オメガになってみたんだが

琉希

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第19話 ★

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※R18です。ご注意ください。




















下半身を抑え、肩で息をしながら、苦しいとその目が訴えていた。

それなのに、見上げてくる熱で潤んだ瞳と上気する顔は魅惑的で、釘付けになった。

脳天を衝く甘く痺れる香りに、心臓がどくどくと鳴る。血が逆流しているかのようだった。

レイは、はあっと短く息を吐いて、サキから顔をそむけた。

「ちょっと……待ってて」

言い置いて、レイは急ぎ隣の自室に入った。肩から掛けていた鞄の中から注射器の入ったケースを取り出した。

薬剤をセットし、それを自らの下腹部に刺す。針は極細なので、痛みはない。打ったのは速効型の〈発情抑制剤〉だった。

サキの放つあの香りを嗅ぎ続けていたら、レイも理性を失って発情してしまう。そうならないための薬剤だった。

不意に隣の部屋から溢れるサキの匂いが強くなった。

自分の匂いがサキを触発し、完全に発情したのだろう。

危なかった、とレイは思った。

即効性のある薬剤は、レイの誘発されかけた激情を徐々に鎮めてくれた。

ホッと一息つき、レイは冷静になった頭で考えた。

本人は忘れてしまったようだが、サキの性別は第一性が男、第二性はオメガだ。

オメガは男女ともに一ヵ月に一度、発情期がある。これはヒートと呼ばれていた。

ヒート中のオメガは自らが放つフェロモンによって、第二性のアルファと呼ばれる者たちの理性を飛ばし、性交へと誘う。レイはそのアルファだった。

恐ろしいのは、理性を失ったアルファが本能のままにオメガを襲い、番という契約を結んでしまうことだった。

オメガのフェロモンにアルファが自らの意志で抗うことは非常に難しいため、発情抑制剤というものがある。

レイはこの注射型の抑制剤を常に持ち歩いていた。不足の事態に備えてのことだ。

一方、オメガの発情を抑える薬も、もちろんある。だがそれは、発情する前から飲み始めることが必要だった。

ヒートの一週間前から薬を飲んでいれば、ここまでひどく発情することもない。

ところがサキはそれを知らず(忘れて?)、薬を飲まなかったのだろう。

レイは悩んだ。

ヒートを起こしたオメガの対処方法はふたつしかない。

そのまま放っておき、ヒートが終わるまで待つこと。ただし、これは三日から五日間続く。

抑制剤をきちんと飲んでいれば、微熱が続くようなものらしいが、飲んでいないと激しい性欲に苦しみ続けるという。

ヒート中はまともに食事も摂れず、オメガには辛い期間になる。

レイにとっても他人事ではない。

アルファがいくら強力な発情抑制剤を打ったとしても、長時間あの香りを嗅ぎ続ければ、いつかは誘発され、発情してしまう。

本能に抗えず、サキを襲ってしまう可能性は大いにあった。

発情したアルファの匂いもまた、オメガにはたまらないらしく、誘発されてヒートを起こす。

お互いヒートを起こした状態で性交に及んでしまったら、取り返しのつかないことになりかねない。

レイ自身は危険を感じたらすぐに抑制剤を打っているため、これまで一度も発情したことがなかった。

サキと恋人であったときも注意していたし、サキも抑制剤を飲んでいた。

しかし今、サキは苦しみ続け、レイにも危機が迫っている。

そうなると、残る方法はひとつしかない。レイは覚悟を決めて部屋を出た。

サキは腹を抱えるように、床にくず折れたままだった。

ぜいぜいと息を吐きながら、涙を浮かべてうずくまる姿は、いっそ哀れに思えた。すくうように抱きかかえると、びくりと身体を揺らした。濡れた瞳で見つめてくる。

「レイ……おれ、おれ……」

サキは中性的で線が細く、可愛い見た目をしている。肌つやの良い紅潮した頬に、潤んだ瞳。体温が上がり、艶めかしい体が腕の中にある。

抑制剤を打っていても、くらっときた。
レイの半身はすでに硬く反応していた。

ベッドに横たえさせると、サキは不安そうに瞳を揺らした。

屹立している下半身を見られたくないのか、足を閉じたが、恥じらう様は煽るだけだ。

レイはベッドにのし上がり、サキのズボンを一気に剥ぎ取った。

「な、なに……!」

サキは真っ赤になってうつぶせに転がり、這って逃げようとしたが、背中にかぶさり、組み敷いた。バタバタと力なく抵抗してくる。

レイは発情のことなどすっかり忘れてしまったサキに囁いた。

「楽にしてあげるから、逃げないで」

するとサキは、じんわり抵抗を止めた。ベッドに額を押し付け、首筋までほのかに赤くなっていた。

レイはサキの双丘を突き出すように腰を持ち上げると、濡れた後孔に自らの昂ぶりを一気に押し込んだ。

「……っあ!」

サキが顔をもたげる。ベッドについた両腕が小刻みに震えていた。レイは構わず動く。

「あっ……あ……やっ……っ」

サキの泣き出しそうな嬌声に、レイの頭は溶けそうになった。
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