹿でした……。

俺は最初こそガターだったものの、続けていく内に倒せるようになった。

が、志麻はと言うと。

ストライク!

スペア!

そのままストライク!

無双であった……。

「なんだかよく分からないけどこれ楽しいね!」

「お、おん。」

結局ほぼパーフェクトの志麻と完璧な素人テクニックの俺の差が浮き彫りになる形だった、、

そして2ゲーム程楽しんで体もあったまったところで(主に志麻が……。)その頃には映画でのなんとも言えない気まずさも収まり、俺達はその足でカラオケへ。

「カラオケも悠太と来たかったんだ!」

考えてみたら志麻とは電話で朝から晩まで話したが、その時に志麻は話すことが無くなったり何かしながら電話をする時なんかはよく歌っていたように思う。

そもそも彼女と仲良くなったきっかけは共通の歌手を好きになって話すようになったからだった。

実際俺も歌わされたっけ。

さて、トップバッターとばかりに某アイドルが歌うひたすらに可愛いアピールする失恋ソングを歌う志麻。

「いや、どっちかって言うと振ったのはお前……」

「そうだけど!」

「そりゃあんだけ通知来てたらofにもしたくなるだろ……。」

「不安にさせるから!」

「いや……でもやりすぎ……。」

こんなある意味志麻にピッタリな歌があるとは……。

いやまぁピッタリではないか……。

「確かに雑なサヨナラだったな……。」

「それは本当にごめんなさい!?」

あれ、これ俺が歌うべき?でも連絡し過ぎどころか俺しなさすぎだと思うの……。

その後にお互い何曲か歌っていく。

あのカワボ声優が歌うあざと可愛い楽曲をサビでは歌詞に合わせて実際に投げキッスしながら志麻が歌ったり、俺も最近流行りの曲から懐メロまで幅広く歌った。

「あ、これ……。」

終わりが近付いた頃に俺が歌ったのは志麻との思い出の曲だった。

過去を辿ると俺が産まれた年に結成された……あ、これ年齢バレるな……。

四人組ロックバンド。

数々の名曲を生み出し、そんな名曲は誰もが一度は耳にした事があるものばかり。

俺が今歌っているのは12年程前にドラマ主題歌として起用されたバラードだ。

しっとり切なく、それでいてラスサビで一気に盛り上がる歌い方が俺は好きだった。

志麻も好きでよく歌ってた。

「私、ずっとこれを目の前で聴きたかったんだ。」

「おう。」

「ほんと、もったいないよね。

あの時はこうして友達としてじゃなくて、ちゃんと恋人として一緒にいた筈なのに。」

「近くにはいなかったけどな。」

「そうだね。

でも私ほんと馬鹿だ。

ワガママで、重たくて、それでも見捨てなかった悠太を私は裏切った。」

「そうだな。」

ここでそんな事ないなんて言って否定して、今でも好きだ、なんて言って……二人はまた結ばれてハッピーエンド、なんてなれば良かったのかもしれない。

でもそれはダメだ。

今の俺達の関係はあの日とは根本的に違うのだから。

「ごめんね、本当にごめんね...。」

泣き出してしまう志麻を撫でてやる事は出来ても、抱きしめるなんて出来る理由も、覚悟も俺にはもう無い。

「ふぅ。」

とりあえず、場所を温泉に移す。

お互い疲れているだろうし、汗もかいた(主に志麻が(2回目))ので冷却時間という意味で温泉に入ろうと言う事になった。

「どうしたもんかなぁ。」

洗い場で体と髪を洗い、大浴場に体を沈めてボヤく。

思えばこうして落ち着いて何かを考える時間とか最近は無かったように思う。

本当、最近随分自分の周りは賑やかになった。

これまでと環境が大きく変わって……そこに何故か元カノ達までいて。

でもむちゃくちゃ気まずいかと思ったら案外悪くもなくて。

宏美みたいに今度こそちゃんと友達に戻ろうとする関係性も、美江みたいにこれから時間をかけて仲直りしていきたいと思える関係性も。

瑞穂みたいに一度別れた事を感じさせない程気さくで気安い関係性も、志麻みたいにのっけからやっぱり好き!と迫られる関係性も。

「これから俺はどうなっていくんだろう。」

本来なら俺は多分あのまま何も無く働いてそれなりの人生をそれなりに一人で生きていたのだろう。

まぁそんな展開すら実現されずに終わった訳だけど。

なら……今は?

普通に高校生活を過ごして、その先は?

「何も分からない……な。」

いつかは分かる時が来るのだろうか。

まだその時じゃないのだろうか。

「どうした?少年。

悩み事か?」

「え、俺っすか?」

たまに温泉とか銭湯に行くとこうして知らないおっちゃんに声をかけられる事があるらしい。

まぁ俺は無かったけども……。

「そうそう、さっきから随分大きな独り言を言ってたからな。」

「うっ……。」

改めて直接言われたら結構恥ずかしいな……。

「その、今後の事とか色々考えてて。」

でもせっかく気を使って声をかけてくれたのに無視も出来ず、無難な言葉出返す。

「ほぉ、若いのに中々しっかりしてるじゃないか。」

「まぁ事情が事情と言うか……。」

流石にその事情は言えない、、

と言うか言った所で何言ってんだで終わりそうである、、

「ふむ、ワケありと言う感じか。」

そんな俺の態度に何かを察したのか、おっちゃんは深くは聞こうとしなかった。

代わりに、

「少年、今は楽しいか?」

そうニヤリと言う擬音が聞こえそうな笑顔で聞いてくる。

「まぁ……それなりに。」

「なら大切にしなさい。

先の事も確かに大事だ。

どれだけ備えていても思わぬしっぺ返しを食らう事もある。

でもな少年、今は今だけなんだ。

どれだけ懐かしんでも写真や動画にする事は出来ても戻る事は出来ない。」

「まぁ……。」

実際高校生に戻ってます、なんて言っても信じてもらえないよなぁ……。

「だから今しか出来ない事を探して、楽しむ事も大事だと思うよ。」

「今しか出来ない事……。」

おっちゃんにお礼を告げると、爽やかな笑顔でサムズアップしてくれた。

改めてお辞儀してから風呂を出る。

服を着てロビーに出ると、志麻は既に待っていた。

「早かったんだな。」

「うん、で、でもちゃんと体も髪も洗ってるからね!?臭くないよ!?」

結構気にしてたらしい。

ならコートなんか着なけりゃ……いやこれは意味があったんだよな。

それにしてもやっぱり温泉でお互い頭を冷やすと言うのは正解だったらしい。

志麻も一応普段の感じに戻っていた。

それにしてもあったまるならともかく頭を冷やすって表現はやっぱ違うかしらん……。

そんな事言ったら水風呂にしか入らない事になるから言わないけども……。

「なぁ志麻。」

「ん?」

「やっぱりプリクラ撮って帰るか?」

「……!う!うん!撮りたい!

リス太も撮りたいよね~。」

言いながらぬいぐるみの志麻リス……いやシマリスを撫でる志麻。

と言うかいつの間にか名前まで付けてたのか。

と、言う訳で、俺達はプリクラの筐体に移動した。

「こう、二人で持ってリス太が真ん中に来る感じにしよ。

あ、でもこれだとあんまり近付けない……。

二人でも撮りたいな。」

そうして写真を撮る間も、そこに落書きをしてる間も志麻は楽しそうで。

もしあの時会えてたら……じゃないんだよな。

結局今は今で、あの時会えていてもきっとこうはならなかったんだ。

多分それなりには楽しかったと思うけど今の時間は今だから出来た事だ。

そうして俺達はそんな時間を写真に残しながら、笑い合うのだった。

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