【本編完結】混血才女と春売る女

じぇいそんむらた

文字の大きさ
10 / 54
本編

第8話 広場にて

しおりを挟む
 広場は芝生があり、誰でも自由に出入りできる。芝生の上を子供達が楽しそうに駆け回っている。
 ベンチで、スクルと並んで座る私は、子供達の姿を微笑ましく思いながら見つめていた。

「お姫様は、子供が好きなんですか?」
「ええ、大好きよ。最近、子供達と遊ぶ機会があって……それが本当に楽しかったの。子供達みんな私とお友達になってくれて、また今度、遊ぶ約束をしたわ」
「またそれは意外な……俺の知らない間に一体何が?」

 私はスクルに、叔父の手伝いをしている事や、そこで子供達と出会った事なんかを簡単に説明した。

「そうだったんですね。しかし、休みの日にまで働くとは。くれぐれも、体を壊さないようにして下さいね」
「あら、心配してくれるの?ありがとう。でも、大丈夫よ?無理のない範囲でやるつもりだもの」

 それなのに、スクルは疑いの眼差しを私に向けてくるではないか。

「そう言って、なんだかんだで無茶しそうなのがお姫様なんですが」
「……信用ないわね。私って、そんな、後先考えないように見えるの?」

 自分では慎重に生きていると思っていたし、そうでありたいと思っていたけれど、周りから見たらそうではなかったのだろうか。

「いや……後先考えないというより、自己犠牲の精神が強いように思うんですよ。もし目の前に困っているひとがいたら、お姫様は放っておけないでしょう?」
「そんなの、当たり前だと思うけれど……」

 当たり前、と言ったものの、誰かとそういう時にどうするかといった話をした事がない事に気づく。もしかしたら、そう思っているのは自分だけなのだろうかもしれない。

「じゃあお姫様。もし、休みを全部使わないといけないくらいに助けを求められたとしたら断りますか?」
「……断らないわ。だって、私より辛い思いをしているんでしょう?私にできる事があるなら、体力が続く限り助けたいと思う」
「そんなの、身が持ちませんよ?」
「そう……だけど」

 その時だった。

「あら、アステさん!?」

 急に名前を呼ばれ、驚く私。慌てて声の主を探すと、少し離れたところから、こちらに手を振る姿が。そこにいたのは、私が働く研究所の同僚だった。

「パイラさん……」

 彼女はこちらに小走りで駆け寄ってくると、可愛らしい笑顔を見せながら、私とスクルを見る。

「アステさん、こんなところで会うなんて奇遇ね!パイラ、今日は珍しく予定がなくって、お散歩でもしようかなって思ってここに来てみたら、アステさんがいるのが見えて、お邪魔かな?と思ったけど声かけちゃった。ねえねえ、まさかこのひと彼氏?」
「あ……ええと……」

 パイラさんの勢いに圧倒されて言葉が出ない私は、助けを求めるようにスクルを見る。彼は苦笑して、私に聞いてきた。

「お知り合いですか?」
「そ、そうなの。研究所の同僚の」
「パイラって言います!」

 私がパイラさんの名前を言う前に、すかさず彼女自身が名乗り、私とスクルの間に座ってこようとする。私は慌てて横に移動して、彼女が座るためのスペースを開ける。戸惑う私をよそに、彼女はどんどんスクルに話しかけていく。

「ねえあなたお名前は?スクルって言うのね、素敵な名前!え?彼氏じゃない?やだ、アステさん右手に指輪してるから、もしかしたらって思ったのに、違うんですね。じゃあ、パイラが仲良くなっても大丈夫ですよね?ええー?自分にはもったいないなんて、そんな事ないですってば!」

 私は、まるで置物にでもなったような気分で、ただひたすらふたりの会話を聞き続けている。パイラさんの会話のテンポはいつもこうで、仕事中にもよく色んなひとと楽しそうに会話している。

(私……頭で色々と考えすぎて、すぐに会話を返せないもの……きっと話していてつまらないと思われていそう……)

 そうやっていつの間にか思考の海に沈んでいた私は、パイラさんに名前を呼ばれているのに気づき、慌てて顔を上げる。視線の先には、パイラさんの困ったような、呆れたような表情が見えた。

「アステさんってば!聞いてる?ああよかった、考え事でもしてたの?ねえねえ、スクルさんとあなたが恋人同士じゃないって事は、恋人に内緒で他の男性とデートしてたって事?やだ、アステさんってお堅いと思ってたのに。意外ー!」
「え……ええと……?」

 突然話しかけられた事と、思ってもみない指摘をされ、私は何と答えていいか分からない。そんな私を見て、パイラさんは楽しそうに笑う。

「おとなしそうに見えて、実は恋多き女って事?そっか、そっか、その色気のなさって実は男性を油断させるためだったのね」
「い……色気……ですか?」
「そう!まるで色気がないし、おしゃれもしないなんて、せっかく女に生まれたのにつまらなくないの?ま、ライバルが増えなくてパイラは助かるーって思ってたけど……わざとそうしてるんなら、パイラも気をつけなくっちゃ」

 そう言うパイラさんは、笑顔に見えて、目が笑っていないように見える。私は少し怖くなって、手を握り締める。

「はは、心配しなくても大丈夫ですよパイラさん」

 スクルが笑って言うので、私は驚いて彼を見る。ちらっと私を見るその目は、なぜかとても楽しそうに輝いている。

「ここだけの話、アステに指輪を渡した男は、それはそれはもう嫉妬深いんです。少しでも彼女が色気づきなんかしたら、何があったんだって怒って、他の男の目に入らないよう閉じ込めかねない。俺はあいつの親友だからこうしてアステの側にいれますが、他の男とふたりきりでいるところなんか見られた日には……ああ、考えただけで恐ろしい」
「ちょ……ちょっとスクル!?」

 本人がいないからといって、なんて事を言うのだ。私は愕然としながらスクルを見る。

「……というわけで、アステに色気もなくおしゃれもしないのはそのせいなんです。同じ女として可哀想だと思いませんか?」
「アステさん……そうだったの」

 パイラさんから同情の目を向けられて、私はそこでやっとスクルの真意に気付く。

「そ、そうなの。私みたいな女を好きって言ってくれるから、彼が望む事はできる限り叶えてあげたくて……だから、おしゃれとかそういうのは、極力控えるようにしているの」

 スクルは、パイラにとって私が敵対するような存在ではないと、彼女に思わせてくれているのだ。
 私は、心の中で必死にフォールスに謝罪しつつ、スクルの話に乗っかる。

「というわけで、パイラさん。職場で万が一悪い虫がよってこないように、アステを見守っていただけるとありがたい」
「分かったわ!パイラに任せて!アステさん、何か困った事があったらすぐに言ってね。パイラが助けてあげる」
「あ……ありがとう……ございます」
「はは、よかったよかった。職場でも心強い味方ができて安心ですね、アステ」

 満面の笑顔でこちらを見るパイラさんとスクルに、私も彼らに合わせるよう、若干ひきつりながらも笑顔を浮かべた。

 そこからは、再びパイラさんとスクルで会話が弾んでいて、私は完全にその輪から抜けていた。
 少し寂しくはあったけれど、彼らの会話の邪魔をするつもりもなく、私はぼんやりと子供達が遊んでいるところを眺めていた。すると、私はそこに見覚えのある子供の顔を見つけた。あちらも私に気づいたのか、大きな声で私の名前を呼びながら、手を振って駆け寄ってくる。

「アステちゃーん!!!なんでここにいるの!?」

 私は立ち上がって手を振り返す。そんな私に、パイラさんと会話をしていたスクルが聞いてきた。

「もしかして、さっき話してくれた、新しくできたお友達ですか?」
「ええそうよ。その中でも、特に仲良くしてくれた子なの」

 そう言っている間に、その子は私の目の前まで来て、そのまま私の足に抱きつくと、キラキラとした目で私を見上げて、嬉しそうに笑いかけてくる。

「わあ、本物のアステちゃんだ!!!こんなすぐに会えるなんて思わなかった!!!うれしいなあ!!!」
「ふふ、私も嬉しい」

 この子の名前はクイン。両親を亡くして孤児院で生活している男の子だ。

「あのね、今日はね、僕のお父さんお母さんになってくれるってひととここに遊びに来たんだ!」

 私が、クインを見つけた辺りを見ると、男女がこちらを見て、頭を下げてきた。私も慌てて頭を下げる。

「何回も一緒に出かけたりして、本当に家族になれるかどうかを確認するんだよ」
「そう……クインは、一緒に過ごして楽しい?」
「うん!最初はすごく緊張したけど、今はもう、会えるのが楽しみになってるよ!」
「ふふ……それならよかった」

 幼くして両親を亡くしたクインに、私は何となく自分を重ねてしまう。私も幼い頃に両親を事故で亡くし、産みの母の姉に引き取られて育った。ただ、その育ての母は厳しく、甘えるという事がほとんどできなかった。
 でも、クインを見守る男女は、優しそうな眼差しでこちらを見ている。甘えられなかった私の分も、クインが幸せに過ごせると願うばかりだ。

「ねえアステちゃん、一緒にあそぼ?」

 クインは私から離れると、手を握って行こうと誘ってくる。

「あ……クイン、ちょっと待っていて。今ね、お兄さんお姉さんと一緒にいるから、遊びに行ってもいいか聞かないとだめなの。だからちょっと待っていて?」
「うん、わかった!」

 私は、スクルを見ると、私が尋ねる前に、スクルが口を開いた。

「行ってきて下さいアステ。僕はここで見てますから」
「ありがとう……でももし待ちくたびれてしまったら、帰ってしまって大丈夫だから」
「あら!そういう事なら、よかったらこれからパイラとお茶でもいかが?」

 パイラさんが、ひとりになるスクルを誘ってくれた。私を待つよりはパイラさんと過ごす方が……と私は思ったけれど、スクルは首を横に振った。

「お誘いは嬉しいですが、今日はアステと過ごす約束をしているので申し訳ない。俺の唯一の取り柄は誠実さなのでね。約束を途中で放り出すような、そんなつまらない男にさせないでください。ぜひ、また別の機会に」
「そう……ざーんねん」

 パイラさんはがっかりした表情で、それを見た私はとても申し訳ない気持ちになる。だが、彼女の表情はすぐに切り替わって、少し大人びた笑顔になる。その表情は笑顔なのに、どこか怖さを感じてしまう。彼女は口の端を上げて、それから口を開いた。

「じゃあ、次に会う時は、女の子のお誘いを断るようなつまらない男じゃないのを期待してるわ、スクルさん。さ、パイラはもう行くわ。またね、ふたりとも」
「ええ、また」
「は……はい、また……」

 私達はそう挨拶を交わし、パイラさんは去っていく。彼女の背中を見送っていた私の耳にスクルのため息が聞こえ、私は何事かと彼を見る。

「どうしたのスクル、ため息なんて……」
「はは、大丈夫ですよ。さあ、アステは遊んで来てください。彼、痺れを切らしてますよ?」

 そう言われて私は慌ててクインを見る。彼は、つまらなさそうに足元の草をブチブチと抜いている。私は彼のそばにしゃがみ、彼と視線の高さを合わせて話しかけた。

「ごめんねクイン……お話はもう終わったから、一緒に遊びましょう?」
「本当!?うん、行こう行こう!」

 そうして私は、クインに手を引かれる。

「行ってくるわねスクル」
「はい、楽しんできて下さい」

 そしてクインと私は、彼の新しい両親やスクルが見守る中、目一杯遊んだのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。 自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。 彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。 そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。 大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...