Distant eyes

とまとぷりん

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第12話

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夕食はペペロンチーノと豚肉の香草焼きを作り、テーブルワインも用意したので
ちょっとパーティのような雰囲気になった。BGMはもちろんジャズだ。
まずはビールで乾杯。
「神田さん料理上手なんだ。私あんまり凝った料理作れないもん
・・・あっ、このお肉美味しい。何の香りかしら?いい匂い」
「色々入れたけど・・・多分ローズマリーが一番強いんじゃないかな?
ベランダで育ててる」
「そんな事もやってるの?素敵」
美味しそうに料理を食べながら言った。
「そうそう。今日はちょっと面白い事があってね。いつものジャズクラブで
よく一緒になる画家が居るんだけど、彼の個展に顔を出したんだ」
「いいなあ、私も一緒に行きたかった。でも、良くないよね?一緒になんて」
「なんで?別に悪い事してるわけじゃないから良いんじゃない?」
香は多分私の立場などを考えて言っているのだろう。
先日会ったばかりで、既に恋人であるかのように行動するのは軽率に見える
のではないか?そう思ったのだろう。
「今週の日曜日までだから香は休めないなあ。また違うのを見に行ってもいいし」
「それでどんな感じだったの?」
ペペロンチーノを美味しそうに食べながら聞いてきた。
「それがだ、その画家が・・・高木ってヤツなんだけどね。ジャズクラブに
毎回というほど違う女性を連れて来るんだ。ずっとモデルか何かだろうって
思ってたわけ。そしたら・・・」
食事中に話してもいい話題だったか、少し躊躇していると香が言った。
「何よ、途中でやめちゃうなんて、余計に気になるでしょ?言ってよ」
パスタはすでに二人ともたいらげていたので、ワインと香草焼きを持って
ソファーに移る事にした。
「驚いちゃいけないよ。その作品というのは・・・」
個展であった一部始終を香に説明した。
少しの沈黙があった。
「神田さんはそれを聞いてどう思ったの?」
少し酔ったのかうつろな目で香が言った。
「自分の恋人が他人に抱かれるのをじっと見てるなんて、想像できないし
もしそんな状況を作らなければ作品が出来ないのなら、絵を描くのを
諦めるかもしれないな」
「そうかしら?私のこと少しも焼きもち焼かなかったじゃない。
平気なんじゃないの?それとも・・・私の事好きじゃないの?」
痛いところをついてきた。
確かに香の過去の恋愛に対して、嫉妬や詮索をする気はなかった。
もちろん付き合っている期間が短すぎるせいもあるだろうが、それら
すべてを含めて現在の香を好きになったのだ。
そう言いたかった。
「それとこれとは状況が違うよ。香こそどうなんだい?ボクが
そうしなきゃ絵を描く事ができないって君に頼んだとしたら・・・」
暫らく黙って考えているようだった。
そしてサイドテーブルにワイングラスを置くと、いきなり唇を求めてきた。
それはいつにも増して激しく濃厚なものであった。
「どうしたの?酔っちゃったのかい?」
そう聞く私に更に激しく抱きついてきた。
そのままソファーに倒れこみ、二人は激しく身体を求め合った・・・

私の静かになった鼓動を聞きながら香がつぶやいた。
「私もあなたの為ならきっと抱かれると思うわ。嫌だけど・・・」
香の言葉を聞いてまた身体が熱くなるのを感じた。
「喉が渇いたよ・・・何か飲んでくる」
私がそう言うと、香は上体を起こしワインを口に、含み口移しでそれを
流し込んできた。
「美味しい?」
そのまま二人はもう一度お互いの気持ちを確認しあった。
私はその激しさの中で、香に溺れてゆきそうになる自分を感じていた。




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