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第4章 いにしえの因果⑬『魔法院の惨劇』
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ノルマンテ家には魔法の才を持った子が代々生まれる不思議な家系だった。
現ノルマンテ大公の子どもたちも類にもれず、兄のユリウス、弟のイリアスはともに幼少の頃から素晴らしい才能を見せた。
二人は魔法の学術教育兼育成機関でもある、魔法院で高等教育を受けて育っていた。
ユリウスが十八歳、イリアスが六歳のとき、王宮の中庭で貴族を集めたお茶会が開かれていたとき、ディーテが突如として現れた。
ルテアニア王国は三十年ぶりに跳躍者を得ることになる。
跳躍者が異能を持っていることは、王家の歴史書にも古くから伝えられてきた。また、限られた人間にしかその恩恵が与えられないことも伝承されている。
第五の霊脈が視える者は、王家の者かノルマンテ家の者がほとんどであり、残念ながら現王族に視える者はいなかった。
跳躍者から力を得られる者は、ルテアニア王国ではユリウスとイリアスしかいないということになる。
だが魔力の付与に難があることは、その恩恵を受けた者にしかわからないことだった。
ユリウスとイリアスは頻繁にディーテの元を訪れ、交流を深めた。
特にディーテはイリアスを弟のように可愛がった。イリアスも兄が一人増えたように、ディーテに懐いた。
ディーテが来て六年目。
彼は自らは扱えない魔法に興味を持ち、王宮の外にある魔法院で学術書を読むようになっていた。
イリアスはそこで魔法教育を受けていたので、二人はよく一緒にいた。
それからさらに二年。ディーテが来て八年の月日が経った頃のことだ。
王太子は当時十八歳、イリアスは十四歳になっていた。
その日、王太子は魔法院を訪れていた。
王太子自身も魔法の心得があり、たまに魔導士たちの話を聞きに、ふらっとやってくる。
ディーテは王家の賓客として扱われており、王太子とも親しくなっていた。
王太子がイリアスとディーテが共にいるところを見つけ、二人に合流したときだった。
魔法院は突然、魔獣の襲撃を受けた。
王都の周辺には魔獣の棲む深い森がある。魔法院はその魔獣の棲む森に面していた。
ディーテは魔獣の活動時期に入ったことに気づかず、うっかり魔法院に来てしまったのだ。
魔法院には空にだけ結界が張ってあった。魔法院全体を覆ってしまうと、魔力を持つ者が入れなくなってしまうからだ。
第五の霊脈に魅かれた魔獣たちは、空からのフロータービーストは防げた。だが地上からのドーター、そして虎に似ている猛獣型魔獣サーベルは、障壁も何もない敷地に入り込んできた。
王宮であれば近衛兵がいる。しかし、魔法院に近衛騎士団は配備されていない。
魔導士たちは懸命に魔法で撃退を試みるが、魔獣は魔法に耐性を持っている。
耐性を超えるだけの魔法をぶつけないと倒せないのだ。その魔獣だってじっとしてくれているわけではない。
魔獣を倒せるだけの高魔力の攻撃魔法も、避けられてしまえば意味がない。
魔獣退治は魔法で牽制し、剣で仕留めるのが定石だった。ところが、剣で仕留めてくれる者が魔法院にはいない。
かろうじて王太子の近衛兵がいたが、王位継承者を守り、逃がすことが最優先となる。
魔法院は血の惨劇となっていた。
現ノルマンテ大公の子どもたちも類にもれず、兄のユリウス、弟のイリアスはともに幼少の頃から素晴らしい才能を見せた。
二人は魔法の学術教育兼育成機関でもある、魔法院で高等教育を受けて育っていた。
ユリウスが十八歳、イリアスが六歳のとき、王宮の中庭で貴族を集めたお茶会が開かれていたとき、ディーテが突如として現れた。
ルテアニア王国は三十年ぶりに跳躍者を得ることになる。
跳躍者が異能を持っていることは、王家の歴史書にも古くから伝えられてきた。また、限られた人間にしかその恩恵が与えられないことも伝承されている。
第五の霊脈が視える者は、王家の者かノルマンテ家の者がほとんどであり、残念ながら現王族に視える者はいなかった。
跳躍者から力を得られる者は、ルテアニア王国ではユリウスとイリアスしかいないということになる。
だが魔力の付与に難があることは、その恩恵を受けた者にしかわからないことだった。
ユリウスとイリアスは頻繁にディーテの元を訪れ、交流を深めた。
特にディーテはイリアスを弟のように可愛がった。イリアスも兄が一人増えたように、ディーテに懐いた。
ディーテが来て六年目。
彼は自らは扱えない魔法に興味を持ち、王宮の外にある魔法院で学術書を読むようになっていた。
イリアスはそこで魔法教育を受けていたので、二人はよく一緒にいた。
それからさらに二年。ディーテが来て八年の月日が経った頃のことだ。
王太子は当時十八歳、イリアスは十四歳になっていた。
その日、王太子は魔法院を訪れていた。
王太子自身も魔法の心得があり、たまに魔導士たちの話を聞きに、ふらっとやってくる。
ディーテは王家の賓客として扱われており、王太子とも親しくなっていた。
王太子がイリアスとディーテが共にいるところを見つけ、二人に合流したときだった。
魔法院は突然、魔獣の襲撃を受けた。
王都の周辺には魔獣の棲む深い森がある。魔法院はその魔獣の棲む森に面していた。
ディーテは魔獣の活動時期に入ったことに気づかず、うっかり魔法院に来てしまったのだ。
魔法院には空にだけ結界が張ってあった。魔法院全体を覆ってしまうと、魔力を持つ者が入れなくなってしまうからだ。
第五の霊脈に魅かれた魔獣たちは、空からのフロータービーストは防げた。だが地上からのドーター、そして虎に似ている猛獣型魔獣サーベルは、障壁も何もない敷地に入り込んできた。
王宮であれば近衛兵がいる。しかし、魔法院に近衛騎士団は配備されていない。
魔導士たちは懸命に魔法で撃退を試みるが、魔獣は魔法に耐性を持っている。
耐性を超えるだけの魔法をぶつけないと倒せないのだ。その魔獣だってじっとしてくれているわけではない。
魔獣を倒せるだけの高魔力の攻撃魔法も、避けられてしまえば意味がない。
魔獣退治は魔法で牽制し、剣で仕留めるのが定石だった。ところが、剣で仕留めてくれる者が魔法院にはいない。
かろうじて王太子の近衛兵がいたが、王位継承者を守り、逃がすことが最優先となる。
魔法院は血の惨劇となっていた。
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