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本編
第30話 溢れるほどの愛を *
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ベッドの上に降ろされ、仰向けのままの私に、フォールスはベッドの傍らから口付けをする。目を閉じてそれを受け入れた私は、唇が離れると同時にそっと目を開けると、彼は嬉しそうに私の顔を覗き込む。
「まるでおとぎ話の、キスで目覚めるお姫さまみたいだ」
「ふふ……私よりあなたの方が、よっぽどお姫様みたいなのに?」
そう言って私は、フォールスの綺麗に整った顔の輪郭を指でなぞる。こんな綺麗なお姫様なら、きっとどの王子様も一目惚れをするのだろう……そう思いながら。
(でも、フォールスは、きっと嫌がるわね)
私の予想通り、フォールスはとても不満そうな顔を見せる。
「心外だな……」
「だって……こんなに綺麗なんだもの。そんなひとにお姫様って言われても、私、困ってしまうわ」
フォールスは、そう言う私の鼻を軽くつまんで、何言ってるの?と不満げに呟いた。
「君だってすごく綺麗だし可愛いよ。……ねえ、僕がそう思う場所全部にキスしてみようか?」
そう言うとフォールスは、私の返事も待たず、私のありとあらゆるところに口付けを落としながら、ベッドに上がり、私に覆い被さってくる。
頭、額、頬、耳、鼻、首筋……触れていない部分がないと思うくらい、彼の唇の触れた場所が、どんどん私を埋め尽くしていく。
私は、くすぐったさと恥ずかしさで、体をよじるけれど、それでもフォールスが止まる気配はない。
「も……もう……分かったから……」
「やだよ。全部しないと分からないだろ?」
肩や鎖骨の次は、手を取られ、全ての指先や手のひらにフォールスの唇が触れる。手首までは軽いものだったのに、腕に移った途端、強く吸われてしまい、体が無意識にビクッと反応してしまう。
フォールスは意地悪そうな目をして、その強く吸った場所を私に見せるように、持ち上げた。赤く鬱血した痕がはっきりと見える。
「ほら、綺麗に痕がついた。……僕だけのものって印」
「……袖を、捲れないじゃない」
「いいだろ。見せつけてやれば。虫よけになる」
「虫よけって……」
そしてまたフォールスは動き出し、私の両腕に、軽いものと、痕がつくくらいの口付けを交互に繰り返していく。
くすぐったかったはずのそれは少しずつ、心地よくて、気持ちよくて、次第に私の呼吸が荒くなる。それと同時に、下腹部の奥が疼いてたまらない。
そうして、私の理性が少しずつ、本能に侵食されていく。
「んん……フォールス……好き……」
私は、まるで熱に浮かされたように、フォールスへの気持ちを呟く。するとフォールスは動きを止め、私を見て満足そうに微笑む。
「目がとろんとしてる。可愛い」
そう言って目の前に近づいてくるフォールスの顔に、私は目を閉じる。そして、まぶたの上に彼の唇を感じる。
「僕を好きって言ってくれる唇も、可愛い」
そして、私の唇が塞がれ、私は彼を受け入れたくてたまらなくなり、唇を軽く開く。すると、すぐに求めていたものが割って入ってくる。
「ん……んん……」
絡み合う舌の甘さに、うっとりする。頭の中はもやがかかったようになり、まともに物事を考えられなくなっていく。他のことが削ぎ落とされ、フォールスが欲しいという思考だけが残る。そうなってしまう自分が怖いのに、その恐怖さえ、すぐに霧散する。
フォールスの舌に翻弄され、彼が離れる頃には、私は呼吸もまともにできず、肩で息をしていた。
「も……だめ……つらい……」
「まだ始めたばっかりなのに?久しぶりだからかな……仕方ない、今日はここまでにしておく?」
そう言って離れていこうとするフォールスに、私は慌てて彼の服の胸元を掴んで引き留める。この行為を終わらせたくない、その一心で。
「ちが……そうじゃないの……やめ……やめないで……」
フォールスは苦笑して、私の目尻に溜まっていた涙を拭ってくれる。
「大丈夫……冗談だよ。最初からやめるつもりなんてないから」
「……よかった」
安心して、フォールスの服から離した私の手を、彼の手が捕まえる。そして、その指先に口付けられた。
「アステ、そんなに僕が欲しいの?」
私はすぐに頷く。
「……でも……そう思っているのは、私だけ?あなたは……?」
「欲しいに決まってるだろ……ほら」
フォールスは私の手を、彼の下腹部よりさらに下まで導く。服の下からも分かるくらいに、彼のものが主張しているのを手のひらで感じる。
「今すぐにでも君の中に入りたくてたまらないって、分かるだろ?」
そう問われて、私は頷く。求められてるのが分かって、嬉しくて、息がうまくできない。奥の疼きがどんどん強くなる。私も、どうしようもないくらい、彼を求めているのだ。
「くそ……!そんな顔……もっとゆっくり可愛がるつもりだったのに……我慢できなくなる」
「ううん……いいのフォールス。あなたの好きにして。だってもう……たくさん可愛がってもらえたもの……溢れて抱えきれないくらい」
私は、フォールスの首の後ろに両腕を回し、彼を抱き寄せる。そして、彼の耳元で囁くように言った。
「大好きよ……心から愛してる……私の旦那様」
「まるでおとぎ話の、キスで目覚めるお姫さまみたいだ」
「ふふ……私よりあなたの方が、よっぽどお姫様みたいなのに?」
そう言って私は、フォールスの綺麗に整った顔の輪郭を指でなぞる。こんな綺麗なお姫様なら、きっとどの王子様も一目惚れをするのだろう……そう思いながら。
(でも、フォールスは、きっと嫌がるわね)
私の予想通り、フォールスはとても不満そうな顔を見せる。
「心外だな……」
「だって……こんなに綺麗なんだもの。そんなひとにお姫様って言われても、私、困ってしまうわ」
フォールスは、そう言う私の鼻を軽くつまんで、何言ってるの?と不満げに呟いた。
「君だってすごく綺麗だし可愛いよ。……ねえ、僕がそう思う場所全部にキスしてみようか?」
そう言うとフォールスは、私の返事も待たず、私のありとあらゆるところに口付けを落としながら、ベッドに上がり、私に覆い被さってくる。
頭、額、頬、耳、鼻、首筋……触れていない部分がないと思うくらい、彼の唇の触れた場所が、どんどん私を埋め尽くしていく。
私は、くすぐったさと恥ずかしさで、体をよじるけれど、それでもフォールスが止まる気配はない。
「も……もう……分かったから……」
「やだよ。全部しないと分からないだろ?」
肩や鎖骨の次は、手を取られ、全ての指先や手のひらにフォールスの唇が触れる。手首までは軽いものだったのに、腕に移った途端、強く吸われてしまい、体が無意識にビクッと反応してしまう。
フォールスは意地悪そうな目をして、その強く吸った場所を私に見せるように、持ち上げた。赤く鬱血した痕がはっきりと見える。
「ほら、綺麗に痕がついた。……僕だけのものって印」
「……袖を、捲れないじゃない」
「いいだろ。見せつけてやれば。虫よけになる」
「虫よけって……」
そしてまたフォールスは動き出し、私の両腕に、軽いものと、痕がつくくらいの口付けを交互に繰り返していく。
くすぐったかったはずのそれは少しずつ、心地よくて、気持ちよくて、次第に私の呼吸が荒くなる。それと同時に、下腹部の奥が疼いてたまらない。
そうして、私の理性が少しずつ、本能に侵食されていく。
「んん……フォールス……好き……」
私は、まるで熱に浮かされたように、フォールスへの気持ちを呟く。するとフォールスは動きを止め、私を見て満足そうに微笑む。
「目がとろんとしてる。可愛い」
そう言って目の前に近づいてくるフォールスの顔に、私は目を閉じる。そして、まぶたの上に彼の唇を感じる。
「僕を好きって言ってくれる唇も、可愛い」
そして、私の唇が塞がれ、私は彼を受け入れたくてたまらなくなり、唇を軽く開く。すると、すぐに求めていたものが割って入ってくる。
「ん……んん……」
絡み合う舌の甘さに、うっとりする。頭の中はもやがかかったようになり、まともに物事を考えられなくなっていく。他のことが削ぎ落とされ、フォールスが欲しいという思考だけが残る。そうなってしまう自分が怖いのに、その恐怖さえ、すぐに霧散する。
フォールスの舌に翻弄され、彼が離れる頃には、私は呼吸もまともにできず、肩で息をしていた。
「も……だめ……つらい……」
「まだ始めたばっかりなのに?久しぶりだからかな……仕方ない、今日はここまでにしておく?」
そう言って離れていこうとするフォールスに、私は慌てて彼の服の胸元を掴んで引き留める。この行為を終わらせたくない、その一心で。
「ちが……そうじゃないの……やめ……やめないで……」
フォールスは苦笑して、私の目尻に溜まっていた涙を拭ってくれる。
「大丈夫……冗談だよ。最初からやめるつもりなんてないから」
「……よかった」
安心して、フォールスの服から離した私の手を、彼の手が捕まえる。そして、その指先に口付けられた。
「アステ、そんなに僕が欲しいの?」
私はすぐに頷く。
「……でも……そう思っているのは、私だけ?あなたは……?」
「欲しいに決まってるだろ……ほら」
フォールスは私の手を、彼の下腹部よりさらに下まで導く。服の下からも分かるくらいに、彼のものが主張しているのを手のひらで感じる。
「今すぐにでも君の中に入りたくてたまらないって、分かるだろ?」
そう問われて、私は頷く。求められてるのが分かって、嬉しくて、息がうまくできない。奥の疼きがどんどん強くなる。私も、どうしようもないくらい、彼を求めているのだ。
「くそ……!そんな顔……もっとゆっくり可愛がるつもりだったのに……我慢できなくなる」
「ううん……いいのフォールス。あなたの好きにして。だってもう……たくさん可愛がってもらえたもの……溢れて抱えきれないくらい」
私は、フォールスの首の後ろに両腕を回し、彼を抱き寄せる。そして、彼の耳元で囁くように言った。
「大好きよ……心から愛してる……私の旦那様」
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