異世界美貌の騎士様は、キスで魔力をもっていく

琉希

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第5章 動乱の王宮⑭『灼熱の第二波』

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 祥の背中に嫌な汗が伝っていた。
 
 イリアスが言っていた懸念が脳裏に蘇る。

『跳躍者がふたり揃うと、目立つ』
 
 それは昨夜、王太子と入れ違いに祥の部屋に来たイリアスが言ったことだった。
 
 ユリウスもまた部屋にいて、三人で話しをしていた。イリアスの言に、ユリウスもまた同様にうなずいた。

「霊脈の輝きが強くなっているな。カイトの歓迎パーティーのときはそれほどでもなかったが……日に日に色合いが強くなっているように視える」

「ええ、不思議ですが。共鳴しあっているんでしょうか」

「わからん。……身体になにか異変を感じるか?」

 ユリウスに問われ、祥は首をふった。

「ディーテに変化がないのであれば、ひとまず安心だが。いずれにせよ、魔獣が今まで以上に出てきそうなのは確かだな。結界は強化しておこう。ディーテ、あとでいいか」

 祥がうなずくと、とにかく気をつけてください、とイリアスは言った。
 
 そして、海人を頼みますと頭を下げた。

「夕べ、結界を強化しておいて正解だったな」

 ユリウスが独り言のようにつぶやいた、そのとき。

 竜の咆哮ともに灼熱の第二波が王宮を襲った。

 視界が真っ赤に染まる。結界で阻まれるとはいえ、熱はかなりのものだった。

 結界を破るには魔力をぶつけることであり、竜の吐く炎は魔力が込められているらしい。

「次で破れるな」

 ユリウスが結界を見つめて怖ろしいことを言った。
 
 不幸中の幸いは、竜の灼熱の炎は立て続けには吐けないことだった。
 
 第一波から第二波まで時間が空いている。

 その間、竜は王都上空をぐるぐる回っていた。

「また結界を張ったとしても、防戦一方ではいずれやられます。打って出なければ」

 ユリウスの隣に立っている近衛騎士団長が言った。

「しかし、どうする。結界を捨てて、攻撃するか? さすがに私ひとりで攻撃と防御の両方はできんぞ」

 ユリウスは苦い顔をしている。

 国内随一ともいえる魔力を持つユリウスであっても、二足の草鞋は履けない。

 騎士団長は苦肉の策を出した。

「ユリウス様には再度結界を張っていただきます。王宮は守らねばなりません。攻撃は魔導士たちに頼みます。全員でかかれば、撃退くらいはできるかもしれません」

 騎士団長の提言に、魔導士たちが凍りついた。

 彼らもまた、魔法院から王宮の中庭に移ってきていた。
 
 魔獣は魔法だけでは倒せない。それは七年前の事件で身に染みているはずだ。
 
 魔獣討伐に戦力として派遣される魔法院の魔導士たちは、とにかく近衛騎士団との合流を最優先にし、王宮に詰めかけたのだろう。魔法院のローブがあちらこちらで見受けられた。
 
 騎士団長はおののく魔導士たちには目をくれず、ユリウスに言った。

「彼らには結界の外から攻撃してもらいます。空を飛んでいる以上、それしか方法がありません」

 祥は魔導士たちの顔が蒼白になっていくのを見ていた。

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