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regret one 「亡くなった妹」
おれの妹は、
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おれの妹は、可愛くて頭の良い子だった。
でも、妹は三年前に亡くなった。
妹との最後の思い出は、三年前の夏──。
父を亡くした俺と妹・母は、落ち込んでいた。しかし、なぜか妹はそんなにショックではなかった様子だった。
そんな中で母は、気晴らしにと海に連れて行ってくれた。
その海の名前は、幸せを流れると書いて幸流海岸。
行ったのは平日。幸い、人は全くいなかった。
俺は、空気を明るいものにさせようと、そんな海辺で妹と遊んだ。
妹はなぜか、とても笑顔でいた。
それがなぜか悲しくて、俺は作り笑顔しかできなかった。
母は、そんな俺たちを複雑な心境で見ていたと思う。
"どうして、妹はあんな笑顔を作れたんだろう"
当時の自分は、そう思っていた。
でも、答えはすぐに分かった。
その日の帰り道のことだ。
『早く帰ろっ!』
俺と母が複雑な顔でいたとき、妹はそう言っていた。きっと暗い空気を明るくしたかったのだろう。
そう言った妹はスキップをして、横断歩道を渡っていた。その時だった。車が妹をはねたのは。
なんとも言えない大きな音がして、妹の体は宙に浮いた。そして、妹は地面に落ちた。
俺は、足を止めた。
今、目の前で起きた出来事に動揺を隠せなかった。
なんだ。今のは。
「秀!秀!」
妹が、宙を舞っていた?
そんなの、ある訳ないだろ。
妹が空に浮いて、落ちる。
スローモーションなんかじゃなく、"一瞬"の出来事だった。
その出来事を信じたくはなかった。
「秀ってば!」
「え…?」
目の前には、母がいた。母の目尻から頬には、一筋の線。
そんな母を俺の目線が通り過ぎ、母の後ろを見た。
そこには。
「南月?南月、なのか?」
南月は、妹の名前。
そこには、車の中で治療を受ける妹の姿があった。
そう、救急車が来ていたのだ。しかし、後ろの扉は閉まっていなかった。
その状況を知った俺の隣で、母は俺を抱きしめた。微かに聞こえるのは、泣き声。それは、とても情けないものだった。
「おい、南月?おい…!おい!起きろよ!南月!」
母に抱き締められながら、俺はそう叫んだ。
妹がいた車内の床は、淡いグレー色。でも、世界地図のように赤いものが広がっていく。
「南月!お前ら、離れろよ!南月に触んな!」
と言って、母の抱き締める腕を振りほどく。
しかし、高校生だった当時の俺は、大人の力には勝てなかった。
そして、母は抵抗するように、俺を強く抱き締めた。
「秀!落ち着いて!秀!」
そう呼び掛ける母の声。
しかし、俺の耳には届いていなかった。
「南月!生きてるんだよな!な!」
すると、妹の治療をしている医者の手元が止まった。
そんなことを知らない母の手は俺を抱き締めていたが緩み、落ちていった──。
これは、不慮の事故と言えるのでしょうか。
もしかしたら、この事故は。自殺だったのかもしれない。
そうは思いませんか?
なぜなら。
それは、妹の笑顔が意味していた。
つまり、俺の妹は亡くなった父に会うため、死んだのだと──。
もしかしたら、母は。その手伝いをしていたのかもしれませんね。
でも、妹は三年前に亡くなった。
妹との最後の思い出は、三年前の夏──。
父を亡くした俺と妹・母は、落ち込んでいた。しかし、なぜか妹はそんなにショックではなかった様子だった。
そんな中で母は、気晴らしにと海に連れて行ってくれた。
その海の名前は、幸せを流れると書いて幸流海岸。
行ったのは平日。幸い、人は全くいなかった。
俺は、空気を明るいものにさせようと、そんな海辺で妹と遊んだ。
妹はなぜか、とても笑顔でいた。
それがなぜか悲しくて、俺は作り笑顔しかできなかった。
母は、そんな俺たちを複雑な心境で見ていたと思う。
"どうして、妹はあんな笑顔を作れたんだろう"
当時の自分は、そう思っていた。
でも、答えはすぐに分かった。
その日の帰り道のことだ。
『早く帰ろっ!』
俺と母が複雑な顔でいたとき、妹はそう言っていた。きっと暗い空気を明るくしたかったのだろう。
そう言った妹はスキップをして、横断歩道を渡っていた。その時だった。車が妹をはねたのは。
なんとも言えない大きな音がして、妹の体は宙に浮いた。そして、妹は地面に落ちた。
俺は、足を止めた。
今、目の前で起きた出来事に動揺を隠せなかった。
なんだ。今のは。
「秀!秀!」
妹が、宙を舞っていた?
そんなの、ある訳ないだろ。
妹が空に浮いて、落ちる。
スローモーションなんかじゃなく、"一瞬"の出来事だった。
その出来事を信じたくはなかった。
「秀ってば!」
「え…?」
目の前には、母がいた。母の目尻から頬には、一筋の線。
そんな母を俺の目線が通り過ぎ、母の後ろを見た。
そこには。
「南月?南月、なのか?」
南月は、妹の名前。
そこには、車の中で治療を受ける妹の姿があった。
そう、救急車が来ていたのだ。しかし、後ろの扉は閉まっていなかった。
その状況を知った俺の隣で、母は俺を抱きしめた。微かに聞こえるのは、泣き声。それは、とても情けないものだった。
「おい、南月?おい…!おい!起きろよ!南月!」
母に抱き締められながら、俺はそう叫んだ。
妹がいた車内の床は、淡いグレー色。でも、世界地図のように赤いものが広がっていく。
「南月!お前ら、離れろよ!南月に触んな!」
と言って、母の抱き締める腕を振りほどく。
しかし、高校生だった当時の俺は、大人の力には勝てなかった。
そして、母は抵抗するように、俺を強く抱き締めた。
「秀!落ち着いて!秀!」
そう呼び掛ける母の声。
しかし、俺の耳には届いていなかった。
「南月!生きてるんだよな!な!」
すると、妹の治療をしている医者の手元が止まった。
そんなことを知らない母の手は俺を抱き締めていたが緩み、落ちていった──。
これは、不慮の事故と言えるのでしょうか。
もしかしたら、この事故は。自殺だったのかもしれない。
そうは思いませんか?
なぜなら。
それは、妹の笑顔が意味していた。
つまり、俺の妹は亡くなった父に会うため、死んだのだと──。
もしかしたら、母は。その手伝いをしていたのかもしれませんね。
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